トピアはまだ聖騎士の装備の精錬を続けているが、通信で会議が再開された。
トピア「お待たせしました、会議を再開します。まずは工場長お願いします」
トリオ≪うむ、まずは統合建設システムの進捗じゃの。最終的な完成形ではないが、コアユニット・ガンマにカンパニーの建設システム、FICSITの建設システム、Techのビルドシステム、儂のロボットステーションを並列搭載して一括操作出来るようになった。TechインベントリとはTechビルドシステム以外連動出来んが、コア周辺の開発や発電所の建設でこれらの建設システムを併用することが多いようじゃけえ、とりあえず使えるようにした形じゃ≫
マイン≪少々不格好だがな≫
サティ≪そりゃ単に全部乗せて操縦系に接続しただけだもの。無理言って前倒ししてもらったんだから贅沢言わないの。実際建設の能率は格段に上がってるわ≫
工場長がスクリーンに出した改造型ガンマは、機体下部にTechコントロールユニットを装着、機体上部にロボットステーションと給電用核融合炉を乗せ、操縦席にビルドガンの接続アタッチメントが設けられた状態となっていた。確かにスタイリッシュとは言いがたい状態である。
トピア「これ着陸は大丈夫なんですか?」
トリオ≪コントロールユニットの車輪をランディングギアと同じ高さに調節してあるけえ、大丈夫じゃ≫
トピア「なるほど」
テクス≪これは工場長が自ら改造してるんでござるか?≫
トリオ≪儂が使っとる試作1号機は手作業じゃが、今姉ちゃんが使っとる試作2号機と騎士の姉ちゃんが使っとる試作3号機は部品製造を工作機械に、パーツ取り付けを建設ロボットに手順登録してある。流石に全員分手作業で作るのは手間が掛かるでの≫
スコア≪人数が増えて姉ちゃんや嬢ちゃんだと誰のことだかそろそろ分かりづらくなってきたな。今回はサティとマインだろうが≫
トリオ≪そうかの? 人の名前はどうにも覚えづらくてかなわんわ≫
サティ≪私まだ工場長に名前を覚えられてなかったのね……まあいいけど≫
テクス≪まあともかく複数の建設機能を使う仕事をする場合は工場長に頼めばそれほど手間も無く改造してもらえるわけでござるな≫
トリオ≪現状の試作版で良ければの。そんで次はコレじゃ。対BETAレーザータレットが完成したぞい≫
通信画面にレーザータレットの映像が映し出され、その諸元が表示される。
■名称:Meisters レーザータレットMk.3
・サイズ:2m×2m×2m
・射程距離:20km
・消費電力:800kJ×4.8射/秒=3.84MW
・変換効率:78.2%
・威力:3.00MW=300,000DPS
スコア≪おお、完成したのか! しかも予定の性能を少し超えているな!≫
比較対象を持ち出すと、スパイダートロンに搭載していた17連装レーザー防御システムの合算である252,144DPSをこれ1基で優越している。まあその分サイズがでかいのだが、変換効率が上がったためやや省エネにはなっている。
トリオ≪あれは最低限の見込みじゃからの。出来んことは言わんわい。んで今大量生産のためのラインを作っておるところじゃ。新型のタレットはTechのブロック仕様にも適合させておるから、Techインベントリに入れておけばどこからでも取り出せるはずじゃ。そんで、トキソピッド搭載用に更に性能を上げた上位グレードがこっちじゃ≫
トリオ工場長の操作で通信画面に次のものが映し出された。
■名称:Meisters レーザータレットMk.3 Type G
・サイズ:2m×2m×2m
・射程距離:60km
・消費電力:800kJ×4.8射/秒=3.84MW
・変換効率:99.0%
・威力:3.80MW=380,000DPS
・ミラー動作半径:200m
・備考:G元素カフェ6/9、13を少量使用
テクス≪必要射程35km問題があっさり解決してるでござるな。G元素の効果でござるか?≫
トリオ≪うむ、カフェ13の効果じゃの。発した光がほぼ空気に干渉せんようになることで、この距離で問題になる大気による威力減衰すらかなり抑える効力がある。恐らくこれが
トピア「このミラー動作半径というのは? まさかリフレクタービットですか?」
トリオ≪リフレクタービットというのが何を指すのかは知らんが、こいつは複数のレーザー砲が相互に射界を確保するためのものじゃぞ。スパイダートロンではフレキシブルアームで射界を確保しておったんじゃが、トキソピッドでは空中にダイヤコーティング誘電体多層膜のミラー端末を浮かせてそこにレーザーを撃ち込むことでどんな方向にも撃てるようになったわけじゃ。タレット自体も隣と干渉せんように真上まで撃てるようになっておるぞ≫
トピア「流石に動作半径200mではオールレンジは出来ませんか」
トリオ≪このミラー端末の動力はサージタワーの原理を応用したもので、自前の発電機は積んでおらんからな。20m×20mのサージタワーでも送電ロスを無視出来るのは400mが限界なんじゃから、機動兵器用にそれを縮小した送電装置ではこれ以上は無理じゃぞ。まあ上空200mに飛ばすことで稜線35kmの多少向こう側、距離60km地点まで撃ち込むことは出来るがの≫
テクス≪確かサージタワーは無線給電の距離が長い代わりに2つしか接続出来ない筈でござるよね? 25基もよく積めたでござるな≫
トリオ≪そこは常温超伝導を可能にするカフェ6/9の効果じゃの。ミラー端末にはコアユニット由来の固定座標滞空システムを利用しておるから振動対策も万全じゃぞ。トキソピッド本体の方も同様に脚から本体に伝わる振動をほぼ0にするシステムを組み込んでおる。既に射程限界でもスパイダートロンの近距離迎撃と同等の命中精度を達成しておるぞ≫
トピア「それはグレートですね」
多分型番のGはグレイ元素のGなのだろうが、グレートのGや元気のGという可能性も0ではない、などとトピアは余計なことを考えていた。
スコア≪G元素の利用研究が順調に進んでいるようだな≫
トリオ≪うむ、次にTechの無限実弾武装の実用化じゃ≫
スクリーンに2つのミサイルランチャーとその諸元が表示された。
■名称:Hawkeye 巡航ミサイル(原型)
・サイズ:3m×1m×1m
・威力《DMG》:1,000=10kJ
・射程:192m
・実用射程:140m(Tech AI限界)
・連射速度:0.2射/秒
・弾数:無限
■名称:Meisters 巡航ミサイルタレットMk.1
・サイズ:5m×1m×1m
・弾頭:8kg指向性爆薬弾頭(D型)、10kg通常爆薬弾頭(E型)から任意選択
・威力《DMG》:5,360,000=53.6MJ(D)、最大6,690,000=66.9MJ(E)
・射程:10km
・実用射程5km~10km(地平線)
・連射速度:0.2射/秒
・弾数:無限
トピア「あ、さっきから頭にマイスターズってついてたのはTechブロックのメーカー名だったんですね」
トリオ≪入力欄があったからの≫
テクス≪大分本格的な改造になったでござるな≫
サティ≪見た目も大分違うわね≫
トリオ≪Tech規格の接続と無限発射システム以外はほぼ別物じゃけの。原型は実際の飛翔距離の短さもさることながら、140m以遠の標的を認識出来んことが最大のネックになっておったわけじゃが、こいつは武器そのものじゃなくこれを制御するTech AIの方の問題じゃ。んでまだそっちの問題は片付いてないようじゃけ、逆に独立して動く普通のミサイルランチャーをベースにTech互換性を持たせたわけじゃ。参考にしたんはスペースヒロシマで設計図が出回っておった古いアクティブ誘導ミサイルじゃが、用途上最新ミサイルほどの射程と誘導性は必要無いじゃろ≫
テクス≪それはかたじけないでござる≫
トピア「ミサイルの設計図が出回ってるのがさすがはスペースヒロシマというか」
やはり極道の間で兵器がある程度流通しているのだろうかとトピアは想像した。
サティ≪それでまるで別物のように長くなってるのね≫
トリオ≪長さについてはランチャーの制御AIもそうじゃが、ミサイルの弾頭重量を増やした影響が大きいの。その弾頭じゃが、爆薬はトリメチレントリニトロアミンの10kg通常爆薬弾頭と8kg指向性爆薬弾頭を用意しておる≫
ラリー≪違いは何なんだ? 通常の方が威力がでかそうに見えるが≫
トリオ≪E型の通常爆薬は全方位に威力が出る分だけ威力が散って装甲貫徹力が低いけえの。最大威力が出るんは体内で爆発したときくらいじゃ。D型の指向性爆薬弾頭ならまず確実に
ラリー≪なるほど、そいつは便利だな≫
スコア≪それで数にも対抗出来るようになっているわけだな≫
トリオ≪うむ。地上ではレーザータレットとミサイルタレットをリスク分散で混在させるわけじゃが、水中用にこのミサイルと同じ弾頭を採用した魚雷を開発した≫
画面から原型ミサイルが消え、代わりに魚雷が映し出された。
■名称:Meisters 魚雷タレットMk.1
・サイズ:5m×1m×1m
・弾頭:8kg指向性爆薬弾頭(D型)、10kg通常爆薬弾頭(E型)から任意選択
・威力《DMG》:5,360,000=53.6MJ(D)、最大6,690,000=66.9MJ(E)
・射程:8km
・実用射程5km~8km(地平線)
・連射速度:0.2射/秒
・弾数:無限
マイン≪ほぼ同じ性能だな?≫
トリオ≪参考にした魚雷本体はさっきの旧式ミサイルとは別のものじゃが、弾頭が同じじゃからの。水中では衝撃波が伝わりやすい分、E型弾頭はある程度長距離でないと使えないのが要注意じゃ≫
サティ≪ともかくこれで前線を固めるためのタレットが一通り揃ったわけね?≫
テクス≪レールガンはどうなったでござる?≫
トリオ≪一応出来たんじゃが……まあ性能はこんな感じじゃ≫
■名称:Hawkeye クアッドレールガン(原型)
・サイズ:5m×5m×3m
・威力《DMG》:1,180=11.8kJ
・射程:400m
・実用射程:140m(Tech AI限界)
・連射速度:2.03射/秒
・弾数:無限
■名称:Meisters クアッドレールガンMk.1 Type G
・サイズ:5m×5m×4m
・弾頭:
・消費電力:20MJ×2射/秒=40MW
・運動エネルギー変換効率:99.0%
・運動エネルギーから破壊力への変換効率:95.0%
・威力《DMG》:1,881,000=18.81MJ
・射程:18km
・実用射程5km~10km(地平線)
・連射速度:2射/秒
・弾数:無限
・備考:G元素カフェ6/9を少量使用
トリオ≪何というかこう……分かるじゃろ? 実弾の運動エネルギーで相手の装甲を確実に抜こうとするのを電力で実現すると消費がこうなるんじゃよ≫
テクス≪ああ、これは使いづらいでござるな≫
サティ≪威力はすごいけれど、消費電力が酷いわね≫
マイン≪改良型のトキソピッドにも3基搭載するのが精々ではないか≫
スコア≪G元素を使うようでは量産にも向かないな≫
ラリー≪
トピア「いっそもっと尖らせて戦艦砲並にして拠点攻撃用に使うくらいですかねえ」
レールガンはレーザーと並ぶ科学の期待の星であったが、十分な威力を求めると消費電力の問題が立ちはだかるようであった。
トリオ≪あとはあれじゃな、BETAに電撃が通りやすいと聞いたんで、うちの放電防御モジュールにTechのテスラコイルとカンパニーのアークの技術を取り入れて新しいのを作ってみたぞい≫
■名称:Meisters 放電タレットMk.1
・サイズ:2m×2m×2m
・射程距離:400m
・消費電力:10MW
・ダメージ変換効率:75.0%
・威力:7.5MW=750,000DPS
・備考:G元素カフェ6/9を少量使用
サティ≪確かアークの変換効率が25%、テスラコイルの変換効率が30%だったわよね? G元素の常温超伝導で随分効率が上がったわね≫
トリオ≪どうも周囲の空気の電気抵抗も少しは操作出来るようでの≫
サティ≪それはとんでもないわね≫
テクス≪それでもレーザーの方が威力も変換効率も高いようでござるが、これもリスク分散でござるか?≫
トピア「それもありますが、BETA中枢の重
ラリー≪なるほどな≫
トリオ≪ちゅうわけで、トキソピッドにこれも搭載予定となっておるわけじゃ≫
スコア≪電力は足りるのか?≫
トリオ≪レーザーとの同時使用は滅多にせんじゃろうから、まあ何とかなるじゃろ。儂からの報告はこんな所じゃの。武装も出来たことじゃし、今日はトキソピッド本体の改造に本格的に取りかかっておる所じゃ≫
今日も工場長の労働の成果は尋常ではなく、トピアの横ではよく分からないまま聞いている聖騎士も目を輝かせていたのだった。