担当ウマ娘をこれでもかと甘やかす(イチャイチャする)話   作:瀧音静

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完全な怪文章注意


アグネスタキオン

「さてトレーナ―君。約束通り三年間を走り切り、私の追い求める限界のその先……とは言えないまでも、その一端程度は確認出来ただろう」

 

 年末。

 有馬記念を終え、年度代表ウマ娘の選出も終わり。

 来年に向けての様々な資料を片付けていると、突然タキオンが部屋に入ってきて。

 そんな事を話し始めた。

 ……また長くなる話か? と身構えると、どうやらそうではないらしく。

 

「そこで、だ。私はトレーナー君からその駄賃を貰っていない事に気が付いてね」

 

 唐突に、彼女の追い求める先をほんの僅かでも見たのなら。

 対価を寄越せと言ってきた。

 そんな急に言われても、特に俺から出せるものは何もなく。

 その事を正直に伝えると、

 

「はっはっは。安心したまえ。何も無理難題を押し付けようというわけじゃない。聞くところによれば、トゥインクルシリーズの初めの三年間を走り終えた担当ウマ娘に、一日存分に甘えてもいい権利なるものを譲渡するのが通例らしいじゃないか」

 

 と、初耳以外の何物でもない事を言いだして。

 

「私はこの権利を行使する。よって、今日一日君は私を甘やかさなければならない。ああ、もちろん拒否権はないよ。恨むのなら、こんな慣習を作った誰かを恨むといい」

 

 一方的に俺に捲し立てると、俺の目の前へと移動してきた。

 ……しょうがない。一日ならまぁ付き合ってもいいだろう。

 どうせ普段通り、様々な実験に付き合わされるのだろうと思っていると、

 

「ふむ。覚悟を決めたようだね。……では、まずは食事だ。時間には少し早いが、どうせ材料はあるのだろう? 今日はサンドイッチの気分だ。すぐに取り掛かりたまえ」

 

 意外にと言うべきか、最初の要求はご飯だそうだ。

 まぁ、それくらいなら、と席を立ち。

 リクエスト通り、サンドイッチを作り始めた。

 

 

「うーむ。……ずっと見ていたが、随分と手際がいいな」

 

 完成したサンドイッチを皿に乗せると、横で見ていたタキオンから感心したような声が発せられる。

 毎日作ってるから、と、料理の手際がいい理由を説明すると、

 

「確かに……。あまりにも日常になっていたが、毎日私の為に食事を用意しているのだったな」

 

 と何やら考え込み。

 

「まあいい。では……食べさせてくれたまえ」

 

 ソファに腰を下ろすと、口を開けたままこちらを向き、サンドイッチが運ばれてくるのを待つ。

 はいはい、とハムレタスサンドを手に取ると、

 

「それじゃない。まずはツナマヨからだ」

 

 と、注文が。

 言われるままツナマヨサンドを取り、タキオンの口へ運ぶ。

 

「あむ。……うむ、しかしこのツナマヨと言う具材は不思議だねぇ。パンにもご飯にも合うのだから、もはや万能な具材なのではないかな」

 

 こういう時は具材に関するコメントではなく、味に関するコメントが欲しい所だ。

 まぁ、吐き出さないし、尻尾を左右に振りながら食べているので、恐らくはお気に召しているはず。

 

「次はタマゴサンドがいい」

 

 次なるリクエストを受け、その通りに持ってタキオンの口に運ぶ。

 ――すると、

 

「あむ。……む」

 

 タマゴサラダをどうやら挟み過ぎたらしい。

 タキオンがかぶりつくと、ムニュっと具材が押し出されてしまった。

 タキオンの口は汚れていないが、サンドイッチを持っていた俺の手にタマゴサラダが付着。

 拭き取ろうと手を引こうとして、

 

「こら、どこへ行くんだい?」

 

 タキオンに腕を掴まれ、行動を妨害され。

 

「勿体ないじゃあないか。私は出されたものは全て食べる主義だよ」

 

 と言って、

 

「れる」

 

 俺の手に付いたタマゴサラダを舐め取った。

 一瞬、タキオンのザラりと舌の感触が指を撫で。

 さらには舐め残しが無いように何度かその場所を往復し。

 タキオンが手を離すころには、その場所に怪しい温もりが宿っていた。

 

「ふふ」

 

 動揺し、タキオンに舐められた場所を見ていると、タキオンから含み笑いが聞こえてきて。

 

「どうだった? 何か特別な感情でも抱いたかい? それとも嫌悪感? もしや、いかがわしい感情になったわけではあるまい?」

 

 と、いつものようにデータを取られたのだと気付かされる。

 勘弁してくれ、心臓に悪い。

 次からはどうせ断らないのだからデータ採取の時は事前に言ってくれと伝えると。

 

「ふむ。何を勘違いしているのかは知らないが、今はデータなど取っていないよ」

 

 笑みを消し、至極真面目にそう返されて。

 

「そもそも、私は最近に限るが、実験やデータを取る時は必ず伝えているはずだが?」

 

 と、言われてみれば確かにと頷く事を言われ。

 じゃあさっきのは? と尋ねると、

 

「私がやりたかったからやっただけだ」

 

 だそうだ。

 そっちの方が問題だと思うのだが、タキオンは気付いているのだろうか?

 

「ああそうだ。食後の紅茶のリクエストをしていなかった」

 

 そんな俺の思いをよそに、そう呟いたタキオンに向かって。

 キーマンならあるぞと伝えると、

 

「ふぅん」

 

 満足そうな表情で頷くのだった。




次回予告
基本的に肉を食うばっかになる妹系ウマ娘
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