トピア「ラザフォード
ラリー≪攻略法はアウトレンジで攻撃し続けろだったな?≫
スコア≪なら簡単な……いや、段々広がってないか?≫
ラリー≪こいつは一体……?≫
聖騎士≪ふむ、もしかしてなのだが≫
何か気付いたらしい聖騎士の言葉にトピア達は耳を傾けた。
聖騎士≪自爆しようとしているのではないか?≫
トピア「あっ」
ラリー≪いや総司令官が自爆してどうするんだ?≫
スコア≪自身の存在維持以上の他の目的が何かあるのか?≫
戦闘班が困惑していると、何らかの思念波が飛んできた。何故思念波と分かったのかと言えば、アヌビス神で慣れていたからだ。内容は「20」であった。そして次に「19」。
ラリー≪カウントダウンだと!?≫
スコア≪ということは!≫
スコア達は理解した。こいつは
ラリー≪ここまで来てか!? なんか手はねえのか!?≫
トピア「プラン13なら! 脱出準備だけしておいてください!」
スコア≪13? 13だって!?≫
生憎スコア達が知っているプランは11までだ。だが問いただして説明を聞いている暇は無い。
ラリー≪何でもいい! やっちまえトピア!≫
トピア「アラホラサッサー!」
トピアは景気よく返事を返しながらミラージュの緊急脱出装置を作動させると、そのままロケットパックで重
聖騎士≪光の……柱?≫
スコア≪あれはモノリスか?≫
スコアはそのアイテムに見覚えがあった。トピアが作った自動農場に多数設置されていたモノリスだ。使用者が遠く離れても施設の自動稼働を維持するためのアイテムだ。1チャンク20m×20mの範囲をターゲット指定し、その際橙色の四角柱がターゲット範囲を視覚化する。だがこれ自体に攻撃能力は全く無い。
今のところ何のダメージも受けてはいないが、何らかの影響が自らまで届いていることを警戒した重
トピア「今週のビックリドッキリアイテム! 再創造のボタンー!」
トピアはボタンを高く掲げ、それをカウント0と同時に躊躇無く押した。
トピア「あポチッとな」
気の抜けるフレーズでトピアがボタンを押した瞬間、光の筒の内側は白く光ったかと思うと、次の瞬間には全てが水の柱に変わっていた。内側に入っていた目玉付き触手も含めてであり、反応炉部分には綺麗に正方形の穴が空いていた。これに伴い、ラザフォード
トピア「セェーフ。念のため粉々にしておきましょう」
スコア≪え、これはやった……のか?≫
トピア「
スコア≪海……? ああ、それで水が降ってきてるのか≫
ラリー≪じゃああとは後片付けだな≫
聖騎士≪とどめは刺しておかねばな≫
戦闘班は全火力を以て重
さて、今回トピアが使ったのは『モノリス』と『再創造のボタン』というアイテムだ。再創造のボタンはレガシーワールドにおいて
従来は転移の祭壇から島の一覧を表示して選択・消去するという手続きになっていたが、こちらの世界ではその転移の祭壇が全く機能しない。ではターゲット指定出来ない以上再創造のボタンも使用不能ではないか、と考えるのが普通だ。実際レガシーワールドでターゲットを指定せずにただボタンを押した場合には全く機能しなかったので、トピアも以前はそう思っていた。とはいえレガシーと違う挙動によって星ごと更地にされるリスクを抱えて実験するほどトピアもハジケていない。
ではどうやって使い方が分かったのかと言えば、トピアの倉庫の整理及びTechインベントリへの移転がカミールに任されたことに起因する。
倉庫整理が実施されたのは昨日、8日目のことである。その時点でもトピアの倉庫は、大雑把な分類しかしていなかった。整理整頓が行き届いた超時空倉庫と比べると信じられないほど杜撰だが、単純に忙しかったのだ。中でもレガシーワールドから持ってきて以来全く使っていないものはひとまとめにごちゃっと入れてあった。要するに最初に降り立った桟橋で分類した時のままだ。しかしトピアが持ち込んだレガシーにしか存在しないアイテムはカミールの知識の範囲外であるため、これらはカミールにとって宝の山だった。使わないということは碌に機能しないのだろうという前提の元にレガシー熟練工の精錬所、高純度精錬石、転移の祭壇、始まりの踏み石などを次々に試していったカミールは、再創造のボタンに目を付けた。ただ流石に説明も読まずに謎のボタンを押すということは無い。再創造のボタンの説明文はこうだ。
――
目を輝かせてアーティファクトを物色していたカミールの表情は一瞬で真顔になった。転移の祭壇が全く機能しないことは既に確認済であったため、これも機能しないアイテムの一つなのだろうという推定は出来たが、バグは修正されたとか実害はないとか書かれていても、現状のスキルや設備が不具合や抜け穴まみれなので全く信用ならない。さっさと手放すべきだが、かと言ってこの物騒なアイテムをTechインベントリに入れて誰でも使用可能な状態にするのも論外だ。今まで倉庫の片隅に普通に置いてあったのが信じられないくらいだ。要するにトピアも忙しくてすっかり忘れていた訳なのだが。
兎に角トピアに相談するべきと判断したカミールは、通信機のボタンを押そうとしてうっかり赤いボタンを押した。カミールも自分が何故そんなことをしたのかさっぱり分からないが、押してしまったのだ。そして押した結果はといえば、自動農場の一角が消し飛んだのだ。幸いユグドラシルの拠点は湖の上に建造してあり、地下にも上空にも何も無かったので被害は軽微であった。
自動農場設備消失事故のあと、トピアとカミール、そしてシュミットは情報を突き合わせて相談と再現性実験を行った。
まずカミールが危険性を知りながら無意識に赤いボタンを押してしまったのは、カミールも準
というかあのボタンをアップデートしたのがこれだとすると、トピアが女神的存在に拉致される際に押したボタンで世界が滅びたのはバグだったことになるのだが、同じ状況で拉致された
次に発動条件と効果だが、これは消し飛んだ区画がモノリスを設置してチャンクを可視化していた部分だったことからあっさり判明した。
どうも再創造のボタンでリセットした際の海底は地球の海の深さの平均よりやや深い5,000m前後になるようで、湖の底にも深い穴が空いていた。ハイヴ01の場合は反応炉室の床が海抜マイナス4,500mくらいなのでそこから更に500m程掘り下げて海水に変換されたようだ。
最後にトピア達はどうしてこんな効果になっているのかを考えた。再創造のボタンはそもそも新型レシピでは製造不能になっており、これを使うために必要な転移の祭壇に至ってはレガシーレシピ含めて製造不能。つまりあの女神的存在は再創造のボタンを廃止アイテムにする予定だったに違いない。しかしこのボタンが対象とする「世界」の範囲が女神的存在の認識とは少々ずれていたのだ。
コンベアの性能比較の話を思い出していただきたい。レガシーワールドでのフィールドアイテム存在数上限管理は島ごとになっていたが、この世界ではチャンク区切りになっている。つまり
トピアはこの特性をラザフォード
斯くしてハイヴ01の攻略は完遂されたのだ。
なお実際のゲームのシームレスワールドでは再創造のボタンは全く機能しません。