担当ウマ娘をこれでもかと甘やかす(イチャイチャする)話   作:瀧音静

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ライスシャワー

「あ、あのね……お兄さま」

 

 トゥインクルシリーズを三年間走り切り、年度代表ウマ娘に選出された、担当ウマ娘『ライスシャワー』。

 それは非常に喜ばしい事なのだが、それは世間に注目されるという事であり。

 結果として、様々な仕事の依頼やインタビューの依頼が殺到。

 それらを精査し、さらには年末の業務もこなさねばならないという激務の中。

 声をかけていいのか躊躇いながらも、控えめに俺の事を呼んでくる存在が一つ。

 当然ライスシャワーであり、どうした? と応えると。

 

「えっと……あ、甘えさせて欲しいな……なんて――」

 

 扉に体を半分隠すようにし、さらには俺にギリギリ聞こえるかどうか位の声量でそう告げたライスシャワーは。

 言い終わるなり恥ずかしくなったのか完全に扉に姿を隠してしまい。

 けれど、耳だけは扉から覗かせ、俺の声を拾えるようにはしているようだ。

 だから、いいよ。何をして欲しいの? と聞いてみると、

 

「ほんとっ!?」

 

 と、先程までの不安そうな表情はどこへやら。

 眩しい程の笑顔で俺の元へと走ってきたライスは、

 

「じゃ、じゃあ……お兄さまの手料理が食べたいなって」

 

 正直に、自分がして欲しい事を伝えてくるのだった。

 

 

 にしても料理とは。

 ライスの方が俺よりも何倍も料理が上手いだろうにと、ホットケーキミックスをかき混ぜながら言ってみる。

 

「違うの。そういうのじゃなくて……あ、ホットケーキは、ヘラでさっくり混ぜるだけで大丈夫だよ」

 

 ライスに見守られ、時にはアドバイスを貰いながら。

 俺にでも形になりそうな料理――なはずのホットケーキ。

 これを、お皿にこれでもかと何段も重ね。

 シロップにバター。さらにはバニラアイスとミントをトッピングした、絵本に出て来そうなパンケーキタワーを作成。

 こんな感じでいいの? と尋ねると、

 

「うん! あ、次のはアイスじゃなくてベリーとクリームがいいかな」

 

 まだ食べ始めてすらいないのに次のパンケーキタワーの注文を頂いた。

 それじゃあ食べてる間に作っちゃうね、と声をかけ。

 

「ライスは美味しく食べてるね」

 

 という声と、元気ないただきますという声を背中に受けながら。

 俺は次なるパンケーキタワーに挑むのだった。

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 結局ライスはパンケーキタワーを三つほど平らげ、満足したらしく手を合わせてご馳走様。

 お粗末様でした、なんて返し、顔を見合わせて笑っていると、ライスの口元にシロップが付いているのを発見。

 動かないで、と声をかけ、タオルでシロップを拭ってやると。

 

「あ……ごめんなさい」

 

 と、顔を赤らめ、耳を忙しく動かし。

 尻尾を揺らしながらそんな事を。

 それだけ美味しかったんだね、なんて言ってやれば、

 

「お兄さまの手料理だから、どんなものより美味しかったな」

 

 だとさ。

 流石にライスの手料理には負けるぞ? なんて言ってやると、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 そんな状態でも耳が動いているのを見て、ふと、思い出したものがある。

 そういえば、なんて言ってそれを取り出すと。

 

「? それは何?」

 

 とライスも興味を示した。

 それは……、

 

「お耳用のブラシ?」

 

 ウマ娘用のお耳手入れ用ブラシ。

 ちなみに手に収まる様なサイズ感のソレは、細く柔らかい毛が耳に付着したゴミやほこり、汚れを吸着して取り除くというアイテムであり。

 色々と調べものをしている時にたまたま目にしたものだった。

 そこまで値が張るものでもないし、試してみようと買ったはいいものの、ここ最近忙し過ぎて存在を忘れていたのだ。

 ライスに試していいか? と聞いてみると、

 

「い、痛かったらすぐやめてね?」

 

 との事なので、約束をして試してみる。

 まずはライスを膝の上に乗せ、向かい合い。

 身長の関係で丁度目線の高さにライスの耳が来る。

 その耳にそっと手を添え、ゆっくり耳にブラシを当てると、

 

「ひゃうっ!」

 

 ライスが跳ねた。

 驚き手とブラシを離し、痛かったかと尋ねるも、

 

「だ、大丈夫……だから」

 

 との事なので続きを……。

 またブラシを当てたら今度は跳ねなかったが尻尾がピーンと伸び。

 でも止めてほしそうにはないのでそのままブラシを動かす。

 ゆっくり、力を込め過ぎないように、一回、二回。

 耳を動かして逃がそうとするライスの耳を追いかけながら、三回、四回。

 毛並みに逆らわないように、五回、六回。

 そうして丁寧にブラッシングしてやると、謳い文句通り、ブラシには無数の埃やゴミが付着していて。

 それをタオルでサッと拭き取り、今までとは反対の耳もブラッシング。

 途中から急に静かになったな、なんて思って確認してみると。

 

「すぅ……。スゥ……」

 

 と、俺にしがみついたまま寝てしまっていた。

 それだけ心地よかったのかな、なんて思いつつ、しっかりと耳へのブラッシングを行って。

 そのままライスが目を覚ますまで、ゆっくりと背中を撫でてやるのだった。




耳をブラシで擦られてやべー顔する馬の動画ほんと好き


次回予告
闘魂注入されて鞭が飛んだばぁば
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