トピア「ほあようごぁいまーしゅ」
サティ「あら、おはようトピア」
カミール「よく寝られたようだな」
トピアがこの世界に来て10日目の朝。地球では2001年10月31日。朝食と朝の会議にトピアは盛大に遅刻してきた。しかし周囲の反応は優しかった。何故なら
そういう理由なので、最後まで一緒に戦っていたマインはいつも通りであった。ただし何かトラウマになったのか、寝ているトピアを起こしに行く役目だけは断固拒否していた。
マイン「どうしたニンジャ、そろそろ代表の座を明け渡す気になったか?」
トピア「それはとーぶんないですねー。ああ師匠ひんやりやわらかーい」
九十九「おおトピア、コラコラやめたまえハッハッハ」
既に席に着いていた九十九師匠を抱き抱えて座ろうとするトピアに、九十九は口ではやめるように言いながらも特に抵抗していなかった。
寝ぼけたままのトピアが自分の朝食を選ぼうとしないので、助手のカミールが定番メニューということで 伝説の 特級の 高級な 上質な ムニエルを運んできた。
トリオ「一応揃ったことじゃし、そろそろ始めてもええかの」
サティ「トピア、そろそろ起きないとお師匠さんに恥をかかせるんじゃないの?」
トピア「師匠に……はじを……はじめまして? はっ、おはようございます!」
九十九「おはようトピア、良い朝だネ!」
トピアの目が覚めた頃にはディスプレイに衛星観測情報が映っていた。
トピア「……全ハイヴの攻略が終わってますね?」
地図を見たトピアがメニューを開いてミッションの進捗を確認してみると、『環境浄化(ハイヴ):+20:達成』となっており、確かに全ハイヴの攻略が完了していることが分かった。
マイン「フハハハ驚いたか?」
トピア「え、早くないですか? それとも私がそれだけ寝こけてたんですか?」
カミール「いや、睡眠時間は普通だったぞ?」
ラリー「急いで終わらせただけだぜ」
スコア「トピアさんが驚いてくれたなら頑張った甲斐があったというものだ」
聖騎士「決戦のさなかに寝てしまった失態、少しでも雪いでおきたかったのである」
ステーク「要するに聖騎士軍団を中心にローテーションを組んで残りのハイヴを攻略しまくったんだ。寝ちまったって言うならオレも人のことは言えないからな」
あの時
九十九「マニュアルスキルを大分オーバーペースで使ってたからねェ」
ステーク「あれでも精神干渉が無ければ回復が間に合う程度だったんだよ……」
既に説明した通り、ステークのスキルは全てマニュアルで使っているのでクールダウンを自力で調整可能だ。そしてステークはそのクールダウン間隔を大きな反動が無い程度に切り詰めて使っていた。普段ならそれで回復と釣り合う程度なので全く問題無いのだが、そこに
そういうわけで、後で目覚めてから危うく大惨事になる所だったことを知ったステーク、ラリー、スコアの3人も聖騎士軍団のローテーションに交じって攻略に参加していた。
トピア「皆さん真面目ですねえ。まあ早い分には有難いですけど。コアを敷き詰めて本土の地固めも終わってるようですし……防衛ラインのBETA撃退も終わってますね」
トリオ「それなんじゃが、奴ら一斉に引き上げおってな」
マイン「時刻を確認した所、ハイヴ08の決戦開始直後だ。要するに仮に負けても残存戦力を海中に潜ませて討伐の手間を掛けさせようとしたわけだ」
ラリー「最後まで面倒な連中だよな」
最後の
サティ「月の防衛を固める時間を稼ぎたかったんでしょうね」
トピア「ということは予定を切り上げて今日から月面攻略ですか。出発はいつ頃で?」
魚の切り身を嚥下したトピアがマインに予定を尋ねると、マインだけでなくほぼ全員が破顔して笑い出した。
マイン「フハハ、このお寝坊さんめ、出発などとうにしておるわ!」
トピア「……はい?」
テクス「もう月に向かっている所でござるよ」
九十九「いやぁドッキリ大成功ってやつかネ?」
そう、航宙工作艦インファクトリの現在位置は、地球と月の中間。ラグランジュ1である。艦外の映像を見せられたトピアは目を丸くした。床から人工重力が発生しているため、惑星上と体感では区別が付かなかったのだ。
サティ「まあ私達も少しは頼りになる所を見せないと、って所ね」
トピア「なるほど……既にここまで来ているということは作戦は立ててあるんですね?」
マイン「作戦と言うほどのものでも無いがな。軌道上から新兵器で一方的にぶちのめす。それだけだ」
トピア「……どんな新兵器です?」
トリオ「こんなのじゃ」
トリオ工場長がディスプレイに新兵器の映像と諸元を出した。従来との比較形式だ。
■名称:Meisters レールガンMk.2 Type G
・サイズ:5m×5m×4m
・砲身:64口径7.62cm、砲身長4.88m
・弾頭:
・消費電力:640MJ×0.5射/秒=320MW (※2.5倍モードでは1.39GW)、ただし消費電力と威力をもっと下げることも可能
・運動エネルギー変換効率:99.0%
・初速:徹甲弾で11.3km/秒=マッハ33.1
・運動エネルギーから破壊力への変換効率:95.0%
・威力:6千万DMG=601.92MJ
・射程:大気圏内では160km。真空中では速度が減衰しないためおよそ無限
・実用射程5km~10km(地平線)
・連射速度:秒間消費電力が規定内に収まる範囲で0.5射/秒~2射/秒の間で調節可能 (※2.5倍モードでは最大5射/秒)
・弾数:無限
・備考:G元素カフェ1、6/9を少量使用
■名称:Meisters レールガンMk.3 Type G
・サイズ:5m×5m×4m
・砲身:64口径7.62cm、砲身長4.88m
・弾頭:
・消費電力:740MJ×0.5射/秒=370MW (※2.5倍モードでは1.49GW)(A型)、840MJ×0.5射/秒=420MW (※2.5倍モードでは1.82GW)(N型)、ただし消費電力と威力をもっと下げることも可能
・運動エネルギー変換効率:99.0%
・初速:徹甲弾で11.3km/秒=マッハ33.1
・運動エネルギーから破壊力への変換効率:95.0%
・威力:6千万DMG=601.92MJ(A型)、最大114兆DMG=1.14PJ(N型)
・射程:大気圏内では160km。真空中では速度が減衰しないためおよそ無限
・実用射程5km~10km(地平線)
・連射速度:秒間消費電力が規定内に収まる範囲で0.5射/秒~2射/秒の間で調節可能 (※2.5倍モードでは最大5射/秒)
・弾数:無限
・備考:G元素カフェ1、6/9を少量使用、重力ブレーキにより反動軽減
トピア「重水素弾頭レールガン……確かにこれは迎撃が困難ですね。正面から以外では」
また、正面から迎撃されたとしてもミサイルより格段に速い極超音速の速度でもって予備照射3秒の間に着弾すれば勝ちだ。
640MJの99%を使って15kgの砲弾を加速すると、計算上マッハ27.0に到達する。秒速9.19km、3秒で27.6km進むことになる。居住可能惑星の衛星高度から撃ち下ろす場合は重力で更に加速するのである程度は断熱圧縮の熱対策も考慮しなくてはならないが、このはじまりの星を周回する月は地球の月同様に大気がほぼ無いので気にする必要は無い。
九十九「これを好きなだけ連射出来るんだから頭おかしいよネ」
スコア「この重力ブレーキとは?」
トリオ「時空勾配推進と同じ機能じゃの」
トピア「となると、弾の加速自体を重力加速にすると反動自体が無くなるのでは?」
トリオ「まあそうなんじゃが、短い砲身内を通過する一瞬だけで重力加速しようとするとかなりの出力が必要になるじゃろ? そうなると現状の電磁加速よりも発射設備がかなり大型化するわけじゃ。逆にインファクトリやアブドメン・ユニットのように飛翔体そのものに時空勾配推進機を付けると今度は砲弾がかなり大型化しよるし、規模を抑えてゆっくり加速するならロケット砲と変わらん。更に重力加速で比較的軽量の砲弾を加速するのは効率が悪くての。重量のある砲身や基部がちょっとだけ動こうとするのを食い止める方が割が良いんじゃよ」
トピア「なるほど……」
つまり重力加速レールガンを作れなくはないのだが、その重力を制御する装置の都合上サイズの制約が厳しいようだ。縮退炉に1mサイズの卵形重力制御装置が100個以上貼り付けられているのを考えると、現状での小型化は難しそうだ。逆に言えば大型のものなら既に設計可能ということになるが。
マイン「作戦を説明するぞ。
テクス「シンプルイズベストな作戦でござるなぁ」
トリオ「簡単に自動化出来そうなところが特にええの。あと月は大気が薄いけえ、舷側レーザーも300kmくらいは届くじゃろ。精度を気にしなけりゃ500kmでも大丈夫じゃ」
聖騎士「艦載機の出番すら無いであるな」
ステーク「距離さえ取っていれば
マイン「当然それを考慮した作戦だ。直上からならレールガンの射程も関係ないからな」
スコア「重要な所だな」
やはり問答無用で戦闘能力を奪おうとする
トピア「……行けそうですねぇ。作戦名は?」
マイン「
ラリー「もう太陽の出番だから月はさっさと退場しろってことだな」
モモ王女「大変宜しいと思いますわ」
その景気の良い名前とシンプルな作戦内容に誰もが頷いていた。
トピア「私はこの作戦で大丈夫だと思いますが、反対意見や疑問点のある人はいますか?」
トピアが会議室を見回すが、反対意見は無く、表情にも不安は無さそうであった。
トピア「ではこの内容で作戦を決行しましょう。他に会議で共有すべきものがある人はいますか? ……特にないようですね。それでは会議を終了します。本日もご安全に!」
マイン「よし、総員配置に着け。インファクトリ発進するぞ!」
マイン達
なお工場長は今日も未完成な機関の面倒を見るために
1時間後、月の赤道に近い推定オリジナルハイヴに対して
トピア「完勝ですね」
ステーク「地球のオリジナルハイヴなら1斉射目で終わっていたな。むしろよく頑張った方だろう」
この日、月に存在した18のハイヴは一つ残らず壊滅した。
なおハイヴを滅ぼしたら今度はLv.255
第8章終了です。幕間2と登場人物紹介を挟んで第9章を開始します。