トピアは雷の精霊を召喚してライトニングフィールドを張ってはその範囲内で前に進むというルーチンを繰り返し、遂にと言うべきか早くもと言うべきか、敵中枢に接近を果たした。見ればクレーターの底ではまだ着陸ユニットの解体中であり、ハイヴ中心の深い縦坑は見られない。だが接近を警戒しているのか、その着陸ユニットの周りにはこれまで以上にBETAが密集しており、着陸ユニットから新しい個体もどんどん出てきている。
トピアは連中が予想通り密集しているのを逆手に取って、これまでとは別の魔法を唱えた。魔法Tier5、『サモンメテオ』Lv6(Max)。どこからともなく6つの隕石が降ってきて密集したBETA達を肉塊に変えてはマナに還っていく。これは見た目の通り天井があると使えない魔法なので、連中がまだ地下に潜らずにいたのも好都合だった。
サモンメテオのクールダウンは基本60秒、最短まで圧縮しても13.5秒かかるので、合間に最短クールダウンが2.25秒の魔法Tier2『ライトニングボルト』Lv6(Max)を連射して1回ごとに11発の落雷で広範囲追撃し、更に迎撃用のTier2『ボールライトニング』Lv6(Max)をかけ直す。そうしている間に13.5秒が経過するのでまた『サモンメテオ』で隕石を降らせるサイクルが成立した。
エンチャントテーブルは設備であって杖ではないので、杖固有の集中アクションを使った収束メテオや収束ライトニングボルトが行使出来ないという難点がある。しかしそもそも集中アクションのモーションは長くて隙になるので使いどころが限られるし、広範囲攻撃だけでよいならば現状の装備で何の問題も無かった。そしてサモンメテオやライトニングボルトは普通に発動すると着弾範囲が割とまばらで、相手が大量にいてしかも密集していないとあまり当たらないのだ。
しかし当たりさえすればサモンメテオの1HITあたりの威力は直撃でボールライトニングの6倍~11倍、余波の爆発でも1.5倍~1.85倍、連射しているライトニングボルトですら1.65倍であり、密集したBETAはカモであった。
マントラはTier4の魔法スキルである。その効果はLv6ならば最大ライフを3割減らすのを代償として最大マナを120%、マナ自然回復量を250%増加させるというものである。一見このマナ自然回復量3.5倍が効いているように見えるが、実はこちらはおまけで、マナ回復においては最大マナ増加の方が本体だ。
どういうことかと言えば、マントラでマナ最大値を増やした場合に残量も同一割合で増幅され、効果が切れた際には残量が減らないのだ。つまりマントラ発動→元のマナ最大値以上を残して効果切れ→マントラ再発動を繰り返すだけで、1サイクルごとに元の最大マナの1.2倍分だけマナ残量が補填され続けることになる。これのお陰で魔法やスキルを連射してもマナが全く減らないわけで、まあインチキもいいところの壊れスキルである。
ついでに言えば
そうして無遠慮かつ無尽蔵に乱射される攻撃魔法の数々がBETAを襲う。人間とは生物ではなく自然災害であるとBETAが宣うのであれば、いいだろう味
トピア「ハハハ怯えろ! 竦め! 生体重機の性能を活かせぬまま死んでゆけェ!!」
まあBETAは怯えたり竦んだりはしないのだが、トマトおじさん大好きなトピアの大分おかしなテンションはともかく、ここまで上手く行っているのは、最も警戒していた光線種がまだいないので遠距離攻撃を受けないことが大きく影響している。戦術機を瞬時に溶かすあの必中レーザーで集中砲火されては、流石のマントラ強化マジックシールドでもどれだけもつかは分からない。
また、殆ど穴を掘った形跡がないので最大級のサイズを誇る
トピアが本拠地攻めをしているのに何割かが素通りしてサティ達の方に向かったので、圧力も大分減っていた。恐らくは電子機器に引き寄せられるBETAの特性であろう。光線種を警戒していた折にあちらから橙色の光線が迸っていたので吃驚したが、BETAのレーザーは青白いはずなのであれは味方のものの筈だ。味方が光学兵器の実用に至っているというのは考えてみればかなりの朗報である。
トピア「あっはァ、重
防衛担当BETAの津波の中をそれらが増えるよりも速く減らしながらじわじわ前進して渡りきったトピアは、凹凸だらけになった着陸ユニットの中に目的のものを見つけ、ニタリと微笑んだあとに表情を引き締めて
トピア「ドーモ重
重
その目の前で無数のBETAを迎撃しながら平然と佇むトピアに、微妙に卑猥な形のそれが、心なしか困惑しているようにも見える。
重
重
さて、単純なDPSでは双剣の方が上だが、まだ周囲の雑魚を殲滅できていないので装備を切り替えることは出来ない。また、杖装備ではない為サモンメテオやライトニングボルトの収束も出来ないので単体攻撃には向いていない。だが、問題は無い。
トピアは建材カタログを兼ねた建設の魔導書を左手に構えてエンチャントテーブルのブループリントを正面に出し、技名を宣言して攻撃を開始した。
トピア「大往生流雷
連射。やることは単一目標に対する雷撃魔法の一心不乱の連射である。百発のスリケンで倒せぬ相手ならば一千発のスリケンを投げろと偉大なニンジャも言っているのだから、この作戦にジッサイ隙は無い。何しろ重
先ほど1HITあたりで比較するとライトニングボルトがボールライトニングの1.65倍の威力と述べたのでライトニングボルトを連射した方が威力が高そうにも聞こえるが、ボールライトニングは一度発動すると0.75秒ごとに合計17回の攻撃を実施する上に発動中に更にもう一つ重ねてDPSを倍増させることが出来るので、やはりライトニングボルトより見込みDPSは高い。
唱える言葉はただの気合であり、それ自体に意味は無い。単なるフレーバーなので召喚された雷の精霊さんには存分に優しい王様気分を満喫していただきたい。ただしBETAは優しさの適用対象外とする。
それでも敢えて言葉の意味を見出すならば、炭素生命体全ての不倶戴天の敵であるBETAを確実に葬るという断固たる意志であろう。あれを野放しにしておいて良いことなど何一つ無いのだから。
トピアはその場を動かない。重
ボールライトニングのダメージで触手が怯まないようならドラゴンも通行不能にする『フロストマイン』で弾き飛ばすプランもあったのだが、今回はその必要も無いようだ。そもそもとしてあ号標的に比べ目の前の重
トピアは息継ぎついでに切れかけたマナサイフォンをかけ直し、攻撃を再開した。
トピア「スゥーッ! ザケル! ザケルガ! ザケル! ザケルガ! ザケル! ザケルガ! ザケル! ザケルガーッ!!」
着陸ユニットを盾にして生き残っていた周囲の
連射が速すぎて少しマナが減ってきたのでトピアは念のためハイマナポーションを呷り、更に攻撃を続ける。
トピア「ザケル! ザケルガ! ザケル! ザケルガ! ザケル! ザケルガ! ザケルガ! テオザケルー!!」
最大速度で魔法を連射するなら一歩たりとも動く余裕は無いはずだが、足の裏を地面から離さなければある程度のアレンジが可能らしく、トピアは左右に腰を捻ってバオウステップのリズムを刻んでいた。魔法連射中に咄嗟に攻撃回避するためには結構有用な技術なのだが、現在の腰の捻りには戦術的に全く何の意味も無いので技術の無駄遣いである。強いて挙げるならば本人のテンションが上がるくらいか。
そろそろダメージにして3000万程度は入ったであろうか、電撃に耐えかねた重
ダメージで重
好機である。
トピア「蒸着!
瞬時にアセンブルを変更したトピアは一通りのバフをかけると右腰にジークフリートを構え、抜刀。納刀。抜刀。納刀。抜刀。納刀。ハイマナポーションを飲んで更に抜刀。
トピアがジークフリートを納刀するたびに重
ダメージに応じて可聴域の上下を往復するような耳障りな悲鳴が脳内に響くが、慈悲をかける理由も無い。
トピア「……この世に斬れぬものはなし」
最後に背を向けて納刀したときには重
その時、トピアの目の前に見覚えのある通知パネルが出てきた。
外敵駆除
重
Clear
Get!
EXP +20,000
レベル上限解放 +10
トピア「えっ」
およそ1年ぶりに見たミッション達成通知、そして成長上限開放に、トピアは素で困惑した。
序盤の第一章的な一段落です。
現在039まで投稿予約済となっております。まあどうせ投稿前日に読み直してそれぞれ修正するんですが。