ハイヴ10の攻略をつつがなく終えたトピア達戦闘班は、一旦コアベースへと戻り、昼食を摂っていた。そう、この連中は朝食から昼食の間にハイヴを2つ片付けたのだ。後2つももう今日中に片付くのではという楽観的雰囲気すら漂っており、実際その可能性は高いというのだから、大量の死者を出しながらそれでもBETAの侵攻を食い止めることが出来ていない地球人からすると噴飯物だろう。いや逆にそれだけの犠牲を出しているのに危機感と協調性が全く無いマブラヴ地球人に
トリオ「んで大電力用の武装も幾つか用意出来たんじゃが、次の作戦には持っていくかの? まだ全員分は揃っとらんが」
同じく昼食を摂っていたトリオ工場長が飲酒しながら気軽に新作武装の完成を告げた。相変わらず仕事が早くて頼りになる。
トピア「うーん、現状でも手札が半分以上残ってるので、持っていくか伏せておくか迷う所ですね」
スコア「次の作戦はプラン5だろう? 全部揃わないなら使うまで外から見えないバリア以外はまだ伏せておく方が良くないか?」
ラリー「だな、あとは最終決戦用って奴だ」
トリオ「ほうか、ならバリアだけ持っていけ」
ハイヴ10攻略が完勝だったせいか戦闘班各員はどうも油断しているように見えたが、どうせ最終戦でまた換装することになるのでトリオ工場長は素直に引き下がった。
マイン「おう貴様ら、お待ちかねの想定外が発生したぞ」
食堂に入ってきたマインが開口一番物騒なことを言い出したので、トピア達は振り返って注目した。
トピア「何事ですか?」
マイン「ハイヴ10からコア045設置予定エリア周辺へタレットを敷き詰めてコア045を降下させたところ、重
スコア「重
戦闘班はスコアに同意していた。この程度ならば想定外と言うほどではない。
重
マイン「問題はその後だ。完成したタレット群をあっさり突破され、コア045を破壊されたのだ」
スコア「は?」
ラリー「嘘だろオイ」
一度設置したコア:ニュークリアスを破壊されたのは、マインがこの星に来てから初めてのことである。それだけの異常事態ということだ。
マイン「こいつを見ろ。新種だ」
マインがディスプレイに表示した新種のBETAは、一言で言えば直径30mほどの輪っかであった。見た目はシンプルだが、その性能は驚くべきものだ。
ラリー「レーザーが効かない? こいつも誘電体多層膜を使ってるってことか?」
トピア「……いえ、見たところ跳ね返してはいないので、これはもっとシンプルですね。
レーザーを直径1cmに収束してその一点を溶かそうとした場合、面積は0.25×πcm2。これに対し、直径30mのリングを幅1cmで一周した場合、その面積は3,000×πcm2。面積が12,000倍になっている。周囲に拡散する熱を考慮していないのであまり厳密ではないが、つまりレーザーによる熱量の集中効率が1/12,000程度しかないということになる。仮にレーザー収束が直径10cmでも1/1,200だ。
サティ「そうね、ミサイルで撃破した個体を解析にかけてみたけれど、甲殻の組成は
スコア「レーザーにそんな対処方法があったのか……」
テクス「まさにコロンブスの卵でござるなあ」
テクスはBETAの発想に腕組みをして唸った。
勿論人間の皮膚程度の防御性能であればレーザーの軌跡に沿って真っ二つになってしまうわけだが、そもそもレーザー1発あたりの威力は
トリオ「しかしまあ嫌になるくらい的確に対応してきたの。やはり学習能力も高いんじゃないかの?」
トピア「対処すべき事態を認識してから新種の全体への普及は2週間と言われていますが、一部での対処実験が始まるのは割とすぐらしいので、そこまで不自然とは言えません。ですがまあ……大分対処能力が高いでしょうね」
マイン「しかもコレを見ろ。内側は回転しておらん。そこに
次の映像を見ると、新種の輪っかの内側に乗った
トピア「タンクデサント……いえ、これはまさにアインラッドですね。
ラリー「一輪車か、なるほどな」
マイン「何故こいつだけドイツ語なのだ?
トピア「いえ、由来が違いますのでアインラッドで」
カミール「やけに譲らないな?」
トピアが名前に使ったアインラッドとは、ラリーやマインが理解したドイツ語の一輪車とは少々違う。トピアの言うアインラッドとは宇宙世紀終盤でザンスカール帝国が開発したMS用タイヤ型
トピア「しかしアインラッドが来たからには次はツインラッドでも出そうですね」
マイン「ツインラッド? 一輪車の次の二輪車ならモトラッドではないのか?」
マインに問いただされたトピアは意表を突かれた顔をした。モトラッドという言葉だけ知っていてその意味は知らなかったのだ。
トピア「いやあ、ツインラッドはタイヤの幅が2倍になった奴で、ドイツ語由来じゃないんですけど、ドイツ語でモトラッドって二輪車って意味なんですね。なるほどー。……モトラッドが出てきたらいよいよヤバイですね」
トピアが先ほどから並べているのは全てザンスカール製兵器の名前なのだが、モトラッドはヤバイ。ツインラッドはアインラッドを横に繋げただけのような試作
カミール「先ほどからトピアが何を言っているのか理解出来ないのだが?」
サティ「どうせ何かのSF知識でしょ」
正解である。流石付き合いが長い。
マイン「まあ名前などどうでもよいわ。問題はこれへの対処だ。こいつらは今現在タレット群を踏み潰しながらハイヴ10跡へ遡ってきているのだぞ」
マインが食堂兼会議室のディスプレイに表示した情報によると、
何が厄介かというと、侵攻用のタレット群の側面から潰しに来ているため、
なお名前などどうでもいいと言いながらも一輪車級という名前を掲載してくれたマインの好感度がトピアの中で少し上がった。
トピア「と言いつつマインさん、対処法自体はもう分かってますよね?」
聖騎士「そうなのであるか?」
マイン「フン、あくまで
サティ「レールガンも消費電力が重いのが問題なのよね。とりあえず突破されてない部分はレーザーで迎撃もされない放電タレットの配備かしら」
トピア「ではそちらの対処はお任せします。それで重要な点として、ハイヴ03の構造はスキャン出来たんですか?」
マイン「無論だ。それだけの時間はあった」
トピア「じゃあ問題無いですね。昼食後にシミュレーターでハイヴ03の構造を覚えたら、ハイヴ10跡からミラージュで前進して
ラリー「だろうな」
スコア「我々でもびっくりするくらいミラージュはパワーアップし続けているからな」
聖騎士「ここの技術進歩の速度は本当に驚くばかりである」
サティ「あらありがとう」
カミール「とはいえ油断はするんじゃないぞ?」
トピア「勿論です。勝って兜のおじいちゃんですね」
シュミット≪なんか違う気がするだわよ?≫
兜のおじいちゃんは元祖スーパーロボットの生みの親だ。作品によっては顔が大分怖いけれど、とってもすごい人なのだ。拝んでおいて損は無い。
トピア達は宣言通りシミュレーター訓練後すぐに出撃した。今回はそのシミュレーター訓練自体も大分短かった。