トピア「では今後とも宜しくお願いします」
カテリーナ「ええ、良い取引でしたわ」
ここはFICSIT本社の応接室で、この部屋にはトピアとカテリーナの他にサティとモモ王女、フィステイン神、スティーヴ、更に惑星プロキシマ・ケンタウリb防衛軍関係者と惑星プロキシマ・ケンタウリb自治政府関係者もいた。この交渉のために、インファクトリ級のうちトピア達が乗っていた1隻だけがFICSIT本社の大型艦船用1番ポートに入港して係留されている。
折角政府関係者が来てくれたので貿易関税についても一般的なレートで定められることになり、取引に関しての通関監査も入ることになった。形式上は天の川銀河連邦所属惑星プロキシマ・ケンタウリb自治政府所属企業である株式会社FICSITと国外との貿易なので、これをやらないと密輸扱いになってしまうのだ。
幸いFICSIT本社は交易用の宇宙港を内包しており、通関設備も有しているので好都合であった。軌道エレベーター建設を業務とする企業の強みである。
天の川銀河連邦という国の内部なのに何故通関設備があるのかと言えば、組織上は国内同士である惑星自治政府同士でも物理的には別惑星に分かれており、その間に出没する宙賊の出入りを阻止する必要もあるので、惑星単位での防犯のために必要ということだ。
政府としてはFICSITの輸入と販売利益の両面で税金を徴収出来てホクホクで、軍としても今後使えそうな強力な新素材が安定供給されるというのなら言うことは無い。輸入するにしても国営で仕入れと販売を全部賄うのでもなければ結局どこかの企業に商売を任せることになり、元々地球勢力圏全域に流通網を持っているFICSITならばそれを任せるのに不足は無い。
ただ、武力を前面に押し出しておきながら要求が普通すぎるので、何か裏の意図があるのではないかと警戒してはいた。
そもそも軍からしてみれば余所の軍艦が勝手に入ってきている時点で大問題なのだが、だからと言って縮退炉を搭載した大戦艦10隻を相手に交戦すればどうなるかは想像に難くない。なので正当防衛を除き武力を行使しない条件で
詳細な交渉過程を非公開としながら相手の出自と戦力と交渉結果が一般公開されたため、むしろあのヤバそうな艦隊相手に交易を含めてよくこんな条件を通せたものだと市民からの評価が高まる始末だった。
なお、赤色矮星プロキシマ・ケンタウリが全く同時刻にどの距離から見ても青く輝くようになったことは何をどうやっても物理的に辻褄を合わせることが出来ず、このことからプロキシマ・ケンタウリは『神の輝き』と称される観光名所になった。
同時にこれを為したというフィステイン神の認知が一気に高まり、あくまで個人レベルではあるが信仰が集まるようになった。特に効いたのが映像として残っている「ほぼ人の力だけでこれだけの繁栄を築いた汝らは自慢の我が子である」という一言だ。つまりフィステイン神を信仰すること自体が神に認められた民という強大な自己肯定に繋がるのだ。信じておいて損は無いというものだ。
ただ、この言葉はちょっと効果がありすぎた。どういうことかと言えば、まず「我らは神に認められた宇宙で最も優秀な生物である」と声高に主張する者がそこそこの数現れた。まあそういう者は大体他に自慢出来る物が無いから恥ずかしげも無くそんなことを言ってしまうのだが。
こちらは他の文明と比較して見下さない限りは恥ずかしいだけだからまだ良いとして、自らの犯罪行為すら神に認められた行為なのだと言い張って暴れる犯罪者まで現れ、社会問題化した。
なので、頭を抱えたフィステイン神が「褒めているのは世界の繁栄と平和であって、それを貶める犯罪行為は言語道断であるし、そのようなことをやる者がいる時点で全ての個体が優秀であるとは限らないのは自明であろう」と付け足すことになった。
社会の完成度が高いフィステイン神の世界でもやはり多様性というものがあり、個々人の能力やモラルにも差があるということだった。
やはり人の世に干渉するなどという慣れないことはするものではないな、とフィステイン神はまた自重するようになった。
サティの扱いについては、
ただ維持するだけでなく、FICSITでのサティの肩書きは外世界担当専務取締役となった。つまりFICSIT本社が存在する世界以外での行動決定において大きな裁量を持つ立場であり、追認ではあるがこれまでの全ての活動がFICSIT構成員としても正当なものであったということになる。
これは派遣や出向ではなく、FICSITと
実際の所、無尽蔵の生産力を誇る
なお圧倒的な軍事力を見せながら対等な条件で決着することで交渉相手の評価を高めるのも関係を長続きさせるための策であり、これはモモ王女の案だ。
さて、概ね理解されていると思うが、この世界で
この観測実験によりそれぞれの
この
10隻揃えたのは7つの世界への定期便として1隻ずつ+予備艦3隻という計算で、折角10隻揃えたので一斉に使うことで実験速度を10倍にして、ついでに別々に作った10個の装置が全部正常動作するかの歩留まりに関する実験でもあった。なお実機で実験する前にも当然Factorio工業製の自動研究所でかなりの回数シミュレート実験が繰り返されている。
実機を使った実験では予想外の挙動は1回も起こらなかった。何しろ原作オルタネイティヴでは夕呼が作った装置が1発で武の並行世界への転移をほぼ成功させているのだから、それに現在の好条件が組み合わさればこうもなる。夕呼自身はこの結果を当然と捉えていた。
神の力に頼らずに、しかも移動出来る人員を制限されずに世界間の移動が可能になったことは、
まあフィステイン神はテンションが上がった結果自分の世界の住民まで褒めすぎて、要らぬ騒動を招いたわけだが。
しかし
更にその11隻も予備艦は世界間転移機能を封印しておき、その解放に最低でも
この成果により香月 夕呼は満場一致で
階級上では工場長以外の生産班に並んだ形になるが、人材としての夕呼は元々この異世界転移技術を期待して勧誘したもので、その期待に完全に応えてくれたのだから文句は無いというものだ。
FICSITとの契約は、トピアとしてもFICSITを介して今後色々な技術情報や娯楽を輸入出来るようになって満足な結果であった。サティやフィステイン神に聞いていた通りカテリーナCEOも有能で利に聡く、リスク管理がしっかり出来ている人だったので、関係が長続きするようにちょっとずつ若返らせていくことを企んでいる。
サティは元々女手一つでここまでの大企業を作ったカテリーナを大変尊敬しており、FICSIT社員という立場にも誇りを持っていたので、FICSITと
軍事技術の有償供与については慎重にする必要があるが、神がほぼ関与してないのに自力でここまで発展した上に100年以上も平和が続いているとフィステイン神が大いに自慢していたので、対応を間違えなければ戦乱が起きたりはしないだろう。
FICSITからはベッキー、モニカ、ブライという三人の女性社員が
トピア達は一旦マブラヴオルタネイティヴ世界に帰って、ベッキー達三人組をファム達総務に預けてから工場長の故郷世界に行くことにした。
現在の日付は、マブラヴオルタネイティヴ世界では2001年12月1日。トピアが使命を受けてから41日目のことであった。
ベッキー、モニカ、ブライはSatisfactoryプレイヤーキャラの本名ではないかと推測されている名前の候補です。そのため全員プレイヤーキャラ準拠の女性となっております。