【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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121. つまり飛んで火に入る夏の虫ということだ

 汚染領域の隔離作業は順調に進んだ。

 途中でメデューサ(Medusa)に遭遇して睨まれたりもしたが、事前に用意していた偏光サングラス(Reflective Shades)のお陰で石化が効かず、一番危険なメデューサ(Medusa)を完全に無視して掘削を進めることが出来た。

 まだ昼には早い時間に赤い森その2を地下世界(The Underworld)まで掘り抜き、ラリーが補強を施しながら全体のチェックを終えたことで昼には隔離作業が終了となった。

 

 

 

 そして昼食の時間、カミールから朗報がもたらされた。全ての新型スキルと新型エンチャントのデータ入力が完了したのだ。

 

トピア「素晴らしい仕事ぶりですよカミールさん、それにシュミットさん」

 

スコア「つまりこれで最終装備の設計が可能ということだな? よくやってくれた」

 

カミール「まあワタシ達の力をもってすればこのくらいはな」

 

 カミールは眼鏡に手を添えて知性アピールしており、シュミットも自慢げに腕を組んでいた。実際誇るだけの実績であるので文句は無い。

 

トピア「というわけで引き続きお二人で私達の装備の設計をしてもらっていいですか?」

 

カミール「いやそれは……いいのかい?」

 

 トピア達の最終装備を作るための下調べ作業をやっているだけと認識していたカミールが戸惑いの声を上げた。

 

トピア「最終的には私が監修しますが、お二人だけでも8割か9割は詰められるはずです。方針としてはまず機動軽槍兵の装(フォーム・スピーディー・スピアマン)と超幻のファントムスパークは通常アセンと空回りアセンの両方を組んでみて下さい。そしてその結果を元に、強かった方のパターンで他の装備セットも設計して下さい」

 

 何故槍と弓の両方のパターンを試すのかというと、槍ではまず空回りの方が強い確信があるのだが、弓は両手武器のため盾を装備出来ず、盾専用の強力なエンチャントをつけられない条件でも空回りの方が強いのかを確認する必要があるからだ。

 槍もどう見ても両手で持ってるだろうというのは理想郷の建設者(クラフトピアン)にとっては今更の疑問だ。

 なお先に防具の精錬だけでもやらないのは、その防具自体を別のものに入れ替える可能性を考慮した結果だ。

 

カミール「……分かった、ワタシ達の能力を信用してのことならそれに応えてみせよう」

 

シュミット≪オバチャンも頑張っちゃうだわよ≫

 

トピア「宜しくお願いします」

 

ラリー「んじゃ俺らは隔離作業に戻るか」

 

聖騎士「承知した」

 

スコア「次のバージョンがどれだけ強くなっているのか楽しみだな」

 

 

 

 午後の仕事でトピア達は最後に残った汚染領域である聖域(The Hallow)の隔離作業を進めた。

 作業にはもう慣れたもので、作業を進めながら聖十字の盾(Ankh Shield)の材料をドロップするライトマミー(Light Mummy)アーマードスケルトン(Armored Skeleton)トキシックスラッジ(Toxic Sludge)を捕獲できた。これで聖十字の盾(Ankh Shield)のドロップアイテム要求は完全に満たした形になり、合成系統は以下のようになる。

 

鎧磨き(Armor Polish)+ビタミン剤(Vitamins)鎧の留め具(Armor Bracing)

胃石(Bezoar)+絆創膏(Adhesive Bandage)薬用絆創膏(Medicated Bandage)

正確な時計(Fast Clock)+三つ折の地図(Trifold Map)計画書(The Plan)

メガフォン(Megaphone)+魔除け(Nazar)破呪のマントラ(Countercurse Mantra)

目隠し(Blindfold)+手鏡(Pocket Mirror)偏光サングラス(Reflective Shades)

鎧の留め具(Armor Bracing)+薬用絆創膏(Medicated Bandage)+計画書(The Plan)+破呪のマントラ(Countercurse Mantra)+偏光サングラス(Reflective Shades)聖十字のお守り(Ankh Charm)

 

黒曜石(Obsidian)×20→黒曜石のドクロ(Obsidian Skull)

黒曜石のドクロ(Obsidian Skull)+コバルトの盾(Cobalt Shield)黒曜石の盾(Obsidian Shield)

 

聖十字のお守り(Ankh Charm)+黒曜石の盾(Obsidian Shield)聖十字の盾(Ankh Shield)

 

 これだけの装備品を合成して完成する聖十字の盾(Ankh Shield)は出血、防具損傷、炎上、混乱、呪い、弱体化、暗闇、毒、沈黙、鈍化、石化、凍え、そしてノックバックを無効化するという強力無比な耐性特化防具である。

 これらのうち炎上、凍え、ノックバック以外の10種類は聖十字のお守り(Ankh Charm)でも無効化出来、アイテム自体が小さく誰が装備してもアクセサリ枠に入るので、生産メインの面子にはこちらの方が合っているだろう。また、聖十字の盾(Ankh Shield)防御力(DEF)が4と盾にしては大分低いので、普通の盾を装備して別途アクセサリに聖十字のお守り(Ankh Charm)を装備するという選択肢もある。

 

 ともかく聖十字の盾(Ankh Shield)聖十字のお守り(Ankh Charm)を必要数揃えるべく、モンスターの捕獲が完了した時点でトピア達は隔離作業を中断して最優先でコアベースに養殖施設を建造した。今回捕獲したモンスターは全部地面を移動するタイプなので、テクスを呼んでギガ・プラズマを設置してもらう必要は無かった。

 

 そして夕飯までには聖域(The Hallow)の隔離・補強作業も完了し、次は助手達のコアユニット操縦訓練かと和やかに夕食を楽しんでいた時に食堂に警報が鳴り響いた。

 

トピア「何事ですか?」

 

トリオ「これは惑星外からの落着物警報じゃの。ものは恐らくBETA着陸ユニット、落着予想はここじゃ」

 

 工場長が食堂兼会議室に衛星観測地図を表示した。

 落着予想2と銘打たれた東西に長い楕円状のエリア。ナンバーが2なのは、現在BETA還元施設になっている落着ポイントを1つ目とカウントしたためだろう。

 

 

【挿絵表示】

 

 

トピア「おお、落着予想が出来るようになってる……というかコアめっちゃ増えてますね!?」

 

 トピアの言う通り、マインが設置したコアの数が昨日の4倍に増えていた。宣言通り2日分進めたのだ。

 

ラリー「随分捗ってんなコアの設置」

 

マイン「フハハ、中隊(カンパニー)のコアは本来戦いながら設置数を増やしていくものだ。戦う相手もいないエリアに増やしていくことなど容易いことだ」

 

サティ「まあ電力確保は私も手伝ったんだけど」

 

スコア「このエリアに落着するとして、設備の損害予想はどうなんだ?」

 

マイン「コア012から016は設置したばかりだ。周辺施設は限られている。コア自体に当たったら問題だが、見たところそれも無かろう。つまり飛んで火に入る夏の虫ということだフハハハハ!」

 

テクス「たまたま都合の良いところに来てくれて良かったでござるな」

 

トピア「落着までの時間はどのくらいですか?」

 

トリオ「あと3時間といったところか……」

 

 などと対策を検討していたところ、また警報が鳴った。

 

トピア「……もしかしておかわりですか?」

 

トリオ「そのようじゃの」

 

 工場長が再びディスプレイに表示した地図には3つ目の落着予想エリアが追加されていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

テクス「これは厄介な所に」

 

カミール「はじまりの島に直撃する可能性すらあるのか!?」

 

トピア「島の面積は小さいので直撃の可能性は高くないですが、開戦前に避難誘導が必要ですね。まずアヌビス様、はじまりの島の住民全員に危機の到来を通達出来ますか?」

 

アヌビス神「XX(可能だ)」

 

トピア「ではまず最寄りの楔の塔に避難するように通達をお願いします。ただミルウィン丘陵の塔は壊してしまったのでそこは直接ポータルを設置して、あと現地で避難誘導する人が必要ですね」

 

 トピアが顔を見回すと、ファムと聖騎士が行きたそうな顔をしていた。

 

トピア「では聖騎士さん行けますか?」

 

聖騎士「無論だ。人々を守るのは我が使命!」

 

マイン「何故聖騎士なのだ?」

 

トピア「元々島の災害対策を担当していたので有事の際の行動に信用があり、更にさっきまでドリルユニットを操作していたのでコアユニットでの移動が可能です」

 

 この場合の災害とは解き放てば大変なことになると目されていたファーヴニルのことだ。

 

サティ「なるほど適任ね」

 

トピア「では私のコアユニット・ガンマを貸しますのですぐに行ってください。戦闘にも参加してもらいますから時間前に戻ってきてくださいね」

 

スコア「避難先はここの地下集合住宅の空き部屋を全部使って構わない。まあなるべく上から詰めてくれると有難いが」

 

聖騎士「承知!」

 

 聖騎士はコアユニット・ガンマを封入したプリズムを受け取ると、フルプレートアーマーの金属音を鳴らしながらポータルへと駆けていった。

 

トピア「落着まで3時間となると、戦力増強をする時間はありますね……カミールさん、装備強化の草案は出来てますか?」

 

カミール「無論だ、全員分出来ているぞ」

 

 カミールが眼鏡に手を添えて自信満々に答えた。

 

トピア「流石です。ならば戦闘班集合! やりますよ!」

 

スコア「初のBETA戦に装備強化が間に合うとは僥倖だな」

 

ラリー「まあ間に合うように超特急でやってるからな」

 

 戦闘班の士気は高かった。落着直後のフェイズ0ハイヴを攻略するだけならばトピア一人でも何とかなったのだ。油断さえしなければ重頭脳(ブレイン)級撃破でレベル上限もしくは鉱脈創造の報酬を各自10ポイント分もゲット出来るボーナスステージである。

 ただ最低限、住民達と自分達が捕獲されないように気をつけなくてはならないが。そういう意味でははじまりの島近くというのは丁度急所を突く形であった。

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