ULTRAMAN‪✕‬ストラトス   作:ディンジラ

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またしても大変お待たせしてしまいました第2話です。
今回ついに進一郎の専用機が登場します。あとがきのほうに僅かながら機体の概要等を書こうと思っていますので良ければそちらもご覧ください。
それでは本編をどうぞ。


2話 呼び覚ます光

 

「私がウルトラマンだ。」

 

 

父さんがそう言い羽織っていたコートを脱ぐ。その下には奴がさっき着ていたものと比べて更に元のウルトラマンと見た目は近いが、色が黒のパワードスーツのようなものを身にまとっていた。当然俺は驚いたが姉さんはどこか辛そうな顔をして父さんを見ていた。

 

「父さんがウルトラマンって、そんなまさか…」

???「進一郎君、千冬君さあ急ぐんだ!」

そうつぶやいたと同時に父さんが言っていたであろうヘリがアリーナの上空に来ていた。そのヘリから声が聞こえると姉さんは俺を打鉄で抱えヘリに向かって飛び、着いたと同時にISを解除していた、どうやらエネルギーが尽きたようだった。

 

ヘリの中には様々な専門機器などやモニターがあり絶えず情報が飛び交っていた、それらを中にいたオペレーターが絶えず確認していた。そして先ほど呼び掛けてきた人が俺たちのほうに寄ってきた。その人は俺たちが幼いころから知っていた人物だった。

井手「久しぶりだね進一郎君、千冬君。」

「「井手さん!?」」

その人の名前は「井手光弘(いでみつひろ)」さん俺たちは井出さんと呼んでいた人だ。俺たち家族はもちろんだが、幼なじみの箒の家族もお世話になった人で、かつて俺の父さんと共に科学特捜隊に所属しそこの科学者として腕を奮っていたと本人と父さんから聞いていた。俺は井出さんが父さんの言っていたヘリに乗っていることから今の状況についても何かを知っていると思い聞いてみることにした。

 

「井手さん、一体今何が起こっているんですか?それに父さんがウルトラマンって一体どういう事なんですか?」

井手「わかった。その事も含め全てを話そう。2人ともこっちに来てくれ、そこで話す。」

 

井手さんに連れられ来た部屋は簡単な応接室のような部屋だった。そこには机と3つの椅子が簡易的に用意されており、姉さんが俺の隣に座る形で椅子に机を挟んで座った。しばらくしてから井出さんはゆっくりと口を開け話をしだした。

 

井手「まず、今から話すことはかなりの重要機密だ。決して外には漏らさないと約束しておくれ。あれは今から30年ほど前のことだ。ウルトラマンのことは当然君も知っているね。彼が最後の戦いでゼットンに敗れた後地球に帰って行く際にあることをしていった。それは自らと一心同体となっていたある1人の地球人と分離し、それまでウルトラマンとして活動していた記憶を消去することだった。その分離した地球人が君のお父さん、早田なんだ。驚くのも無理はないと思う、僕だって最初は驚いたからね。だが、大事なのはここからなんだよ進一郎君。実は君の持っている常人を遥かに超えた能力の数々。それは早田、もっと言うならばウルトラマンが関係しているんだ。

ウルトラマンは早田と分離する際に偶然なのか、それとも意図してなのかは分からないが彼の力の一部といえるものを早田に残していったんだ。僕達はそれを「光の因子」と呼び、早田の協力を得て研究している。それを君が今受け継いでいるというわけなんだ、進一郎君。」

ここまでを聞いてから俺が1つ疑問に思っていた事を井出さんに投げかけた。

 

「あの、井出さんそれじゃあ俺がISを男なのに動かせることともその光の因子でしたっけ、それと何か関係があるってことですか?」

それは俺が男であるにも関わらずISを動かすことができた理由だ。ISは女性のみが動かすことができるのが常識の世界で、なぜ動かせたのか。井出さんの話を聞いていて俺はその理由を光の因子とやらに見出していた。

井手「うーむ、今の段階ではまだなんとも言えないねぇ。一夏君が動かせる理由もまだ解明されていないからね…すまないね進一郎君。」

井出さんの答えはぼかしたような答えで俺の考えを確信に至らせるには足りなかった。とりあえず回答を聞けたので話の続きをお願いした。

「そう、ですか分かりました。続きをお願いします。」

 

井手「次に君を襲ったアイツの事だが、正直に言うと僕らもまだその全てを特定しきれてはいないんだ。ただ、アイツが現れたのはISが世に知れ渡る「白騎士事件」の約5年前、ある旅客機の墜落事故の際なんだ。」

千冬「その墜落事故はエンジントラブルによるものと公には報道されていましたが、真実は違うもの、ということですか井出さん。」

千冬姉さんに質問を投げかけられた井出さんは部屋にあったノートパソコンをこちらに持ってきてからある映像を俺たちに見せてきた。

 

井手「これがその証拠だ。今映っているのがニュース等で放送された映像だ。だが、これは改竄をなされ放送されているんだ。これがその改竄前の映像だ。」

井手さんの見せた映像を見て俺も姉さんも驚愕した。そこには俺たちを襲った奴が墜落する旅客機の影から現れる映像が映っていた。つまりは井出さんの話が真実ということだ。

 

井手「これで僕の話が本当だと信じて貰えたかな?では続きを。今の映像を見てアイツの存在を認識した僕達は早田にその存在を伝えた。目的が君たち親子である可能性が高いということも含めてね。そうすると早田は奴を倒すために自分の力を使うことを決めたんだ。きっと進一郎君や千冬君たち自分の子供たちが狙われても大丈夫なようにするためにそう考えたんだと僕は思うね。ともかく、早田の決意を聞いた僕は彼の能力を最大限まで引き出しアイツと同等以上の力を持つ兵器を開発することにしたんだ。その兵器が早田の着ていたあのスーツなんだよ。あとあのスーツにはISのようなコアが搭載されているからISのプロトタイプとも言えるかもしれないね。」

井出さんはサラッととんでもない事実を公表し俺は思わず聞き返してしまった。

 

「ISのプロトタイプって、あのスーツがですか!?じゃあISを作ったのは実質井出さんってことになるんじゃ…」

井手「あぁ、いや僕はあれを最初から兵器として作ったのであって、束君のISとはまた少し違うものだよ。彼女の作ったISは元は宇宙開発用に開発されたものだからね。あのスーツとはコンセプトから違うんだ。彼女は小さい時から宇宙に憧れを持っていたからね…それを実現した彼女は僕以上の才能の持ち主だよ。余談はここまでにしてまた話の続きを――」

井手さんが続きを話そうとした時、モニターがあったほうから警戒音のようなものが聞こえた。俺たち3人は急いで先ほどの部屋に戻った。

 

井手「いったい何があったんだい!もしかして早田に何かあったのか!?」

オペレーター「プロトスーツの全システムおよびエネルギーが戦闘によるダメージで著しく低下しています!今の状態はほとんど生身で戦っているのと変わりない状況です!このままでは危険です!」

オペレーターからの報告を聞いた井出さんは苦虫を嚙み潰したような顔になり、千冬姉さんは辛そうな表情をし、報告を聞いていた。

 

「そんな!それじゃあ父さんは…何とかならないんですか!?井出さん!!」

井手「僕もできるなら助けたい、だが今は君たちの身の安全のほうを優先すべきなんだ。早田に自分よりも君たちを優先してほしいとここに来る前に頼まれているんだ。それに君もすでに理解しているだろう?このままではアイツに勝つことはできないと。」

「だからって父さんをこのまま置き去りなんて出来ないですよ!それにこの学園にはまだ大勢の人がいるじゃないですか!その人達はどうするんですか!……クッソっ!家族や大勢の人が危ない時に何も出来ないのかよ俺は!この力を持っていてもこれじゃ何の意味もないじゃないか!誰も守ることのできない力なんて…」

俺はヘリの床に手を叩きつけた。肝心な時に何も出来ない自分にも、力を持っていながらもそれを使うことの出来ない悔しさに、腹が立っての行動だった。姉さんはその間唇を噛み状況を理解ができているゆえの歯がゆさを感じているようだった。

 

井手「……進一郎君。もし、もしも奴に勝つことの出来る方法があったとするなら君はどうする?」

「え……?」

井手「アイツに勝てる方法があるとするなら君はどうする、進一郎君!」

「決まってる!アイツをぶっ飛ばして父さんを、この学園の人全員を助ける!」

俺の覚悟を聞いた井出さんは静かに笑いながら言葉を掛けて来た。姉さんは黙ってその言葉を聞いていた。

 

井手「分かった。2人ともこちらに着いて来てくれ、見せたい物がある。」

井手さんはそう言い俺達を先程の部屋より更に先にある格納庫のような場所に連れてきた。そこには布を被った何かが真ん中に置かれていた。

 

「井手さん。見せたいものってこれですか?これが奴に勝つことのできる方法なんですか?」

井手「そうだ。これは早田が今着ているスーツの完成系と言えるもので早田が着ていたものよりもはるかに性能が向上している上にコアもプロトタイプより完成されていて、言うなればウルトラマン型のISなんだ。ただこのスーツにもISのようなロックがあって、早田のはこれのプロトタイプでロックを外した代わりにかなり性能を抑え今の早田でも使用できるようにしていたんだ。でも、僕はこれをいつか使う日が来ると思っていつでも使えるようにメンテナンスは欠かさず行っていたんだ。」

井出さんがそう言って布を取るとそこには父さんの着ていたものと似ているが、銀色を主体とし、赤色が差し色のように一部に加えられた言うなれば機械仕掛けのウルトラマンようなスーツがあった。

 

井手「僕はね進一郎君。君の能力は既に早田を超える程の物だと思っている。アイツの攻撃を受けても多少のかすり傷と打撲で済んでいるのが1つの根拠だ。このスーツを使いこなすことができればきっとあいつを倒すことができるはずだ。進一郎君、もしこれを使えばもう後戻りは出来ない。君のこれからの運命を決定づけてしまうだろう、それでもこれを使うかい?」

井出さんが俺に意志の確認をしてくる。その言葉を聞いた俺には迷いは既になかった。

「俺、やります。井出さんが用意してくれたこのスーツで必ず勝ってみせます!それが俺の運命なら!」

井手「…そうか、なら僕から言う事はもう何も無い、君を信じよう。早速セッティングを行おう。まずはこいつを一度君が装着できる状態にするから少し待っていてくれ。」

そう言うと井出さんはスーツ近くの端末に触れ操作を始めた。姉さんはその間ずっと腕を組み静かに目を閉じていた。

 

─────

時は遡りアリーナ内

 

???「早田進、なんのつもりだ。今更君が出てきたところでどうすることもできまい。それとも着ているそれがどうかしてくれるとでも言うつもりかね?

早田「さあどうだろうか。少なくとも私はここで貴様とのケリをつけるつもりで出てきた。私の子供達を狙うならば、まず私をこの場で倒してからにするんだな。」

???「子供達だと?ふっ、笑わせる。君は彼女が何者か知った上でそんな事を言っているのか?早田進。

早田「当たり前だ。どんな形であれあの子達は私の大切な子供だ。それよりもやはり貴様をその事を知っていたか。ならば尚更この場で逃がす訳には行かんな!」

その言葉のあと私と奴はお互いに距離を詰め両手を掴み合う本来ならば私は奴と組み合う事など到底不可能だが、このスーツのおかげで互角以上の身体能力を発揮できている。

 

???「ほう、それにはスペシウムが用いられているようだな。地球人の生み出した確かISと言ったか、それらと似た技術というわけか。

早田「そういう事だ。貴様とケリをつけると言った私の言葉があながち嘘とも言えんだろう。」

???「だが不完全なようだな。現に今こうして私と組み合ったまま動けないのがその証拠だ。

奴は手を組み合ったまま私ごと腕を振り上げそのまま腕を振り下ろし私を投げ飛ばした。何とか受け身を取り体制を整える。頭を上げ奴を見るとこちらに向け手の平を向け光弾のようなものを放とうとする姿が見えた。そのまま左に何とか回転し回避するが奴は続けて光弾を放ち続けて来る。それを私は走りながら回避するが、一撃がヒットしてしまい体勢を崩してしまう。

 

早田「ぐっ!」

???「やはり歳には勝てんな早田進。

奴は体勢の崩れた私に対して続けて光弾を放ち続ける。それを私は何とか腕を交差し防御しようとするが、このスーツにはISのようなシールド等はなくあくまで私のスーツの装甲自身で受けるしかない状態だ。交差した手を払い地面を蹴り一気に相手との距離を詰めチョップを行うが、奴には軽く躱されてしまった。私の目の前に危険を知らせる表示が浮かぶ。どうやら装甲の損傷が激しくこれ以上は耐えられないようだ。その上システムにも損害が出ているようだ。今の私の体は進一郎とは異なり彼の因子は殆ど残ってはいない。それ故私の身体自体は普通の人間と殆ど変わりがない。このまま戦い続ければ私には死が待っているだろう。だが、私は子供たちを助けると決めここに来た、ならば。

 

「私の命を捨ててでも貴様を子供達に近付けさせはせん!!」

再び私に対する光弾をどうにか腕で防御しつつ奴に走る。やつが防御の体制を取らないのが気がかりだがそのまま最後の力を込めた攻撃を行う

早田「うぉぉぉぉ!」

走り込んだ勢いのまま奴の顔面に拳を叩き込む。

 

???「シェェア!」.

しかしその拳は届くことはなく奴の貫手が私の腹部を貫いた。

 

早田「ブハッ!はぁはぁ…」

吐血すると同時に全身から力が抜けるのを感じる。

そして奴は私にトドメを刺そうと手の平を私に向けているのが見えた。

 

早田(すまない、明子。約束を果たす事が出来なかった。本当にすまな…)

 

ヤメロォォォォ!!

 

その声が聞こえると同時に私の前に誰かが降り立って来た。そこに立っていたのは…

 

早田「進一郎!」

 

─────

時間は戻りヘリ内

 

井出さんが端末での操作を終えると同時にスーツの前面が開き中に人間1人が入る事のできそうなスペースができた。これが井出さんの言う待機状態というやつなのか。

 

井出「さあ、進一郎君早速装着してみてくれないか。使用するのは君の状態とこれをリンクさせる作業が必要なんだ。」

「分かりました。このスペースに俺が入ればいいってことですよね?」

井出「そうだ。そこに入れば自動的にスーツが君の体に装着されていくはずだ。」

俺がスーツのスペースに入っていくと同時に前面が閉じ俺の頭にさっき見たメットが装着される。その瞬間俺の体に鋭い電流のようなものが走った感覚があった。

 

「あの、井手さん今なんか電流?みたいなのが流れた感覚があったんですけどそれは一体…」

井出「そうか。それはスーツと君が共鳴している証拠さ。君の中に眠るウルトラマンの因子がスーツを装着した事により活性化されているんだ。そのまま少し待っていてくれ、すぐに初期移行を行う。」

俺は井出さんに言われた通りにそのまま待っていた。その間メットの中には色々な情報が現れては消え、現れては消えを繰り返していた。やがて飛び交う情報が消えると同時に俺の目の前に次のような表示が現れた。

 

accessed suits

user pass :早田 進一郎

protect unlock

 

その表示が消えると俺の目の前はさっきの格納庫が広がっていた。どうやら全ての設定が完了したみたいだ。

 

井出「無事成功したようだね。今の気分はどうだい進一郎君?何か体に異常はないかい?」

「はい、特にないみたいです。」

井出「わかった、一度スーツを解除しよう。頭の中で今着ているそれが消えるイメージをしてごらん。」

「分かりました、やってみます。」

言われた通りにイメージすると、体から何かが外れていく感じがした後俺の右手の平に懐中電灯に近いような形のものが置かれていた。

 

「あの、井出さんこれは?」

井出「それがスーツの待機状態さ、僕達は早田から聞いた情報に因んで

「ベータカプセル」と呼んでいるよ。ISと違ってまだ量子化技術を完全に活かすことができていないからそのようなカプセル型の端末に収容してあるんだ。スーツを起動するには真ん中の赤いボタンを押すんだ。まだ説明し足りないが時間がない。行こう、進一郎君」

「はい!」

井出さんが格納庫を出たのを見て俺も後を追おとしたその時それまで腕を組み黙っていた姉さんから声をかけられた。

 

千冬「待て、進一郎。」

「何、姉さん。」

千冬「正直お前に言いたい事は山ほどある。だが、今はそれはいい。ただ一つだけ家族としてお前に言う。死ぬな進一郎、生きて必ず帰ってこい。」

その言葉に俺は静かに頷き井出さんの後を急いで追った。

 

井出さんの後を追い最初にヘリに乗った場所に着くと俺達が通った扉が開けられていた。井出さんは俺の方を見ると一言「早田を頼む」とだけ言った。その扉の前に立ちアリーナの方に向かって飛び降りると今まさにさっきのアイツが父さんに対して姉さんにやったように光弾を向けている状況が目に入った。

 

『ヤメロォォォォ!!』

俺は叫びつつ丁度父さんの前に砂埃を上げつつ降着した。

 

───────

 

アリーナに降りた俺はすぐ様父さんの方を向き安否を確認する。

「父さん!大丈夫か!?」

早田「進一郎、なぜ戻ってきた!私はお前達にこの場から離れろと言っただろう!私はいいから早く戻るんだ!」

「そんな訳にはいかない、俺は父さんを助ける為に戻ってきたんだ。井出さんに頼んでね。」

早田「井出に頼んで…まさか!お前!」

父さんと話していると奴がこちらの事を確認したようで言葉を投げかけて来る。

???「ン?誰かと思えば君か、何をしに来た?父親が我が身を盾にして逃した命をみすみす捨てに来たのか?

その言葉に対して俺は奴を睨みつつ言葉を返した。

 

「違う、お前をぶちのめしに来た!」

 

???「ぶちのめすだと?君が私をか?幾ら君の能力が多少は優れているとは言え、私との力の差ははっきりと分かっているだろう。

声色にこそ現れていないが奴は自信ありげに俺にそう言ってきた。奴の言うことは正しいと思う。あの姉さんや父さんも倒した奴だ。けど俺を信じてくれた井出さんや姉さん、そしてここにいる父さんを助けるためにも俺は負けられない。改めてそう決意を固める。

 

俺は制服の内ポケットに仕舞ってあったベータカプセルを右手に持ち空に掲げ、左手は肩より少し上の辺りに持っていき赤いボタンを押した。

その瞬間聞いた事が無いような音が聞こえベータカプセルが量子化し俺の全身に赤と銀色の装甲が装着されていき、最後に頭にメットが装着された。その瞬間また全身に電流が小さく走る、だが今度はさっきと違い電流が走ると同時に全身に力が漲る感覚があった。これが井出さんの言ってた能力を引き出すということなのかもしれない。俺は父さんを一景した後奴の方を向く。奴はただ静かにこちらを見つめていたが俺が奴の方を向くと言葉を投げかけて来た。

 

???「なんだねその格好は。まさか彼の真似事でもしようというのかね。

「さっきも言っただろう!お前をぶちのめすって!」

俺は両腕のアタッチメントから武装である「スペシウムブレード」を展開する。そして足に力を込め地面を蹴り飛び上がる。感覚はいつもやっているように飛び上がっただけだったがその飛距離は比べ物にならないほどだった。そのままの勢いで腕に展開したブレードで奴に対して斬り掛かった。

 

「だあああ!」

 

その攻撃を奴は後方に下がり避ける。避けられた後のアリーナの地面はブレードによって大きく裂けている。

 

???「スペシウムを使った兵器、か。存外厄介な代物のようだな。

奴は攻撃を冷静に分析している。そのまま俺は地面を蹴り奴に一気に詰め寄り再び腕を振りブレードを振るう。

 

「でやあああ!」

???「チッ!

ブレードは奴の顔の辺りを掠ったらしく、装甲に傷が入っていた。

そのまま俺は体を前転してかかと落としの要領で奴に再度追撃をする。その攻撃を奴はマトモに受けたようで奴の上半身を地面に叩きつけることができた。しかし、奴は体を飛び上がらせ直ぐに上体を起こした。

 

???「急ごしらえの品とはいえこの装甲に傷をつけ、その後に追撃を行うとは。そのスーツか、はたまた君のセンスや能力によるものか。それは定かでは無いが中々できるようだ。

「まだまだこんなもんじゃねえよ!」

奴が手の平をこちらに向けあの光弾を俺に向け放とうとしてくる。それを俺は両腕を交差させガードしつつ前進する構えをとった。しかし今度のものは光弾ではなく光線というような代物でこちらに継続的に放ってきた。だが、腕のスペシウムブレードが光線を切り裂くような形でガードできており、そのまま上に飛び上がり光線を避け奴に拳を叩き込んだ。

 

「今のはさっき届かなかった父さんの拳だ!」

再び攻撃をマトモに受けた奴はそのまま後方にあるアリーナの壁に激突した。

 

_______

 

同時刻ヘリ内

 

その状況はあまりにも信じ難いものだった。ISの稼働時間は僅かだというのに私も敗れた程の相手と互角以上に渡り合っている進一郎の姿が目の前のモニターにはっきりと映されていた。隣で同じ状況を見ていた井出さんが不意に言葉を漏らす。

 

井出「凄まじいな、全てが予想以上だ。」

オペレーター「ええ、プロトタイプとは段違いの性能を誇っていますよ!」

井出「いや違うそっちじゃない。進一郎君の能力のほうさ。ISを動かして僅かばかりだろうにそのISと同等以上のあれをまるで以前から着ていたように自由に操っている。全く凄いよ彼は。」

千冬「やはり、井手さんもそう思いますか。話には聞いていましたが、実際目の当たりにすると驚かされるばかりです。自分の弟の成長に。」

井出「成長か…確かにそうだね。頑張ってくれよ!進一郎君。」

千冬(頑張れ進一郎。)

私も井出さんと同じく心の中で進一郎を鼓舞した。

 

_____

 

しばらく奴は壁にめり込んでいたが地面に叩きつけられた時のように体を跳ねあげ上体を安定させた。直ぐに俺は右手の平を広げ前に、左手の平を広げ胸元に置きかつてのウルトラマンと同じファイテングポーズを構えた。

 

???「まだ彼の真似事を続ける気か。それが真似の範疇で収まるならいいのだがな。

奴はそのままこちらに対し突撃してくる。それを俺は真正面から受け止め、そのまま上空に飛び上がる。俺は腕を振るいブレードを使ったり蹴りを織り交ぜつつ奴にダメージを与えようとし、奴も姉さんや父さんにしていたように突きや蹴りを繰り出し格闘戦が始まる。

 

???「はっ!

「うおっ!」

奴が離脱に放った光弾を咄嗟に回避する。すると奴は俺の下に一瞬で移動し俺の足を掴み地面に向け振り下ろした。

 

俺は両腕を地面にむけ伸ばし受身を取り前転し奴に目線を移し、足に力を込め再度飛び上がり右腕のブレードを振りつつ奴に向かう。それを見た奴は再度光線を放ってくる。俺は光線を避け奴の後ろ側に回り込み両腕で頭を掴み両足を丸め奴の背中を思い切り地面に向け蹴った。奴は暫くは地面に急速に落下していたが追突する寸前でふわりと飛行し回避していた。奴の後を追い俺は地面におりもう一度構える。しかし、思っていたよりエネルギーを消費していたようでエネルギーの残量が残り少ないことが目の前に表示される。どうやら飛行している間にもエネルギーをかなり消費しているようだ。だが、消費されているのはエネルギーだけじゃない。

 

「はあ、はあ、はあ、あんた、どれだけタフなんだよ!こっちはもう結構バテてるのに。」

今コイツをほぼ感覚で動かしているから自分が思っていたよりも疲労が溜まってきていたようで俺自身もかなり消耗されていたのだ。奴は空中でしばらくこちらを見下ろしていたが何かを決めたかのように言葉を発した。

 

???「………やはり君のその力はあまりに危険だ。そのスーツ諸共ここで消さねばなるまい。はああああ!

奴はそう言うと右腕を空に掲げ手の平に赤い光球を作り始めた。それは次第に大きくなっていきやがてアリーナの上空を赤く染める程になった。危険を知らせる表示が浮かぶ。その内容を見て俺は驚いた。それはここら一帯を完全に吹き飛ばすことが可能だという内容だった。

 

「嘘だろ…ここら一帯を完全に更地にできるほどの威力なんて…つまりアイツはここごと俺を消そうとしてるってことかよ!?」

俺が考えを巡らせている時通信が入り千冬姉さんの声が聞こえてきた。

 

千冬[進一郎!今すぐ父さんを連れてヘリに戻れ!これ以上はあまりに危険だ!]

「戻れって、じゃあアレはどうする気だよ!このまま放っておいたら一夏や箒、学校にいる人達が──」

千冬[そちらは教師部隊がなんとかする!今は自分の命を考えるんだ!]

「それじゃあ間に合わない!俺がなんとかする!」

千冬[馬鹿者!何とかするなどと最早言える状況では無い!いいから私の言う事を聞け!]

「そんな、どうすれば…」

井手[進一郎君!]

「井出さん!?」

井手[時間がないから手短に伝える!左手首のコネクタと右手首の制御ユニットを接続して十字に交差するんだ!]

「左手首のコネクタと右手首の制御ユニットを接続して交差…ってこれもしかして!」

井手[ああ、その通りだよ進一郎君。

 

スペシウム光線だ

 

放つタイミングは奴が光球を放ち一直線に並ぶ瞬間だ。計算だと光球のコアを貫けば空中で爆発し周りに対する影響は小規模で済むはずだ。だが、もし失敗すればそのままエネルギーが爆発しその周り一体が吹き飛んでしまうだろう。]

「分かりました。必ず当ててみせます!」

井手[うん。君に賭けるといったからね最後まで信じよう。]

俺はセンサーを使いつつ照準を合わせる。

 

(狙う一瞬は発射後数秒、必ず成功させて見せる!)

俺がそう考えている間にも巨大化していた光球が止まった。どうやら放つ準備が整ったらしい。

 

???「オオオオオオ!

さらばだ。シェア!

奴が光球をこちらに向け放ってきた。徐々にこちらに光球が近づいてくる。センサーのトリガーが合う瞬間まで待つ。手の震えが起き、動機が早くなっていく。それでも俺は逃げない、父さんや皆を守るために。その瞬間トリガーの照準が合う。

 

「今だ!当たれええええ!」

その瞬間十字の左手を下げ、右手から光線を放つ。その光線と光球が鍔ぜり合い両足で全力で踏ん張る。それでも徐々に後方に体が下がっていく。

 

「グッ!うおおおお!」

(俺の力が足りていないのか!?このままじゃ競り負ける!)

「畜生!押し負ける!」

???「……諦めろ、何をしてもそれは破壊できない。君の負けだ。

 

(負ける?俺が負けたらどうなるんだ?父さんや姉さんそれに井手さんや学園の皆は?あの球はこの場所一帯を吹き飛ばせるんだ。もしあれがそのまま地面に落ちたら皆は…だったら!)

「負けられかよ!うおおおおああああ!」

???「!?

「くらええええ!!!」

最後の力を振り絞ると光球を貫きそのまま光線が奴の右半身辺りに直撃した。その瞬間光球が空中で爆発し、アリーナ内が凄まじい轟音と共に土煙に包まれた。

 

 

────────

 

同時刻ヘリ内

 

井手「一体どうなったんだ!?進一郎君は!?奴は!?」

オペレーター「映像を確認していますが今の爆発の影響によるものか映像が映らず未だ状況は分かりません!」

千冬「バイタルなどは!?」

オペレーター「解析を試みましたがそれらもスーツからは情報が確認できない状態のようです!」

千冬「くそっ!」

井手「映像はまだ復旧できそうにないかい?」

オペレーター「それは…あっ!たった今復旧しました!直ぐにモニターに写します!」

井手「頼む!」

僕と千冬君はモニターの映像をしっかりと確認する。初めは爆発によるものか土煙が辺りを覆っていたが、それらが晴れ次第にアリーナの状況が見えてくる。そこには肩で息をする進一郎君と奴の姿があった。

 

 

────────

 

「はあ、はあ。勝ったのか…?俺。」

ボロボロの今の俺に絞り出せた言葉はそれだった。自分が勝ったのかという疑問、ただそれだけだった。だが、その疑問の答えは直ぐに出た。

 

???「…まさかこれ程とは予想を遥かに上回る速度の成長だ。

「!?嘘だろ…」

その声の先には光球を放った右腕と更にその近くにある顔が破損した状態の奴が先程と同じ場所に浮かんでいた。

 

「体が半身吹き飛んでも生きてるって、マジで何者なんだよ。」

???「本来ならば君を今すぐにでも消し去りたい所だが、どうやら私の今の体ではこれ以上の続行は不可能のようだ。この決着はまたの機会に預けるとしよう。まあ直ぐまた会うことにはなるだろうがな。

「ちょっと…待てよ…お前…自分が何者かすらも語らずに此処を去る気かよ。」

???「何者かか、そうだなこれだけは話しておいてもいいだろう。

私の名は

 

ベムラー

 

始まりの敵であり君の運命だ。覚えておけ、早田進一郎。ではさらば。

奴はそれだけ言い残すとテレポートしたかのようにその場からフッと消え去った。

 

ベムラー…それがアイツの…な…ま…え

俺がそう呟やくと同時に地面が起き上がるような感覚がする。俺が気を失う前に最後に見た光景はヘリがアリーナに着陸しそこから来る姉さんと井手さん、それと何人かの人が父さんを運んでいる状況だった。

 

 




というわけで第2話でした。いかがでしたでしょうか?
またしても2か月近く更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
これからは最低2週間に1話程度は更新していきたいと思いますのでお待ちいただいた皆様よろしくお願いします。

さて、前書きでも書きましたが本話にてついに主人公、進一郎の専用機が登場しました。というわけで機体の概要をここに書かせていただきます。

機体名:ULTRAMAN SUIT(ウルトラマンスーツ)
科特隊所属、井手光弘が開発した戦闘用パワードスーツ。
その名の通りかつて地球に現れたウルトラマンに似せた見た目であり武装等も彼の使用した技がベースのものが多い。
使用するには一般人はもちろん訓練されたIS使用者ですら不可能とされており「光の因子」を持っていることによる身体能力の向上が必須条件とされている。
もとは早田進用に開発がなされていたが、早田本人の使用するには自らの能力が足らないという進言により科特隊本部の格納庫に収蔵されたままになるはずだったが、井手が進一郎の能力に着目していたため早田には何も言わずヘリコプターに乗せてきていたものが進一郎の手に渡った。

今後さらに詳しい機体の設定などを書こうと思っているのでお待ちいただければと思います。
それではまた次回でお会いしましょう。
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