【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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101. しかしキミはいつもそんなことを考えているのかい?

 ワールドLv8で解放された設備の使い勝手の確認の続きだが、次の『エンチャントコスト上限拡張モジュールI』についてはまだ製造することが出来なかった、何故なら材料にラッシュ金貨×1を要求されたからだ。

 このモジュールは『IV』まで存在し、エンチャントコスト上限も+4まで上がるようだった。ただ作り方が『I』を2つ融合させて『II』、『II』を2つ融合させて『III』、『III』を2つ融合させて『IV』となっているため、最終的にラッシュ金貨が8枚必要になるのだった。

 融合させずとも『I』を4つ装着して全部効果を発揮すれば4枚で済みそうなものだが、これが出来るとエンチャントコスト上限を無限に増やせてしまうので恐らくそれは無理だろう。

 ともかくこの『IV』をエンチャントテーブルに装着すれば現在のエンチャントコスト上限17に+4して21。フルレジェンダリエンチャントしてもまだ1ポイント分のスキルを付けられる計算になるので大変有用である。

 トピアはボスラッシュダンジョンを蹂躙する決意を固めた。

 

 次は本命の4つ目、『スキルエンチャンターモジュール』だ。試しに適当な装備にスキルをつけてみたところエンチャントコストの枠を食うだけで無事成功し、自分のスキルポイントが減るようなことも無かった。代わりにスキルレベル1つの付与につきラッシュ銀貨1枚を消費するので頻繁な付け替えはあまりしたくないが。何しろ最大の15枠を誇るスコアの装備セット一式に全部Lv6のスキルを付けたとしたら90枚のラッシュ銀貨が必要なのだ。下1桁が0の階層では報酬がラッシュ金貨になってしまうため、稼げるラッシュ銀貨は10階層につき9枚。つまり90枚稼ぐには99階層までは到達する必要がある。

 他にも1アイテムにつき1種類までしかスキルをつけられない制限があったが、申し分なく有用であり、今後ラリーとスコアの戦力が爆発的に高まることだろう。

 このモジュールは勿論新型のエンチャントテーブル用のものであるが、ものは試しとトピアはレガシーの未完成版エンチャントテーブルに取り付けてみた。

 

トピア「装着自体は出来ましたね。使用可能ポイントが0なので実際にスキルを付けることは出来ませんが」

 

カミール「まああくまで完成版用のモジュールだからね」

 

トピア「でも装着して一応動くということはですよ?」

 

 エンチャントテーブル用のモジュールは3種類ある。『エンチャントコスト上限拡張モジュール』(4段階)、『スキルエンチャンターモジュール』、そしてトンデモアイテムからは外していた『エンチャント対象拡張モジュール』だ。

 ここでトピアは気がついた。未完成版のエンチャントテーブルは武器にしか使えないという唯一にして致命的な難点のためにメインを完成版に譲らざるを得ないが、それを除けばエンチャントコスト上限が無くエンチャントスクロール1枚で全てのレアリティのエンチャントを付与できるなど、他は大体完成版よりも優れているのだ。ならば欠点であるエンチャント対象の狭さをこのモジュールで拡張することが出来ればもう上位互換品ではないかと。

 トピアは早速エンチャント対象拡張モジュールを作ってみた。このモジュールの材料はハイミスリル、エレメンタルダスト、木材だけで、全く勿体ぶった感じが無い。元々それほど大きな役割を期待されていなかったのだろう。

 そしてこれを未完成版エンチャントテーブルに装着してUIを開いてみる。

 

トピア「うーん、こちらでも拡張される対象は素材だけのようですね」

 

カミール「流石にそう旨い話は無いようだね」

 

トピア「いえ、スクロール1枚で レジェンダリエピック のエンチャントを素材に付与できるならめちゃくちゃ役に立ちますよ」

 

 そう言い放ったトピアは、いかにも悪いこと思いついちゃったという顔をしていた。

 

カミール「……どういうことだい?」

 

トピア「まずこの1枚だけ入手出来た 空回りな エンチャントスクロールですが、装備から全部エンチャントを引っぺがしても欠片の合計は8個で、完成版エンチャントテーブルではまだ1回分のエンチャント付与も出来ないわけです」

 

カミール「ふむ?」

 

トピア「これを未完成エンチャントテーブル+エンチャント対象拡張モジュールで原木に付与します。そして残りの原木×4とわら×5でレガシー小麦畑を作る際に『確定付与』を実行すると、見事に 空回りな 補強済みの 小麦畑の出来上がりです」

 

カミール「……その手があったか」

 

 トピアは言葉にした通りの手順で見事にエンチャント畑を完成させていた。

 『確定付与』とはレガシー方式のエンチャント手法で、指定したエンチャントを素材から確実に引き継ぐものである。

 確定付与には制限が二つあり、一つは必ず 補強済みの という耐久度を10上げるだけのエンチャントがついてしまい、1アイテムに実質3枠までしか自由にエンチャントを付けられないことだ。つまり全身装備数が8箇所ならば最大32枠のエンチャントを付けられるはずが、確定付与では24枠までしか自由にならない。しかしこれはエンチャントの欠片を量産するための小麦畑に付ける分には全く問題が無い。

 もう一つはこの確定付与を実行するには『エンチャントポイント』という非常に稼ぎにくいポイントを消費すること。これはトピアが貯め込んでいたものがあるので問題無い。何故貯め込んでいたかというと、未完成版のエンチャントテーブルがあのままの仕様で完成して装備全てにエンチャントが可能になったら、確定付与で3つエンチャントを付けて仕上げにエンチャントテーブルで 補強済みの を別のエンチャントで上書きすることで4枠フルエンチャント装備が完成するので、それを想定して毎日少しずつ貯めていたのだ。

 

トピア「まあ流石にあらゆるエンチャントをこの方法で増やすにはエンチャントポイントが心許ないですが、実際に使用する レジェンダリエピック だけならば問題は無いでしょう。目的のエンチャントをドロップする相手がいる場合は繰り返し討伐して欠片10個分稼いでくれば節約も出来ますし」

 

カミール「なるほどなあ、しかしキミはいつもそんなことを考えているのかい?」

 

トピア「それはそうですよ、だって、私は理想郷の建設者(クラフトピアン)ですからね!」

 

 理想郷の建設者(クラフトピアン)が一番好きなことは、畑の7段スタックや空回り札束魔導士のように仕様の穴を突くことなのだ。

 いや、語弊がある。それは上位の一部の連中だけだ。

 

カミール「いや、褒めたつもりは全く無いのだが……?」

 

 誇らしげに胸を張るトピアにカミールは困惑した。先日サティも通った道である。

 

 なお実際にこの手法で各種エンチャント畑を作ってみたところ、トピアも愛用している魔法型空回りアセンで重要な役割を持つ 不安定な が弱体化してしまったことが判明した。

 

・旧 不安定な魔法攻撃力(MATK)-100、魔法攻撃力(MATK)-200%、魔法クリティカルダメージ+200%、魔法クリティカル率+30%

・新 不安定な魔法攻撃力(MATK)-100、魔法攻撃力(MATK)-300%、魔法クリティカルダメージ+200%

 

 魔法攻撃力(MATK)の割合マイナスが更に強烈になったのは空回りアセンでは全く影響が無いのだが、魔法クリティカル率が全く付かなくなったため別のエンチャントで補う必要が出てきた。そのエンチャント枠の分だけ与ダメージが下がるわけだ。

 この事実によりただでさえ低い新型レシピ装備の価値がまた下落した。

 

 

 その次は『精錬対象拡張モジュール』。要するに防具を強化出来るものらしく、トピアはワニ素材だけで製造可能な★×6『ライトアーマー赤♀』をレガシーの熟練の鍛冶屋で作って同じ★×6のチタンの片手剣から抽出した精錬石VIで強化してみた。ライトアーマー赤♀+1が無事完成したが、防御力(DEF)は15から変動しなかった。

 問題を特定するため、トピアは続けて+10まで強化してみた。すると+2で防御力(DEF)が16、+5で17、+9で18になった。

 つまりは防御力(DEF)が0.3ずつ増えており、+2で15.6になったため四捨五入で16と表記されるようになったのだ。なるほど新型レシピ装備や新型エンチャントの防御力(DEF)が10倍表記になっていたのはこのためだったのだろう。

 最後まで試してみたところ、改+99までで防御力(DEF)が69.7上がった。数字としては武器精錬の1/10だが、全身12箇所の防具全てを強化出来たとしたら836.4も上がることになる。クラフトピア産防具はレガシーレシピのものでも精錬強化出来たので、次は試験用の装備を調達して元の8枠以外の装備でも精錬強化を試してみるべきだろう。

 

 さて、防御力(DEF)は単純に安全性を高めるためにも有用だが、「防御力(DEF)のn%攻撃力(ATK)上昇」タイプのエンチャント効果を組み合わせると火力にも寄与する。例えばこの系統最強は以下のエンチャントだ。

 

・旧 不朽の防御力(DEF)の150%攻撃力(ATK)上昇、防御力(DEF)の150%魔法攻撃力(MATK)上昇、防御力(DEF)+10、防御力(DEF)+10%、盾専用

 

 つまり防御力(DEF)836.4に150%をかけて、エンチャント一個で攻撃力(ATK)魔法攻撃力(MATK)が1,254.6も増える計算になる。

 以前に述べた通りこの防御力(DEF)依存やマナ依存の(魔法)攻撃力上昇は割合変動の効果と別計算なので特に空回りアセンと相性が良い。円環魔導士の装(フォーム・サーキュラー・ソーサラー)Mk.3であれば最終魔法攻撃力(MATK)3,209だったところに一気に1,254.6も加算されるのだから効果の絶大さは言わずもがなである。勿論2番目以下の同じ系統のエンチャントを併用すれば更に効果は上がる。

 

 

 次に『ロケットパック』。実際に作ってエンチャント無しで試してみたところ、ジェットパックに比べて空中移動速度は1.5倍程度で燃料消費は4倍になったのでコスパが悪そうに見えるが、姿勢制御の自由度が高く、上昇に限らず前後左右や下にもブースト出来るのが大きな特徴だった。燃料を多めに所持しておけば十分使える性能だが、最高性能の翼と飛翔記章(Soaring Insignia)を組み合わせた場合とどっちが使いやすいかが問題だ。

 ロケットなのにジェット燃料が使えるのかというのは、ファンタジーアイテムなので今更である。いや、ロケット燃料を使った場合には速度が更に増すかもしれないので検証が必要だ。

 有用な可能性は結構あるのだが、デザインで手を抜いたのか、或いは仮置きなのか、既存のジェットパックの色違いでしかないのでトピアの評価はやや低い。

 

 

 次に『天使の翼』。希少な鳥の羽根を100枚も要求されるためまだ作ることが出来なかった。雑魚MOBのリザードマンから希少な革がドロップするので、ペンギンあたりを畜産すれば大量に手に入るかもしれない。ただラリーの方の翼と比較するにも試験用の余剰装備がまだ無いので急ぐことではない。

 

 トピアはついでにアダマンタイトで『二式機械翼』を作ってレガシーの『グライダー』や新型レシピの『手作りのグライダー』と性能を比べてみたが、実際の所何一つ変わらなかった。

 

カミール「何とも残念な結果だね」

 

トピア「いえ、一つだけ上がっている性能があります」

 

カミール「どのあたりがだい?」

 

トピア「素敵性能、つまりは見た目です」

 

カミール「……まあうん、キミがそれでいいのなら」

 

 トピアが真剣な顔でそんなことを言い出すのでカミールはため息を吐いた。しかしデザインが使い回しのロケットパックに低めの評価をつけFICSITのジェットパックのかっこよさを羨ましがるトピアとしてはまごうこと無き本気であった。

 

 

 あとはハイミスリル装備各種であるが、アダマンタイトよりやや上、ファーヴニル装備と大体同じでアビス装備より若干下であった。つけられるエンチャントが新型になってしまって弱いので使う機会はあまり無いだろう。

 

 

 ここまで確認を進めて、あとは各種エンチャント小麦畑と回収設備を設営してからトピアは昼休憩に入ることにした。昼食でみんな集まるので万能岩盤製造機の受け渡しにも丁度いいだろう。

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