インファクトリの主砲が自身のバリアを貫通する衝撃シーンであったが、そうなるのも無理は無い。ただでさえ発電量の3割ほどを使ったレーザーである上に、元々防御に必要なエネルギーは攻撃側ほど効率が良くない。ピンポイントバリア方式で節約しているとはいえ、攻撃を通さないように受け止めなくてはならない以上はある程度の面積が必要であり、一点収束レーザーほど集中しているわけではないのだ。
ステーク≪レーザーを反射した!?≫
スコア≪誘電体多層膜を学習したのか!?≫
ラリー≪オイオイ、相手の主砲を反射して攻撃って、俺らの戦法パクられてんぞ≫
聖騎士≪それだけ有効だったということではあるが……≫
トピア「しかしアドラステアからのドッゴーラっぽいと思いましたが、ちょっとコンセプトが違いますね?」
九十九≪何だろうネ、アレは≫
反撃を受けた割に一部の反応が暢気だが、インファクトリの装甲も当然可変誘電体多層膜と構造強化で守られているので、Factorio工業由来の橙色のレーザーにも即時対応可能であり、リペアフィールドも正常稼働しているため、損害は重くない。ただ、BETAのレーザーと自らのレーザーを同じ箇所に同時に撃ち込まれた場合には反射率の最適化が出来ないため危険だ。そういった事情で、インファクトリは主砲の射撃を停止した。
インファクトリが他に使える武器はまず舷側レーザー砲。これはレーザーを反射されるので駄目だ。次にレールガン。使えるが垂直発射出来ないため他と比べ同時発射可能数が少ない。次に電撃。射程が短すぎる。最後に垂直発射ミサイル。当然迎撃されるが、飽和するほど撃ち込めば何とかなりそうだ。しかし相手の銃座は4,000を軽く超えるので、インファクトリはレールガンと垂直発射ミサイルを斉射して対応することになった。更にここで艦載機の発進命令が下された。
マイン≪艦載機は出撃して周囲の
周囲の
トピア「トピア、トキソピッド・オーバー・ミラージュ1番機、出撃しまーす! いやあ、ありましたね出番」
スコア≪まあ無ければ無いで順調なわけだが≫
ラリー≪単純な撃ち合いならインファクトリの方が有利だと思ってたんだがな。もう一働きしてくるかぁ≫
余程退屈していたのか、ラリーは両腕を上げて伸びをしている。
九十九≪ともかく敵の迎撃力を削らないとネ≫
ステーク≪手早くやろう≫
聖騎士≪同志達よ、ハイヴ攻略は任せたのである!≫
聖十字軍攻略班≪任されよ!≫
正面は艦砲で殴り合いの最中なので、トピア達は艦載機格納庫の後部ハッチから出撃した。その構成はまず空戦要員として迅雷が1機にトキソピッド・オーバー・ミラージュが19機。元々の戦闘班以外に
更にハイヴ攻略要員として
各艦載機がレーザーをシールドで受けながら、または回避しながらマッハ2近い突進力で
ステーク≪味方が頼もしすぎるな! 仕事が楽すぎて眠くなってくるぜ≫
九十九≪味方が強いのはいいことだヨ。ルート確認、8体目行ってみようか!≫
ステーク≪了解!≫
しかし中でも一番撃墜ペースが速いのは迅雷だ。何しろ雷速機動でマッハ440出せるのだから、ぶった斬って即移動ルートを選定、瞬間移動じみた機動ですぐさま次の目標に斬りかかるというサイクルを繰り返していたのだ。しかも雷速機動は稲妻のように折れ線状に指定出来るため、最短経路を撃てば当たるというものでもない。迅雷が攻撃に使っている技は威力10倍の『一閃』の方だ。こちらでも装甲貫徹力が3億あるので、一撃で
そうして順調に
トピア「師匠、これはまさか……」
九十九≪そうだネ、注意を促した方が……ここからでは届かないか≫
トピア達の現在位置はインファクトリより大分西側。インファクトリを挟んでその向こう側に金色の多重リングが居座っているという位置関係だ。
しかしインファクトリに注意を促そうとしても通信を妨害されているので現在位置からでは届かない。一旦インファクトリに戻る必要があるだろう。トピア達は帰還を急いだ。急ぐなら迅雷の雷速機動を使えば圧倒的に早いし、ともすれば一足飛びに中核の
トピア「師匠?」
九十九≪しっかりしたまえステーク君! ……ええい駄目か、先に行くんだトピア!≫
迅雷に何か、というよりもステークに何が異常が起きたらしく、九十九がペしぺしと叩いているが、すぐに復旧しそうにない。予想の通りなら
マイン「何、中枢がもぬけの殻だと?」
聖剣騎士≪然り、柱状の台座しか残っていないのである。
連絡のために戻ってきた攻略班の一人がそう報告した。
サティ「つまりあの巨大戦艦が重
テクス「不動目標だと再創造のボタンのカモなので自ら打って出たというわけでござるかな?」
マイン「つまり結局はあれが最終目標か」
マインは眼前に映る標的、幾重もの巨大な金色のリングに包まれたそれを睨んだ。
インファクトリはレールガンとミサイルの斉射で防御を破ろうと試みている。それもあのリングが無くなってしまえば簡単なことだが、リングの一部が破損してもすぐに交換部品となる
マイン「チッ、アドラステアだかドッゴーラだか知らんが、時間の問題とはいえ面倒な粘り方をする……くぁぁ」
インファクトリの艦長席で指揮をしながらマインは大あくびをしていた。
サティ「ちょっとマイン、退屈だからって総司令官が気を抜きすぎじゃ……ないの?」
テクス「とはいえ、いつもならそろそろ寝る時間でござるからな。緊張が薄くなるとどうしても眠く……なるでござるよ……」
マインの緊張感の無さを咎めるサティも、フォローするテクスも同様に眠そうであった。
マインは違和感を感じた。そもそも一体何のために時間を稼いでいるのか。連中が時間稼ぎに出た時は決まって何か目的があった。よく考えるべきだが、この眠気で考えがまとまらない。
その時、緊張の糸が切れていた
トピア≪……ますか、聞こえますかインファクトリ≫
サティ「トピア? ……何か機体トラブルでも?」
トピア≪良かった、
マイン「エンジェルハイロゥ……天使の輪だと?」
マインは再び標的を睨んだ。最大直径20kmに及ぶ金色に輝く巨大なリング。それが5重に重なり、巨大戦艦BETAを覆い隠している。そればかりが目立っていたが、おかしいのはそれ自体ではない。
エンジェル・ハイロゥとはザンスカール帝国が建造した巨大サイコミュ兵器だ。その目的は建前上は強力なサイコ・ウェーブで人類の闘争心を奪うこと。そしてその実態は、
マインはそういったエンジェル・ハイロゥの設定は全く知らないが、状況から全てを理解した。連中は、ここにいる人間全てを永遠に眠らせるための時間を稼いでいたのだと。つまり単純な戦闘能力ではもはや対抗することが難しいと判断し、兵器を操る人間の方を停止させようと考えたのだ。それは奇しくもESP能力者のプロジェクションで平和のイメージを投げかけることによってBETAに戦闘をやめさせようと試みたオルタネイティヴ3計画とよく似た発想であった。戦闘をやめさせるついでに永遠に眠らせようというのがエンジェル・ハイロゥのより凶悪な所だが、これも元を辿れば人間の発想なのが恐ろしい所だ。
この星のBETAはどこで学んだのか人間にも通じる念話という能力を身につけている。いやもしかするとアヌビス神あたりから学んだのかもしれない。マブラヴ・オルタネイティヴ原作終盤でも社 霞と鑑 純夏の念話に重
更に悪いことに、殆どのデバフを無効化するはずの
マイン「……やってくれたなBETAァ!!」
マインは力任せにコンソールを叩いた。その様子を見ている者は既にいなかった。