担当ウマ娘をこれでもかと甘やかす(イチャイチャする)話   作:瀧音静

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ナリタブライアン

「おい」

 

 ナリタブライアンと駆け抜けたトゥインクルシリーズ三年間。

 ナリタブライアンは、二年連続年度代表ウマ娘という、とんでもない実績を残した。

 現在、その書類整理に追われている所なのだが、トレーナー室の扉を開け、腕を組みながらそこに佇むナリタブライアンは……。

 

「肉だ」

 

 あまりにも説明が足りなさすぎる一言を発し、こちらをじっと見てくる。

 ……お腹でもすいたのか?

 

「違う。マヤノから聞いた。トレーナーは三年間を共に走り終えた担当ウマ娘を甘やかす義務があるのだろう?」

 

 ……?

 あまりにも初耳だけど?

 

「いいから肉だ」

 

 ……?

 つまり、甘える事の一環として肉を食いたい、と?

 

「そう言っているだろう」

 

 ごめん、全然言ってない。

 でもまぁ、何となく分かった。

 確かに三年間走り抜けたことは事実であるし、その実績も十分すぎるほど。

 どこの誰が言い出したかは分からないが、一日くらいなら甘やかしても罰は当たらない。

 

「そうと決まれば肉だ」

 

 と急かすナリタブライアンに待ったをかける。

 理由としては、そんなにすぐには用意できない事。

 また、もろもろ準備が必要だと告げ、必ず一週間後に肉を思う存分食べさせてやるからと約束し。

 俺は書類仕事と並行して、ブライアンのおねだりを叶えるために様々な場所へと連絡を取った。

 

 

「それで? わざわざ私に聞きたい事と言うのは?」

 

 ナリタブライアンの姉、ビワハヤヒデ。

 年末の有馬記念で姉妹対決のデッドヒートを繰り広げた相手を呼び出し、用件を伝える。

 

「なるほど……。ブライアンが食べそうな野菜たっぷりの肉用のタレか……」

 

 確かに甘やかすし、肉をたらふく食わせてやることは約束したが、野菜を取らないとは言ってない。

 野菜そのものを食べなくとも、タレとして含まれていれば食べるだろうと考え、ブライアンの事を良く知っているであろうビワハヤヒデに協力を仰いだ。

 

「だったら、ヒシアマゾンも呼んだ方がいい。彼女は、毎日ブライアンの為に弁当を作ってくれているからな」

 

 と、そこにヒシアマゾンも加わり、ああでもない、こうでもない、と、ブライアンが食べそうなオリジナルのタレの研究が開始された。

 

 

「どこだここは?」

 

 約束の日、ブライアンを連れて山奥のキャンプ場に辿り着くと、ブライアンに手伝って貰って荷物を下ろす。

 準備をするから待ってるように言い、テキパキとテントやバーベキューの準備を行って。

 

「わざわざこんなところでしなくとも、学園ですればいいだろうに」

 

 と、言われるが。

 考えてみて欲しい。学園で肉を焼く。当然匂いがする。

 となれば、何人か寄ってくるウマ娘が想像できないか?

 

「チッ。オグリキャップにスペシャルウィークは確定だな」

 

 その通り。だから、ブライアンだけが肉を食べるために、わざわざキャンプ場まで来たんだよ。

 

「分かった。それで? 肉はまだか?」

 

 準備が出来たからこれから焼いていくよ。

 と、先程ブライアンに運んでもらった荷物の中から、いくつかあるクーラーボックスの内の一つを開き。

 初めはサーロインでいい? とブライアンに確認を取ると。

 

「何でもいい。さっさと焼け」

 

 と素っ気ない態度。

 だが、肉を取り出した瞬間に耳はせわしなく動き出したし、尻尾も喜びを隠しきれていない。

 そんなブライアンの姿を微笑ましく思いながら、俺は最初の肉を焼き始めた。

 

 

「ふぅ。……満足だ」

 

 サーロインやヒレ、ロースにランプ。

 様々な部位の、しかもしっかりと熟成させた肉を都合20㎏程用意していたのだが。

 ブライアンはぺろりと平らげてしまった。

 ちなみにかなりのお値段だったが、ブライアンへの甘やかしという事でそこは目を瞑った。

 俺も少し頂いたし。

 さて、焼き終わったし片付けでもするか、と立ち上がろうとすると、

 

「おい」

 

 ブライアンから呼ばれ。

 何事かとブライアンを見ると、

 

「横になる。膝を貸せ」

 

 と、要求され。

 まぁ、火は消したし、残りは道具を片付けるだけだからいいかと、言われるままにブライアンに膝枕を。

 すると、

 

「星が、良く見える」

 

 空を見上げたブライアンが、そんな事を呟いた。

 確かに、周りに明かりのない山の中だと、普段よりも星が輝いているようにも見える。

 幸いな事に空は雲一つない、抜群の天体観測日和。

 ブライアンの頭を撫でながら、ブライアンと同じ景色を眺めていると、

 

「すぅ。すぅ」

 

 と、すぐに寝息を立て始めた。

 全く、本当に自由気ままに生きてるのだから。

 結局、ブライアンが目を覚ますまで俺は動けず。

 ブライアンが起きた頃にはしっかりと足が痺れ、ブライアンにつつかれながら。

 道具を片付けた俺たちは、学園へと戻った。

 なお、生徒会の二人に今回の事を伝えていなかったらしく、学園内で捜索願が出されていたのはまた別の話である。




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 聖なる一歩半
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