担当ウマ娘をこれでもかと甘やかす(イチャイチャする)話   作:瀧音静

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間が空きました。
全て低気圧のせいです。


ナイスネイチャ

「あー……。えっと、トレーナーさん? 今って忙しいですよねぇ?」

 

 俺の担当ウマ娘、『ナイスネイチャ』と駆け抜けたトゥインクルシリーズの三年間。

 彼女自身、「自分は主人公じゃない」というように、確かに実績として彼女より輝く存在はいた。

 しかし、だからといってネイチャが輝いていなかったかと言われれば、俺は首を横に振る。

 少なくとも、俺の目にはネイチャは十分輝いて見えた。

 誰よりも。どんな実績よりも。

 そんなネイチャは、俺が書類仕事をしている時にトレーナー室までやって来て、声をかけてきた。

 こなしていた書類仕事の手を止めて、ネイチャの方を向き、どうかしたか? と尋ねると。

 

「いやぁ……別にこう、大した用事があるわけじゃないんですがね? ちょーっと働き過ぎじゃありませんか?」

 

 どうやら、俺の事を心配してくれたらしい。

 時計を見ると、既に昼過ぎ……というよりは、夕方に差し掛かった時間帯。

 朝から作業をしていたはずだから、休憩も食事もせずにとなれば、確かに心配されても仕方が無かった。

 それじゃあ休憩にするか、と言うと、

 

「もしかしてアタシのせいです?」

 

 なんて聞いてきて。

 丁度キリがいい所だから、と返すと、

 

「ホントですかー?」

 

 と聞いてきながら部屋へと入ってきて。

 

「ではでは、そんな休憩中のトレーナーさんに差し入れですよーっと」

 

 手に持った魔法瓶を俺に見せ、キャップを取って俺に差し出して。

 

「熱いですからね~」

 

 なんて言いながら、注いでくれたのは……。

 甘酒?

 

「やー、何でも飲む点滴とかいう位には栄養価が高いらしいじゃないですか? なので、トレーナーさんにいいかなーと」

 

 でも、流石にこの時間からアルコールは……。

 

「ちゃんと米麴から作りましたって。なのでノンアルコールです」

 

 との事なので、安心して一口。

 チュルリと口の中に入って来た甘酒は、ネイチャの言う通り熱々だったが。

 その奥から顔を覗かせる特有の甘さに、思わず体の無駄な力が抜けていく。

 飲み込んでため息をつくと、ネイチャが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。

 なので、美味しいよ、と乾燥を口にすると。

 

「ふぅ。そう言って貰えると、アタシも嬉しいってもんですわ」

 

 ん? もしかしてネイチャが作ったのか?

 

「そうですよ? あ、でも全然難しかったりしないんで、気にしないでもらえると……」

 

 と言われても。

 流石にこのままじゃあな……。

 何か、お返しをしたいんだが……。

 

「あー……。じゃあ、トレーナーさんこの後とか暇です?」

 

 まぁ暇と言えば暇かな。

 書類仕事も、急ぎのものは片付けたし。

 

「だったら、ちょっと付き合って貰えません?」

 

 というネイチャのお願いを聞き、俺はネイチャととある場所に向かった。

 

 

 着いたのは神社。

 ネイチャ曰く、年末年始の人が多い時には行く気が無く、まだ年末年始とは言い難い今のうちに来ておきたかったとのこと。

 一応、出店がぽつぽつとあったりはするが、それでも数は圧倒的に少ない。

 少し寂しい気もするが、ネイチャの言う通り年末年始は物凄い人の数になるだろうし。

 確かに今くらいがちょうどいいかもしれないな。

 

「じゃあ、お参りしましょ」

 

 と、ネイチャに連れられ、参拝し。

 かなり早いおみくじを引き、ネイチャは小吉。俺は末吉。

 二人ともパッとしませんねーなんて言いながら、神社から帰っていると。

 

「そう言えば、トレーナーさんはどんなお願い事を?」

 

 とネイチャに聞かれ。

 今年一年を見守ってくれた感謝の気持ちと、また来年もネイチャをよろしくお願いしますってお願いしといた。

 正直に答えると。

 

「は? いやいやいやいや、自分の事は?」

 

 驚かれるが、自分の事よりネイチャの事、と断言すると。

 

「もー……。そうやってまた乗せようとする~」

 

 と恥ずかしながら顔を背けてしまった。

 本心なんだけどな。

 

「そういう問題じゃなくて……。いいや、何言っても一緒だろうし」

 

 そうだな!

 

「……時にトレーナーさんや」

 

 なんだねネイチャさんや。

 

「お雑煮は丸餅派? 角餅派?」

 

 ……丸餅かな。

 

「焼く?」

 

 そのまま。

 

「人参と大根はまだ残ってたよね?」

 

 残ってたはず。

 

「じゃあ、お雑煮でも作って食べますか。商店街の人たちが、毎年餅をついてくれるし」

 

 貰えるの?

 

「何も言わずともね。ずっとトレーナーさんにも、なんて言って渡されてたんだけど、なんせ年末年始はトレーナーさん忙しいし」

 

 確かに。

 

「だから、前もって作っときますかねーってさ。野菜は大丈夫そうだし、後は鶏肉と、スルメと……」

 

 足りないものは買いに行こう。

 

「ですねー。あ、出汁は鰹節でいいです?」

 

 任せる。

 

「それが一番困るって知ってるでしょ?」

 

 ネイチャの雑煮が食べたいから。

 

「…………」

 

 ネイチャ?

 

「あ、ごめん。ボーっとしてた」

 

 大丈夫か?

 

「大丈夫ですってば」

 

 早く買い物に行きますよ、なんて言って歩き出したネイチャの横顔は、夕日に染まって赤くなっていた。




次回更新から不定期になります。

主に体調面の問題なので、どうか……どうか……
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