担当ウマ娘をこれでもかと甘やかす(イチャイチャする)話   作:瀧音静

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ゼンノロブロイ

 担当ウマ娘、ゼンノロブロイと駆け抜けたトゥインクルシリーズの三年間。

 その中でロブロイは、秋シニア三冠という偉業を達成し。

 さらには、年末の有マ記念ではレコードも更新。

 その功績を称えられ、年度代表ウマ娘にも輝くなど、ロブロイの英雄譚は留まるところを知らない。

 

「よし。出来ました!」

 

 そんな英雄は、現在俺の膝の上で今年の出来事を自らの英雄譚へと書き記しており。

 その声から察するに、どうやら終わったようだ。

 読ませてくれる? と尋ねると、

 

「もちろんです! トレーナーさんの功績でもありますから、一緒に読みましょう!」

 

 と。

 俺の膝の上から動かず、そこで記入を終えたばかりの英雄譚を開いて見せて。

 

「読めますか?」

 

 俺の顔を横目で見ながら、確認を取ってくる。

 ……読めなくはない。

 横から覗き込むとかすれば、なんとか……。

 と思っていると、俺の目の前にあるロブロイの耳が、ひょいと左右に分かれてスペースを作り。

 そこから覗き込めという事なのかと顔を差し込むと。

 

「じゃあ、いきますね?」

 

 どうやらその通りだったらしく、ロブロイが英雄譚を読み上げ始める。

 彼女の優しい声で、読み上げられるは自らの軌跡。

 年末の有馬記念に至るまでの、その道のり。

 最初に俺からスカウトを受ける所から始まり、クラシック期。

 皐月賞を諦め、青葉賞から目指した日本ダービー。

 シンボリクリスエスと胸を張って対峙するためにと挑んだ菊花賞。

 そして、シンボリクリスエスと戦った有馬記念。

 一つ一つのレースが、そして結果が読み上げられる度、去年の事なのに懐かしく感じてしまう。

 と、同時に。

 トレーナーとして、これで良かったのか、と。

 後悔と反省と、入り混じった感情が胸の中でぐるぐると渦巻いて。

 思わずため息をつきそうになったところを、ロブロイの耳が左右同時に俺の頬を打った。

 

「トレーナーさん? 大丈夫です。私は、納得していますから」

 

 俺の心中を察したのか、俺が何かを言う前にそう力強く言ってくれたロブロイは。

 

「続けますね?」

 

 と、英雄譚の続きを読み上げる。

 シニア級に上がり、春。

 そして合宿を経て、英雄の物語は一番の山場へ。

 天皇賞秋、ジャパンカップ、そして……有マ記念。

 絶対に消えぬ歴史に名を残した英雄は、読み終えるとパタンと本を閉じ。

 

「とうとう、ここまで来たんです」

 

 と、俺を見上げて呟いて。

 

「トレーナーさん、一つ、わがままを言ってもいいですか?」

 

 急にそんな事を言いだすが、正直それを断るという選択肢は存在せず。

 俺に出来る事ならと、ロブロイのわがままを聞いてみると。

 

「いっぱい、撫でて貰ってもいいですか?////」

 

 恥ずかしさからか頬を赤くし。

 少しだけ声を小さくしながらも、しっかりと聞こえる声で俺に伝えてきて。

 お安い御用だよ、と返事をし、耳の間から顔を引き抜き。

 まずは、その耳の間に手を乗せて、ゆっくりと撫でてやる。

 髪の毛の向きへ、ゆっくり、優しく。

 何度か往復してやると、俺の膝の上に置いてあったロブロイの尻尾が、元気に動き始め。

 気に入ったのかな? と思いながらそのまま何度も往復してやり。

 

「ひゃうっ!?////」

 

 側面も……と手を添えると、ロブロイが驚いた声を上げた。

 ごめん、びっくりさせちゃった。と謝ると、

 

「いえ……気にしないでください////」

 

 と嫌がってはいない様子。

 そのまま側頭部を撫で、ついでに頬までを撫でてやると。

 

「トレーナーさんの手……温かいです」

 

 なんて言いながら、撫でていた俺の手に手を添えて。

 動きを止め、そのまま頬ずり。

 ロブロイのしっとりとした頬が擦りつけられ、何ともくすぐったいような感覚に襲われて。

 それに抵抗しようと指を伸ばし、あごの下へと滑り込ませると。

 

「と、トレーナーさん////」

 

 くすぐったそうに身体を捻り、俺の指の範囲から脱出。

 その過程で解放された手で、今度は後頭部を撫でてやり。

 

「トレーナーさんの手、おっきかったです////」

 

 さっきまでのリラックス体勢とは打って変わって、身体を縮こませて俺の膝の上に座るロブロイは。

 その後しばらくその体勢のままであった。

 

 

「もう大丈夫です////」

 

 時間にしてどれくらいだろうか。

 かなり長い時間していたようにも思えるし、そこまでしてないようにも思える。

 それでも、ロブロイから十分だと言われ、撫でていた手を止めると。

 

「トレーナーさん」

 

 俺の方へ向き直り、俺の手にぴっとりと自分の手を当てたロブロイは。

 

「私は誓います。また来年も、英雄たり続けると」

 

 真っ直ぐと俺の目を見つめ、そう力強く宣言するのだった。




何なら過去一甘いかもしれない。

次回予告うにゃうにゃ紙トロフィー
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