【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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 [2024/1/8]100話の内容で間違って上書きしていたのを元に戻しました。


110. このフェンリルはできそこないだ、食べられないよ

 トピアは10%の確率でドロップする魔導石に33%の確率で付与される 戦神を宿した エンチャントの5つ確保を目指してタイラントスネークを狩り続けた。その数およそ320体。30分ほどかかっている。

 ドロップ10倍かつエンチャント10倍になる悲願の罪の薬を使えばもっと簡単になるだろうと一見思えるのだが、実は罪の薬は()()()()()()()()()()()()()()()()()に作用するので、通常ドロップに()()される地獄ボス共通ドロップアイテムには効果が無い。

 また、実は 戦神を宿した 魔導石5つは150回目くらいで揃ったのだが、エンチャントのレアリティが変更されていたことで10個揃える必要が出来てしまい、予定の倍に伸びてしまったのだ。

 

・旧 戦神を宿した攻撃力(ATK)+15、攻撃力(ATK)+20%

・新 戦神を宿した攻撃力(ATK)+100、攻撃力(ATK)+5%、重複不可

 

 新しい方もこれはこれで強力なのだが、問題は教化の影響でドロップ時点で新型エンチャントになっており、なおかつそれが レジェンダリ に格上げされたことで、エンチャントポイントを使わずに付与するためには最低10個必要になったということだ。

 

 魔導石固有のエンチャントは他に2種類あるが、こちらも性能が変わっていた。

 

・旧 魔神を宿した魔法攻撃力(MATK)+15、魔法攻撃力(MATK)+20%

・新 魔神を宿した魔法攻撃力(MATK)+100、魔法攻撃力(MATK)+5%、重複不可

 

 戦神を宿したと全く同じパターンの変化で、こちらも10個必要になった。

 

・旧 守護神を宿した攻撃力(ATK)防御力(DEF)の5%上昇、魔法攻撃力(MATK)防御力(DEF)の5%上昇、防御力(DEF)5%上昇

・新 守護神を宿した攻撃力(ATK)防御力(DEF)の3%上昇、魔法攻撃力(MATK)防御力(DEF)の3%上昇、防御力(DEF)10%上昇、重複不可

 

 こちらはレアリティの変化は無いが、性能が大きく変わっていた。防御力(DEF)依存の攻撃力上昇が3%となっており、一見下がっているように見えるが、新型では防御力(DEF)の表記が10倍なのでこれはレガシーで言うところの30%の効果だ。つまり従来の6倍である。万古のと同等であり、しかも一緒に付けられるということだ。

 防御力(DEF)の割合上昇も従来の2倍になっており、防御力(DEF)が10%も上昇するのは他に旧 不朽のくらいしか存在しないために価値がより高まっていた。

 その代わりに重複不可制限があるが、空回りアセンに1つ入れておいて損は無い性能だ。

 

トピア「予想の倍の時間が掛かってしまいましたが、新型の 守護神を宿した が使える性能だと判明したので良しとしましょう。次は……リザードガンナーLv.90ですね」

 

 リザードガンナーのLv.60から89ならグリフォン探しの際に既に何回も遭遇しているが、Lv.90以上はまだ見つけていない。トピアはダンジョンを出て仮拠点に戻り、北北西の砂漠のボーンドラゴン近くの仮拠点へと移動した。

 

 

 乾燥地帯の上空からガンマで『王家の墳墓』を探し、今度も4つ目で当たりを引いた。今度は逆に3連続でグリフォンを引いてしまったということで、微妙に運が悪い。

 リザードガンナーLv.90のライフは島Lv7でも8万程度。マナサイフォンをかけたボールライトニング一撃で斃れる程度の耐久性だ。

 今回の目当てのエンチャントは以下の2つ。

 

・旧 クイックドロー:物理クリティカルダメージ+10%、物理クリティカル率+20%:リザードガンナーLv.90-:ドロップ率5%

 

 単独で物理クリティカル率を20%も引き上げてくれる上にデメリットも無いという強力なエンチャントで、攻撃力(ATK)が上がらないので空回り物理アセンに適している。レガシーでは 戦神を宿した よりも更に適用範囲が狭く、これが付与されたドロップ品のウェスタンハットをそのまま使うしかないという勿体ない代物だった。

 

・旧 ホローポイント攻撃力(ATK)+20、攻撃力(ATK)+20%:リザードガンナーLv.90-:ドロップ率10%

 

 これも 戦神を宿した 同様に攻撃力(ATK)と物理クリティカルダメージの割合増加が合計20%に乗っている強力なエンチャントだが、問題は クイックドロー と同じで、これが付与されたドロップ品のウェスタンハットをそのまま使うしかないということだった。

 

 こちらは悲願の罪の薬の効果があるので、オモチツキは19回で終了した。

 肝心のエンチャント性能はというと、以下のようになった。

 

・旧 クイックドロー:物理クリティカルダメージ+10%、物理クリティカル率+20%

・新 クイックドロー:物理クリティカル率+10%

 

 見る影も無いほどの弱体化だ。新型アイテムに付けるべきではないだろう。

 

・旧 ホローポイント攻撃力(ATK)+20、攻撃力(ATK)+20%

・新 ホローポイント:クリティカルダメージ+25%

 

 新型は全く別の性能になっているが、攻撃力(ATK)と物理クリティカルダメージの割合増加が合計25%に及んでいるため、ある意味では強化されている。攻撃力(ATK)だけが割合増加する旧 戦神を宿した などと組み合わせると特に効果が高そうだが、装備1箇所ごとに新旧どちらかに統一されるため実際は両方をまんべんなく付けることは出来ないのが残念なところだ。

 旧型も攻撃力(ATK)の割合増加と別に加算もそこそこあるため、新旧どちらも使い道があると言える。

 

 

 

 目的を果たしたトピアは、ダンジョンの入口に一応仮拠点を設置してから次の目的地を目指した。目指すはサンドイーターワームがドロップする以下のエンチャントだ。

 

・旧 大地から生まれた攻撃力(ATK)+120、魔法攻撃力(MATK)+120、スタミナ自然回復速度+5%、スキル『ガッツ』Lv3:アースイーターワームLv.90-

・旧 山脈から生まれた攻撃力(ATK)+80、魔法攻撃力(MATK)+80、スタミナ自然回復速度+2%、スキル『ガッツ』Lv2:マウンテンイーターワームLv.60-89

 

 いずれも攻撃力増強系エンチャントで、おまけで一撃死を防止するパッシブスキルが付いてくる。

 他にも 万物流転の といった有益エンチャントもワーム由来のものだが、これは元々の装備に付いていたのを一旦剥がして既に量産開始している。

 

 サンドイーターワームはダンジョンには出現せず、フィールドの火山の近くの砂地に生息している。つまりまずその限定的な環境を探す必要があるのだが、幸いこの砂漠の北にそういった場所があった。トピアがガンマから降りてザコMOBのレベルを調査してみると平均86程度あり、レベルの条件も問題は無さそうだ。しかしここからがまた問題で、サンドイーターワームは普段砂地に潜っているので上空からは探せない。砂地を歩き回ることで誘き出し、捕食に出てきたところで狩るしかないのだ。

 そんなわけでトピアは火山近くの砂漠を走り回った。砂が目・鼻・口に入ると面倒なのでFICSIT製のガスマスクを身につけており、その姿は異様であった。

 走り回ること20分ほど、トピアは地面からの震動を感知した。これに伴いマナサイフォンを発動し、ボールライトニングを設置。震動がいよいよ直下に達したところで回避アクションで飛び退くと、トピアが直前までいたところから焦げ茶色の巨大な芋虫が出現し、その頭を3つに割り開いた。分かれた3つの顎にはそれぞれ尖った歯が生えており、中心の喉に当たる部分も不気味に蠢いていた。食欲旺盛で何よりだ。

 現れたのはサンドイーター系の最上位に当たるアースイーターワームLv.91。体の側面についているこぶが弱点で、それ以外にはダメージが殆ど通らない面倒な敵だ。

 しかし名前とレベルそれを確認した直後にボールライトニングの雷撃がアースイーターワームを直撃し、一撃で葬った。

 アースイーターワームLv.91のライフは島Lv7換算で10万前後。弱点以外に攻撃がほぼ効かない特性と併せるとかなりの驚異の筈なのだが、ボールライトニングは電撃だからか肉質を無視する特性があり、しかも現在の円環魔導士の装(フォーム・サーキュラー・ソーサラー)Mk.3改ではマナサイフォンをかければ一撃10万を軽く超えるため、ほぼワーム特効になっているのだ。

 ドロップアイテムを回収したトピアはそれから悲願の罪の薬を飲んでアヌビスの免罪符を構え、読み上げた。

 

トピア「アヌビス神の名において汝の罪を許す」

 

 再び震動が砂地を伝わってきたため、トピアは設置したボールライトニングの中心点に立ってそれを待ち受ける。オモチツキの開始である。

 

 その後トピアは3段階目のマウンテンイーターワームを4体、最上位のアースイーターワームを追加で5体狩り、目的のエンチャントを揃えた。性能は全く変わっていなかった。

 

 目的を果たしたトピアはやや空中に浮かせて階段つきの仮拠点を設置すると、魔法の鏡(Magic Mirror)で自室に戻り、次の目的地へ移動した。

 

 

 

 次の目的地ははじまりの島のシャルバート氷山、氷結の遺跡だ。

 目的のエンチャントは以下のものだ。

 

・旧 むらのある攻撃力(ATK)-80、攻撃力(ATK)-200%、クリティカルダメージ+200%:はじまりの島のダンジョン報酬もしくはレガシーガチャ

 

 似たような名前の むらっけのある とほぼ同等の性能で、空回り物理エンチャントの与ダメージを大幅に増やすことに貢献する重要なエンチャントだ。両方揃えることで装備1つにつきクリティカルダメージを400%も増強出来るのだ。不安定な と違ってクリティカル率補正がつかないためレガシー環境では装備枠8つでの性能確保が難しく、実際設計してみた結果槍装備は普通のエンチャント構成の採用に至ったのだが、枠の数が増えた上に クイックドロー も使える現状では空回りアセンも十分候補に挙がるだろう。

 ダンジョン報酬で簡単に手に入らない場合は持ち込みスミスからガチャコインを繰り返し購入してゲットするのが最短になるだろう。或いはレガシーボス行脚をしてそれなりの量ドロップが溜まっている装備ガチャコインをまず使ってみるべきか。

 

・旧 封印を解かれし:地上移動速度+10%、攻撃力(ATK)+55、スタミナ自然回復速度+10%:フェンリルLv.30-:ドロップ率1%

 

 移動速度を10%も増しながら攻撃力にもそこそこの補正が入り、スタミナの運用も楽になる有益なエンチャントだ。レガシーではフェンリルの固有ドロップである『硬い爪』と『フェンリルの氷晶』にしかついていないエンチャントで、この素材を要求する装備がローズエッジ系片手剣と氷晶のイヤリングしかないので使える範囲が狭かった。

 

 つまりクリア報酬でむらのあるを狙いつつフェンリルのドロップで 封印を解かれし をゲットしようという一石二鳥作戦だ。いやダンジョン外のペンギンも含めると一石三鳥まである。つまりフェンリルよ、オヌシも鳥になるのだッ!

 ダンジョン難易度をヘルにして突入すると悲願の罪の薬を飲み、トピアは周回を開始した。

 相手は凍りつかせるフェンリルLv.50。3段階目で、レガシーなら目的のエンチャント素材をドロップする相手だ。

 しかしながらこの目論見は破綻した。30体ほど倒してみたが悲願の罪の薬を使っても硬い爪をドロップせず、フェンリルの氷晶にも 封印を解かれし がつかないのだ。いやそもそもあらゆるドロップアイテムに何のエンチャントもつかなかった。もしやあの女神的存在がドロップアイテムのエンチャント設定を一旦リセットしたまま忘れているのではなかろうか。上手くいけば麓でペンギン狩りもしていこうと思っていたが、これではそれも怪しいところだ。

 

トピア「このフェンリルはできそこないだ、食べられないよ……」

 

 30周で周回をやめたトピアはうなだれて深いため息を吐いた。

 そもそもダンジョンボスは食べ物ではない気がするが、理想郷の建設者(クラフトピアン)にとってMOBは資源の一形態なのだ。

 ダンジョンクリア報酬も最高難易度なのにレジェンダリ が10周に1つ程度しか出ず、シームレスワールドで新しく作られたエンチャントも全く出なかったので、これならガチャを回した方がましという判断になった。

 一石二鳥ないし三鳥作戦がまさかの成果無しであったが、とりあえず駄目なことは分かったので発明王を見習ってそれで良しとすることにしたトピアであった。理想郷の建設者(クラフトピアン)はくじけないのだ。

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