【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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108. 失われし古代のレシピに至高のエンチャント、隅々まで探究せざるを得ないな

 トピアは既に設置したポータルを足がかりにレガシーダンジョンの探索を開始した。探すのは★×10~12の武器をドロップするボスだ。

 そのラインナップを再掲載すると以下のようになっている。

 

★×9:旧・グライフゾイフツァーIII:(金)グリフォンLv.60-89:30%

★×9:旧・ヴィルヴェルヴィントI:(金)グリフォンLv.1-29:5%

★×10:旧・フランベルジュ:ドラゴン:50%

★×10:旧・グリムリーパーIII:冥界の使者Lv60-89:50%

★×10:旧・エクスキューショナーIII:リザードエクスキューショナーLv90-:30%

★×10:旧・グライフゾイフツァーIV:(金)グリフォンLv.90-:30%

★×10:旧・ヴィルヴェルヴィントII:(金)グリフォンLv.30-59:5%

★×11:旧・ヴィルヴェルヴィントIII:(金)グリフォンLv.60-89:5%

★×12:旧・グリムリーパーIV:冥界の使者Lv90-:50%

★×12:旧・ヴィルヴェルヴィントIV:(金)グリフォンLv.90-:5%

★×13:該当無し

★×14:旧・アヌビスの金錫杖:アヌビス:レア、確率不明

 

 まず★×12を確保するにはLv90以上の冥界の使者が最適だ。Lv90以上のグリフォンからもドロップするが、ドロップ率が5%しかないので悲願の罪の薬で10倍にしても50%にしかならない。

 次に★×11を確保するには以前トピアがラリーに告げたようにLv.60から89のグリフォンまたは金グリフォンが必要だ。ドロップ率が5%しかないが、他に選択肢が無い。可能ならモディファイアで★の数を調整して11からずらすべきだ。

 ★×10を確保するには色々と選択肢がある。ドロップ率が良いのは任意レベルのドラゴン、もしくはLv.60から89の冥界の使者だが、ドラゴンを既に発見出来ているのでこれは既に目的を完遂している。

 ついでの話だが、★×11のためにLv.60から89のグリフォンまたは金グリフォンを確保すればおまけで★×9用のグライフゾイフツァーIIIがドロップする。

 

 つまり今トピアが探すべきはLv90以上の冥界の使者、Lv.60から89の(金)グリフォンの2つということになる。

 トピアはまず北北西の砂漠でダンジョン巡りを開始した。既にLv.90前後のドラゴンとボーンドラゴンが発見出来ている以上、この近辺のダンジョンのボスレベルもそれと同じかやや上乗せされたものになるからだ。

 目的の冥界の使者が出現するのは『島のダンジョン』という名称のダンジョンだ。『島のダンジョン』の入口は何かの結晶が絡まった枯れた樹木の前に古代を感じる意匠の人面像が飾られ、その下に紫色の空間の歪みがある。この空間の歪みの部分がレガシー方式ダンジョン共通で、ここを通ると別空間に存在するダンジョンに飛ばされるわけだ。

 多数の理想郷の建設者(クラフトピアン)により集められた情報によるとこの『島のダンジョン』は内容が10パターンあり、冥界の使者はそのうち2パターンで出現するため出現率はおよそ20%だ。

 

 トピアがダンジョンに突入し、ザコMOBを蹴散らして一直線に突き進むと、ボスルームで待ち構えていたのはエンシェントゴーレムLv.120であった。石造りの手足に四角い顔、顔の中央には青い瞳が輝き、同じ色の結晶が胸の中心に輝く。要するにハズレである。

 見て分かる通りこの胸の中心の結晶が弱点なので、近接装備なら腰の辺りに乗り上げて攻撃するのが手っ取り早い。ただしトピアの現在の装備は円環魔導士の装(フォーム・サーキュラー・ソーサラー)Mk.3改であり、近づきながらフロストマインLv6(Max)を連射してエンシェントゴーレムを氷漬けにし葬った。Lv.120とはいえボスの中では弱い方のエンシェントゴーレムならばこんなものである。

 フロストマインは目の前から一定の距離までの範囲を瞬時に氷漬けにする強力な魔法だ。クラフトピアの魔法の中では比較的射程が長く、最大のLv6ならば50mほど届く。何故普段あまり使わないのかと言えば、まず単純にDPSではボールライトニングの方が強いからである。また、一人で戦う場合には関係ないが、フロストマインで出した氷は理想郷の建設者(クラフトピアン)にも接触判定があり、攻撃に巻き込まれるとダメージは受けないが吹っ飛ばされてしまう上に氷が消えるのに数秒かかる。そのため、共同戦闘での使用はほぼ禁止されているといういわくつきの代物である。

 

 ボスルームの奥の扉が開いて報酬ルームに入ると橙色のバリアがあり、トピアがこれに接触するとバリアが崩壊して成長の石板が1つ手に入った。更にバリアの中の宝箱を開けるといつものように幾つかの武器が混ざっていた。これがスタック出来なくて無駄にインベントリを圧縮するのでこれまでのトピアならすぐに売り飛ばすのだが、今日のトピアは違う。トピアは通常の報酬宝箱に加えて出口の奥の壁の奥に隠された宝箱の中身まで確保すると、エンチャント抽出機と精錬分解ベンチを取り出して報酬武器を次々に投入し、エンチャントの欠片と各種精錬石に変換していった。精錬石も対応する★の数によって種類が違うのだが、スタック出来るだけ武器そのものよりは遥かにましだ。

 

 変換を終えたトピアは次のダンジョンも同様に攻略し、3つ目のダンジョンで主目的とは違うがフルールLv.94を見つけた。フルールは武器はドロップしないが、有益なエンチャント素材をドロップする。トピアは悲願の罪の薬を飲んで薬1回分フルールを狩り続け、エンチャント素材を確保した。量産すべく確保した主なエンチャントは以下のものだ。

 

・旧 満開の:最大ライフ+10%、スキルによるライフ回復倍率+20%

・新 満開の:最大ライフ+5%、スキルによるライフ回復倍率+15%

 

 回復魔法の効果を大幅に引き上げるエンチャントで、一部のファーヴニル系エンチャントの副作用である回復魔法効果低下を補うのに役立つ。

 残念ながら新型では効果が低下している。

 

・旧 咲き乱れる魔法攻撃力(MATK)+20、スキルによるライフ回復倍率+10%、最大マナ+10%、マナ消費量-5%

・新 咲き乱れる:最大ライフ+10%、スキルによるライフ回復倍率+25%

 

 同じ回復魔法効果増幅エンチャントでも旧来ではそれがメインではなく 満開の ほどの効果は無かったのだが、新型では 満開の の上位互換エンチャントになり、驚異の25%を叩き出している。思わぬ収穫である。

 

 フルールのダンジョンを出て入口に仮拠点を設置、そこから更に2つ、5つ目のダンジョンで冥界の使者を引き当てた。目当てのLv.90以上の奴だ。トピアがフロストマインを連射して冥界の使者を倒すと、悲願の罪の薬を使っていないにもかかわらず運良く1回で★×12グリムリーパーIVをドロップした。まあ50%なのでこんなものだろう。

 目的のアイテムのドロップを確認出来たので、トピアは例によって報酬宝箱の中身をエンチャント抽出機と精錬分解ベンチに放り込み、ダンジョンを脱出して入口のすぐそばにポータルと仮拠点を設置した。

 

 仮拠点の設置が終わったトピアはそこからガンマで南方向へ移動し、時折地表に降りてしてザコMOBのレベルを確認した。

 MOBのレベルが70前後になってきたところでトピアは適正レベルと判断し、その周辺でダンジョンの捜索を開始した。グリフォンがいるのは『王家の墳墓』というタイプのダンジョンで、入口の形状が違うので上から見てもすぐに分かる。『王家の墳墓』の入口はまず石の煉瓦で出来たゲートがあり、その前左右にアヌビス神のような獣面の石像が並んでいる。そして実際の入口である空間の歪みが石像の間に生じている。つまりデザインがエジプト風である。ちなみに中身もピラミッド風の装丁になっている。

 同じく理想郷の建設者(クラフトピアン)達の調査によると『王家の墳墓』の中身は4パターンあり、そのうち2パターンでグリフォンが出現するので当たりを引く確率は半分だ。しかしトピアは3つ連続でハズレのリザードガンナーを引き、4つ目で漸くグリフォンを引き当てた。レベルは79、当たりだ。

 トピアは確認のために悲願の罪の薬を飲んでからグリフォンを6回ほど討伐し、目当ての★×11ヴィルヴェルヴィントIIIとおまけの★×9グライフゾイフツァーIIIのドロップを確認した。その後は例によって報酬宝箱の中身を精錬分解ベンチに放り込み、ダンジョンを脱出して入口のすぐそばにポータルと仮拠点を設置した。

 

 これで丁度いい時間になったのでトピアは夕飯のために魔法の鏡(Magic Mirror)を使って自室へと帰った。

 

 

 

 夕飯の少し前の時間に帰宅したトピアは、一部の面子に伝えていた通り新しいフルエンチャント料理を用意してみんなに振る舞った。

 

サティ「えっ、おいしっ! これ新しいエンチャント料理? わざわざ作ったの?」

 

テクス「パンも最高級品でござるな?」

 

トピア「はい、伝説の 特級の 高級な 上質な 特選にんじんハンバーグ、並びに同じエンチャントがついたパンです。現在食用小麦にこのエンチャントを全部付けてありますので、パンならそのまま、他の料理はエンチャント抽出からの付与で何でも作ることが出来ます。小麦倉庫に抽出機、この食堂にエンチャントテーブルを設置しましたのでご自由にご利用下さい」

 

 ちなみに特選にんじんハンバーグは高級料理に分類されるだけあってか『幻のニンジン』という特殊素材を使っている。これは畑で採れるニンジンとは全くの別物で、ウマを畜産場にかけたときにだけ採取出来る食材である。再度言うが、ウマ()()採れるニンジンなのだ。全くの不思議アイテムだが、世界の仕組みがそうなっているのだから仕方ない。

 

ラリー「料理の種類も選び放題か、そいつはいいな!」

 

スコア「ムニエルに不満があったわけではないが、更に種類が増えるとなればやはり素晴らしいものだ」

 

ファム「これを毎日は贅沢に溺れてしまいそうでいけませんねぇ……」

 

 などと言いながらファムも満面の笑顔で料理を食べ進めている。

 

マイン「うむ、我が品格に相応しい料理と言えよう」

 

カミール「失われし古代のレシピに至高のエンチャント、隅々まで探究せざるを得ないな」

 

シュミット≪これはいいものだわね≫

 

 偉そうなことを言っているマインも一見真面目な台詞を吐いているカミールも、明らかに料理を楽しんでいた。やはり美味い料理は人を笑顔にするようだ。

 シュミットはテーブルの上の小さなテーブルセットに着席し、小さな食器に取り分けられた料理を食べていた。(マイスター)達はこの小さな存在が何者なのか気になってはいたが、それより優先して料理を口に入れていたのでそれを問うどころではなかった。

 アヌビス神は気分で下手なことを言わないように無言で食べ進めていた。

 同様に先ほどから言葉を発していないトリオ工場長は、料理を適度に食べ進めながらも遂に飲み放題が解禁された上に更にグレードが上がった 伝説の 特級の 高級な 上質な ワインや、ラリーの所の酒樽(Keg)で無尽蔵に製造出来る上に今日からエンチャントが可能になった 伝説の 特級の 高級な 上質な エール(Ale)を無言でがぶ飲みしていた。エール(Ale)は近接攻撃能力が上がる代わりに防御力(DEF)低下するほろ酔いデバフがつくのだが、まあドワーフが酒に負けるイメージは無いので大丈夫だろう。

 

 なおここで饗された特選にんじんハンバーグは満腹度200とライフ100を回復させた上で30秒の間スタミナ上限を200上昇させるなかなかの料理……と見せかけて、歴戦の理想郷の建設者(クラフトピアン)でも10分に一度しか食べられないウマ用激重料理という罠があるので、回復アイテムには全く向いていない。つまりここの面子でも食べきれるかどうかが問題であり、食べ進めるほどにその問題が徐々に表面化し始めていた。

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