トリオ工場長の衛星観測情報によりBETA着陸ユニットが約3時間後にユグドラシル大陸北東部に落着すると知らされたトピア達は、3時間後の戦闘に向けて超特急で戦闘準備を始めた。
この間にも聖騎士は住民の避難誘導を行い、ファムは悲願の罪の薬を使って
つまりフェイズ0ハイヴに突撃する戦闘班と防備を固める生産班で別々の話し合いが必要なので、トピアはビルドガンを使って自分の工房にもFICSIT製ディスプレイを設置し、戦闘班はそこで話し合うことにした。
戦闘班の準備はまずカミールとシュミットが設計した装備案の確認。ただし今回使う装備を優先する。
蒸着装置で装備換装を可能とするトピアは
ラリー「なら俺は使い慣れた
スコア「私はファントムスパークだ。BETA相手なら一撃の攻撃力が必要だからな」
トピア「ではカミールさん、まずファントムスパークの方から出して下さい。プラン二つともです」
カミール「分かった、これだ」
カミールとシュミットがエンチャントシミュレーターを操作して会議室の大型ディスプレイに設計内容を表示した。
スコア「通常型で装甲貫徹力415万、空回り型で884万……ここまで来たか。何だかんだで装甲貫徹力が900万近くになったな」
トピア「盾無しでも空回り型の方が倍以上強いですね」
ラリー「マグナムショットが沢山ついてるが、これは?」
ラリーが指摘した通り、A型B型ともにマグナムショットが5つもついている。
カミール「マグナムショットはクールダウンを最短にしても10秒あまりかかるのでな。
ラリー「そういうことか」
スコア「最大必殺技を2秒に1回連射か。それはすごいな」
カミール「BETAというのは多数が一斉に襲い掛かってくると聞くのでな。念のためストームアローも1つ付けているが、これは威力が出ないのだろう?」
トピア「運用を考えた良い設計方針ですね。見たところ設計内容にも不備は無さそうですし、こっちのプランで行きましょう」
カミール「……修正の必要は無いのか?」
トピア「設計自体に問題はありませんが、『宇宙の貝殻』と『飛翔記章』を今すぐ揃えるのは困難……ですよねラリーさん?」
ラリー「ああ、何時間もかかるだろうから今揃えるのは現実的じゃねえな」
トピア「では今回は間に合わせの妥協案としてこの2つを削ってモルファのリングに戻しましょう。これで武器以外全部★×9以下になって全部精錬強化出来るはずです」
シュミット≪こうだわね?≫
シュミットはトピアが指示した通りに装備を入れ替え、プランBの装備セット名の最後にマイナスを付けて画面に表示した。
トピア「ですね。ロケットパックの燃費が悪いのが問題ですが、燃料を大量に持っていけばどうにでもなるでしょう……というか、飛翔記章って燃料を消費する飛行ユニットでも効果あるんですか?」
ラリー「ロケットブーツで無限飛行は出来たが、あれは燃料を消費してるわけじゃなかったからな。正直分からん」
トピア「可能性はある感じですね。終わった後で検証してみましょう。次はラリーさんの……と、その前にファントムスパーク一式装備のエンチャント作業を先にやってしまいましょう。スコアさんはエンチャントが終わったものから防具精錬を開始してください。空回りアセンなのでファントムスパークは精錬しないように注意してください」
スコア「分かった。折角最高の攻撃力を誇っている武器を鍛えないというのも不思議な感じではあるが」
トピア「よくあることです」
トピアはシュミットの手を借りて手早くエンチャント付与作業を済ませた。これで精錬作業を進めてもらいながらラリーの装備を検討出来るわけだ。
トピア「では次はラリーさんのゼニスですね」
カミール「ゼニスはこうだな」
カミール「先にファントムスパークや
トピア「それで構いません。しかしまあ強くなるとは思ってましたが、バフも全く付けない通常攻撃で829万DPSとは呆れたものですね」
ラリー「んん? 確かにすげえ性能だが、こいつは……」
一方ラリーは設計表を見て何か納得がいっていないようだった。
トピア「どうしました?」
ラリー「見たところ攻撃力はこの『ATK/DEF』で稼いでるんだよな? んで盾にしかつけられねえエンチャントがやたら強いんだが、盾を複数装備しちゃ駄目なのか?」
トピア「うん? 複数装備出来るんですか? 出来たとしてもエンチャントの効果制限が……いやあれはエンチャント強化の方でしたね。そもそも盾がアクセサリ枠に入ってるんだから関係ないですか」
トピアが首を傾げながらぶつぶつと呟いているが、この設計表でアクセサリ枠に付いている5%というのがエンチャント強化で、エンチャント強化は装備の種類ではなく装備枠の方に付くので双剣装備でも盾枠に入れた方の剣には増強効果が無いという事情がある。このためトピアは複数の盾を装備しても効果が出るのか疑問に思ったのだが、逆に武器限定などの装備種限定エンチャントは盾枠に入れた双剣にも効果があるので盾を複数装備した場合に盾エンチャントはそれぞれ効果を発揮するだろうという結論に至った。ややこしい仕様だ。
トピア「ではアクセサリの最後の2つをカイトシールド改+99修理台強化版と竜骸の……」
言いかけてトピアは思いとどまった。竜骸の盾は★×14だ。つまり強化するためにアヌビス神を養殖する必要がある。
かつての世界ならともかく、今現在アヌビス神は
ラリー「どした?」
トピア「いえ、竜骸の盾は精錬強化が
そんなわけでトピアは次善を選んだ。
トピア「とはいえすぐに精錬石XIIを集められるわけではありませんが。そして盾2つに盾専用エンチャント一式を付けて……あと地上移動速度が余ったので飛翔記章の 伝説の を 千古の に変更しましょう」
シュミット≪わかったわさ≫
シュミットがトピアの指示通りに設計を変更したのが以下のものだ。
トピア「つよ」
カミール「これは凄まじいな」
通常攻撃1400万DPSの暴威にトピア達は思わず語彙を喪失した。
ラリー「効果覿面だな。鎧袖一触の装甲貫徹力も200万を超えてるし、十分だろ」
十分どころの話ではないのだが、性能が高い分には問題は無い。トピアは気を取り直した。
トピア「えー……ではここから、すぐに用意出来ない要素を削っていきましょう。装備自体は揃っているのでいいとして、★×10以上は改めて精錬石を稼ぎに行く必要があるので、ソーラーフレアの兜、ソーラーフレアの胸当て、月のフック、怪しげな触手、セレスチャルスターボード、飛翔記章、骨蜥蜴の盾IVの7つは今強化出来ませんので、こうなります」
ラリー「まあ今はこれでいいか」
トピア「ではエンチャントを付けるのでここに装備を置いてください」
カミール「あーその前に、ラストプリズムの性能も見るだけ見てくれないか?」
ラリー「おう?」
トピア「……どんな感じになりました?」
選んでない方の装備の性能をわざわざ見ろというのだ。これは大分酷いことになっているだろうとトピアは覚悟を決めた。
シュミット≪盾を複数装備する修正をかけて、こんな感じだわよ≫
トピア「これはひどい」
スコア「これはひどいな」
トピアの予感は的中した。装甲貫徹力は76万とやや半端だが、収束時の素のDPSが3200万、マナサイフォンをかけると9600万と出た。精錬作業中のスコアも思わず振り返ってコメントするほどのトンデモ性能だ。
カミール「ゼニスの2倍攻撃速度に近づけるように 伝説の エンチャントを大量に積んだらこうなった」
確かに攻撃速度が423%というちょっと見ない数字になっている。しかしこれでも通常ゼニスの1.4倍程度だというのだからゼニスの攻撃速度の出鱈目さが分かる。
ラリー「確かにすげえが、マナサイフォンをかけてまともにマナを運用出来るのか? エンチャントで軽減してるから大丈夫なのか?」
トピア「ああ、それについては大丈夫です。まずエンチャントの効果でマナ消費を108%軽減、実際には50%軽減が限界ですが、これでまずはマナ消費が元の50%になります。更にスキル『英知』Lv.6でマナ消費が元の70%になります。そしてエンチャントによるマナ消費軽減、英知、マナサイフォンの効果は全て乗算になるため、最終的なマナ消費は元の87.5%、秒間63になります」
ラリー「ほう、そいつは良く出来てるな」
カミール「ついでに言うとこの装備セットの売りは空中機動性だ。 伝説の を大量に付与したことで空中移動速度が大分上がったので、折角だから グリフォンの を足して2倍を達成してみたんだ」
トピア「確かセレスチャルスターボードの移動速度は……」
ラリー「83マイル/hだぜ」
そのヤードポンド法基準の速度がわかりにくくて困っているのだが。確か1.6倍くらいだったかとトピアは頭を捻った。
シュミット≪つまり133.576km/h、2倍にすると267.152km/hになるだわね≫
トピア「助かります。
ラリー「気になるっちゃ気になるが、今回は
トピア「分かりました」
クラフトピアワールドLv8の装備強化とテラリアン装備のシナジー効果は思った以上の威力であった。
これだけ言うとスコアが役に立っていないように聞こえるが、スコアは装備枠が多い上にマスタリによる遠距離攻撃力補正で攻撃力バフが+85%乗って単純に威力が1.85倍になるので、同じ装備でもスコアが使った方が単体戦力としては圧倒的に強いという特性があった。