トピア「……というわけでLv8設備の検証がおおよそ終わりましたので、全員分の万能岩盤製造機と最低限の材料を用意して受け渡し用のチェストに入れておきました。各自回収宜しくお願いします。使用上の注意としては、主材料はインゴットではなく鉱石を入れる様になってます」
トリオ「うむ、ようやった」
サティ「助かるわ」
テクス「これで何でも鉱脈を作れるのでござるか。ファンタジー侮りがたしでござるな」
マイン「フン、ニンジャにしてはよくやったと褒めてやろう」
昼食でコアベースにみんなが集まったので、トピアは万能岩盤製造機の動作確認と受け渡しを実行していた。評価は上々であった。
なお食べながらの報告ははしたないのできっちり食べ終わってからである。
スコア「設備検証が終わったということはスキルの付与が出来るようになったのか?」
トピア「はい、希望があれば付与しますので工房に来て下さい」
ラリー「そもそもどんなスキルがあるんだ?」
トピア「そうですね、移動しながら説明しましょう。カミールさんも」
カミール「分かった」
トピア達は席を立ち、トピアの工房へと移動しながら話し始めた。トピアの助手をしているカミールも加わっているので人数は四人である。
トピア「お勧めの基本セットは無敵時間を作る『回避アクション』、その無敵時間を延長する『忍道』、
ラリー「蘇生? まさか死者復活か?」
トピア「正確には分からないのですが、ライフが尽きて数秒しか効果が無いので、恐らくは瀕死の戦闘不能状態から復活させる効果ですね。回復スキルは上位の方がクールダウンが長いので別途普通のヒールも付けるのをお勧めします」
何故正確に分からないかというと、
ラリー「流石に死んだ後じゃ無理か。とはいえポーションを使わずに回復できる手段はありがてえな」
スコア「スキルファイターはどのくらいの効果なんだ?」
トピア「スキルクールダウンを最大25%縮めるパッシブスキルです。エンチャント効果の最大70%短縮との乗算で元の22.5%まで短縮出来ます」
若干分かりにくいが、(1-0.25) × (1-0.7) = 0.225という計算である。
スコア「なるほど、確かにトピアさんの装備には 早口な エンチャントが多数並んでいたが、スキルをメインで使うならああなるわけか」
トピア「そうです。空回りアセンなら 空回りな 自体がその役割ですね」
早口な だとスキルクールダウンは-10%なので7つ付ける必要があるが、 空回りな だと-25%なので3つで達成出来る。
では何故通常アセンで 空回りな を使わないのかというと、 空回りな 3つ分で
そのようなやりとりをしつつ四人はポータルを通ってユグドラシルへ移動した。
トピア「攻撃スキルは剣なら居合斬りより攻撃力倍率が低い代わりにクリティカルダメージが乗る範囲攻撃の『鎧袖一触』、弓なら一撃必殺の『マグナムショット』や対多数戦闘に向いた『ストームアロー』、魔法ならオモチツキに向いた『ボールライトニング』、相手を攻撃しながら氷で拘束する『フロストマイン』、隕石を降らせる『サモンメテオ』がお勧めですが、ラストプリズムはそれ自体が十分強いので魔法スキルは要らないかもしれません」
ラリー「つけるとすれば剣と弓か。
スコア「バフをかければ1000万ダメージを超えるマグナムショットか……使いこなしてみせるさ」
これまで攻撃力の相対的低さに悩まされていたスコアとしてはやはり強い意気込みがあるようだった。
トピア「あと防御スキルは盾の
ラリー「ライフ上限が減るのは痛えが、マナ回復を兼ねたバリアは良さそうだな」
トピア「補助スキルは最大三段ジャンプまで出来るダブルジャンプ、ノーダメージで攻撃を続けると6段階までバフが乗って物理攻撃力が増えるアンストッパブル、それの魔法版ルーンストリーム、魔力消費を低減する英知、それから対象の行動を最大5秒停止させるタイムロックなんていうのもありますね」
スコア「待ってくれ、タイムロックが強すぎないか?」
ボスキャラじみた能力が突然出てきたことでスコアが困惑の声を上げた。
強すぎることに文句があるのではなく、あからさまに強そうなスキルなのに使っているところをまるで見ないことが疑問だったのだ。
トピア「タイムロックはまず密着距離でないと効果を発揮しないこと、それと同一対象に連続で使うとどんどん効果が縮まっていくというのが難点です。実質効果があるのは2回目の4秒までですね」
スコア「実際には利便性に問題があるということか」
トピア「あとタイムロックが解けるまで倒した判定にならないので大概の相手は普通に倒した方が早いです」
スコア「……そういう考え方もあるか」
思い返してみればモルファ狩りの時もトピアはモルファを倒すのに5秒どころか1秒もかかっていなかった。
トピア「午後からエンチャントコスト上限拡張モジュールの材料とエンチャント素材を調達しに行ってくるのでまだ完全版の装備は作れませんが、とりあえずお試しで幾つか付けてみますか?」
スコア「そうだな、お願いする」
ラリー「俺も頼むぜ。エンチャント素材の調達は大分手間が掛かりそうだが大丈夫か?」
トピア「各エンチャントの最初の1つさえ入手してしまえばあとは量産が効くので大丈夫です」
スコア「量産出来るものなのか……いや、エンチャント抽出機とあの 伝説の 小麦畑の組み合わせか?」
スコアが窓の外に目を向けると、小麦畑が明らかに増えていた。そのため、エンチャントの量産のために拡張したのだろうと容易に想像できた。
トピア「もう少し細かい原理がありますが、概ねその通りです。スコアさんも大分
スコア「そうかな?」
トピア「あと食用小麦の畑には 伝説の の他に 特級の 、 高級な 、 上質な を付与しておきましたので、今後食事のグレードが上がりますよ」
ラリー「そいつは楽しみだな」
スコア「全くだ」
その後トピアは二人の装備に要望通りのスキルを3つずつ付与し、自分の
アップデート完了後に訓練カカシを使ってマグナムショットのヘッドショット検証をしたところ、今回は想定通りファントムスパークの武器特性が優先されたようで、クリティカルダメージ倍率は固定にならず、代わりにヘッドショット判定も無しという結果になった。
対集団攻撃用のストームアローもこの特性は同じかと思いきや、武器特性でヘッドショットしない上にスキル特性でクリティカル率が0になるという短所を組み合わせたような微妙な結果になった。通常のアセンブル方式ならまだいいが、空回りアセンのクリティカル特化構成にした場合の相性は最悪で、
ラリー「となると、対集団戦闘はスキルでどうにかするよりも武器を持ち替えた方が良さそうだな。お誂え向きに一度に6つの矢を射る
スコア「それはすぐに手に入るようなものなのか?」
ラリー「
トピア「そちらは色々便利な武器があっていいですね。耐久値も気にしなくていいですし」
クラフトピア文明ではスキルやエンチャントが充実している代わりに同じ系統の武器同士ではあまり機能に差が無いのだ。
ラリー「まあな」
ラリーは自慢げに微笑んだ。
ボスラッシュダンジョンへと出かける前に、トピアは精錬石の量産ラインを作ることにした。とはいえ自動で作ることが出来るのは★×1~★×9までである。
まず新方式の精錬所で装備の精錬をするためには各装備の★に合わせた精錬石を同じ★の武器から生成しなければならない。ただし★×0武器は精錬分解ベンチに入れても精錬石Iになってしまうので★×0精錬石の製造は不可能だ。また、★×13はその該当武器を運に頼らず入手することが不可能である。
一覧にすると以下のようになる。
★×1:旧・木の棒:原木×5
★×2:旧・銅の弓:銅のインゴット×5、原木×10
★×3:旧・鉄の片手剣:鉄のインゴット×10、原木×5
★×4:旧・銀の片手剣 :銀のインゴット×10、原木×5
★×5:旧・鋼鉄の片手剣:鋼鉄のインゴット×10
★×6:旧・チタンの片手剣:チタンのインゴット×10
★×7:旧・金の片手剣:金のインゴット×10
★×8:旧・プラチナの片手剣:プラチナのインゴット×10
★×9:新・ハイミスリルの片手剣:ハイミスリルのインゴット×5、原木×2、革×1
★×9:旧・グライフゾイフツァーIII:(金)グリフォンLv.60-89:30%
★×9:旧・ヴィルヴェルヴィントI:(金)グリフォンLv.1-29:5%
★×10:旧・フランベルジュ:ドラゴン:50%
★×10:旧・グリムリーパーIII:冥界の使者Lv60-89:50%
★×10:旧・エクスキューショナーIII:リザードエクスキューショナーLv90-:30%
★×10:旧・グライフゾイフツァーIV:(金)グリフォンLv.90-:30%
★×10:旧・ヴィルヴェルヴィントII:(金)グリフォンLv.30-59:5%
★×11:旧・ヴィルヴェルヴィントIII:(金)グリフォンLv.60-89:5%
★×12:旧・グリムリーパーIV:冥界の使者Lv90-:50%
★×12:旧・ヴィルヴェルヴィントIV:(金)グリフォンLv.90-:5%
★×13:該当無し
★×14:旧・アヌビスの金錫杖:アヌビス:レア、確率不明
旧・グライフゾイフツァーIIIから下は全て討伐により入手できるものだ。★×14にアヌビス神が入っているが今のところ★×14の需要は無いので安心していただきたい。むしろ★×13の
ちなみに何故ドロップ率まで詳細に分かるのかというと、エンチャントシミュレーターのエンチャント素材データベースに入っていたからである。ただしドロップ率の算出は統計的なものなので正確とは限らない。
自動量産が可能なもののうち、★×9はハイミスリルの片手剣を作る必要があるが、まだハイミスリルの自動採掘が行われていなかったので、トピアはサティに相談して既存ラインを阻害しない所にハイミスリルの人工岩盤を設置、トリオ工場長が作ったレプリカビルドガンを使ってFICSIT製の採鉱機Mk.3改二、
トピアは鉄とハイミスリル以外のインゴット類をサティに相談して融通してもらい、原木をスコアの木材養殖場から融通してもらうことで精錬石の量産ラインを確立した。革はワニの養殖で産出するので山ほど余っていた。
そして精錬石の生産ライン建設はトピアがサンプルを作って見せた後でカミールも一緒になって行った。エンチャント素材生産用の自動農場を作った時に判明したことなのだが、教化の影響でカミールに
さて、これからボスラッシュダンジョンに出かけるわけだが、トピアがダンジョンに潜る間カミールがずっと暇になってしまうので、この際工房で自衛のための装備を自分で作ってもらうことにした。
工程における最大の難関は設計なので、トピアはカミールにエンチャントシミュレーターを貸与した。
カミール「いやそう簡単に出来るものなのか?」
エンチャントシミュレーターとアクセサリ枠拡張用の
トピア「まあ私達の装備データがサンプルとして入ってますから、参考にして設計してみて下さい。ただファーヴニル素材なんかは今全く在庫が無いので、とりあえず今ある素材で製造可能なものでお願いします。あと精錬石はまだ在庫が少ないので現段階ではまだ無しで」
カミール「……まあいい、とりあえずやってみようか。はじまりの島の案内はあっという間に終わってしまったから、ワタシも何かやれる仕事を探さなくてはと思っていたところだ。そういう気遣いなんだろう?」
トピア「一緒に建設作業が出来るだけでも既に大分助かってますし、ファムさんのように何らかの製造補助作業をしてもらうこともあると思いますが、カミールさんの場合は元々学者の素養があるので、色々学んで頭脳労働にも関わってもらった方がいいかなと思いまして」
カミール「そうか、ワタシの溢れる知性がそうさせてしまったかー」
カミールはいつもの眼鏡に手を添えるポーズでまんざらでもなさそうな笑みを浮かべていた。
実際の所はカミールが暇になるのが勿体ないので仕事を振っただけでそれ以上の理由は後から考えたのだが、トピアはその