[2025/11/01]原型が残る程度の正面衝突やすれ違い事故だともっと墜落地点が離れていないとおかしいので追突に変更しました。一部の台詞を変更しました。文章を全体的に増量しました。
落着予想地点まで距離があり、徒歩ではやや遠かったので、二人は乗り物を利用することにした。しかしサティの方はマイルストーンで解放出来る乗り物はまだ確保しておらず、マイルストーンと無関係なエクスプローラーやサイバーワゴンにしても原料の一つである石英をまだ確保出来ていなかったので、トピアが提供した一人乗りヘリ……という名のオートジャイロ2台で空路を往くことにした。
ただしそのオートジャイロはフレームが木造であり、座席はむき出しであった。
サティ「ちょっとこれ本当に大丈夫なんでしょうね?」
トピア「大丈夫大丈夫、仮に墜落しても資材の損失は微々たる物です」
何しろこのオートジャイロ1機あたりの材料は歯車5つ、バイオエタノール5缶、電池2個。たったこれだけである。エンジンをどうやって歯車5つで作ったのかが謎である事は勿論、木造フレームで耐久力は大丈夫なのかと思っていたらその木材すらどこから出てきたのか不明という怪しい代物である。だがそれはともかく実際手軽な移動手段としてつつがなく使えるので、大半の
サティ「そういう心配をしてるんじゃないんだけどォ!?」
トピア「定番のクラフトピアンジョークです!」
サティ「時と場合を考えてくれないかしら!?」
トピア「アッハッハ!」
空中で相互に安全距離を保っており、なおかつローターの駆動音で声が届きづらいので、サティのツッコミの声量もいつもより大きくなっていた。
安全性に関わることなので、気になるのは人として当たり前であるが、むしろ乗ってからツッコむのは遅いと言える。これが本場の
打てば響くようなノリの良さは
トピア「大丈夫です。以前からそれなりの頻度で使ってる乗り物ですし、こう見えてV8の300馬力エンジンらしいですよ。V8を称えよ! さあご一緒に!」
トピアが両手の人差し指から小指を立てて交差させた怪しげな手つきでV8を称えるが、その信憑性は残念ながら今ひとつであり、サティは訝しげな視線を送っていた。まず空中で手放し運転が危ないというのもそうだが、その懸念は概ね正しい。
今現在では改善されているが、以前の仕様ではクラフトピアの全ての乗り物は乗っているだけで時間経過で耐久値が減るようになっていたので、耐久値管理を誤って時間切れで空中分解するという事故が珍しくなかった。つまりトピアはオートジャイロをそれなりの頻度で使っているとは言ったが、それなりの頻度で墜落もしており、
そしてその当時からオートジャイロのエンジンはV8の300馬力だったので、V8は何の安全保証にもなっていないというオチだった。
トピア「冗談はともかくそろそろ落着地点が見えるはずですが……あの煙の辺りですかね?」
サティ「それっぽいけど、あれやっぱり宇宙船じゃない?」
トピア「ぽいですね」
一つ目の落着地点は比較的近いのですぐに見つかった。
先に見つかった落着物はどう見ても人工物で、どうやら宇宙船のようだった。
見たところシャトルのような形状で、大気圏内でも飛べそうな翼がついていたようだが、それも右側は根元からごっそりもぎ取られて消失しており、本体は派手に炎上中であった。
しかもトピアはそのすぐ近くに味方マーカーを発見してしまった。そこに倒れているのは、FICSIT製とはまた違う黄色い安全ヘルメットを被って肩アーマー付きのジャケットを着込んだ……背丈が低いが、体格と髭からして男のようだ。
どうもあれが新たなマイスターらしいと判断したトピアは、まずはサティに報告した。
トピア「三人目です、三人目発見ですよサティ姐さん!」
サティ「三人目? それって例のマイスターの? なるほど、私と同じように星の外から……というかその前にあれ生きてる?」
その男は宇宙船の進行方向、若干離れた所に仰向けに倒れていた。そのすぐ近くの木の幹が折れており、どうやら墜落事故で放り出されて付近の木に幹が折れるほどの勢いで叩き付けられたように見える。サティが言う通り、普通の人間なら死んでいてもおかしくない状態だ。
トピア「多分生きていると思いますが……ともかく接触してみましょう」
トピアの根拠は味方マーカーが健在であることだ。死んでいたら多分消えるだろう。
サティ「分かったわ」
二人はオートジャイロでゆっくりと近づいて着陸し、倒れている男の傍らにしゃがみ込んで状態を確認した。
サティ「簡易スキャンだとバイタルはあるわね……生きてるなら返事をしてくれるかしら?」
トピア「どーもこんにちはー。意識はありますかー?」
その声に反応したのか、男が目を開き、勢いよく立ち上がるとまず炎上する宇宙船を確認し、自らの手元のつるはしを確認し、状況を認識すると肩を落として呟き始め、急速に語気を荒げていった。
ヘルメットの男「うーむ、何とか直撃は回避出来たが、あれはもう駄目じゃのう……ちゅうことは遭難か。また遭難か! またつるはし一本からじゃとォ!? 大概にせえよワレェ!! クッソァァア!!」
拳を振り上げ、嘆きと怒りの声を上げる彼は、どうも遭難のプロのようであった。
ひとしきり叫んで幾分気が済んだのか、男は自分の傍らの人影に気付いた。
ヘルメットの男「……んん? おお、おお、何じゃい、この星にゃあ人がおったんか。……ああ、あがぁな物が建っとるなら人がいなゆわきゃあないのう」
振り返ったヘルメットの男は、人間の存在を確認すると大分落ち着いた様子を見せ、炎上する宇宙船の向こうに聳え立つ天を突くほどの建造物に目を細めた。FICSIT製軌道エレベーターの存在感は抜群だ。
サティ「ハロー。怪我は大丈夫?」
トピア「どーもこんにちはー。墜落事故のようですが要救助者はいますかー?」
ヘルメットの男「怪我は何ともないし要救助者もおらんが……ん? まさかあんならぁの関係者じゃなかろうな?」
男にはトピア達がこの星の人間という可能性の他にも心当たりがあったようで、もう一方の落着地点らしき方向を指さして問いただした。
怪我など無いと言うヘルメットの男は眉も髭も立派なので年嵩に見えるが、顔の皺は多くないのでそこまで年寄りではないようだ。体格を見てみれば背丈はトピアよりも低いくらいだが、胴体も手足も大分がっしりした骨太で筋肉質なものである。見るからに体力がありそうだ。
この惨状で怪我が無いとは一体どういうことだとサティは面食らったが、トピアはこのくらい頑丈な人間を見慣れているので気にせず返答した。
トピア「あんならぁ? いえ、私達は先ほどあなた方が落ちてくるのを見て様子を見に来た者ですが」
ヘルメットの男「ほうか、それならええんじゃ。儂ももちぃとで家に帰り着けたんじゃがのう。重力ターン軌道に乗ったところであんの馬鹿野郎が追突してきおってな。全くついとらんわ」
彼が馬鹿野郎と顎で示す先はやはりもう一方の落着地点であった。これまでの発言をまとめると、どうやら軌道上で何者かに追突されそうになったのをギリギリ回避したが、接触は避けられず右の主翼が右舷側ごと破断、コントロールを失ってそのまま墜落したらしい。先ほどはスジモンのような言葉で相当な剣幕で罵倒していたが、その後はまともに対話が出来ているので、理不尽な貰い事故に激怒していただけで普段から短気な人物というわけではなさそうだ。というかそんな状況だったならトピアでも怒るだろう。最低でもアイサツからのケジメくらいは確定だし、態度によってはハイクを詠んでもらうことになる。もしボス判定でドロップが美味しければアヌビスの免罪符で再召喚からのオモチツキも辞さない。
トピアの想定する報復の途中からどう見ても収集欲が混じっているが、それは
そして既にケジメの前提になっているが、どうやらぶつかった相手側もただの隕石ではなく、意志のある何者かである可能性が高い。
トピア「それはご愁傷様でした。ケジメ案件ですね」
ヘルメットの男「ケジメ……? うむ、そうじゃの。まあ人がおって軌道エレベーターまであるなら、これまでよりは大分ましじゃろ。宇宙遭難もこれで6度目じゃけえ」
サティ&トピア「6度目!?」
ヘルメットの男「もう慣れたモンよ。自慢にならんがの。いや墜落した先が毎回空気がある星じゃった事とそこから自力で脱出したことだけは自慢できるかもしれんの?」
立派な髭をしごく男は本当に遭難のプロであるらしい。しかも脱出のプロでもあるようだ。つまりサバイバルのマイスターということだろうか?
ヘルメットの男「そういやあれじゃの、そこそこ長いこと世話になってすっかり癖になっておったが、
スペースヒロシマ。そういうのもあるのか。もしかしてスペーススジモンとかいらっしゃる?
そのインパクトによりトピアの思考に空白が生まれたが、他人から見ればネオサイタマ辺りで使われているはずの忍殺語を常用するトピアも似たようなものである。
トピア「……ああ、それで言葉が。私はほぼ日本語しか分からないのでそのスペースヒロシマの皆さんに感謝したいですが、多分無関係だと思います。私は文明促進業務をやっている
サティ「FICSIT社の
ヘルメットの男「ふむ、そうなんか? 儂は工場経営をしておるトリオ・ウーバーファクトじゃ。よろしくのお嬢さん方」
ヘルメットの男改めトリオは、片手を上げて軽く挨拶する。
トピア「おお、社長さんでしたか」
ヘルメットの男→トリオ「そがいな、社長なんて柄じゃないわい。大体工場長と呼ばれとる。そいであの軌道エレベーターはもう使えるんか?」
トリオ工場長が軌道エレベーターを指差して質問すると、トピアはサティに視線を向けて回答を任せることにした。トピアは軌道エレベーターがまだ完成していないことは知っているが、どの程度までの機能を使えて完成にどのくらい掛かるかというのは良く分かっていないからだ。
サティ「まだ建設工程のフェイズ1が終わったところだから宇宙港機能までは使えないわ。最後まで完成させるには、あと半月くらいかしら」
トリオ「ほうか。時間だけ見るなら自分で宇宙船を作って打ち上げた方が早そうじゃが、既に始まっとる開発事業の邪魔になるかもしれんしの……そうじゃ、儂がその軌道エレベーターの建設を手伝ったら幾らか期間を短縮出来んかの?」
サティ「あら、それは心強いわ。宜しくお願いするわね」
トリオ「うむ、どんと任せい」
サティはトリオ工場長のプロジェクト参加を即決で承諾し、固い握手を交わした。自分達と同じマイスターであり、何も無い所から半月かからず宇宙船を作って打ち上げられると豪語する工場長は確実に戦力になるに違いないからだ。
トピア「うんうん、無事強力な仲間が増えましたね。この調子で七人全員コンプリートしていきましょう」
トリオ「七人? 何の話じゃ?」
サティ「そういえばその話、途中じゃなかったかしら?」
トピア「ああ、その件はサティ姐さんには大体話し終わってますけど、工場長の宇宙船に追突したという何者かがもしかすると排除すべき外敵と関係あるか……も……?」
言いかけたところで、先ほどトリオが顎で示した方向から地響きが聞こえてきて三人は同時に振り返った。
草原となり特に障害物も無い方向の地平線から顔を覗かせるそれは何らかの生物の群であった。頭部から肩までを覆う尖った堅牢な甲殻に、平地なら最大時速170kmで走破する蹄状の強靱な6本の脚。幸か不幸か、トピアはその名前を知っていた。
その名は
トピア「アイエエエ!
まさかの存在との遭遇にトピアは急性
Factorioの開始時点でも墜落した宇宙船から普通の服で脱出した工場長のHPは満タンですので、つまり墜落事故程度で工場長が怪我をしないのは原作準拠です。