担当ウマ娘をこれでもかと甘やかす(イチャイチャする)話   作:瀧音静

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マチカネフクキタル

「トレーナーさん、お出かけしませんか?」

 

 トゥインクルシリーズの中で、特に重要だとされる初めの三年間。

 その三年間を駆け抜け、見事年度代表ウマ娘に選ばれた担当ウマ娘、マチカネフクキタル。

 そんなフクキタルの年末の書類整理をしていると、当のフクキタル本人がトレーナー室にやって来て、そんな事を言いだした。

 どうせいつもの事だろうと言って見ると、

 

「そうなんです! 今日はトレーナーさんと二人でカフェに行くのが吉と出たのです!!」

 

 と、目をキラキラと輝かせ、身体を左右に揺らしながら、大きな声でそう叫び。

 

「さぁ行きましょう! トレーナーさん!」

 

 有無を言わせぬ空気を出しながら、俺の手を掴み、立ち上がれと促してきて。

 仕方ないなと言いながら立ち上がれば、そのままフクキタルに腕を引かれる羽目に。

 流石に全力ではないまでも、それでもついて行くのがやっとの速度で走られれば、目的のカフェに辿り着くころには汗だくで、息が上がり。

 しばらくは絶対に動かないと決意させるくらいには、疲労が蓄えられてしまったのだった。

 

 

「う~ん……どちらにしましょうか?」

 

 カフェに来て、メニューを見ながら悩んでいるフクキタル。

 どうやら、二つある期間限定メニューのどちらにするか悩んでいるらしい。

 何があるんだ? と聞いてみると、

 

「大人な苦みと控えめな甘さの調和が売りのダークショコラカプチーノか、飲むパフェと言われているホワイトチョコバナナフラペチーノかで悩んでいるんですよ」

 

 とのこと。

 両方頼んだら? と提案してみると、

 

「流石にそんなには飲めませんよ!? ……そうだ! トレーナーさんはどっちを頼みます? 私はトレーナーさんが頼まなかった方を頼むので、一口ください!」

 

 フクキタルは、そんな事を逆に提案してくる。

 じゃあ、そうしようか、と答え、書類仕事続きで疲れた脳に糖分を補給すべく、ホワイトチョコバナナフラペチーノを注文。

 フクキタルがダークショコラカプチーノを注文し、席について一口。

 ――あっまい。

 飲むパフェとかいう二つ名に偽りなしのその味に感心していると、

 

「トレーナーさぁん……」

 

 震える声で俺の事を呼ぶフクキタルが。

 何かあったのか? と声をかけると、

 

「これすっごく苦いです~~」

 

 と半泣きになりながらダークショコラカプチーノを差し出してきて。

 交換するか? と俺のドリンクを差し出すと、一気にストローで吸いあげる。

 

「っあ~っ!! 美味しいです! 私こっちにすれば良かったです~!!」

 

 なんて言うもんだから、思わずドリンクの交換を申し出た。

 すると、

 

「いいんですか!?」

 

 と立ち上がり、俺の顔を覗き込んで。

 別に構わないけど、と返すと、

 

「ありがとうございます!! トレーナーさん!!」

 

 とこれまた大きな声でお礼を言った後、上機嫌にドリンクを飲み始める。

 まぁ、そんなに喜んでくれるなら良かったかな、なんて考えながら、俺はフクキタルと交換したドリンクを一口。

 ……うん、まぁ苦いは苦いけど、そこまで騒ぐほどの苦さじゃない。

 例えるならカカオ80%くらいのチョコレートみたいな感じ。

 ただ一気に飲めるというわけでもないので、カフェに連れて来られた時の疲労を回復しつつ、ゆっくりとドリンクを味わわせてもらった。

 

 

 ドリンクを飲み終わり、これからどうする? なんて話をすると、

 

「行きたいところがあるので付き合って貰っていいですか?」

 

 と言われ。

 別に断る理由も無いのでOKすると、

 

「ここです!!」

 

 連れられたのは……パワーストーンを売っているお店。

 曰く、

 

「私、色んな開運グッズを買ってきまして、そしてとうとう、パワーストーンにも手を出してみようかと!!」

 

 との事らしい。

 正直、フクキタルが集めている開運グッズが相乗効果どころか相殺してるんじゃないかとさえ思っているが、それでもまだまだ増やす気らしい。

 まぁ、本人がそれでいいと信じているなら止める理由も無いし、お店の中を見てみることに。

 

「トレーナーさん! これとか奇麗じゃないですか!?」

「あ、こっちは可愛らしいブレスレットもありますよ!?」

 

 と、店内でせわしなく見て回るフクキタルに、ふと、一つ思いついたことが。

 それは、

 

「え!? 年度代表ウマ娘に選ばれたお祝いに一つプレゼント!? いいんですか!?」

 

 そう、マチカネフクキタルへのプレゼント。

 なんでもいいよ、と言うと、

 

「ではでは! ……あ、これなんて――」

 

 最初に指差したのは店に飾ってある400㎏のアメジストの原石。

 流石にこれには無言のアイアンクロー。

 物には限度というものがある。

 

「じゃあ、これで……」

 

 調子に乗り過ぎたと少ししおらしくなったフクキタルから渡されたのは、ピンクと水色、二種類のパワーストーンが用いられたブレスレット。

 それでいいのか? と確認すると、

 

「はい! これが欲しいです!」

 

 との事なので、約束通りに買ってあげて。

 店員さんから受け取った包みを、大事そうに抱えて歩くフクキタル。

 表情は満面の笑みである。

 付けないの? と聞いてみると、

 

「ちゃんと付けますよ? トレーナーさんの家で」

 

 なんて言いだして。

 どういうことかと聞いてみれば、

 

「え? 私外泊届出してますよ? 言ってませんでした?」

 

 なんて言ってくる。

 聞いて無いし、そもそも担当ウマ娘を泊めるつもりもない事を伝え、ちゃんと寮へと送っていった。

 別れる際に、

 

「まだ効果はありませんか」

 

 なんて言っていたが、果たして何の事だったのだろうか。




ピンクのパワーストーン=ピンクトルマリン(恋愛運強化)
水色のパワーストーン=ターコイズ(絆を深める)


次回予告
デカ耳でキスが長そうな庇護欲そそる黒い刺客
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