魔術機甲連隊長であるアイリスディーナ・ベルンハルト大佐の号令で連隊各員が配置につき、1個魔術機甲連隊がサクロボスコハイヴへの侵攻のために内側の円を、更に1個多脚戦車機甲連隊が援軍を阻止する形で外側の円を形成していった。
多脚戦車機甲連隊は門兵両伍長を含む地球各国の衛士適性の無い者達によって構成されている。元々戦術機を導入していた国以外の出身者も主にこちらに入っている形だ。
今回は実戦訓練を兼ねているので、戦術行動も何も無い無慈悲な殲滅力を誇る
迅雷各機は自動迎撃のレーザー以外に魔導銃や近接武器を行使してBETAを殲滅している。
魔導銃主体の場合はターニャと同じで、魔法系エンチャントで固めており、近接攻撃は魔導刃を使うことになる。エンチャント構成的には魔導銃をそのまま
物理近接武器主体の場合はエンチャントが物理特化になり、物理銃にほぼエンチャントが乗らないので、射撃武装は基礎攻撃力で
なお120mmマシンガンの中でも特に有名なザクマシンガンは装弾数100~145発程度らしく、反動を抑えるために初速が100m/s程度しかない。戦術機の突撃砲から6発だけ発射出来る120mm弾も同じ理由で初速を抑えてロケットモーターで加速するようになっているのだが、アダマンタイトフレームを更に構造強化している迅雷はザクや戦術機よりも遙かに頑強なので、そんな遠慮はかなぐり捨てている。しかも弾丸は
ごく一部に攻撃力特化の弓使いもいるが、殲滅力が低く扱いが難しいのでその数は少ない。
魔術機甲連隊各員の動きは淀みない。特に雷速機動とスキル攻撃の間に切れ目がないのが特徴だ。
再訓練を施したターニャからするとまだまだ練度に不満があり、今後も1ヶ月を目処に訓練を続ける予定となっているが、実戦経験に乏しいオーストラリア衛士や途中参加の中華民国衛士、果ては訓練兵に至るまで全員がアクティブスキルを2並列までは苦労せず起動出来るようになったのは大きい。つまりは雷速機動と攻撃を同時に出来るということなのだ。これだけでも動きが格段にスムーズになる。
なおターニャ本人も更に習熟が進んで軽く80並列に達し、10並列分のリソースで即席のマニュアルスキル1つを並列起動出来るようになり、攻性デコイという新しい術式を開発までしていた。あまりに隔絶したその実力に、ターニャは
なおターニャが並列起動の使い方を教える一方でマニュアルスキルの運用についてはステークが指導していた。そういうわけで互いに教え合う形になり、ステークも定型60並列、マニュアル15並列まで行けるようになっていた。どっちも大概だ。
その次に元々魔法を使っていた
ターニャの前世基準では定型20並列が出来て精鋭部隊としては一人前なので、その水準に達している者はまだ2人しかいないことになる。まあ第203航空魔導大隊でも再訓練に1ヶ月掛けたので、まだ1週間しか訓練していない現状では仕方のない所だ。
再訓練をしている精鋭達と一緒の訓練メニューを訓練兵にも課した結果、根性で食らいついてきて訓練が
なお、トリガー人員に万が一死なれては全てがご破算なので、戦闘団各員には漏れなく
魔術機は2機1個分隊もしくは4機1個小隊を組んでそれぞれ別の
今回ただでさえBETAが弱いのに構造まで分かっていては実弾演習としても簡単すぎるという
ターニャ≪会いたかったぞ! 縊り殺したいほどになァッ!!≫
突入を果たしたのは分隊を組んでもいないターニャ機であった。ターニャ機は一番槍で突撃を敢行した上に1機で中隊以上の戦力を発揮するワンマンアーミー状態なのだからこれは必然とも言えた。
更に言うならば、相手はサクロボスコ事件の際に戦端を開いたBETAどもの司令塔だ。ターニャにとっては34年の歳月を掛けてようやく対面を果たした長年の仇敵と言えよう。
重
ターニャ≪カッサンドラ01、目標撃破。各員残敵を掃討しつつサクロボスコハイヴを脱出、その後中隊ごとに分かれて月面各地のハイヴ攻略を開始せよ≫
月面にハイヴは17箇所。総がかりで敵を分散させて司令塔のサクロボスコハイヴを潰したので、あと16箇所を18個中隊+ターニャ単独で1つずつ潰していくと中隊が3つ余ってしまうが、実際には
なお比較的足が遅い
アイリスディーナ≪シュヴァルツ1了解。各員気を抜かず務めを果たせ!≫
この号令により各機がサクロボスコハイヴから脱出し、それぞれ予め割り振られた担当のハイヴへと向かっていく。サクロボスコ攻略でほぼ損失機が出ない前提の戦力配分であり、想定通り1機も撃墜されてはいなかった。
そして
その後も月面攻略作戦はつつがなく進行していった。しかし異常事態はターニャがサクロボスコから最も遠いハイヴ17を単独攻略中に起きた。
ターニャ≪カッサンドラ01、ハイヴ17の中枢を確認≫
遙≪ヴァルキリーマムよりカッサンドラ01へ、緊急事態です! 随伴艦からハイヴ17に向けてG弾が投下されました! インファクトリが迎撃を試みますが、そちらも脱出を開始して下さい!≫
タリサ≪ンだとォッ!?≫
まりも≪G弾を持ち込んでいただと!?≫
コマンドポストの遙からターニャへ緊急連絡。インファクトリの隣には観戦武官が乗り込んだ随伴艦が同行していたのだが、その随伴艦がターニャが突入攻略中のハイヴに向けてG弾を発射したというのだ。使う予定が無ければわざわざG弾を持ち込んでいるはずがなく、タイミングから見て脱出が困難な状態を狙っていたのだろう。