【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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139. ええ、これ説明には無い罠がありまして

 引き続きスキルの検証だ。次は魔法スキルカテゴリになる。

 

 

 魔法Tier1『ウィンドエッジ』。表記上はレガシーと全く同じで、最大7つの緑色に光る風の刃が曲線を描いて誘導弾のように標的を切り裂く。そのお陰で命中精度は高く、最大射程50mもクラフトピアの魔法としては標準的だ。最大威力8、クールダウン5秒、マナ消費10。

 

トピア「レガシー同様の悪くない性能なんですけど、BETAみたいな相手にはちょっと射程と連射速度が不足気味なんですよね。フロストマインのように足止めを兼ねるならそれでもいいんですけど」

 

カミール「使えなくはないが、わざわざ枠を使うには厳しいと言ったところか」

 

 

 魔法Tier1『ルーニックバレッジ』。最大レベルが6から1に軽減、マナ消費が10から1に軽減、クールダウンが5秒から3秒に短縮、代わりに同時発射数が10から5に半減、威力は7から5に減少している。ほぼ全く別のスキルだ。 射程は120m以上届くのだが、弾道が散るため50mでもカカシに1発も当たらないことがあり、4発程度当てるには20mほどまで接近する必要がある。しかし戦車(タンク)級でも正面断面積が人間の4倍以上ある上に大体の場合密集しているので、適当にばらまけば当たる。ばらまける上にDPSにして100万を超えているので数だけ多い雑魚を片付けるのには便利だ。

 

トピア「やはり雑魚を片付けるにはレガシー版より便利ですね。回転効率が素晴らしい」

 

シュミット≪あの戦いぶりを見てると回転効率は重要よね≫

 

カミール「しかしブレード・ランナー改で大体片付いてしまうのではないか?」

 

トピア「まあそうなんですけど、併用で殲滅速度を更に上げられる場合もありますからね」

 

 

 魔法Tier2『魔法の矢筒』。これはレガシーとは全く違う性能になっている。まず効果時間が60秒だったのが表記上9,999秒、実際は無限になっており、その代わり発動時にマナを消費するだけでなく矢を撃つたびに5マナ消費、更にスキルを使う際にも最大12%余計にマナを消費するようになっている。通常攻撃の威力最大12.5、スキル威力最大15%増加は変わっていない。

 

カミール「スキル威力15%増加は普通に強いと思うのだが、設計時に採用を見送るように言われていたな。あれは何故なんだ?」

 

トピア「ええ、これ説明には無い罠がありまして、発動中は本来の矢を使わないので、矢につけたエンチャントが無効化されるんですよ。それで強化した分の大半が相殺されて燃費が悪いだけになってしまうので」

 

シュミット≪従来のように消耗品の矢にエンチャントを付けないのが当然ならまだしも、無限矢筒がある現状だとエンチャント枠が4つ減ることになるのよねえ≫

 

カミール「そういうことか……」

 

 例えば幻想弓士の装(フォーム・ファンタジック・シューター)Mk.6で魔法の矢筒スキルを発動して むらっけのある むらのある 万古の すいすい エンチャントが無効化されたとすると、発動前のマグナムショットの装甲貫徹力8,286,756に対し発動後は8,452,365。2%ほどしか増えていない上に移動速度も低下するのに通常攻撃を含むあらゆる攻撃に追加でマナを要求されるので全く割に合わないということだ。

 

 

 魔法Tier2『マジックシールド』。マナからシールド耐久力への変換効率が最大50%から80%に増えており、額面上性能が1.6倍だ。ただ安全に関わるもののため、スーパーヒーロー着地が発動しない程度の高所から繰り返し落下してシールドが割れるまでのダメージを合算することで本当にその性能を発揮するのかを確認してみた。安全を確認するために飛び降りるというのもちょっと意味不明な字面だが。

 

トピア「確かに1.6倍の性能ですね。シールドが割れる際の一撃は満額で喰らってしまうことに注意は必要ですが」

 

カミール「つまりどちらにしろシールド耐久力上限を超えるような強烈な攻撃は全く軽減出来ないのか」

 

シュミット≪油断は出来ないだわね≫

 

 

 魔法Tier2『ルーンストリーム』。魔法版のアンストッパブルとも言えるスキルで、ダメージを受けるまで魔法を使うたびに魔法の威力が増加し、最大レベルかつ最大バフで138.06%まで強化される。表記上の性能はレガシーと同じで、既に戦闘でも使っているのだが、戦闘中に性能計測は出来なかったので念のため確認してみたところ、全く同一の性能であった。

 

トピア「よし、このスキルもどこにでも付与出来ますね」

 

シュミット≪助かるだわね≫

 

 

 魔法Tier2『ファイアボール』。完全新規の魔法スキルで、威力は20。射程は62mほど。クールダウン3秒、マナ消費5となかなか優秀なのだが、弾速が遅く、25m/秒ほどしかない。

 

トピア「割とイメージ通りではあるんですけど、弾速が遅いのとDPSが低いのが難点ですね」

 

カミール「わざわざ採用するほどではないか」

 

 

 魔法Tier2→3『フリージングレイ』。触媒としてバケツ水を消費しなくなった代わりに威力が25から10に下がった。冷凍ビームというイメージに反して射程は約30mでフロストマインより短い。また、ラストプリズム(Last Prism)のように継続マナ消費で冷凍ビームを撃ち続けることは出来るのだが、撃ち続けるほど秒間の消費が増していくので燃費が非常に悪い。ついでに言うと使用中その場から動けない。相手も凍って動けなくなるので条件は同じとも言えるが。

 

トピア「折角触媒が要らなくなりましたが、この性能なら射程ではフロストマイン、威力ではボールライトニングの出番になるので微妙ですね。BETAを凍らせるのが目的ではなく速やかに倒さなければいけないので凍結もそれほど意味がありません」

 

カミール「障害物を作るのもフロストマインで出来るからなあ」

 

 

 魔法Tier3『ヘルブレイズ』。触媒としてキャンプファイアを消費しなくなった代わりに威力が25から20に下がった。射程は15mほど。フリージングレイ同様に継続放射出来るが、同様に秒間の消費が増していき、その場から動けないのも一緒だ。当たった相手に獄炎デバフがつくが、カカシ相手にはスリップダメージが5万ダメージずつ入るのに実際にモンスター相手に使うと10程度しかダメージが入らない。

 

トピア「無しで」

 

カミール「うん」

 

 

 魔法Tier3『ピアシングライト』。指定したポイントに光が降り注ぎ4HIT分のダメージを与える。クールダウン15秒、マナ消費10、ダメージ25。有効射程は30m。敵のシールドを削るのに有効と書いてあるが、想定する相手はBETAなので意味が無い。

 

トピア「ボールライトニングより射程は長いですけど、攻撃半径が狭くて発動にも時間が掛かるので動く相手には当たりませんね。動かない相手にはボールライトニングの方が強いですし」

 

カミール「何とも半端だな」

 

トピア「あと()アシングダロンってやっぱり……」

 

カミール「その話はもうよさないか」

 

 

 魔法Tier3『英知』。表記上レガシーと同じだが、スキルファイターの例があるので計算式も同じなのかどうかを確認したところ、問題は無かった。

 

トピア「よし、英知もどこにでも付けられますね」

 

シュミット≪安心だわね≫

 

カミール「スキルファイターだけ何故あんなことになったのだろうな」

 

 

 魔法Tier2→4『フロストマイン』。マナ消費が50から40に減った代わりにクールダウンが7秒から25へと激増した。射程は至近距離で3ヒット、45mほどまで2ヒット、55mほどまで1ヒットする。

 

トピア「やはりただの弱体化で、レガシーより優れた点は無いですね」

 

カミール「そのようだね」

 

 

 魔法Tier4『ボールライトニング』。クールダウンが20秒から35秒に伸び、威力が20から15に減少、シールド削り性能が付与されたのだがBETA相手では意味が無い。検証は有効半径に変化が無いかどうかだが、レガシー同様の10m程度で、全く変わっていないようだ。

 

トピア「まあダメ元でしたが駄目でしたね」

 

シュミット≪そうだわね≫

 

 

 魔法Tier4『アンリミテッドフェイクブレード』。まず性能自体が最終版より前にロールバックして爆発の威力が下がっているが、それは重要ではない。問題は出現する剣の性能の方だ。

 まず表記にない射出本数は最大18本で変わっていなかった。最大性能の剣が攻撃力(ATK)2,500というのも同じだ。しかしこのスキルで生み出される武器は耐久力が極めて低いというのが難点であったが、シームレス版の武器は耐久力が無限なのでそれに併せて耐久力制限が無くなっていないだろうかというのが最大の関心事であった。

 

トピア「フェイクブレードだけ耐久値ゲージがありますね」

 

カミール「そういう所だけはしっかり設定してあるんだな」

 

シュミット≪まあエンチャントを付けられない時点で厳しいけれどね≫

 

 

 魔法Tier4『ファイアストーム』。完全新規魔法スキルで、ピアシングライト同様に地点指定で炎が吹き上がり、7ヒットする。最大射程30m。

 

トピア「ピアシングライトより若干威力が高いですが、欠点も全く一緒ですね」

 

シュミット≪つまり不採用ということだわね≫

 

 

 魔法スキルTier5も表記からして性能が低下しているものと未実装のものばかりで、残る生活、トリック、テイマーのスキルカテゴリにも戦闘に使うようなものは無かった。

 

 

カミール「思った以上に収穫が無かったな」

 

シュミット≪これがナーフというものなのね……≫

 

トピア「新しい収穫と言えば、ドラゴンフォールの攻撃力向上確認と、ブレードダンスがそこそこ良さそうなのと、あとは新型装備に付けてはいけないスキルが幾つか判明したくらいですね。スキルとは関係ないですが携帯レーザー防御モジュールに与ダメージ補正が乗るのは発見でした」

 

 トピア達が結論をまとめていると、工房の扉をノックする音が響いた。

 

トピア「はい、どうぞ?」

 

スコア「夜分失礼するよ……おや、お取り込み中だったかな?」

 

 トピア達の表情が芳しくないことを読み取って、工房に入ってきたスコアは若干躊躇する様子を見せた。

 

カミール「いや、検証に手間を掛けた割にあまり成果がなかっただけだよ」

 

シュミット≪実際使ってみても弱体化されてるスキルが大半だったものね≫

 

トピア「まあ使えるスキルと駄目なスキルを分類出来たところですよ。それで、何かご用ですか?」

 

スコア「ああ、そのことなんだが……元々火力に乏しかった自分がトピアさんの強力なスキルやエンチャント装備を使えるようになることばかり考えていてすっかり見落としてたんだが、もしかして私のマスタリから取得するパッシブスキルをそちらの装備に付けるのも可能なんじゃないかと思いついてね」

 

トピア「……お話を伺いましょう」

 

カミール「パッシブスキルというと、射撃攻撃力に+85%とか乗っているあのバフか」

 

シュミット≪それは是非試してみるべきね≫

 

 検証の成果の乏しさに脱力感が漂っていたトピア達は、スコアの提案に一転して真剣な表情になったのだった。

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