【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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150. プラン3 アイサツ作戦(オペレーション・ハロー・ワールド)を開始せよ

 シミュレーター訓練終了後には出陣式をやろうという話も持ち上がったのだが、前回の着陸ユニット待ちと違ってハイヴの攻略は早ければ早いほど良いのでそんなことをしている暇は無かった。

 また、ハイヴの攻略は万が一にも作戦の情報が漏れると酷いことになるため、生中継はせずに録画だけしておいて後で閲覧可能にすることに決まった。そこそこ人数が増えたのでクトゥルフの狂信者集団のような破滅主義者が紛れ込んでいないとは言い切れないし、通信自体を傍受される可能性もあるからだ。

 なので今回の出撃はひっそりとしたものになり、演説の機会が無くなったアヌビス神が少しションボリしていた。

 

 

 

 トピア達戦闘班四人はコア043から出撃してガンマGでハイヴ24へと向かった。やろうと思えばハイヴ24を包囲するタレット群の隙間にポータルを設置することも出来たが、そこから本拠地に逆侵攻されると非常に危険なので設置しなかったのだ。コア043からハイヴ24の距離は500km程度なので、ポータルが無くても30分程度で到達出来る。

 そしてハイヴ24へと到達したわけなのだが、(ゲート)から出てくるBETAを内側向きのタレット群が、外から戻ってくるBETAを外側向きのタレット群が殲滅し続けていた。もはや戦闘と言うよりは処理の様相を呈していた。

 

聖騎士「圧倒的であるな」

 

スコア「反撃の光線(レーザー)級は出してこないんだな」

 

ラリー「やっぱり誘い込まれてる気がするな。なんか嫌な雰囲気があるぜ」

 

トピア「……まあ油断せずに行きましょう」

 

 スコアやラリーがBETAの挙動に不信感を抱いているが、今回の作戦はその誘いに敢えて乗るものだ。そもそもハイヴ24を探査範囲に収めるコア043を設置したことでハイヴ24の内部構造は判明している。断面図にすると以下のようなものだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 既にハイヴの(ゲート)の一つから横坑(ドリフト)を通って主縦坑(メインシャフト)の縁までは自動でタレットが敷き詰められているが、大量の光線(レーザー)級に押しとどめられてそこから進めずにいる。そこから先に戦闘班の力で進むのが今回の作戦、プラン3だ。ちなみにプランがアルファベットではなく数字になっているのは、アルファベットだとたった26個で埋まってしまうではないかというマインの言による。実際既に10以上のプランが発案されているのだからこれは尤もだ。そもそもこれらのプランは1つ使ってハイヴを攻略出来れば最良ではあるが、途中までやって駄目だった場合はオプションとして他のプランを使う前提になっている。その選択肢が少なくては対応力が限られてしまう。

 反応炉である頭脳(ブレイン)級や重頭脳(ブレイン)級が配置されている場所は実はハイヴによって違う。主縦坑(メインシャフト)の底にあったり、主縦坑(メインシャフト)の底の隣の部屋にあったり、主縦坑(メインシャフト)から相当迂回して複数の大広間(メインホール)に囲まれた部屋にあったりする。また、地上から主縦坑(メインシャフト)の底に繋がる横坑(ドリフト)がある場合もあれば無い場合もある。今回は無いケースだ。BETAとしても出入りが不自由だろうと思うのだが、色々未完成なのだろう。ただフェイズ1にしては地表構造物(モニュメント)の積み上げが始まっていたり主縦坑(メインシャフト)が案外深かったりする。設営開始からわずか4日でフェイズ2に近い状態になっているのだ。この星のBETAは地球のものに比べ仕事が早いのは間違いないだろう。

 今回の場合頭脳(ブレイン)級が配置されている中枢はタレットが敷き詰められた横坑(ドリフト)の下(※実際には断面の前後に多少ずれる)にあるので下に掘っていくのが近道のように見えるし実際にそうなのだが、折角トキソピッド・ミラージュの掘削能力を伏せて生身で突入するのに掘削能力を見せてしまっては台無しだ。これはとっておきにしておいてまずは別の方法で主縦坑(メインシャフト)の突破を試みるのが今回の作戦だ。それにどうせ掘削を始めるとそれに対応して光線(レーザー)級が掘削ルートの行き先に集まってくるだろう。ハイヴの中では主縦坑(メインシャフト)以外で撃ってこない筈、などという従来の常識は捨てるべきだ。

 

 さて既に制圧済の横坑(ドリフト)を通って問題の主縦坑(メインシャフト)への接続点手前にはもう到達したわけだが、一番深い横坑(ドリフト)の縁から底までまだ125mある。自由落下で5秒ほどかかる距離だ。トピアがドローンを縁から出して観測すると、穴の底には数えるのも嫌になる光線(レーザー)級がひしめいていた。

 光線(レーザー)級の本照射前の予備照射は約3秒なので本来なら落着まで2秒しか全力攻撃出来ない計算になる。しかしここでは特定の横坑(ドリフト)から敵が出てくると分かっているので姿が見える前から予備照射を開始しており、即座に本照射レーザーを浴びせてくる。これが建設ロボットが前進出来なかった原因であり、BETAにしては大分小賢しい。ただしその小賢しさはトピアやマインほどではない。

 

マイン≪戦闘班、プラン3 アイサツ作戦(オペレーション・ハロー・ワールド)を開始せよ≫

 

トピア「では手筈通りに」

 

ラリー「おう」

 

スコア「分かった」

 

聖騎士「承知」

 

 マインの号令でトピア、ラリー、聖騎士が 伝説の 特級の 高級な 上質な レア カリカリのトロピカルスムージー、スコアが 伝説の 特級の 高級な 上質な レア ジューシーなストーンディップスナックを口にして……その場で全員が硬直した。

 

マイン≪おい、どうした貴様ら。何の異常だ、報告しろ≫

 

 不審に思ったマインがBETAによる攻撃の可能性を考えて周囲の情報を確認するも、何の異常も見つからなかった。戦闘班の面々は苦しんでいるような様子は無く、むしろ全く緊張感の無い表情をしている。何らかの精神攻撃だろうかと考え始めたあたりで、戦闘班が再起動した。

 

トピア「うー! まー! いー! ぞーーーーー!」

 

ラリー「思わず意識が飛ぶ美味さだと……!?」

 

スコア「レア料理はフルエンチャント料理並みの美味さだと思っていたが、両方だとここまでか」

 

聖騎士「不覚、戦場で戦いを忘れるとは!」

 

マイン≪……余裕だな。とっとと作戦を開始しろ≫

 

 戦闘班の面々は口々にフルエンチャントレア料理の美味さを称えるばかりであり、マインは取り越し苦労にため息を吐いた。あのマインに呆れられるとは貴重な経験だ。

 

トピア「アッハイ、スコアさんお願いします」

 

スコア「ん、んんッ! ……始めようか」

 

 戦闘班は気を取り直して作戦を開始、スコアは失態を誤魔化すように咳払いしてから手筈通りにインベントリから20m×20m×10mのプラスタニウムの巨大な壁を主縦坑(メインシャフト)に出現させた。ここまでは建設ロボットでやっていた作戦と大差無いが、トピア達四人はロケットパックで一斉に落下する壁の上に飛び乗り、()()()()()()()()()()()()()()()()。ラリーはゼニス(Zenith)を投擲、聖騎士はフライングドラゴン(Flying Dragon)の衝撃波を飛ばし、トピアは双剣でその両方を実行した。何をしているのかと言えば、この2つの武器は()()()()()()()()のだ。フライングドラゴン(Flying Dragon)は障害物貫通後のダメージが半分になってしまうが、光線(レーザー)級の耐久力は人間と大差無いので問題無い。スコアの武器であるパルスボウ(Pulse Bow)は障害物を貫通しないので今回は設置役だ。

 プラスタニウムを盾にした一方的な貫通攻撃により光線(レーザー)級の数がみるみる減っていく。小賢しいを通り越して卑怯とすら言える戦法なのだが、当然安全の方が優先である。厚みは10mで通常版から変化していない巨大な壁を使っているのも、攻撃を防げる範囲を広めに取るためだ。

 

トピア「安全確認ヨシッ!」

 

ラリー「ちょっと申し訳ねえけどな!」

 

聖騎士「対話が成立しない敵相手に容赦の必要無しッ!」

 

 適当に叫びながら一方的に攻撃するトピア達の装備は以下のようになっている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ラリーの装備は超伝説のゼニス(Zenith)Mk.6。ラストプリズム(Last Prism)装備セットの方も強化は終わっているが、今回の作戦ではゼニス(Zenith)の障害物貫通性能が必要なためまだラストプリズム(Last Prism)の出番は無い。オーダー通り移動速度が地上・空中ともに2倍になっている他、通常攻撃の威力が3.23倍になっており、単発54万、DPSで3200万に至っている。狙い所によっては要塞(フォート)級にも効きそうなので鎧袖一触の並列数を削ってマスタリパッシブスキルで威力を上げた形だ。

 携帯レーザー防御モジュールは相手の防御力(DEF)を無視した威力計算になっているが、これは例えば突撃(デストロイヤー)級の防御力(DEF)が80万でライフが20万だと仮定すると、まず一点収束の熱量で防御力(DEF)の80万を貫通してからライフの20万にダメージを与えることになるので、相手は実質防御力(DEF)が0でライフが80万+20万のような形になる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 聖騎士の装備は聖剣Mk.4改。フルアーマー聖騎士装備が3系統に分かれたうち、剣装備のものだ。Lv.97時点のものがMk.4で、Lv.255のステータスで大幅に増大したライフを活かすべく 幕無し猛撃の永生の をつけたものがMk.4改だ。移動速度は当然地上・空中どちらも2倍だ。

 Mk.3と比べると英知Lv.6を付け直し、回避アクションをレガシー版に変更したほか、鉄壁Lv.6を削ってフードファイターを付け、二つ付けていた鎧袖一触Lv.3を削ってブレードダンスLv.6を付けている。マスタリパッシブスキルとフルエンチャントレア料理のお陰でブレードダンスでも攻撃力が足りるようになったため、発動の早さと回転速度を優先したのだ。聖騎士は新型ではあるが自前で鎧袖一触を使えるので、範囲攻撃が全く出来なくなるわけでもない。

 注目ポイントは基礎6,592に達したライフを伸ばすべく防具を聖騎士の兜と聖騎士の鎧に戻している点だ。これによって最終ライフは20倍になり、145,394という人類にしては驚異的な数字になる。代わりに防御力(DEF)は60%減ってしまうが、それでも318残る。防御力(DEF)が300でも1,500でもBETAと高レベル月の支配者(Moon Lord)以外の攻撃は防げるしBETA相手だとどちらにしろ役に立たない場合があるので割り切ったのだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 トピアの装備は双撃決闘者の装(フォーム・デュアル・デュエリスト)Mk.6。当然移動速度が地上・空中ともに2倍になっている上にMk.5-に比べ与ダメージが1.55倍、装甲貫徹力はそれ以上になっているが、今回の運用ではゼニス(Zenith)フライングドラゴン(Flying Dragon)の障害物貫通性能を当てにした形だ。しかもフライングドラゴン(Flying Dragon)の光る衝撃波にはスキル威力が乗るので、半分の威力で良ければ遠間かつ障害物越しに居合斬りでぶった切ることも可能だ。そして装甲貫徹力が300万近いので大体のものは半分で十分だ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 スコアの装備は幻想弓士の装(フォーム・ファンタジック・シューター)Mk.7。スキル付与構成については英知Lv.6を付け直したのはあるが、スコアは元々自力でマスタリパッシブスキルを習得しているのでほぼ変化は無く、あとはフルエンチャントレア料理で攻撃力に更に余裕が出たために攻撃力増強エンチャントの一部を移動速度2倍に回した形だ。マグナムショットの単発威力は1千万を突破しており、実際の所料理無しでも攻撃力は足りていた。

 

 また、全員に共通するところとして水中適応するための宇宙の貝殻(Celestial Shell)を標準装備しているほか、今朝トピアがどこからともなく持ってきた大量の成長の石板を使って必要なステータスを限界まで伸ばしていた。この石板をどこから持ってきたのかについてトピアはノーコメントを貫いており、明らかに何か知っていそうな聖騎士もこの件については口を開こうとはしなかった。結局の所利益しかないので出所の追及は断念することになったのだが、その傍らでアヌビス神が気まずそうにしていたのが印象的だった。

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