【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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124. 正直私が攻撃する必要があるか疑わしいくらいです

 装備の設計とエンチャント付与、精錬強化、それから大量のカニカゴで量産した進化の石板によるエンチャント強化を終えたトピア達は、次にラッシュ銀貨を稼ぐためにボスラッシュダンジョンへと赴いた。

 必要な枚数は円環魔導士の装(フォーム・サーキュラー・ソーサラー)Mk.5改-に50枚、機動軽槍兵の装(フォーム・スピーディー・スピアマン)Mk.7B-に62枚、超幻のファントムスパークMk.5B-に55枚、超伝説のゼニス(Zenith)Mk.4改-に62枚、フルアーマー聖騎士Mk.1改に56枚、カミールとファムの盾が変更になるため付け直しに12枚の合計で297枚、カミールが1枚持っているのを計算に入れると稼ぐ必要があるのは296枚だ。

 そして今回参加するのはトピア、ラリー、スコア、カミール、ファムの5人だ。聖騎士は避難誘導が終わっていないため参加出来なかった。可能なら口八丁でダンジョン前のスミスとパラケルススも数合わせに巻き込みたかったが、流石に避難済であった。

 

トピア「それではこれからボスラッシュダンジョンの攻略を始めます。ラッシュ銀貨296枚を稼ぐために一人頭で60枚、つまり66階までの攻略となります。基本的には私とラリーさんとスコアさんが倒していきますので、カミールさんとファムさんは攻撃を受けないように立ち回って下さい」

 

カミール「分かった」

 

ファム「分かりました」

 

トピア「あと私の居合斬りはドラゴンに通じにくいので、ドラゴンが出現した場合はスコアさんがマグナムショットで仕留めてください。頭に当たれば満額ダメージ、鼻先に当たれば更に2倍ダメージです」

 

スコア「ふむ、見た目は?」

 

トピア「赤くて四本脚で翼の生えたやつです」

 

スコア「了解した」

 

ラリー「俺は?」

 

トピア「ラリーさんは目に付く相手を片っ端からゼニスで斬り捨ててください。味方とターゲットが被らない方がベターですが、その判断は攻撃し始めてからでも構いません」

 

ラリー「分かったぜ」

 

カミール「大雑把だな?」

 

トピア「今のゼニスフルセットはそのくらい圧倒的な強さですからね。正直私が攻撃する必要があるか疑わしいくらいです」

 

 多分ボスが3体いても踏み込んで居合を仕掛けるまでの間に終わるとトピアは判断している。

 

トピア「あとボーンドラゴンは寝ている間は碌にダメージが入らないので後回しで構いません。では1階から始めますのでカミールさんとファムさんは後ろに下がってください」

 

 トピアがパネルを操作し、真ん中に双撃決闘者の装(フォーム・デュアル・デュエリスト)Mk.3装備のトピア、左にラリー、右にスコア、後ろにカミールとファムという配置で戦闘が始まった。

 相手は大いなる冬のフェンリルLv.100。それが首をもたげて雄叫びを上げようとしたところでスコアがファントムスパークで光の矢を射て、ほぼ同時にラリーがゼニス(Zenith)を投擲した。

 

スコア「そこか!」

 

ラリー「オラッ!」

 

 光の矢で22万、ゼニスの初段で18万ほどのダメージが出て、フェンリルはあっさり倒れ伏した。攻撃ターゲットの魔法陣が出る暇すら無かった。

 一撃のダメージはファントムスパークの方が高いが、倍速ゼニス(Zenith)の恐ろしいところはここから毎秒60ヒットすることだ。

 

トピア「まあこうなりますよね」

 

 戦闘が終了し、一同は休憩室に戻された。

 

ファム「ふう……緊張しましたけど、何事も無かったですね……」

 

カミール「……何というか、凄まじくあっさりしていたな?」

 

 前回死ぬほど怖い目に遭ったカミールからすると、数字上は結果が分かっていても心情的には複雑だ。

 

トピア「やられる前にやるを突き詰めるとこうもなりますよ。カミールさんの設計がしっかりしていたお陰ですね」

 

スコア「うむ、この装備は良い出来だぞ」

 

ラリー「負ける気がしねえとはこのことだぜ」

 

カミール「……まあこのワタシの設計だからね!」

 

 カミールが眼鏡に手を添えて胸を張る。適度に緊張がほぐれたようだ。

 

トピア「ファムさんも仕事をきちんとこなしてくれて助かってますよ。ファムさんがいなかったら聖十字の盾も必要数作れませんでしたし」

 

スコア「そうだぞ」

 

ファム「そ、そうですか?」

 

 実際匠衆(マイスターズ)(マイスター)達の能力の高さはともかく頭数が足りていないので、手が届かないところを担当してくれているファムの存在はかなり助かっている。

 狂信者の割にあざとい仕草も見逃せようというものだ。

 ちなみにトピアが度々人を褒めるのは、匠衆(マイスターズ)の代表だから率先してやっているというのもあるが、そもそもは自分が師匠に褒められたくて頑張る気力が無限に湧いてくるので、やはり人は褒めて伸ばすのが良いだろうと考えているからである。勿論師匠になら厳しく指導されるのもご褒美なのだが。

 

トピア「では各自ラッシュ銀貨を1枚ずつ獲得出来ているか確認して、インベントリから一旦出してください……OKですね。仕舞ってください。ではこの調子でどんどん行きましょう。1階層1分で終わらせれば、目標まで1時間くらいで終わるはずです」

 

 その後の攻略も順調であった。

 レガシーのマグナムショットは基礎クールダウンが20秒なので7割減でも6秒、つまり毎回初手で撃つことが出来たので、バフ無しでも884万の威力は的を外さない限りは一撃必殺であった。そしてスコアは伊達に弓マスタリMaxではなく、一度も外さなかった。

 ラリーはもっと大雑把に強く、947万DPSの通常攻撃があらゆる敵を平らげ、起き上がる前のボーンドラゴンすら葬った。

 そういったわけで、本当にトピアが近接攻撃する機会は殆ど無かったのだ。一応警戒はしていたが、殆どカミールやファムと同じ頭数合わせである。

 

 66階までの攻略はトピアの目論見よりやや早く、50分ほどで終わった。ボスラッシュダンジョン序盤に本来想定されていない過剰戦力をぶち込んだので当然の結果であった。そしてその頃には全員がLv.50以上になっていた。一応レベリングも兼ねていたのだ。

 途中でドラゴンとも遭遇したが、打ち合わせ通りスコアが出会い頭に一撃必殺していたのでトピアが単独で挑むよりもペースが大分速かった。

 折角ヘッドショットの練習をしたのにファントムスパークにはクラフトピアの弓のようなヘッドショット判定が無いというがっかりなオチをくらったスコアであったが、頭だけ攻撃が通りやすいというドラゴン特有の肉質特性のせいでこれが案外役に立っていた。別にラリーに攻撃させてもドラゴンは倒せそうなのに敢えて自分を指名したのはこの鬱憤晴らしが理由か、とスコアはハッとしたのだが、トピアがそこまで深いことを考えていないのは言うまでも無い。単にこれからスコアの主力スキルになるであろうマグナムショットの練習を生きた的を相手にしてもらいたかっただけだ。

 

 66階までで若干の時間が余ったので、トピア達は予備も含めて69階まで攻略した。

 

 

 

トピア「只今帰りました!」

 

 トピア達はボスラッシュダンジョンを出て、それからファストトラベルでギーザ台地の塔に移動、塔の頂上のポータルから聖騎士が設置したミルウィン丘陵のポータルに移動してポータルの周囲に壁と天井を設置、入口をアクチュエーター(Actuator)仕様にし、再度ミルウィン丘陵のポータルを通ってコアベースに帰還した。

 ダンジョンの中からでは通信出来ないので、通信も約1時間ぶりである。

 

マイン≪首尾はどうだ?≫

 

トピア「予定数稼ぎ終わりました。今からスキルを付ける工程に入ります」

 

マイン≪落着まで55分だが?≫

 

トピア「余裕です」

 

マイン≪ならばこれが貴様らの戦力から割り出した配置だ。確認しておけ≫

 

 マインから配置図が送られてきて各自の通信端末に表示された。北側の落着点1にスコアと聖騎士、南側の落着点2にトピアとラリーというツーマンセルを2つの配置だ。

 近接攻撃主体の聖騎士と遠距離攻撃主体のスコア、中距離までの対応となるトピアとラリーを組ませ、殲滅力の高い後者を人里に近い南側に配置した形だ。ツーマンセルなので万が一の時にもハイリザレクションで互いに蘇生が可能だろう。

 

 

【挿絵表示】

 

 

スコア「二正面作戦か。大丈夫か?」

 

マイン≪奴らは放っておくと増えるからな。こちらの戦力から見て二人でも十分なのだから同時に攻略するべきだ≫

 

トピア「今回はそれが正しいと思います」

 

 相手が2方面に分かれている場合は戦力を集中して各個撃破するのが常道だが、BETAは時間を与えるとどんどん増えていくので、今回のように相手の初動を潰す作戦で自陣営の戦力が十分な場合は同時に潰しに行くのも間違っていない。

 なお何故マインが指図しているのかというと、(マイスター)達の中で最も戦略に理解があるマインを防衛だけでなく作戦全体の責任者にすることをトピアが提案して(マイスター)達に了承されたからだ。トピアの意図としては、難しい戦いでいきなりマインを起用するとどうなるか分からないので、まずは確実に勝てるであろう今回の戦いで実力を見ようということだ。

 防衛の準備も、落着点近くのコアとそれに近い発電所はレーザータレットとミサイルタレットで防御を固め、湖の半島からはじまりの島に続くルートも新たに発電所を建ててレーザータレットを布陣することで現状可能な限り塞いでいる。

 どこに落着するかの範囲が割と広いので攻撃用のタレットは配置出来ていない。そもそもタレット自体が防衛用の兵器なのでこれは仕方が無い。落着後にはBETAを確実に殲滅するために包囲用のタレットも配置する予定となっている。

 

マイン≪作戦開始までに落着予想エリアの中央に移動する時間も必要だからな。遅刻するなよ≫

 

 それだけ言い終わってマインは通信を切った。

 

トピア「何というか、マインさんを実際命令する立場に据えてみると意外と普通ですね?」

 

ラリー「元々偉そうな命令口調だったからな」

 

 トピア達は聖騎士と合流して早速装備にスキルを付与する作業に入った。ラッシュ銀貨の枚数は設計通りで問題無く、付け間違いも無かったのでこれは無事終了した。

 最後にスキルの使い勝手を確認し、これも問題無しとなった。後は落着予想エリアに移動して待機、時間とともに狭まる落着点予想エリアに追随し、落着と同時に攻略開始することになる。

 トピア達は回復アイテムを十分に補充し、一人一機のコアユニット・ガンマをインベントリに収納して担当のエリアへと向かった。

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