【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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167. まずこの星ってどこなの? というのが問題なんですよね

 ステークが頭を下げてのお願いに対し、(マイスター)達は渋い顔をしていたが、これは別に協力を嫌がっているわけではない。

 

サティ「いやうん、特に反対はしないわよ?」

 

マイン「こいつの宿願を果たせなかったら全てが巻き戻って台無しになるというのだろう? その時点で行かせない選択肢は無いが」

 

テクス「問題はその手段でござるな」

 

トピア「そもそもどうやって行くのか、というかですね、まずこの星ってどこなの? というのが問題なんですよね。あと、今がいつなのかも正確に知りたいですね。そのあたりどうなんですか、アヌビス様?」

 

アヌビス神「XXXX,XXXX. XXX(今は地球で言う西暦2001年10月30日、場所は()()()()()()()の第1惑星だな。我らははじまりの星と呼んでいる)」

 

トピア&九十九&ステーク「バーナード星系!?」

 

 日付はほぼ予想通りであったし、惑星の名前も安直だったが、その聞き覚えがありすぎる星系の名前に三人は声を揃えて驚いた。

 

ラリー「……すまん、バーナード星系、って何だ?」

 

スコア「確か太陽系からかなり近い恒星系だったか?」

 

トピア「えーはい、バーナード星系はオルタネイティヴ5で地球を脱出した場合の植民予定地ですね。確か6光年くらいかと」

 

九十九「いやいや待ちたまえ、バーナード星系にこの時点でBETAが来てるのによく地球人類が植民成功した未来が存在したネ? どういうことかな?」

 

 マブラヴオルタネイティヴ世界の別ルート、序盤周回で周回記憶が無いためにBETA駆逐を達成出来ないマブラヴアンリミテッドのエンディングには、移民先のバーナード星系惑星からヒロインと子供が地球に残った白銀 武の()()を待つ一幕があるのだ。そこにBETAが先に来ていたのなら移民が成功する可能性はほぼ無い。現にBETAが来て1年、水中落着のハイヴ00を除くと僅か半年で半分近く占領されているのだから全土を征服されるのにあと60年どころか6年もかからないだろう。移民船が来る頃には間違いなく完全に征服済だ。

 

サティ「そうなの? BETAに敵わないから逃げ出したのに、移民船で移動中に移民先のBETAに勝てるくらい戦闘能力が進歩するのは考えづらいわよね」

 

 移民の準備が新マクロス級超長距離移民船団くらい万全であれば独自進歩もあり得るだろうが、絶滅回避という目的は同じでも限られた席に十数万人を乗せて逃げただけのマブラヴ地球の移民船団に当然そんな余裕は無い。60年以上後のエンディングでヒロインがほぼ歳を取っていないため、乗員の殆どもコールドスリープしていたはずだ。

 この齟齬に対する答えを持っていたのもやはりアヌビス神であった。

 

アヌビス神「X,XXXX. XXXX(いや、本来の歴史ではこの星にBETAはいなかったのだ。それでいて地球に近いから最初の転移先兼本拠地として選ばれたのだが)」

 

トリオ「どういうことじゃ?」

 

アヌビス神「X,XXXX,XXX. XXX,XXX(うむ、元々資源が少ない星だったからかBETAがなかなか寄ってこないのが本来の歴史なのだが、拠点とすべく神の権能で資源とマナを潤沢にした上に人間が住みやすいように公転軌道や自転周期を色々といじってしまったからな。この初期テラフォーミングはゆっくりやっていたから、本格的に手を入れ始めた1年前よりもかなり前の話だ)」

 

マイン「そのせいで歴史が変わったという訳か」

 

トピア&九十九「女神的存在(クラエル・ザ・グレート)ォォ……!」

 

 見通しが甘くやることなすこと大概裏目に出まくる女神的存在(クラエル・ザ・グレート)の行いを再確認して、トピアと師匠は揃って頭を抱えた。

 

マイン「フン、この星はもはや我ら匠衆(マイスターズ)が征服する所なのだから問題あるまい」

 

ラリー「このまま駆除が進めば無人惑星より安全まであるな」

 

トピア「まあ大半の人間を見捨てて逃げ出した連中が来た所で、住まわせてあげるかどうかは別問題ですけどね」

 

テクス「交渉決裂した瞬間にG弾とかぶっ放しそうで嫌でござるなあ」

 

九十九「自分が住んでいた地球すらG弾で壊滅させる連中だからネ……それはともかく、移民船団は来ない前提なのでこの話はもういいだろう」

 

ステーク「ああ、オルタネイティヴ5が発動したらどのみち終わりだからな。……アヌビス様、逆にバタフライエフェクトで地球への到達が遅れていることはないですか?」

 

アヌビス神「XXX(そちらに影響は出ていないな)」

 

ステーク「そう、ですか……」

 

 女神的存在の行いによる良い効果は特に出ていないと聞いて、ステークは少しションボリした。一応第一の信徒なので。

 

ステーク「それで話を戻すが、もしかして今地球に行く手段は無いのか?」

 

アヌビス神「XXXX(楔の塔が万全ならば次の星に送ることは造作も無いのだがな)」

 

トピア「あー、アレ盛大にぶっ壊しましたものね」

 

ステーク「こ、壊した!?」

 

サティ「BETAまで教化しようとしてて、あれは大騒ぎだったわね」

 

九十九「BETAを教化? 何故そんな危険なことを?」

 

アヌビス神「XXXX(あれが教化対象である知的生命体の範疇に入ると思っていなかったのだ)」

 

九十九「うーん、色々と調査不足だねェ」

 

ステーク「じゃあ他の手段は?」

 

 このステークの問いに、スコアと工場長が同時に挙手した。スコアは視線を交わして工場長に発言を譲った。

 

トリオ「6光年の距離なら、ワープで1日かからんじゃろ?」

 

トピア「え、もうワープエンジン出来たんですか?」

 

トリオ「いや儂がワープドライブも無しで宇宙を旅しとったと思っとるんか? 当然このインファクトリにも搭載しとるぞ。プロキシマダークを組み込んだお陰でなかなかええ感じに仕上がったわい」

 

 インファクトリは()()()に赴いては工業化する運用を想定しているので、当然新天地に辿り着くための移動能力もあるのだ。まあ色々と未完成ではあるが。

 

サティ「FICSITもワープエンジンくらいは使ってるわよ。作るのに無重力環境が必要だから、通常はまず軌道エレベーターを完成させる必要があるのだけれど」

 

 ただし現在はインファクトリやTechの反重力ユニットがあるのでその限りではない。

 

マイン「当然コアでも恒星間航行は可能だ。長距離の場合ゲートが必要だがな」

 

テクス「Techもワープエンジンは搭載可能でござるが、設計図が無いので購入しか出来ないのが難点でござるな」

 

トピア「うーん、流石は超科学文明ですね」

 

ラリー「相変わらず頼りになるな」

 

ステーク「ありがとう、助かる」

 

トリオ「別にええわい」

 

 ステークは地球に行く見通しが立ったことで今度は感謝で頭を下げたが、トリオはそういう対応をされる方がめんどくさそうで、ひらひらと手を振っていた。

 

サティ「ところでスコアの方はどういうプランだったの?」

 

スコア「ああ……確実性が低いからもういいんだが、私の所のMr.コアの要求を達成して、私の故郷の地球に戻してもらうのではなくこの世界の地球に送ってもらうというものだ。その後に遠距離用の新型ポータルで相互通行を開通させる予定だったが、これもまだ完成していない」

 

サティ「あ、前に言ってた、いざというときに全員で逃げる手立てってそれのことね?」

 

 サティは最初のブラッドムーン(Blood Moon)の日のやりとりを思い出した。

 

スコア「それの応用だ。まあ必要無くなったがね」

 

 スコアは口角を上げて肩をすくめてみせた。この星の対BETA戦争は勝利目前だ。もう逃げる準備は必要無いだろう。

 

トピア「何はともあれ、この艦で移動出来るなら、ステークさんを一人で行かせなくて済むので良かったですね」

 

ステーク「……まさか、手伝ってもらえるのか?」

 

 ステークは意外そうな顔をしていたが、(マイスター)達は逆に何が意外なんだという呆れ顔をしていた。

 

トピア「まさかも何も、ステークさん一人で行ったらステークさん自身は死ななくてもあっという間に保護対象を人質に取られたり妬みや逆恨みで殺害されたりして詰みそうじゃないですか。それで私達がやって来たことを台無しにされるのは御免ですよ」

 

九十九「歴史を前に進めるために協力してくれと頼んだとしても、むしろこの数日を巻き戻すために保護対象を殺そうとする奴すらいると思うヨ」

 

ステーク「……無いとは言えないのが辛いな」

 

トピア「それで、10月22日以降、最初の大きな動きは何でしたっけ?」

 

ステーク「それは……11月11日の佐渡島ハイヴから横浜基地への侵攻だな」

 

九十九「ふむ、あと12日……十分間に合いそうだネ」

 

トリオ「インファクトリを仕上げる時間も十分ありそうじゃの」

 

ステーク「ああ、正直これほど早くこの星の攻略が進んでいるとは思わなかった。流石は神々が選んだ自慢の(マイスター)達だな」

 

マイン「フフフ、我らの手に掛かれば造作も無いことだ」

 

トピア「というわけで、ステークさんの宿願を果たしループを阻止するための地球()()()()匠衆(マイスターズ)の総力を以て行いたいと思いますが、異論がある方は挙手してご意見願います」

 

 トピアが会議室の面々を見渡すが、特に反対意見は無さそうであった。

 

トピア「ではこの方針を本決定とします」

 

ステーク「……ありがとうッ! オレも誠心誠意やらせてもらう!」

 

 ステークは改めて頭を下げた。理想郷の建設者(クラフトピアン)達も匠衆(マイスターズ)も、事情的に利害が一致するとは言え、ステークの、白銀 武のこれまでで、ここまですんなりと組織ぐるみの協力体制を築けたことは無かった。理解者のありがたみが身に染みる。

 

九十九「当然だヨ、トピアを助けるためにありったけを持っていけって理想郷の建設者(クラフトピアン)のみんなも協力してくれたんだからネ」

 

トピア「え、そうなんですか?」

 

 トピアとしては師匠以外とはそこまで交流した覚えが無いので意外な話だ。

 

九十九「トピアは新人の面倒もしっかり見ていただろう、評判が良くて吾輩も鼻が高いぞォ。まあ鼻は無いんだがネ!」

 

 師匠定番のモノジョークにトピアもニッコリであった。

 

マイン「話が長くなったな。そろそろ残りのハイヴ攻略の話をするぞ。恐らくハイヴ08か06に重頭脳(ブレイン)級が存在しているわけだが……何だ?」

 

 今後の方針としてステークと一緒に可能な限り早く地球に行くというのは決まったが、それはまずこの星、そして月からBETAを駆逐してからの話である。奴らに時間を与えると大概碌なことにならないのだ。

 しかしマインが仕切り直した所で会議室に連絡が入った。監視課からだ。このパターンはまず良くない報せだ。

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