月面攻略完了に際して、リィズ以外にももう一つ問題があった。
月をBETA着陸ユニットから防衛するためには
これに対する暫定的対策として、月の衛星軌道と地球の衛星軌道に
防衛を他人任せにすることに難色を示す国もあったが、テロリストに乗っ取られたばかりの
いやまあ存在Xの使徒が相手となると
より正確なことを言うと、実は
このステルス自動迎撃衛星と、地上に医療支援に出ていた
なおこのステルス自動迎撃衛星はモモ王女が言っていた地球からの脱出を不可能にするアサルトセル群と同型の攻撃衛星の武装を一部変更して動作モードを変えただけなのであるが、そんなことは当然国連にも各国にも知らされていない。
ところで
とはいえ実際の要求は権利の買い取りではなく、有償技術供与という形だ。ムアコック・レヒテ機関を
これに付随して
さて、当の地球にとっては
しかし
現在の地球では化石燃料の不足から殆どの電力を原子炉で賄っているが、原子炉は放射性物質の核分裂反応を利用する物であるため、安全面にやや不安がある。
また、単体の発電量では核融合炉よりXG-70dに搭載しているムアコック・レヒテ機関の方が上なのだが、現在の地球の技術ではまだ安定させられない上に、完成したとしてもG11という燃料が貴重すぎて民生用に使えないのだ。
しかしMeisters 核融合炉Mk.2には核融合炉の基礎技術以外にTech由来の仮想実体化技術やレーザータレットを元にして更にG元素カフェ13で効率化した燃料加熱レーザー、ナノマシンとG元素カフェ1による構造強化、G元素カフェ6/9の応用による重水素の常温液化といった先端技術がこれでもかと盛り込まれている。特に無限実弾とレーザーの軍事転用が宜しくない。しかし復興のために電力が必要という言い分自体は真っ当なものだ。現場で大電力を使えるほど復興は手際よく進むだろう。
縮退炉に関しては構造強化技術やG元素によらない重力制御技術などが盛り込まれているが、一番の問題は何らかの事故や攻撃で爆発した際に環境への影響が甚大すぎるということだ。なのではじまりの星でも地表には1基も設置されていない。復興のために使うのに環境をぶち壊しかねないものを投入するのは本末転倒だ。
そこで
これに加えて、
ついでとばかりにGイレイザーの廉価版、単発打ち切り仕様の設計図まで付けられた。これは兵器ではないのかという疑問については、G弾以外をロック出来ず、ロックしないと発射出来ないという専守防衛仕様なので特別と返答した。このロックオンシステムを改造すれば攻撃用の武器にも使えるが、そもそもG弾を確実にロックしてラザフォード
なお廉価版Gイレイザーの設計公開はG弾の兵器としての優位性を殺すためであることは言うまでもない。
確かに核融合炉の基礎技術ならば携帯核融合炉モジュールでも揃っており、むしろ人間が持ち運べるサイズの核融合炉というのならば技術レベルも相当高いものだろう。加えて大型核融合炉をレンタル出来るのならば当面の復興作業への即効性がある。幸い海水から重水素を抽出する技術は地球にも既にあった。
縮退炉は安全性の問題で断られたが、普通に運用すれば十分な安全性が確保されているが恭順派などのテロで爆破されれば国が滅ぶどころか地球の環境にすら影響が出かねないと言われれば、それでもこれを設置したいという声がなくなるのは当然であった。むしろその代わりに軌道エレベーターがついてきたのは僥倖だ。地球で足りない資源を低コストで他から持ってくることも容易になるだろう。問題は1箇所しか建てられないのならばどこに建てるかで揉めそうだということだが、これに関しては案外あっさりと決まった。
赤道上にある国の候補はガボン、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ウガンダ、ルワンダ、ケニア、ソマリア、インドネシア、エクアドル、コロンビア、ブラジルの11箇国だ。大まかに分けると欧州影響下のアフリカ、米国影響下の南米、そして大東亜連合中核のインドネシアとなる。ここから消去法で行くと、まず沿岸部に建てた方が利便性が良いのでガボン、ソマリア、インドネシア、エクアドル、ブラジルに絞られる。更にBETAに荒らされたユーラシアの復興を優先するなら候補はソマリアとインドネシアの2つまで減る。そしてこの2つのうち海が穏やかで港湾施設を拡充しやすいのはインドネシアだ。位置的にも米国陣営の日本やフィリピンと英国陣営のオーストラリアの間に位置しており、交易拠点のシンガポールもすぐ近くにある。フランスからは遠いが、それは英国や米国の本国も同じだ。
復興に関わるということで優先して協議が進められ、国連では速やかに交渉がまとまった。そしてこの条件でまとまってその当日にインファクトリがインドネシアのスマトラ島東側、テラガへと赴いた。
レポーター≪さあ皆様ご覧下さい、ここインドネシアのテラガに軌道エレベーターの誘致が決まり、本日早速お馴染みのインファクトリがやって参りました。そしてインファクトリから降下した
観衆と報道カメラが見守る中、降下してわずか数分で空き地の地面を均した
そろそろ
実のところ、サティとトピア以外の
トリオ「やるもんじゃのう」
ラリー「あんなあっという間に建つもんなのか」
テクス「これはすごいでござるなあ」
九十九「これは見物だねえ」
トピア「そうでしょうそうでしょう」
カミール「科学というのも侮れないものだな」
シュミット≪科学ってすごいのねー。オバチャンびっくりだわ≫
夕呼「これ科学……なのよね?」
地球の科学者の中でもトップを争う夕呼が首を傾げていたが、一応科学の筈だ。ステークと霞も一緒に首を傾げていたが。
サティ≪一から始めると完成させるまでの資材準備に本当に1ヶ月くらい掛かるものなのよ?≫
軌道エレベーターも今後必要になりそうということでサティは仕事の合間に軌道エレベーター用資材生産ラインの準備を進めていたのだ。
他の惑星や衛星への軌道エレベーター設置はその星のBETAの完全掃討が終わった後となっているが、資材さえ揃っていれば地球同様にすぐに終わりそうだ。
トピア「まあともかく必要な技術の権利的取得が出来ましたので、夕呼先生と
夕呼「……やってやろうじゃないの。見てなさいよ? 地球の、いえ、このあたしの底力を見せてやるわ」
地球が生んだ天才、香月 夕呼は対抗意識に燃えていた。