中継会場の壇上に立ったアヌビス神がいつものように語りかける。それは余人には分からぬ言葉でありながら、意味が頭に直接浸透するものだ。
アヌビス神「XX,XX. XX. XX,XXX. XX,XX,XX(愛しき人の子達よ、よく集まってくれた。我はクラエル神の下僕アヌビス神である。此度はこの世界の侵略者、全ての生命体の敵であるBETAとの戦いを公開する運びとなった。我らの敵がどのようなものであるか、その目で見て、耳で聞いて知ってほしい)」
厳密にはBETAの創造主である
それはともかく、アヌビス神の荘厳な雰囲気、そして頭に直接伝わってくる言葉に、観衆達から感嘆のため息が漏れ聞こえた。手を組んで祈りを捧げ始める者も出るほどだ。
アヌビス神「XX. XXX,XX,X. XX(まずはこの世界についてだ。理解出来ていないものもいるようであるから一から説明するが、そなたらから見て右端の画面に映っている球体、それがこの世界だ。惑星というものだな)」
観客から今までの教義は嘘だったのか、と困惑の声が上がった。
アヌビス神「XX. XX. XX. XXX,XX(完全に嘘というわけではない。それは古き世界の形である。今の世界はこのような形なのだ。その証拠にこの中央の湖を拡大するとそなたらの島、そして住まいが見えるであろう)」
その言葉に合わせて大陸中央の湖が拡大され、はじまりの島と頂上に光球を戴く6つの楔の塔の姿が見え始めた。そこから更に拡大してギーザ台地の集落が映し出された。視点が移動してミルウィン丘陵、ヤーデン草原、オオワタツ諸島、ブリガンダイン渓谷、シャルバート氷山の集落が映し出されていき、そのたびにあれはうちの集落だ、俺んちだ、という声が上がった。
なおこれはアヌビス神の操作ではなく、今回運営側として参加している
アヌビス神「XXX,XXX.XX(諸君にとっては今日侵略が始まったばかりに思えるかもしれぬが、実はこの世界の半分近くは既にBETAの手中に落ちている。ここの裏側の大陸は既にBETAの勢力圏だ)」
衛星からの映像が一旦星全体に戻り、そこから180度裏側に回って別の大陸を映し出す。24のハイヴの位置が図示され、その中央の推定オリジナルハイヴを拡大していく。
手裏剣を積み重ねたような奇妙な構造物の周囲には大量の赤い何かが蠢いていた。更に拡大するとそれが何かが分かる。
真上からの衛星映像とは別に左端のディスプレイにその全貌が映し出される。蹄のような六本脚に人間のような二本の腕。ここまでなら蜘蛛かケンタウロスのようなものに見えなくもないが、首の上には顔の代わりに黒い粒が並んだ頭部。そして腹部にはやたら歯並びの良い大きな口がある。異形としか言いようがない。
つまりは敵の拠点の周りには解説にある通り全長4.4mの異形が大量に群れを成しているのだ。そしてこの
アヌビス神「XXX. XXX(BETAの脅威がそなたらにも幾らか想像出来たと思う。そして今回連中が攻め入ってくるのはこのエリアだ)」
惑星儀がまたぐるりと回ってユグドラシル大陸に戻り、移動する二つの着陸ユニットとそれぞれの落着予想点が表示される。一つは北東部、もう一つははじまりの島が落着予想範囲に含まれている。この情報でまた悲鳴が上がった。
なおこの予想範囲は最初の時点のもので今はもう少し範囲が狭まっているのだが、避難を求めた理由としての提示なので資料は避難を促した当初のままとした。
アヌビス神「XXX. XX,XXX. XX(この南側の方にそなたらの住処が含まれているのがそなたらに避難を求めた理由だ。だが人の子よ、必要以上に怯えることは無い。この世界には今このBETAを打ち破る者達が集っているからだ。我が顧問を務める
その言葉とともに全てのディスプレイを使って
――クラエル神が直々に遣わした
――FICSIT社の
――Factorio工業の工場長、直接施工から大量生産、研究開発までこなす
――
――古代文明の遺産に導かれし探検家にして弓の名手、スコア・パグキーパー。
――
――
何やらスコアやテクスの紹介に若干の苦心の形跡が見られるが、それはともかく。
アヌビス神「XXX(そして
更にもう一人の紹介が入る。
――人々を守るために悪しき竜ファーヴニルを封印し続けてきた名も無き聖騎士。
やはり字面だけ見るとマインと被っているが、その紹介に合わせて聖騎士様ー! という歓声が上がった。人格者だけあって住民に慕われているようだ。
こうして聖騎士を合わせて4つのディスプレイに8人の姿が並んだわけだが、あのクラエル神に遣わされたのか、という好意的な声がある一方で、若すぎないかという不安の声も一部から上がる。特にテクスなどは子供にしか見えないのだから。
また、教化前まで工業という概念自体が無かったため、生産・開発担当の評価が今ひとつ定まらないようだ。
アヌビス神「XX. XXXXX. XX,XX(案ずることは無い。
マイン≪その通りだ≫
突然アヌビス神の言葉を遮る声が会場に響き渡り、観客達に困惑の空気が流れる。
アヌビス神「XX,XX(本作戦の司令官、マイン・ストリアニューダだ)」
アヌビス神の紹介に合わせてディスプレイに映ったマインがハイライトされた。そのマインは緊張の欠片も無く余裕の笑みを浮かべている。
マイン≪者ども聞くがいい。初めて見るものばかりで分からんだろうが、今回の迎撃戦が勝利という結末を迎えることになるのは
自信に満ちた軍司令官の態度は避難民達には頼もしく映ったらしく、堂々としていて見た目も良いマインを応援する歓声が飛んだ。称賛されるのが大好きなマインは当然これに気を良くした。
予定に無いマインの
なお民衆は「なんか世界征服しまくってる魔王が味方してくれるらしいぞ」「魔王が味方とかめっちゃ頼もしくない?」みたいなノリで応援していたわけだが、態度が態度であるし、そもそもマインは侵略の
アヌビス様が長文を喋ると編集が結構面倒です……!