G弾に狙い撃ちされているという状況なのだが、ターニャの反応は至って冷静だった。
ターニャ≪カッサンドラ01よりヴァルキリーマムへ、弾着までの予想時間は?≫
遙≪およそ2分です≫
ターニャ≪余裕だな。カッサンドラ01はこのまま目標を撃破する≫
ウォーケン≪閣下!?≫
ウォーケン他がターニャの冷静すぎる反応に逆に驚いたが、ハイヴ17の中枢は普通の
トピア≪
ラリー≪出番か!≫
スコア≪無い方が良かったんだがな≫
今回ハイヴ攻略には関与せず、妨害工作に備えていた
マイン≪主砲発射用意! 目標は投下中のG弾! 出力10EW!≫
トリオ≪主機関準備よし。Minuteモード400EWを発揮中じゃ≫
サティ≪主砲起動完了、アンチプラズマリング1番から8番、全て正常≫
テクス≪照準宜し≫
マイン≪主砲発射せよ!≫
マインの号令を受けてテクスが主砲発射トリガーを引くと、可変出力レーザー砲に10EWもの大電力が注ぎ込まれる。主砲の上限出力や機関出力に比べるとまだまだ余裕があるが、それでも以前使用したときの10倍だ。橙色のレーザー光線が紫色の光を発するG弾に突き刺さり、ラザフォード
サティ≪迎撃成功、周辺に重力異常なし≫
トリオ≪想定通りじゃの≫
迎撃不能と謳われたG弾がいとも簡単にかき消されたことに、視聴者やG弾関係者に動揺が走った。しかし
サティ≪G弾、次弾発射は認められず≫
マイン≪随伴艦は?≫
トピア≪ひとまず随伴艦を包囲しましたが……聖騎士さん達、そちらの状況は?≫
聖騎士≪現在
出撃した機体の1機が随伴艦の表面にとりついて艦内に
なおG弾が発射された時点で艦長以下全員信用出来ないので、一旦全員拘束してからESP発現体人員同伴の上で尋問することになる。
遙≪カッサンドラ01のG弾影響範囲離脱を確認!≫
ウォーケン≪閣下、ご無事で!≫
ターニャ≪余裕だと言っただろう? ……やれやれ、折角の月攻略作戦にケチが付いてしまったな≫
ターニャは既にハイヴ17を脱出していた。攻性デコイの火力を叩き付けて
アイリスディーナ≪少将閣下の奇行にいちいち驚いていては身が持たないぞ少佐≫
ウォーケン≪……いやはや≫
ターニャ≪奇行とは失礼な。戦況知らせ!≫
アイリスディーナ≪は、各中隊ハイヴ攻略を順調に進めております。我が中隊は既にハイヴ08の攻略を終えて点呼をしている所ですが……む、シュヴァルツ8はどこへ行った?≫
遙≪シュヴァルツ8の所在を確認出来ません。シュヴァルツ8、応答して下さい!≫
ターニャ≪何だと?≫
シュヴァルツ8と言えばアイリスディーナの直掩にして夫のテオドールのことだ。奴の腕とサバイバビリティでこの程度の作戦をこなせないとは、にわかには信じがたい。G弾とターニャに注意が向いていたとはいえ、分隊まで分かれていたとしてもアイリスディーナと行動を共にしていた筈なのだ。同じ中隊にはグレーテルやアネットもいる。
よもやこの期に及んでテロリズムにでも目覚めたのではないかとターニャは疑ったが、動機も予兆も一切無かった。あまりにも不自然すぎる。ターニャは非常に嫌な予感がした。
ターニャ≪そちらはハイヴ08だな? 第1中隊は小隊単位でハイヴ08の残敵を掃討しつつシュヴァルツ8を捜索せよ。欠員が出た小隊にはカッサンドラ01が合流する≫
アイリスディーナ≪ッ! シュヴァルツ1了解。第1中隊各機は小隊単位で集合してシュヴァルツ8を探すぞ!≫
直属中隊各機≪了解!≫
ターニャ自らテオドールの捜索に参加してくれることにアイリスディーナ達は感謝してテオドールの捜索を開始した。ただしターニャはテオドールを心配していると言うより、これだけ万全な装備を以てそれなりに充実した訓練をこなした上で挑んだにもかかわらず
そのまま作戦は進行し、
しかしターニャと戦術機第1中隊、それに他の早めに攻略を終えた魔術機中隊の手まで借りてハイヴ08の地下茎構造マップをコンプリートしてもテオドールの姿は見当たらなかった。迅雷の残骸の類いすらも発見出来なかったのだ。本来の進行予定ではアポロ11号が初めて月面に着陸した静かの海に集結して国連と
社 霞立ち会いの下で随伴観戦艦の乗組員全員を調査した所、まず艦長が洗脳状態にあることが判明した。他には射撃管制班にも同様の状態の者がおり、そのせいで誰に止められるまでもなくすんなりG弾が発射されてしまった様だ。
他にもオルタネイティヴ5支持派の者がそれなりにおり、彼らもG弾の持ち込みには関わっていた様だが、彼らは揃って「G弾の有効性を知らしめるためと聞いて協力したが攻略中のハイヴに警告も無しにぶち込むなんて聞いてない」と弁明しており、これはどうやら本音であった。本来の想定標的に関しては無人ハイヴと答えたが、霞のリーディングによるとインファクトリも想定していた様で、これはこれでギルティだ。
ひとまず自分の意志で協力していたオルタネイティヴ5支持派は個別にインファクトリの個室に監禁して洗脳状態の者をより詳しく調査しようとしたのだが、厄介なことに洗脳状態の者の思考は霞でも詳細が読み取れず、更に聖水を飲ませてもこの洗脳は解けなかった。よく見れば大分目が淀んでいる様だが、どうも指向性蛋白質や催眠の類いではないらしい。
わざわざステークを呼んで一番強力な状態異常解除魔法を更に強化して掛けることでやっと洗脳状態が解除されたものの、洗脳されていた者達は洗脳状態になってからの記憶が断片的になっていた。ただ一部重要な情報も引き出せた。既に
グレーテル≪閣下!≫
ターニャ≪チッ、分かっている。捜索は一時中断だ。
マイン≪言ってみろ≫
ターニャ≪
先ほどのG弾は既に
マイン≪とのことだが、代表としての意見は?≫
マインは頬杖をついたまま通信画面のトピアに視線を送った。一応政治的事情が絡むので、その決定権があるトピアに投げる案件なのだ。
トピア≪いいと思いますよ。全く想定してなかったわけでもないですし、
タリサ≪ありがてぇ!≫
ヴァレリオ≪流石トピアちゃん、話が分かる!≫
マイン≪よし、回収を急げ! 完了次第インファクトリは発進する!≫
ターニャ≪諸君喜べ、我々は
ヴァルター≪ハハ、これはうかうかしていられませんな!≫
マイン≪インファクトリ発進せよ!両舷一杯!≫
サティ≪時空勾配推進システム全て正常≫
テクス≪行くでござるよ!≫
インファクトリは時空勾配推進システムに大電力を注ぎ込んで一気に加速し、L1宙域の
一文字艦長の原作での階級は不明ですが、HSST夕凪は装甲「駆逐艦」と呼ばれているので、一般的駆逐艦艦長相当として中佐もしくは少佐、一文字艦長は年若いので少佐としました。