【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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118. うーん、このシステマティックにブロック化された機械の塊、興奮してきたぁ!

 サティの報告が終わり、トピアが栽培設備に高速コンベアを設置しようとしたところで来客があった。

 

ラリー「ようトピア、来たぜ」

 

スコア「お邪魔するよ」

 

トピア「あ、ラリーさん達。種まきはもうできる状態ですよ。種まきはこう、なるべく広範囲に散らばるようにするのがお勧めです」

 

 トピアがオーバースローで広範囲に種を蒔くジェスチャーで説明を試みる。

 

ラリー「分かった」

 

マイン≪おい、報告を始めるぞ?≫

 

トピア「お願いします」

 

 トピアの建設作業に交じってラリーとスコアも黙々とキノコの種まきを始めた。菌床なのだが、他と変わらず投げて種まき出来るようだ。

 

マイン≪まず新しいコア、003と004の設置が完了した。これは工場長の衛星観測にあった通りだ。更に対環境性能の調整が終わり、放射線遮蔽が出来る仕組みとテレポーターロジスティクスへの対応も完了したので、これからは更に捗るぞ。電力の確保も容易になったしな≫

 

トリオ≪つまり今日4つ増えるのは確実ということじゃの?≫

 

マイン≪当然だ。問題が起きなければ生産力を更に強化して今日は最大12の拠点が増えるだろう≫

 

トピア「2日分のスピードですね。システムが不安定になる原因は判明しましたか?」

 

マイン≪そちらはまあ……原因は分かったんだがな≫

 

サティ≪どんなの?≫

 

マイン≪基幹システム自体はあらゆる環境に対応するべく柔軟性を最優先にしたものでな、それで新しい設計のデバイスを簡単に登録出来るようになっているのだ。しかしどうもこのデバイス運用の効率改善プログラムでリソースの食い合いなどの衝突が発生したときにそれを解決する部分が上手く行っていないようで、無理に解決しようとして逆に基幹システムが落ちてしまっているようなのだ。つまりこの仲裁システムとデバイス同士の衝突を解決すればいいわけだが、修正のための工程は……うん? どうした貴様らそんな顔をして≫

 

トピア「いえ、マインさんが珍しくストレートに頭良さそうな発言をしているのでどうしたのかと」

 

 画面では大体の面子がトピアの発言に頷いていた。

 

マイン≪ハア? 何だ、貴様らまだ我の最強ぶりを理解していなかったのか? 我の態度が謙虚すぎたせいか?≫

 

 マインは言外に「これだから凡人共は」と言わんばかりの態度で肩をすくめた。誰が見ても謙虚さの欠片も無い。

 

テクス≪いやどう考えてもその馬鹿みたいなビッグマウスのせいでござるよ≫

 

ラリー「こうなるといつものマインで逆に安心感があるな」

 

トリオ≪しかし自分でそれだけ理解出来るなら何故これまで対処しなかったんじゃ?≫

 

マイン≪惑星攻略中は修正している暇が無いし、そもそも我の所属は開発部署ではないからな。そのままでも戦えんことはないし、不具合の報告は上げていた≫

 

トピア「あっ、何となく原因分かっちゃいました」

 

スコア「さては例によって主観と罵倒まみれの報告書を送ったな?」

 

マイン≪何を言う、中隊(カンパニー)の恥は我が恥だ。放っておけるわけがないだろう≫

 

サティ≪予定のコア増設を進めながら不安定問題の解決も進んでるのも実は結構すごいんだけれど、こういう所が抜けてるのよね……それで修正は出来そう?≫

 

マイン≪仲裁システムの修正だけならば今日中に出来るだろう。デバイス同士の衝突まで全部となると数が多すぎて数日では終わらん≫

 

トピア「それでシステムのフリーズやクラッシュはしなくなるんですか?」

 

マイン≪実際やってみなければ分からんが、原理的にはそうなるはずだ。結果的にリソースの奪い合いで僅かに生産性が落ちる可能性はあるが≫

 

トピア「おお、問題解決の光明が見えてきましたね。さすが大口叩くだけのことはあります」

 

マイン≪フフフ、それほどでもないが、我は皆に頼られるメイン盾、騎士(ナイト)であるからな!≫

 

聖騎士≪うむ、同じ騎士としてマイン殿の活躍を嬉しく思うぞ≫

 

テクス≪能力は高いんでござるよなぁ≫

 

ラリー「ま、これはこれでいいんじゃねえの?」

 

カミール≪やはり謙遜もタイミングによってはかっこいいな……?≫

 

ファム≪カミールさん目を覚まして!?≫

 

 カミールが変な影響を受けそうになっているのをファムが引き留めているが、一応どんな使い方がかっこいいかの判断は付いているようなのでトピアは静観することにした。

 

トピア「ともあれマインさんの方は順調なようですね。あ、ラリーさんこんな感じで……それ何やってるんですか?」

 

 議事進行をしつつトピアは壁力発生用の金網の壁、高速コンベア、大容量コンテナ、ガラス張りの窓と屋根を設置し、栽培設備を完成させていた。

 そしてラリーにこれで大丈夫か問うたわけだが、ラリーは何やらキノコ栽培所の上に住居施設を作っていた。

 

ラリー「おう、ばっちりだぜ。これで地上キノコ群生地(Surface Mushroom)の条件も揃った筈だから、トリュフ(Truffle)用の部屋をな」

 

トピア「トリュフ?」

 

ラリー「今回の掘削機械を作るのに必要な住民だぜ。よし一旦距離を取るぞ」

 

トピア「ああ、いつものですね」

 

 ラリーの所の住民はいつの間にかどこからともなく居室にやってくるため、部屋を注視していてはいつまで経ってもやってこないのだ。

 ラリーはトピア達を連れて一旦キノコ栽培所を離れた。

 

テクス≪報告を始めて良いでござるか?≫

 

トピア「あ、お願いします」

 

テクス≪はっきり言ってマインのことを笑ってる場合じゃないくらい捗ってないでござる≫

 

マイン≪おいィ?≫

 

テクス≪ミサイル、魚雷、レールガン、電撃砲の開発は成功したようでござるが、あれは工場長の研究所の成果で、それがしはほぼ資料を提出して必要なサンプルを生産してただけでござるからなあ≫

 

トピア「Techの不安定性の原因は分かりました?」

 

テクス≪いやこれ、特定の何かではなく殆ど全部でござるな≫

 

スコア「全部?」

 

テクス≪GSOのシステムを元にして色々な組織が独自に改造したのを統合した結果色々な要素が雑然と絡まって互いに仕様を逸脱して不具合を起こしておるゆえ、何か一つ解決すればよしとはならんのでござる」

 

トリオ≪ふむ、カンパニーのOSと似たような問題じゃが、元々色々と内包するのを前提にモジュール設計されておったカンパニーOSよりも一層酷い状態になっておる感じじゃの?≫

 

サティ≪その改造前のシンプルな状態のサンプルは無いの?≫

 

テクス≪GSO提供の開発用ソースコードでこの状態ゆえ、これ以上シンプルなのは手元に無いでござるよ。しかもこのOSから必要な要素以外ほぼ全部そぎ落としてもまだ安定しないでござる≫

 

トピア「大分末期的ですねTech OS」

 

サティ≪機能性は素晴らしいのにね≫

 

テクス≪しかしそんなそれがしの窮地に舞い降りた心強い助っ人、サイボーグのゼータ殿とスチームパンカーのホープ殿でござる!≫

 

スチームパンカーのホープ≪あたいはスチームパンカー(Steampunker)のホープ、発明家さ! 科学のことならあたいにまかしときな!≫

 

サイボーグのゼータ≪『ヒヨッコパンカー』ガ発明家トハ笑ワセテクレマスネ、ワタシガ科学ノ何タルカヲ見セテヤリマスヨ≫

 

ラリー「あれ、俺はサイボーグ(Cyborg)だけ紹介したはずだが?」

 

サティ≪通信機も渡した覚えは無いけれど?≫

 

スチームパンカーのホープ≪そのくらい自分で何とかしたさ! こんな面白そうな仕事をサイボーグ(Cyborg)がやっててあたいが指を咥えて見てるだけなんて我慢出来るはずがないだろ!?≫

 

サイボーグのゼータ≪フン、ヒヨッコパンカーニハ10年早イ仕事デスヨ≫

 

カミール「しかも早速喧嘩しているようだけど、これで勝手に色々改造されたのを統一状態に持って行けるのかい?」

 

テクス≪いやこう見えて息はぴったりでござるよ?≫

 

ラリー「ああ、そいつらこう見えて実は仲がいいぞ」

 

 熟達したテラリアンは住民の好き嫌いを正確に把握している。

 測定法としては、まず特定のバイオームに部屋を作って住民を配置し、基本的な販売価格を見る。バイオームが適していればこの時点で機嫌が良くなっていくらか値段が下がる。そしてその部屋の隣にもう一人住まわせたときの値段の上下で住民同士の好き嫌いが分かる。サイボーグ(Cyborg)スチームパンカー(Steampunker)の場合は互いに値段が下がるので相互に好感を抱いている関係というわけだ。

 まあテラリアンからすると測定の目的は住民幸福度の向上ではなくて値段の方なのだが、結果的に住民幸福度が上がれば別にどちらでも良いだろう。

 なおラリーの従来の世界では住民を各バイオームに分散させてパイロン(Pylon)を稼働させつつ全体の幸福度を向上させていたのだが、現在は保護のために地下集合住宅に住民を詰め込む必要があるので最高効率の達成は不可能である。

 

サティ≪いえその前に暗号化をあっさり破られてるのが問題なんだけれど……?≫

 

スチームパンカーのホープ≪いやいやなかなか手強かったよ! 落ち込むこと無いって!≫

 

サイボーグのゼータ≪マア結局壊レタ通信機ヲベースニシテ作ッテマシタカラネ≫

 

トピア「ああ、ラリーさんのを修理したんですか?」

 

ラリー≪おう、何かやたら欲しがってたんで売ったぞ。まずかったか?≫

 

サティ≪……今後は廃棄品の管理も気をつけないといけないわね≫

 

 どうもミルウィン丘陵の塔を破壊したときに故障して廃棄されたラリーの通信機を修理した上で使っているらしい。

 同じように外部に流出しては問題なので今後は廃棄品の扱いにも留意しなければならない。

 

ラリー≪まあそっちの仕事をするのはいいけど、常設の仕事も必要な分はやってくれよな?」

 

スチームパンカーのホープ≪あったりまえよー! うーん、このシステマティックにブロック化された機械の塊、興奮してきたぁ!≫

 

サイボーグのゼータ≪今回イジルノハソフトウェアノ方デスヨ≫

 

マイン≪本当に大丈夫なんだろうな……?≫

 

トリオ≪まあ何ともならんかったらまた相談してくれ≫

 

テクス≪承知、報告は以上でござる≫

 

トピア「混沌としてますねえ」

 

ラリー「そろそろいいだろ。トリュフ(Truffle)を迎えに行くぞ」

 

 テクスの報告を聞き終わったラリー達は、キノコ栽培所の上に建てた住居に向かった。

 ラリーが扉を開けると中には青い傘のキノコ人間が居座っており、キノコ人間牧場を運営しているスコアは咄嗟に身構えた。

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