【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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117. ダンジョンスピリット(Dungeon Spirit)の養殖をしたいんだが、霊魂の養殖って出来るのか?

 トリオ工場長の報告が終わるあたりでトピアは聖騎士の装備精錬作業を終わらせ、ラリーの作業に合流することにした。

 

トピア「では次はサティ姐さんの報告……の前に、ラリーさん、そちらに合流しようと思うんですが場所はどこですか? あとクロロファイトのつるはしって聖騎士さんの分もありますか?」

 

ラリー≪いやそれがな、プランテラ(Plantera)の討伐が前倒しになったもんで別の選択肢が出来てな。試しにダンジョンスピリット(Dungeon Spirit)をモンスタープリズムで捕獲してみたら出来ちまったんで、スコアにも手伝ってもらってそれを使った高速掘削用の乗り物を今準備中だ≫

 

トピア「そんなのあるんですか?」

 

サティ≪初耳ね≫

 

スコア≪あるらしいぞ。要求資材が重くて作れなかったようだが≫

 

ラリー≪んで、光るキノコ(Glowing Mushroom)の高速栽培を頼みたいんだが、出来るか?≫

 

トピア「栽培は菌床か種があれば出来ますが、あります?」

 

ラリー≪キノコ菌床の種(Mushroom Grass Seeds)があるぜ。あと一つ、ダンジョンスピリット(Dungeon Spirit)の養殖をしたいんだが、霊魂の養殖って出来るのか?≫

 

 いくらモンスター扱いだからと言って霊魂を繁殖させるというのは概念的に大分無理を感じる。しかしクラフトピアにそんな常識は通じない。

 

トピア「モンスタープリズムに入ったのならマミーやスケルトンの養殖も可能なので大丈夫だと思いますよ」

 

ラリー≪それもそうだな≫

 

サティ≪相変わらず節操がないわね、トピアの所の設備は≫

 

テクス≪まあ頼もしいとも言えるでござるが≫

 

 何でも出来すぎてアヌビス神ですら構わず増やしてしまうのだ。節操がないと言われても仕方ないだろう。

 

トピア「ただ、増やすのはいいんですけど、霊魂ってタレットと同じ高さに落下しますかね?」

 

ラリー≪そこが難しいところだな。奴は壁や床も抜けるから誘導も難しいしな≫

 

スコア≪どうしたものだろうな≫

 

 三人はアイデアに詰まってうーんとうなりを上げた。

 

テクス≪ちょっといいでござるか? 出てくる位置が決まっているのならそこにギガ・プラズマを固定設置すればよいのではござらんか?≫

 

トピア「ギガ・プラズマ……確か秒間5,000ダメージのプラズマカッターでしたっけ? 核融合炉内蔵で補助電源不要の」

 

ラリー≪それだッ!! すまんが今からそのギガ・プラズマを設置してもらっていいか?≫

 

テクス≪今から!? ……ま、まあ頼られては仕方ないでござるな。ちょっと待ってるでござるよ≫

 

トピア「じゃあ私は栽培所の建設に入りますね」

 

聖騎士「我はどうすれば?」

 

 聖騎士はトピアと一緒につるはしを持って隔離作業に参加する予定だったので手持ち無沙汰になった形だ。

 

トピア「あー、ラリーさん、その高速掘削機って聖騎士さんの分も用意出来ます?」

 

ラリー≪今言ったものの量産が出来れば全員分でも揃う≫

 

トピア「分かりました。では聖騎士さんは私が呼ぶまで新装備に慣れておいて下さい」

 

聖騎士「承知した」

 

 トピアは工房を出て農場へ向かった。

 聖騎士は動ける場所を求めて自動農場の空きスペースに向かったようだ。

 

シュミット≪行ってらっしゃーい≫

 

カミール「気をつけてな」

 

トピア「ではサティ姐さん報告お願いします」

 

サティ≪ええ。まずカンパニーの機材の放射線遮蔽とテレポーターロジスティクスの組み込みについてね。これまで複数の建設システムを使い分けて順番に組み立てていく必要があったから結構な手間が掛かっていたのだけれど、工場長に提供してもらった試作統合建設システムのお陰で大分捗るようになったわ。具体的には176並列26.4GW希釈燃料発電所の建設が98箇所終わって発電量が2.6TWになったわね。これを加速ドームで更に2.5倍して6.5TWよ≫

 

トピア「昨日確か50GWくらいと伺ってたので、一気に100倍以上になりましたね」

 

サティ≪でも最終的にタレットを2.5倍速駆動させることまで考えるとタレット用途に加速前で77TW、余裕を持って全体で100TW、加速状態では250TWくらい確保しておきたいから、もっとペースを上げていきたいわね。ただペースを上げると発電所の建設資材が足りなくなるから今は建材の製造ラインも拡張中よ≫

 

 桁が大きすぎてどういうレベルなのか分かりづらいが、2022年の地球全体の電力消費量は年間25PWh程度、時間で2.9TW程度なので現状の発電量はもうそれを超えている。更に現状の30倍~40倍が必要とは現代で電力に関わる地球人からはまず出てこない言葉だろうが、この匠衆(マイスターズ)は最初からそれを見据えて活動しているのが恐ろしいところだ。

 まあ実際にはそれがどうにか達成出来ると分かっている者とそれがどれだけ大きな要求かが分かっていない者に二分されているのだが。

 

 トピアは報告を聞きながら順調に栽培施設を建設していっている。ガワは隣の施設の続きに作るだけなので簡単だが、機能にはあまり関係ないので早速床に中型プランターを並べる作業から始めている。

 レガシーの★×6中型プランターは材料に糞を要求されるので量産が大変だったのだが、新型の★×5中型プランターはセラミックと砂で製造出来るので助かる。まあそのセラミックの材料に粘土があるので、ラリーの助けが無ければ水の調達で苦労しただろうが。あと小麦畑同様に新型の中型プランターは種のエンチャントを引き継がないのでエンチャント量産用途には使えないことが判明している。

 

サティ≪実際に発電所を建設しているのはコア:ニュークリアスの周辺で、特に新しく設置されたコアの近くに優先的に建てているわ。これでコア設置が捗るのよね?≫

 

マイン≪そうだな、電力確保の作業が省ければ大分能率が上がる。コアを設置してすぐ戦闘となる場合はRTG発電機を大量設置して急場をしのぐのだが、あれも燃料が在庫の持ち出しになるしスペースを取るからな≫

 

サティ≪というわけで今はコアの間をつなぐ送電網をまだ作っていないから電力がひとかたまりで運用出来てないのよ。タレットの設置に掛かるまでには誰か送電網を作ってくれると有難いのだけれど。これは別に難しくなくて、送電線を指定の経路に沿って引いていくだけの作業よ≫

 

 つまり単純で時間が掛かる作業に(マイスター)の時間を使うのは勿体ないので送電網の整備は後回しになっているのだ。

 

トピア「じゃあ隔離作業が終わったらカミールさん、ファムさん、聖騎士さんにもガンマ改の操縦を覚えてもらいましょう。送電網の設置ならそれほど難しくないでしょうし、前線へのタレット設置の際にも人手が増やせます。で、慣れたら発電所の設置にも参加して大丈夫そうですか?」

 

サティ≪そうねえ、今はちょっと採掘機械と別々に設置する手間があるから心配だけれど、統合建設システムが完成したら複雑な手順も無く丸ごと建設を実行出来ると思うわ。今のうちに簡単な建設作業に慣れてもらうのは悪くないわね≫

 

トピア「じゃあそれで行きましょう」

 

サティ≪あとはテレポーターロジスティクスね。設置手順がまだ若干複雑だけれど、コア周辺の短い区間ではもう動き始めているわ≫

 

マイン≪インゴットだけならば発射台で飛ばす手もあるのだがな≫

 

テクス≪着地の衝撃が問題になる上に、今後BETAに撃ち落とされる可能性を考えるとあんまり頼れないでござるな≫

 

サティ≪それで、このテレポーターロジスティクスに使うケーブルなんだけど、実はメカニック謹製のワイヤーじゃなくてもいいみたいでね、普通の信号ケーブルや送電線でも使えたわ≫

 

ラリー≪何、そうなのか?≫

 

サティ≪空中配線や不可視配線をするにはメカニック謹製のワイヤーが必要だけれど、普通に配線するだけならね。かと言ってカンパニーの電源ノードみたいな無線だと駄目みたいね。有線でしっかり繋がっていることが条件なんでしょうね。だから送電網の敷設の際には大量の品目を送ることが出来る集合ケーブルを一緒に敷設してもらうことになるわ≫

 

トリオ≪ふむ、集合ケーブルで間の区間をコンパクトにして両端のソケットからアタッチメントに接続して大量のテレポーターに接続するわけじゃな。送電網と一緒に冗長化出来るじゃろうし、ケーブル保護の観点からしても悪くないじゃろ≫

 

サティ≪そのために一度に送電線と集合ケーブルを敷設出来る電柱を設計してるんだけれど……電柱の高さに達するような大型生物が徘徊していることを考慮すると地面配線の方が破壊されにくいかしらね? 地中配線は埋める手間があるから難しいけれど≫

 

マイン≪我が中隊(カンパニー)ならば無線ノード形式を勧めるのだが、結局電力以外にテレポーターのケーブルが必要となるとな≫

 

テクス≪それがしも近距離無線給電方式で、電線は使ってないでござるな。ただその前に、仮に地中に埋めたとしても地中にモンスターが徘徊してるのは問題でござらんか?≫

 

サティ≪その問題もあったわね……≫

 

トリオ≪儂の所は電線方式じゃったが、防衛線を抜かれると電柱ごとやられておったからの。修理のためにロボットステーションを設置しておけば自動修理も出来るじゃろうが、区間が長いと資材と電力を食うのがネックじゃの≫

 

サティ≪となると、なるべく頑丈な材料のパイプの中を通していくのが一番安全性が高そうね。結局線路を引くみたいな状態になるけれど……形状的にはモノレールが使えそうね? 断面が台形だから車両で横切ることも出来るし≫

 

トピア「行けそうな感じですかね?」

 

サティ≪大量生産体制が整っている現状ならではの方策だけれどね。問題解決のイメージは大体固まったから私からは以上よ≫

 

トピア≪ありがとうございました。次はマインさんですね≫

 

 このあたりでトピアはプランターとスプリンクラーと刈り取り機を並べ終わっていた。ブループリントデザイナーや配置設計図による自動建設も無いのに手慣れたものである。

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