【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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 第6章開幕。本日2つ目の投稿です。


第6章:匠 VS BETA 上陸阻止編
131. 慌ててそちらに対処しようとする心理を突いた形でござるな


 ハイヴが4つも増えたことで会議室から戦勝気分はすっかり消えていた。しかしこれは完勝ではなかったというだけの問題ではない。

 

マイン「つまりはあれか、昨日の着陸ユニットは陽動だったということだな?」

 

 柳眉をしかめてマインが問題点を確認する。

 

トピア「1つ2つならともかく、4つともなると偶然ではないでしょうね。……工場長、聞き忘れてましたけど昨日のは月からですか?」

 

トリオ「軌道を見る限りそうじゃの」

 

トピア「するとこの場合の問題は4つですね」

 

カミール「4つ?」

 

マイン「BETAが戦略的行動を取ったこと、その前提としてこちらの存在を察知していること、月との連絡が取れていること、想定防衛ラインに接近してきたため防衛線を早急に整備せねばならんことだな」

 

トピア「その通りです。特に前2つ目と3つ目が異例の事態ですね。恐らくオリジナルハイヴの重頭脳(ブレイン)級はかなり育っているでしょうし、最悪超重光線(レーザー)級との交戦も想定しないといけません」

 

カミール「大分ハードルが上がってしまうな」

 

 相手が気付いていない状態で一方的に戦争準備をするのではなく、相手も備えていてしかも月と連携が可能という前提でそれを超えなくてはならないということだ。これだけでも大分ハードルが上がっている。ましてや超重光線(レーザー)級ともなると味方に犠牲を出さずに討伐するのは至難を極める相手だ。

 

スコア「幸い光線(レーザー)属種はまだ発見出来ていないが、可能な限り急ぐべきだろうな」

 

ラリー「でも防衛線を整備するとは言っても、実際どうするんだ? BETAが来るエリアにはまだポータルを配置出来てないよな? 今からガンマを飛ばすのか?」

 

マイン「おい忘れたのか? ()()()()()()()()()()()()と言ったであろうが」

 

サティ「……なるほど、コア:ニュークリアス017番以降の配置予定を飛ばして直接前線に配置するのね?」

 

ラリー「ん? ……ああ、設置したコアの間でテレポート出来るんだっけか。その手があったな」

 

マイン「そういうことだ。もはや撤退が可能なBETAに接触して情報を与えたくないだの隣接ハイヴとの間の戦線を抱える労力を割きたくないだの言っている場合ではないからな。まず惑星全体のコア設置ポイントを表示するとこうなるわけだが」

 

 

【挿絵表示】

 

 

ラリー「おお、全体に設置するとこうなるんだな」

 

トリオ「それで新しく設置したコア経由で移動して前線を構築するわけじゃな」

 

トピア「うーん、流石は惑星を制圧するための戦略システムですね」

 

マイン「この地図ではコア016の北西にコア017の設置を予定していたが、その予定を飛ばしてコア030までを今日中に前線に配置するとこうなる」

 

 

【挿絵表示】

 

 

スコア「ん? 防衛ラインを構築するのは分かるが、新しいハイヴが出来てる東が一番後回しなのか?」

 

 スコアが言う通り、東の防衛線に迫ってきたハイヴに対抗するためのコアのナンバーは028から030。本日設置分の最後になる。

 

マイン「フン、鈍い奴め。分からんか? 連中は折角陽動を出してまで一斉に勢力の拡張を始めたのだ。それを()()()()4()()()()()()()()()()()()? 衛星観測出来ている新しいハイヴはここから見て東の4つだが、我が奴らの立場であれば、これを見せ札にして、釣られて東に迎撃戦力を出しているうちに()()()()()()()()()()()()()()()()()西()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

スコア「あー……」

 

ラリー「なるほど、海の中は衛星観測出来ねえから、その可能性は十分にあるな」

 

トリオ「既に着陸ユニットによる陽動という手段を使っておる以上、設営開始しておるハイヴも陽動である可能性は想定すべきじゃろうな」

 

トピア「だからハイヴを作っている間は当分前進しない東への対処は最後でいい、というわけですね」

 

テクス「なまじ衛星観測で4つも新ハイヴが見えているゆえ、慌ててそちらに対処しようとする心理を突いた形でござるな」

 

モモ王女「素晴らしい戦略眼ですわマイン様!」

 

マイン「フッ、それほどでもない」

 

 マインのビッグマウスと形だけの謙遜は相変わらずなのだが、実力評価が追いついてきたことで何だかお笑いキャラが急にかっこよくなったような違和(コレジャナイ)感が漂っていた。

 

トピア「しかし海岸線沿いの防衛線とは欲張りましたね。でも所々海中をショートカットしてるので案外総延長は伸びてなさそうですね?」

 

マイン「BETAが踏み荒らした跡が更地にされて資源も無くなるのであれば、海岸線で食い止めるのが最も被害が少ないだろう」

 

 海岸線沿いとは言っても実際には海岸線から5km程度下がってレーザーを撃てるように配置することになるが、赤道円周約36,000km=3,600pixelの地図では5km=約0.5pixelなので、地図上では誤差として省かれている。当然そのことは(マイスター)達も承知の上で話している。

 

トリオ「その分設置に時間が掛かるし、海中の防衛線が増えたことで魚雷を増産する必要があるがの」

 

マイン「まさか出来んとは言わんだろうな?」

 

トリオ「フン、それこそまさかじゃろ」

 

 マインの挑発に、トリオ工場長は自信ありげな笑みを返した。

 

トピア「コアの設置は今日中に間に合うとして、発電所とタレットの設置は現状の編成では間に合わないと思いますが、丁度頭数が一気に増えてますよね? 今回やる作業に限って仕事を教えれば一気にスピードアップ出来ると思いますので、人員が欲しい人は挙手願います」

 

 トピアが挙手を促すと、トピア以外にサティ、トリオ、ラリー、スコア、マインが手を挙げた。

 

トピア「うちはラッシュ銀貨確保のための頭数ですね。ただ、普段は別の仕事をしていてもいいです」

 

サティ「私の所はまず資源採掘設備、送電網の敷設、発電所の設置に人手が必要ね」

 

トリオ「儂のところは衛星観測に専属で数人とタレットの配備から始めて色んな業務を振りたいところじゃの」

 

ラリー「俺んとこは引き続き釣りと買い付けに人員が必要だな。今日のところは最低限の一人でもいいぞ」

 

スコア「各地を回ってポータルを設置する人員が方面ごとに必要だな。作業自体は他と兼業でもいいが、ポータル管理の必要性から、扱うのは特定の人員に限った方がいい」

 

マイン「コアの敷設に関わる資源集積システムの整備人員が必要だ。我と同じ能率での仕事は無理であろうが、半分か1/3くらいの速度なら我以外にも出来る仕事なのでな」

 

トピア「……テクスさんの所はいいんですか?」

 

 トピアは(マイスター)の中で唯一挙手していないテクスにも念のため確認しておくことにした。

 

テクス「それがしの所は専門的な業務が多い故、一から育てるのは数ヶ月かかるでござるよ。それでもやりたいなら来てもらって構わんでござるが、既に優秀な助手がついておるゆえ、こちらからの新規募集は無しでござる」

 

トピア「分かりました。ではテクスさん以外は管理担当のファムさんやモモ王女殿下と話し合って、希望や適性を元に配分を決めて下さい。あと地上作業者の安全対策装備が必要な場合はカミールさんに相談して下さい」

 

 安全対策装備というのは例のLv1でも防御力(DEF)が250を超えるフルエンチャント装備のことである。魔導書やスキルを付けず、精錬もしないならばもはや幾らでも量産できるのだ。

 ただ魔導書もスキルも無いと攻撃手段が無いので、物理攻撃主体で設計した方が良いかもしれない。

 

ファム「分かりました」

 

モモ「承知しましたわ」

 

マイン「配分する前にまず7箇所のコアに分かれて全員にコアユニットの操縦を教え込むぞ。操縦が出来なくてはこの広さをカバー出来ん。機体数は訓練が終わるまでに揃える」

 

トピア「なるほど、昨日予定していた助手三人への操縦訓練を拡大する形ですね」

 

サティ「それから配属先の仕事を教え込んでいく形ね? ゆくゆくは工場ラインの組み方やコアの増やし方も覚えてくれると有難いけれど」

 

マイン「今日必要な業務内容の教育まで含めて昼までには終わらせるぞ。それでも間に合うかは怪しいところだがな」

 

 BETAが海中を侵攻しているのならば上陸時間がいつになるのかは読めない。だから可能な限り急ぐべきではあるが、急いで間に合うかも定かではない。

 

サティ「統合建設システムが完成していれば教育も楽になったんだけれどね」

 

テクス「あ、Tech OSの安定化なら終わったでござるよ?」

 

 テクスの予想外の発言に、(マイスター)達の視線が集まった。Tech OSのバグがあまりに多すぎ、コードもスパゲッティ状態なので昨日の時点では全く解決の目処が立っていないという話だったはずだ。

 

マイン「おい武士かぶれ、それは本当だろうな?」

 

サティ「難航してた筈のデバッグが急に進んだわね? 助手二人がそれほど優秀ということかしら?」

 

テクス「それもあるのでござるが、以前トピア殿が提案していた自動デバッグが遂に実現出来たのでござるよ」

 

トピア「えっ、出来たんですか!?」

 

 一昨日の午前中の会議で、工場長の自動研究所でソフトウェアのデバッグは出来ないのかと質問しただけのあれだ。そちらの方は実現しなかったはずだが。

 トピアが工場長の方を振り返ると、工場長は首を横に振った。

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