担当ウマ娘をこれでもかと甘やかす(イチャイチャする)話   作:瀧音静

6 / 13
ツンデレって苦手なんですよね……


ナリタタイシン

「タイシン?」

「うっさい! 邪魔しないで!」

 

 ナリタタイシンをスカウトし、担当ウマ娘として駆け抜けた三年間。

 その集大成として年度代表ウマ娘に選ばれた彼女の書類を整理していると。

 トレーナー室に、タイシンが入ってきて。

 

「こっちきて」

 

 と、ぶっきらぼうに言われ、言われたままにタイシンの方へ向かう。

 すると、

 

「座って」

 

 ソファを指差し、座る様に指示してきて。

 黙って従い、なんだろうと思っていたら。

 

「よいしょっと」

 

 俺の膝の上に座ってきた。

 何かあったのかと尋ねるも、答えるどころか振り返ることもしてくれず。

 そのままスマホを取り出して音ゲーを始めてしまった。

 流石に説明を、と、声をかけると、上の通り音ゲーの邪魔をするなと言われ。

 結局出来る事と言えば、そのまま動かず音ゲーが終わるのを待つのみ。

 まぁ、ちょうど休憩しようと思っていたし、こうしてタイシンとゆっくりするのも悪くないなと思っていると。

 ペシリ。と、尻尾で頬を軽く叩かれた。

 何か気に障る事でもあったのかとタイシンのスマホを覗き見ると、どうやら曲が終わったらしい。

 今なら答えてくれるかもと声をかけると、

 

「何?」

 

 相変わらずこちらを向いてはくれないが、反応は貰えた。

 そこで、今の状況の説明を求めると、

 

「別に」

 

 以上、説明終わり。

 また音ゲーを再開してしまう。

 こりゃあ本格的に何かしてしまったと思い、ここ数日間の記憶を思い返すも。

 特に思い当たるようなことはなく。

 それでも何とか捻りだそうとすると、また尻尾で頬を叩かれた。

 しかも二回。

 今度こそ今の状況を聞き出そうと口を開く――直前。

 タイシンがこちらを振り返った。

 若干不機嫌気味で、何を言われるかと身構えると、

 

「寝る」

 

 と。

 一瞬意味が分からずポカンとすると、

 

「寝るから!」

 

 先ほどより強い口調でそう叫び、一旦立ち上がると。

 俺の膝から、俺の隣へと移動し、そのまま、俺の膝を枕に横になる。

 どうしよう。全然意味が分からない。

 そんな感じで困惑していると、

 

「ねぇ」

 

 タイシンから声をかけられて。

 どうかしたかと尋ねると、

 

「頭……撫でて」

 

 だそうで。

 本当にいいのかと躊躇っていると、

 

「いいから!」

 

 また怒鳴る。

 そう言うならと、ゆっくり優しくタイシンの頭を撫で始めると。

 

「ん」

 

 満足そうにそう呟いて、タイシンはゆっくりと瞼を閉じた。

 ……えぇっと?

 これは何をしているのだろうか?

 寝ているように見えて耳が小刻みに動いているし、尻尾も結構せわしなく動いている。

 とても寝ているようには見えないが、その事を指摘できる雰囲気じゃない。

 どうするのが正解だろうか?

 

「んん」

 

 なんて考えていると、頭を撫でようと手を置いたときに振り払うように頭を振られ。

 驚いて手を引いたが、ちょっともぞもぞして元に戻る。

 これ、頭を撫でられるのは本当は嫌だったんじゃあ?

 という考えに至り、結果。

 少しだけ手を伸ばし、背中を撫でてやることに。

 タイシンの呼吸に合わせ、優しく撫でおろし。

 吸うタイミングで撫であげて、タイシンと呼吸を合わせていく。

 すると、わざとらしく閉じていた瞼が、力が抜けて自然な感じに。

 リラックス出来ているらしく、そのまま背中を撫でてあげている時。

 ふと、実家で勝っている猫の事を思い出す。

 そう言えば、尻尾の付け根辺りをトントンと刺激してあげるのが好きだったな、なんて考えて。

 タイシンにもしてみようと、尻尾の付け根へ手を移動させ。

 絶対に痛くないように。

 何なら、ちょっと何か当たった? くらいの感覚になるような力加減でトントンとしてみると。

 

「んっ」

 

 反応はすれど、怒ってくることはなく。

 しかも、尻尾の動きがほんの少し緩やかになり、それを確認してリラックスしているという確信を得る。

 だったらと、そのままリズミカルにトントンと刺激を続けてやると。

 

「すぅ……すぅ……」

 

 正真正銘の寝息が、タイシンから聞こえ始めた。

 とはいえそのまま手の動きを止めるようなことはせず、しばらくそうしてやることに。

 にしても、多少は猫っぽいと思ったことがあったけど、こんな所まで猫っぽいんだな。

 なんて考えながら。

 膝から伝わる温もりと、書類仕事で蓄積した疲労感。

 さらに、規則正しい寝息が作用して、俺が寝落ちるまでにそう時間はかからなかった。

 

 

 目を覚ます。

 あぁ、アタシ、寝てたんだっけ。

 徐々に覚醒する意識と、思い出す記憶。

 ――トレーナーの膝枕でっ!?

 思い出した瞬間、気恥ずかしさで飛び上がる様に体を起こし、間一髪、寝ているトレーナーの顔をかすめてしまう。

 って、コイツも寝てるし。

 ……まぁ、日ごろから仕事ばっかでろくに休めていないんだろうけど。

 自分の事を放り出して、ずっとアタシの事ばっか考えて。

 …………ほんと、バカ。

 考えれば考えるほど変な怒りが沸いてきて。

 その怒りを、理不尽と知りながらトレーナーへとぶつける。

 寝起きの尻尾ビンタは、三発である。




次回予告
マチカネの変な声の方
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。