【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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145. ホールドアップ! 邪神召喚の現行犯で処分します!

 月の支配者(Moon Lord)と対面したトピアは悲願の罪の薬を飲むと即座に攻撃を開始した。まず狙うのは両掌に存在する目玉だ。耐久は5万ほどと聞いているが、これを槍の一撃で仕留めていく。理想郷の建設者(クラフトピアン)は空中での攻撃モーションと空中機動を両立出来ないので戦いにくいという難点があるが、どのみち既に通常攻撃の威力が10万に達しているのでこの程度は簡単なものだ。

 掌の目玉に限界以上のダメージを与えるとそこから真なるクトゥルフの目玉(True Eye of Cthulhu)が分離して体当たり、目玉飛ばし、なぎ払いビーム、誘導弾、連射ビームといった攻撃を開始した。厄介なことにこの分離した目玉自体には当たり判定が無いのでひたすら攻撃を避けるしかないのだが、しかしそのどれも207km/hを誇る現在のトピアの空中機動力に追いつけるものではない。暫く攻撃をかわし続けていると月の支配者(Moon Lord)の額の目が開いてビーム攻撃のチャージを開始した。トピアはすかさず槍をぶち込んだが、意外なことに10万以上のダメージを与えたのに一撃耐えた。ラリーに聞いた情報では耐久は9万程度だったはずだが、少し強化されているのだろうか? トピアは疑問に思いつつも上から回り込んでビームの射線を回避しながら額の目へと再攻撃し、結局2発目で沈黙させた。この間に真なるクトゥルフの目玉(True Eye of Cthulhu)からの細かい攻撃がトピアに掠ったが、現在1,000近いトピアの防御力(DEF)を突破出来ず、カスダメであった。

 ともかく3つの目玉を破壊したので次は露出する心臓を叩けば終わり、と月の支配者(Moon Lord)の胸部を見たトピアははたと困った。

 

トピア「心臓が露出しないんですけど……?」

 

 月の支配者(Moon Lord)が鎧を着込んでいるために胸部の心臓が露出していない。

 しかも困惑するトピアの目の前に討伐ログが出てきた。

 

外敵駆除

月の支配者(Moon Lord)を1体倒す

Clear

Get!

EXP +10,000

レベル上限解放 +5

 

 明らかにまだ倒してないのに何故討伐ログが出るのか。これで討伐出来ているのか? そんな筈は無いだろう。

 だがまあ兎に角攻撃すれば何とかなるだろうと考えたトピアはまず中華斬舞(ちゅうかざんまい)の乱れ突きで鎧を破壊し、今度こそ露出した心臓に20倍攻撃を叩き込んだ。心臓を破壊された月の支配者(Moon Lord)は低く唸るような悲鳴を上げながら光の中に消えていった。

 得られたドロップアイテムはミャウメアー(Meowmere)トレジャーバッグ(Treasure Bag)(月の支配者(Moon Lord))、月の支配者のレリック(Moon Lord Relic)月イカの欠片(Piece of Moon Squid)ポータルガン(Portal Gun)月の支配者のトロフィー(Moon Lord Trophy)月の支配者のマスク(Moon Lord Mask)ミャウメアートロッコ(Meowmere Minecart)ルミナイト(Luminite)×98、スーパーヒーリングポーション(Super Healing Potion)×9であった。残念ながら目当てのラストプリズム(Last Prism)は出なかったが、問題は悲願の罪の薬を使ったにもかかわらず9つの武器のうち1つしか出てないということだ。

 

トピア「こちらトピア、ムーンロードを討伐しました。残念ながらラストプリズムは出ませんでした」

 

聖騎士≪流石はトピア殿、手早いな!≫

 

スコア≪こちらも今討伐した≫

 

ラリー≪えっ、お前らの所にも出てんの!? こっちは討伐し終わって西のダンジョン(Dungeon)に向かってるところだが≫

 

 トピアはラリーの推測と逆にピラー(Pillar)を最初に倒したから自分の所に出たのかと思っていたが、実は4箇所同時に出現していたようであった。つまり真っ先にラリーが討伐した時点で討伐ログが出ていたようだ。非常に紛らわしい。

 

トピア「それでラリーさん、やや強くなってるっぽいのはまあいいとして、悲願の罪の薬を使っても1つしか出ないようなんですが?」

 

ラリー≪ああ、俺もそうだった。どうやら9つのうち1つ出る仕様だから排出率をアップしても意味がねえようだな≫

 

聖騎士≪遅れたが、こちらも討伐を完了した≫

 

スコア≪まあそれでも1周で4つ出るなら何とかなるか≫

 

ラリー≪いや8つだぜ。トレジャーバッグ(Treasure Bag)でもう一度武器の抽選があるからな。そっちにはセレスチャルスターボード(Celestial Starboard)怪しげな触手(Suspicious Looking Tentacle)も確定で入ってるぜ≫

 

スコア≪1周で8つか。それはそれで捗るな≫

 

トピア「あとムーンロードの心臓が露出してなかったんですが」

 

スコア≪そこは気になったな。正確な弱点が分からなくて困った≫

 

ラリー≪俺もこんなの初めて見たぜ≫

 

聖騎士≪ラリー殿も知らない現象であったか≫

 

 などと疑問点について情報共有していたところ、全員の通信機に新たに連絡が入った。

 

衛星観測員「赤道上に再びピラーが出現しました! 数は4つ!」

 

ラリー≪は?≫

 

トピア「勝手に2周目が始まりましたね?」

 

スコア≪まあ周回も予定に入っていたから構わないと言えばそうなんだが……≫

 

 トピア達は月の支配者(Moon Lord)狩りの周回を再開した。半ば強制的ではあったが、10周する頃には人数分のラストプリズム(Last Prism)だけでなくゼニス(Zenith)の材料になるミャウメアー(Meowmere)スターラース(Star Wrath)もそれなりに確保出来ていた。

 周回ごとに月の支配者(Moon Lord)は少しずつ装備が増え、兜や腕輪、盾を纏うようになって徐々にパワーアップしていったが、耐久力は極端には増えないので速攻で倒せば問題は無かった。また、心臓以外の弱点である額の目や掌の目は攻撃に使っているので防具で隠すことが出来ないようだった。

 問題は11周目だ。これまで1だった月の支配者(Moon Lord)()()()が急に12に上がったのだ。トピアが頭の中で大雑把に計算したところ、ボスのレベルが1から12に上がると耐久力は2.5倍以上、攻撃力は元が基礎900だとして2万前後になるはずだ。そうなれば通常攻撃の実ダメージも3千強。2発喰らったらアウトで、特に額の目からのなぎ払いビームは威力倍率が2.5倍なので即死を免れないだろう。トピアはその結論に至ってすぐに警戒を促した。

 

トピア「即死級! 回避優先!」

 

ラリー≪分かった!≫

 

スコア≪了解!≫

 

聖騎士≪承知!≫

 

 幸い防御力(DEF)は碌に上がっていないようで、ライフも中華斬舞(ちゅうかざんまい)の一撃でそれぞれ仕留められるレベルであった。1箇所にとどまって通常攻撃を繰り返すよりは隙が少ないので、トピアは一つ一つ中華斬舞(ちゅうかざんまい)で仕留めていった。攻撃を受けない前提で戦うのは全員BETA戦で慣れている。

 戦闘班全員がどうにかLv.12 月の支配者(Moon Lord)を撃破するとまたピラー(Pillar)復活の報せが入った。これ以上レベルが上がっていくのは不味かろうということで、トピア達は周回を打ち切るべく元凶を叩くことにした。

 

 

 

 戦闘班は再出現したピラー(Pillar)を一旦放置してラリーが元々向かう予定だった西のダンジョン(Dungeon)に全員で向かった。何故西のダンジョン(Dungeon)かというと、月の支配者(Moon Lord)との交戦に至る一連の流れはここに屯する狂信者達を起点にしているからだ。

 滅多に使わないトリックスキルTier3『ステルス』を取得し、これを起動して光学的に姿を消したトピアが西のダンジョン(Dungeon)に潜入すると、入ってすぐに明らかに原因であろうという光景があった。そこでは青いローブを着た怪しげな人影が大量にひしめいて何かの儀式を行っており、そこにはクラフトピア由来の新型作業台、エンチャントテーブル、そして交配所Sが設置されていた。しかも交配所Sの方は青いローブを被った怪しい人間を今以て増やし続けている。

 一通りの情報を取得したトピアが一旦戻り、ステルスを解除して戦闘班各員と情報を共有した。

 

スコア「……どういう状況なんだ? 誰かこんな所に生産設備を設置したのか?」

 

 会議でもその他の連絡でもそんな話は全く聞いた覚えが無い。スコアは困惑した。

 

トピア「いえ、何となく状況が分かりました」

 

聖騎士「ふむ?」

 

トピア「狂信者っていうのは人間なので()()()()()ですよね? そしてここのダンジョン、教化範囲に入ってますよね?」

 

スコア「あっ」

 

 スコアはアヌビス神に告げられた教化適用対象の条件を思い出した。「人間、エルフ、デーモンなどの知的生命体」と言っていたはずだ。やはり敵味方は関係ないのだろう。狂信者達の行動を見る限り、悔い改めさせて仲間にするような効果もまず無さそうだ。少なくとも同じ人間である狂信者でもそうなのだから、BETA相手に改心効果は尚更望めないだろう。

 トピアが観察した所、狂信者には狂信者(Lunatic Devotee)青い狂信者の弓兵(Blue Cultist Archer)の2種類の個体がいたが、やはり教化の影響でレベルが付与されており、交配所Sの影響なのか最大でLv.35まで上がっていた。と言うのも、交配所Sで増える個体は基本的には親の平均レベル-(1~6)になるのだが、稀に突然変異で平均レベル+34~39の個体が生まれるのだ。これを繰り返すことで段々レベルを上げていくことが出来る。察するに1回だけ突然変異が起きたのだろう。

 

ラリー「まあつまり教化で得た知識を元に作ったエンチャント防具を捧げたことで月の支配者(Moon Lord)がパワーアップしてて、同じく教化で得た知識を元に生贄を大量生産した結果、出現する月の支配者(Moon Lord)の出現数が増えたってことだよな」

 

スコア「こんな所に教化の影響が出ていたとはな」

 

 スコアは頭を抱えた。対象がBETAでなくてまだ助かったが、危惧した通り敵にも教化の影響が出ていたのだ。いや、このまま月の支配者(Moon Lord)のレベルが上がり続ければ、個体の脅威度ではBETAを超える可能性すらある。

 しかしトピア達の割り切りは早かった。

 

トピア「まあ周回にはむしろ好都合でしたので、モンスタープリズムで数人捕まえたら再出現しないように結界の旗で封印しておきましょう」

 

聖騎士「なるほど結果的にはそうであるな……」

 

 聖騎士達が封印してきたファーヴニルも脅威ではなく素材供給源と捉えるなら何度でもすぐに出現する方が便利だ。つまりはそういうことだった。

 トピア達は一斉に現場に踏み込み、事態の収拾を試みた。クトゥルフの狂信者達はこんないつ人が通るか分からないところで儀式をしているくらいなので、地球の破滅主義者達に比べれば対処は簡単だった。

 

トピア「ホールドアップ! 邪神召喚の現行犯で()()します!」

 

テクス「抵抗は無駄だ!」

 

聖騎士「世界の命運を賭けた戦いのさなかにこの愚行、もはや度し難し!」

 

ラリー「ハッハー、お前らの神様のドロップ、美味かったぜ!」

 

狂信者「お、おのれ神をも畏れぬ蛮族どもめ、呪われろォォ!!」

 

 斯くして西のダンジョン(Dungeon)の入口には狂信者達の怨嗟の声が響きわたり、月の支配者(Moon Lord)狩りは12周でつつがなく終了した。12周目の月の支配者(Moon Lord)は更にレベルが上がって20になっており、やはりこの時点で発生源を潰したのは正解であった。

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