勘違いからカミールが暫く視線を合わせてくれなくなったが、それはともかくスキル検証の続きだ。
新規実装の戦闘Tier4『ブラッドシュレッダー』。両手剣用の技で、地面を抉りながら振り上げた後に振り下ろす2段攻撃だ。技威力はそれぞれ75と80となっているが、比べてみると通常攻撃の4HIT目の方が威力が高い。一応マナサイフォンで強化は出来るし、モーション的にはこちらの方が速いのだが、微妙だ。これも出血デバフの方がメインなのだろう。
トピア「これも直接の攻撃力自体はあんまり大したことがないので出血やマナサイフォン運用の方がメインですかね」
シュミット≪そうだわねー≫
新規実装の戦闘Tier4『半月』。前方をなぎ払う槍技だ。しかしこの技には3つの問題がある。
まず攻撃エフェクトや槍の長さほどに攻撃が届かず、見た目より攻撃範囲が狭いのでかなり接近する必要がある。
次に、どう見ても左右になぎ払っているのに真正面にしか攻撃判定が無いので横にちょっとずれると距離が近くても当たらない。
最後に、説明ではダメージが80で振り下ろしダメージが100と書いてあるが、実際には振り下ろしモーションは存在しないので前者の80、つまり通常攻撃の8倍威力のなぎ払いだけが発生する。もしかして隣のブラッドシュレッダーからコピペしてきたのがそのまま残っているだけではなかろうか? トピア達は訝しんだ。
トピア「まーた半端な技ですね」
シュミット≪没だわね≫
さて、ここからは問題のTier5だ。一応奥義に相当する技の筈なので全部見ていく。
戦闘Tier5『マグナムショット』。ご存じ弓の奥義だ。この技は何故か威力の表記が無いので実際に使って確認するしかないわけだが、実際測定してみたところレガシーの威力が450だったのに新型では200程度まで下落していた。クラフトピア産以外の弓ではヘッドショットが無くクリティカル倍率が乗るという特性は同じだった。なおクールダウンは20秒から90秒、何と4.5倍になっている。
トピア「威力で半分以下、DPSではもう目も当てられない露骨な弱体化ですね。間違って新レシピ装備に付与しないように注意しましょう」
シュミット≪了解だわよ。カミールちゃんそろそろ落ち着いたかしら?≫
カミール「何とかね。……あの勘違いはキミが善良な聖騎士を火で炙ったりするからというのもあるんだぞ?」
トピア「そこを言われると申し開きようが無いですね」
ちなみにカミールはここまで目を合わせてくれなかっただけで、スキルのテスト自体は黙々とやってくれていた。そもそもノーコストで新型スキルをあれこれ習得しなおせるのはカミールだけなのだから。
戦闘Tier5『居合斬り』。まず刀専用になってしまっているのはご存じの通りだが、こちらも威力が650から300と半分以下になっている。クールダウンも45秒から90秒で2倍だ。それでももしかしたらクリティカル倍率が乗るのではと期待して試したわけだが。
トピア「救いは無かったですね」
カミール「期待するだけ無駄だったな」
シュミット≪次行くだわよ≫
戦闘Tier4から5に移動した『鎧袖一触』。剣を抜き放ってなぎ払い、納刀とともに多数の斬撃が周囲を覆い尽くすという技だ。レガシーでは片手剣、両手剣、刀に対応していたのだが、何故か片手剣専用になっている。また、最大レベルまでの習得コストが3つ増え、クールダウンは45秒から60秒に延長されている。弱体化はされているが並列クールダウンの一つとしてはまあ使える性能だ。実際使ってみても、攻撃性能に変化は無かった。
トピア「既に聖騎士さんが使ってましたし、まあ問題なしですね」
カミール「だろうね」
シュミット≪念のための確認だわね≫
戦闘Tier5『百花繚乱』。瞬間的に7連撃ほどをお見舞いする剣の奥義だ。レガシーに比べると習得コストが2つ増えてクールダウンが70秒から120秒に増えたことで実質的に弱体化している。攻撃力を見ると、基本技威力33、最後の一太刀が100と、Tier5技の割に技威力がTier4の電光石火やTier3のブレードダンスに負けている。最大の特徴はスキル実行中無敵の方かもしれないが、スキルが終わるまでの時間は1秒ほどしかない上にクールダウン時間がかなり長いので乱発出来ず、折角の無敵を持続出来ない。
カミール「クールダウンを抜きにしても今ひとつの性能だね」
トピア「無敵状態が必要でなければ実際のダメージでもブレードダンスが一番優秀なので、空回り片手剣は範囲攻撃で倍率がやや高い鎧袖一触か使いやすいブレードダンスの二択ですね」
戦闘Tier5『双剣乱舞』。どこかで聞いたような名前だが、素早く8回ほど斬りつける双剣奥義だ。ほど、というのも、攻撃が速い上にターゲットを外しやすいので正確な数が分かりにくい。技威力は最大28になっており、手数が多いだけで倍率が低いので装甲相手の威力が望めない。
トピア「一応周囲への攻撃も出来るのかもしれませんけれども、この程度の範囲ではスキルに頼る必要も無さそうなので没で」
カミール「双剣の手数なら普通に攻撃しても数だけの相手は排除出来そうだものな」
戦闘Tier5『ブラッドスカージ』。名前からももう分かる通り両手剣の奥義だ。モーション自体は切り上げの後のジャンプ叩き付けとシンプルだが、スタミナを全部つぎ込むという豪快な技だ。技威力はTier5だけあってなかなか高く、切り上げ175、叩き付けが400というものだ。ただ、発動に4秒くらいかかるのでタイムロックをかけていないとまず使えない。集団戦で使うなどもってのほかだ。
また、相手が出血しているとそれに応じてダメージが増すらしく、これまでのブラッドシリーズはそのためのセットアップ技とも言えるのだが、何故かその出血状態でのダメージ増加がLv1で50%増なのにスキルレベルを上げるほどにこれが減っていって最大のLv6では20%増にしかならなくなるという妙な特性を持っている。いつもの設定ミスではなかろうかとトピア達は訝しんだ。
トピア「確かに威力は高いですし、クリティカルもまともに乗るようですけど、デメリットが多すぎるのでこれを使うくらいならレガシーマグナムショットとパルスボウでいいですね」
カミール「やはりそういう結論になってしまうな」
残る戦闘カテゴリスキルは銃スキルだ。しかしトピアはスキルを含めても銃にはあまり期待していない。
まずあらゆる世界の銃共通の特性として、モディファイアによる攻撃力増強は有効だがクラフトピアエンチャントでは
次にクラフトピア産の銃は固定ダメージで相手の
これらの特性を踏まえて、クラフトピア産の銃の
何故銃弾スロットのエンチャントを無視するかと言えば、超時空倉庫で複製出来ない以上は全ての銃弾にエンチャントする必要があるからだ。あまりにも労力が掛かりすぎる。ラリーの所には
また『与ダメージ』とは別に『物理与ダメージ』という項目もあり、こちらは脳筋系エンチャントを山盛りにすれば852%まで盛ることが出来るので、効果が出るならかなり強くなる筈なのだが、実際に付与して確認してみた所、銃には一切の効果が無かった。
クラフトピアの銃で最終武器の候補に挙がるのは1発しか装填出来ない代わりに固定2,700ダメージのライフルIIと5発まで装填出来る代わりに与ダメージが2,200に下がったライフルIII、それから装弾数20発で連射式、ダメージ500のアサルトライフルIIIだ。しかしまずアサルトライフルIIIは射程が短いのと1マガジンあたりの火力が結局ライフルIIIに劣るので除外。ライフルIIは単発火力は良いのだがリロードに時間が掛かりすぎるのでDPSでライフルIIIに劣る。相手の
ここでもう一つ難点がある。精錬して
そういうわけでライフルIIIをベースに計算すると、基礎ダメージ2,200×与ダメージ倍率366%×ヘッドショット3倍=24,156。槍の一突きで10万ダメージが出る現状では通常攻撃のダメージとしてもどうにも心許ないが、
さて、ここでまた問題になるのが、他の武器と違って与ダメージが伸びるスキルが存在しないということだ。実際シームレスワールドで新たに実装されたスキルがどのように駄目なのか紹介しておこう。
銃のダメージに倍率がかかるスキルは以下の2つだ。
戦闘Tier2『スプレッドショット』。与ダメージ倍率50%。まあこちらは全周囲に銃弾をばらまく攻撃なので仕方ない。マナサイフォンをかけると150%になるので一応普通の攻撃以上になるが、射程が10mもなく、ヘッドショットを狙うのも難しい。密着すれば10発くらい当たるが、適正射程を外れているためダメージは胴体ヒット5発分くらいにしかならない。
戦闘Tier3『ホローポイント』。バフスキルで、与ダメージが50%~250%になる。平均すれば150%になるが、1/4の割合で100%以下を引くリスクが案外無視出来ない。また、これ自体が攻撃スキルではなく、通常攻撃の威力をランダム化するバフスキルなのでマナサイフォンの効果が無い。
一応他にも銃スキルはある。
戦闘Tier3『Fire in the hole!』。持っている銃と関係なく750ダメージ×2。与ダメージ倍率は有効。
戦闘Tier4『バレルロール』。同じく持っている銃と関係なく1,500ダメージで、与ダメージ倍率は有効。
どちらもマナサイフォンの効果は一応あるが、連射出来ない上に至近距離でしか使えないので頼りにならない。
結局の所与ダメージは24,156で打ち止めとなっている。これはひどい。では次に射程はどうか。
ライフルIIIがクラフトピアの銃の中で最も射程が長いのだが、最大ダメージを発揮する適正距離が16m~40m、40m以降威力が減衰していって、60mを超えるとダメージが完全に0になる。
一応これを補うための『ハイグリップホールド』というスキルが実装されたので60mまでは完全な攻撃力を発揮出来るものとする。
加えて、バイポッドIIを装備することで多少は最大射程が伸びるが、何倍にもなるような影響は無い。多めに見積もって100m届くとしておこう。
では100mの距離で全速力の
一方
トピア「予想はしていましたが箸にも棒にも引っかかりませんね。せめて射程か威力のどちらかが10倍あれば考慮に値するのですが」
カミール「要求水準の1/10の性能ではな」
トピア「だからオモチャって呼ばれてたんですよ。ブレード・ランナーズ改の自動迎撃機能の方がまだいいでしょうね」
ブレード・ランナーズ改+6連装携帯レーザー防御モジュールMk.3の攻撃力は50,000/10×0.782×4.8×6=112,608DPS。特別製のType Gならもう少し効率が上がって142,560DPS。一点収束で装甲を抜くので
シュミット≪うーん、オバチャン達が頑張れば標準仕様を外れた武器やバイポッドを作れなくもないけど、10倍はちょっと無理ねえ≫
トピア&カミール「あっ」
その武器を作っている張本人の前で文句を言っていたことに気付き、トピア達は気まずくなった。
カミールは話の方向を変えようと頭を捻った。すると妙なアイディアが浮かんできた。
カミール「……待てよ? 与ダメージエンチャントは銃でも効果が出るならブレード・ランナーズ改でも同じじゃないのかい?」
トピア「……おお、その発想は無かったですね! 戦車だと乗り物判定で効果無しでしたが、ブレード・ランナーズ改は下半身装備やアクセサリで通りそうですからね」
シュミット≪流石カミールちゃんだわ≫
カミール「フフフ、そんなに褒めないでくれたまえ」
カミールはすかさず眼鏡に右手を添えて知性アピールした。
早速ブレード・ランナーズ改をアクセサリ指定して装備してみると、与ダメージ増強効果が通った。弾薬も使わないので、そのスロットもフルエンチャント装備で埋めると13枠装備で効果が最大2.72倍になる計算だ。Mk.3で306,293DPS、Mk.3 Type Gで387,763DPSだ。どちらも現在のカミールやファムの3倍ボールライトニング200万DPSには遠く及ばないが、射程と自動照準が優秀なのである程度は戦えるだろう。
カミール「自衛用としては十分優秀だけど、正面から戦うにはまだまだ厳しいか」
トピア「まあ元が自衛用ですからね。戦闘用にもっと沢山レーザー防御モジュールを搭載したタイプを作ればもっと強力になると思います」
カミール「幾つ搭載するつもりなんだ?」
トピア「……60連装くらいですかね?」
カミール「スパイダートロンだってそんなに積んでないぞ」
シュミット≪実現は遠そうだわね≫
初期スパイダートロンでもパワーアーマーMk2のモジュールスロットと合わせて17連装レーザーだ。その4倍近い要求は大分無理があるだろう。
トピア「補助として使うとしても、主力四人は装甲貫徹力を上げるために極力与ダメージ系を排したエンチャント構成になっているので殆どダメージが向上しませんね。元々銃とレーザー防御モジュールで固めている工場長やサティ姐さんの攻撃力はある程度向上しそうですが、装備スロット数が少なそうなのでそれほど効果が無いかもしれません。現状一番効果がありそうなのは与ダメージ倍率が167%になってるカミールさんとファムさんですね」
カミール「それはまあ助かるね。とはいえ元々の性能でもモスロンは瞬殺出来るようだけれど」
トピア「帯に短し襷に長しですね」
シュミット≪うーん、色々惜しいだわね≫
銃につけるエンチャントを応用してレーザー防御モジュールをパワーアップさせられる発見はあったのだが、いざ使おうとなると使い道に困るトピア達であった。