次はフェイズ3になるハイヴ10の攻略だが、その前にトピア達は一旦拠点に戻って情報を共有することにした。
戦闘指揮官であるマインはコア001におり、他の生産班もその近くの格納庫でトキソピッド・ミラージュの調整を進めていたので、戦闘班四人とスコアの身を案じたファムがそこに集合した。
トピア「……というわけで攻略は完遂しましたが、酷い目に遭いましたね。主にスコアさんが」
マイン「ふむ、やはり奴らは囮戦術を多用するようだな。まるで人間のような思考だ」
ファム「それで、お体は大丈夫なんですか!?」
スコア「ああ、ハイリザレクションLv.6はすごいな。まさに生き返ったようだ」
スコアが両手を開いて無事な様子を見せると、漸くファムは少し落ち着いたようだった。魔法で生えてきた腕の付け根にも傷跡などは残っていない。
ラリー「今回初めて実際の効果が分かった訳だが、腕まで生えてきたのはすごかったな。まあいっぺん死んで検証するわけにも行かなかったからぶっつけ本番なのは仕方ねえ」
聖騎士「誘電体多層膜というのもしっかり機能してくれたぞ」
マイン「あとはフェイズ1ハイヴ程度なら問題無く通信が通るというのが今回判明したことか」
スコア「確かそのために通信機能も強化したんだよな?」
トピア「とはいえどんな妨害があるか分かりませんからね」
マイン「まあいい、ハイヴ10には予定通りの作戦プラン4で突入しろ。現状のトキソピッド・ミラージュならばレーザーの集中砲火を受けたところで問題は無い」
トピア「でしょうね。危ない橋を渡るのはここまでです」
トピアはトキソピッド・ミラージュの現状の性能を思い起こしてすんなり頷いたが、それはそれとして最後まで一筋縄ではいかなそうだと判断し、保険の札を用意しておくために聖騎士に目配せした。聖騎士はただ静かに頷いた。
戦闘班はシミュレーターでハイヴ10の構造を復習した後に再出撃した。一旦戻ってくる暇が無い場合に備えて一応ハイヴ10の方も前回一緒に予習していたのだ。
1時間後、トピア達戦闘班の機体はハイヴ10の東西南北それぞれに布陣していた。ハイヴ10の太い
コア044から探査したフェイズ3ハイヴ10の構造は以下のようになっている。
ハイヴ10は
ちなみに何故こんな都合の良い通路があるのかと言えば、内部で生産した
スコア≪北側突入準備よし≫
ラリー≪西側突入準備OKだぜ≫
聖騎士≪同じく南側突入準備よろし≫
トピア「東側突入準備ヨシッ!」
マイン≪宜しい、プラン4
トピア「了解、トキソピッド・ミラージュ、戦闘モード起動!」
ラリー&スコア&聖騎士≪起動!≫
トピアは操縦席のツインスティックの両外側に据え付けられたチェンジレバーを掴み、レバーの頭にあるボタンを押しながら左右同時に奥側へと回した。すると7.5GW核融合炉が低出力モードから全力運転モードに切り替わって低く唸り、原型から大幅に増設されて8つになった頭部光学センサーの色を黄色から青に変えた。別にトピアが注文したわけではないのだが、このモード変更レバーがどういうわけかマイトガインの起動レバーに似ているのでトピアも気に入っている。勿論平和の青信号が灯る所も含めてだ。いやマイトガインの青信号は緑色だった気がするが、細かいことはいいのだ。
戦闘モードに切り替わったトキソピッド・ミラージュは畳んでいた脚で地面を掴んで塹壕から起き上がり、空色の機体を晒してハイヴ10の
ミラージュが機体を起こしたのはハイヴ10を包囲するタレットの列の外側だが、大きい分だけ当然タレットよりも大分高い位置になる。つまり地平線に隠れにくいのでレーザーが飛んでくる。ミラージュはそれを
当初この機能は相手のレーザー波長に応じてそれを最大効率で反射する誘電体多層膜を構成するのが目的であった。そのためにナノマシンによる制御を導入したのだが、
ミラージュは敵の攻撃を反射しつつ自分の搭載兵装を起動した。100を超える数のミラー端末が上下の装甲から分離して空中に躍り出ると位置と角度を調整。それが終わると胴体の上下から光線を発射、ミラー端末で反射してBETAを撃ち貫いた。レーザータレットMk.3 Type Gだ。トキソピッド・ミラージュは内装オプションからTechブロックに対応しているが、胴体上下には同じくTechブロックに対応した合計2,000m2のウェポンベイがある。これには4m2のレーザータレットMk.3 Type G、5m2の巡航ミサイルタレットMk.1、4m2の放電タレットMk.1、25m2のクアッドレールガンを必要数組み込んでいるが、発電量増強に伴って武装搭載量が格段に増している。
・昨日のトキソピッド・ミラージュ(150MW)の搭載武装:レーザータレット25基96MW、ミサイルタレット64基0MW、放電タレット8基80MW、クアッドレールガン1基40MW、合計消費電力216MW、兵装面積477m2
・現在のトキソピッド・ミラージュ(7,500MW)の搭載武装:2.5倍駆動レーザータレット128基2,128MW、2.5倍駆動ミサイルタレット64基64MW、2.5倍駆動放電タレット32基1,385MW、2.5倍駆動クアッドレールガン32基5,542MW、合計消費電力9,120GW、兵装面積1,766m2
どちらも合計消費電力が発電量をオーバーしているが、放電のように他との同時使用が不可能な武器というものもあり、全部同時に使うことは無いので問題無い。ミサイルタレットが多少の電力を食うようになっているのは、どうもパワー・シャードと仮想実体化の相性が悪く省電力性能が想定以上に悪化してしまったためである。とはいえそれでも1基1MW程度なので安いものだ。ウェポンベイの面積がまだ余っているのにこれ以上搭載しないのは、実際にはレイアウト上の制限があるほか、狭い洞窟内でのミラー展開数にも限界があるからだ。
新型核融合炉がもたらす膨大な発電量と128基の反射レーザーを以てしてミラージュは目に付く限りのBETAを消し炭に変えていった。まるで王の行進を妨げるものなど無いかのように。しかも手札を無駄に見せないためにこれでもレーザー以外の武装を全く使っていないのだ。
戦闘班が操作するミラージュは4方面でそれぞれ
ハイヴ侵入後も戦闘の模様は大して変わらない。広い通路を選んで突き進み、立ちはだかるBETAを片っ端から消し炭にし、やや狭い部分は指向性爆薬弾頭ミサイルで爆破して通行可能にし、コアからの地下探査で既に判明している
東以外の3方面も大量のBETAが押し寄せてはいるが、やはり東が最も突破されると不味いからか東に一番多くのBETAが集まっていたようだった。そしてその全てが例外なく、ミラージュの歩みを碌に遅らせることすら出来ずに活動を停止した。ミラージュの方もレーザーを反射する際に1割未満の熱量は受けているので全く損傷していないわけではないが、冷却が万全な上にクアッドがついてきているので割合回復で即座に回復してしまう。殿を任せたAIミラージュも難しい動作が必要無いせいかしっかり役割を果たしている。
そんなことを続けているうちに8kmの行程を消化し、トピア機は
目の前にはそれなりに大きく育った
トピア「我が城です!!(あいさつ)」
トピアが観測出来なくなったハイヴの方では、好機とばかりにトキソピッド・ミラージュを鹵獲すべく
スコア≪トピアさん、そっちも停まったのか?≫
ブラックアウトした操縦席ではパイロットの戦闘班が互いの状況を確認していた。しかしその様子は焦燥や悲壮感と言ったものとは無縁だ。
トピア「ええ、まあやっぱりと言ったところですかね。むしろ早めに分かって良かったです」
聖騎士≪果たして
2機のミラージュの胴体上下から橙色の光線が迸り、それをミラー端末が反射してまとわりつくBETAを瞬時に焼き払った。操作・司令の信号が途絶した2機のミラージュは音信不通となるや数回のリトライの後にコア044の制御から離れ、オフラインモード設定で独自行動を開始したのだ。
ミラージュ達はそのままレーザーの斉射を続けた。周囲のBETAに多少分散するとは言え、元が合計2億4330万DPSの光の嵐だ。当然
なお東西南北のうち西側のラリーは直接操作だったので、他の面々が