九十九「で、さっき工場長の発言にも関係するんだけどネ、半径3,000光年に進出してもまだ
トピア「単純にまだ面積にして1%も行ってないですからね」
ドレイクの方程式とは、人類とコンタクトする可能性がある天の川銀河の地球外
具体的には以下のようになる。
N = R*×fp×ne×fl×fi×fc×L
・N:人類とコンタクトする可能性がある天の川銀河の地球外文明の数
・R*:天の川銀河の中で1年間に誕生する恒星の数→10と仮定
・fp:ひとつの恒星が惑星系を持つ確率→0.5と仮定
・ne:ひとつの恒星系が持つ、生命が存在可能な惑星の平均数→2と仮定
・fl:生命が存在可能な惑星において、生命が実際に発生する確率→1と仮定
・fi:発生した生命が知的なレベルまで進化する確率→0.01と仮定
・fc:知的なレベルになった生命体が星間通信を行う確率→0.01と仮定
・L:知的生命体による技術文明が通信をする状態にある年数→10,000と仮定
上記の代入する数字の仮定はドレイク本人によるもので、これによると解であるNは10となる。
しかし上記の代入ではfp×ne = 1となっているのに対し、太陽系とその近隣の恒星系58において生命発生に適した惑星は現状で10しか見つかっていないので、fp×ne = 0.172となる。つまり星間通信の出来る文明の存在数は10×0.172 = 1.72になる。
また、この方程式は自ら宇宙を巡って個別に惑星を調査する場合にはfc、相手が星間通信出来るかどうかという数字が要らなくなるので100倍の1として良い。
更にLも通信条件を除外して何らかの文明があるという範囲まで拡張すれば2倍の20,000年程度に延長して良いだろう。これは文字や効果的な食料生産、都市の存在などを条件とする「文明」の定義からして、地球で言うと石器自体を終えたくらいからになるので、200万年くらい存在した原始人の類いは残念ながら文明にカウントされない。
つまり古代文明から中世程度のものを含めるなら10×0.172×100×2 = 344ほど存在する可能性がある。しかし実情として、BETA進出領域ではその程度までしか進んでいない文明は既に滅ぼされているだろうから残存数はその半分の172程度になるだろう。
インファクトリ級の殆どはこの星系を出発してワープを繰り返し、銀河に進出している。文明を発見次第本部に連絡が入ることになっているが、まだ文明には接触していないので自動運行で単純なBETA自動殲滅機能の運用経験を積んでいる所だ。
BETA自動殲滅アルゴリズムにおいて、今のところBETAに迎撃されず地震も起こさないという点で運用が簡単な艦底部荷電粒子砲でハイヴの殆どを片付けることが出来ており、環境条件の違いにより荷電粒子砲を使えない場合や使いにくい場合に他の武装を使う例外処理を追加していっている。
ここで半径3000の円の面積は、半径5万の円のおよそ1/280になる。更にBETAの侵略を受けていない無事な領域はその半分なので1/560だ。つまり密度的にはこの面積に存在する文明の数は172/560 = 0.32くらいで、既に太陽系があるので新たに1つ発見出来ていなくても不思議ではない。
文明の定義からは外れるが、石器時代相当の原始人を含めるとLが更に100倍になるので、その条件ならば実はもう多数発見出来ている。これに対しても最初だけ交渉を試みたのだが、未成熟すぎて交渉が困難な上に交易して得られるメリットも全く無いので、以後は惑星上と周辺宙域のBETAに対する防衛体制を確立したらあとは非干渉で放置する方針となった。流石に天の川銀河全体で推定1万7千惑星単位の原始人と付き合うのは不毛すぎる。
原始時代は長いので、概ね数万年から数百万年は大した動きが無いだろう。普通の生態系ではクラフトピア世界のように石器時代から数分で農耕時代に移行したりはしないのだ。
ただし
サイズは当初18m程度の予定だったのだが、守護神像が迅雷や
無駄に
明らかに彼らの手で作ることが出来ないオーパーツなのだから、これで勝手に救いの神としての信仰が広まることだろう。
というか、実際既に実感出来るほどの効果が出ているようで神々はご満悦であった。ファムが神事部長を務めるようになったのはこの功績からだ。
なお付属のメッセージボードには日本語で「
トリオ「ただBETAを殲滅するだけでなく、無人の恒星系を見つけ次第工場小惑星製造ドックを建造開始して工業化するルーチンも組み込んでおるぞ」
テクス「また生産量の桁が増えるでござるな」
スチームパンカーのホープ「ま、一緒にインベントリサーバーも増設してるから大丈夫さぁ」
恒星系単位での工業化。インファクトリ級の本来の運用理念である
スコア「あとは
ラリー「外惑星あたりにワープゲートがあるかもしれないんだったか?」
九十九「ああ、それなんだけどネ、ワープゲートは見つかってないヨ。代わりに各星系の外側に加速ステーションのようなものはあったけどネ。そこで第四宇宙速度の倍くらいに加速しているヨ」
テクス「第四宇宙速度……天の川銀河の外までは飛ばしてそうでござるな」
第四宇宙速度とは太陽系からの天の川銀河脱出に必要な初速で、537km/秒である。その2倍で1,074km/秒だ。
打ち上げ機能が実装されるフェイズ5ハイヴの
実際にハイヴから射出されるときの速度は太陽系脱出に必要な第三宇宙速度、16.7km/秒 = マッハ49程度だ。これでも大気圏内の飛翔物体と考えるとかなり速く感じるが、ライトクラフト方式のレーザー推進であれば実現出来なくもない。
ライトクラフトとはレーザー推進の一種で、打ち上げる対象の後方でレーザーの熱を収束させて空気や水を膨張させそれを推進力とするものだ。そのため燃料や推進剤が必要無いのが特徴だ。つまりは大気の抵抗分をこれで相殺していると言えるが、やはり第三宇宙速度の64倍になるマッハ3,156は遠い。
一応打ち上げ後に
速度に限界があるのは、
ラリー「でも宇宙全体に分布してそうという割には
第四宇宙速度の2倍丁度だったとして、光速の1/279でしかない。1光年進むのに279年もかかってしまうので、地上ではおよそ無理な速度と言っても、宇宙レベルでは遅いと言える。これでは天の川銀河の直径10万光年を横断するだけでも2790万年もかかってしまうことになる。
夕呼「そうね、でも地球人類がバーナード星系に到達するまでの60年でBETAが来ない場合もあったことを考えると、恐らく連中の進出速度は光速の1割未満よ。そうするとワープ航法自体出来ない可能性が高いわ」
ハマー「だからこそこちらで言うポータルのように設置型のワープゲートで物資を送る時間だけは短縮することも考えられたのですが、それも見つからず光速未満で送っているというのは意外でしたな。
ステーク「とすると、案外近くに本拠地があるってことですか?」
夕呼「進出も第四宇宙速度の2倍が限界だとすると、宇宙の年齢と膨張率から考えて2億6千万光年程度の範囲にはあるはずよね。大分広いけれど、宇宙全体からするとごく一部よね」
サティ「そうよね」
ステーク「2億6千万光年……近いって程でもないか」
宇宙の年齢が138億年と言われており、最初の星が誕生したのが133億年前なので、光速の1/279で133億年かけて進める距離は単純計算で4765万光年になる。そして133億年前から現在までに宇宙の大きさが10倍になっているため、それまでの道のりが最大10倍引き延ばされている。133億年前に出発したとするとこの年に進んだ距離が膨張して10倍、現在は1倍、中間では5.5倍なのでこれが平均になる。4765万×5.5で約2億6千万光年というわけだ。
資源だけでなくBETAの着陸ユニットも同様に第四宇宙速度の2倍程度で宇宙空間を進んできたのならば、この約2億6千万光年の範囲内に出発点がないと最初の恒星が生まれるより前に出発したことになり矛盾する。
実際には資源はともかくBETAは惑星に到着してハイヴを作って次を打ち出すというプロセスを経ているので、到達距離はもっと短くなるだろう。
そして宇宙全体のサイズは正確には分かっていないが、観測された赤方偏移からの計算では地球からの可視限界でも半径465億光年あるので、半径2億6千万光年というのは宇宙のごく一部でしかない。
宇宙の年齢が138億年なのに宇宙の半径が138億光年を超えているのは相対性理論に反していないかという問題については、宇宙の時空が膨張する速度は時空中を波動や物質が進む速度とはまた別というややこしい原理による。
テクス「同時に、細菌型のBETAが大量にいる可能性も大きく高まったことになるでござるな……」
重
広がっている範囲が宇宙全体ではないのなら、通常サイズのBETAでは到底1037という個体数には届かないため、恐らくは細菌のようなBETAがおよそ1030個体ずつ1千万程度の数の星に存在するなどのパターンが考えられる。
天の川銀河だけでも約3千億個の恒星があり、恒星それぞれに5つ程度の岩石惑星が存在するとして、1兆5千億の惑星の内1千万だと15万分の一の範囲になる。これだと現在インファクトリ級が進出している範囲より狭くなるため、惑星1つあたりの個体数はもっと少ないだろう。
ともあれ、宇宙から特定の細菌を死滅させるとなれば非常に困難であると言わざるを得ない。他のBETAのように反応炉からのエネルギー供給が途絶えると勝手に停止するなら簡単なのだが、いちいち反応炉で補給するには細菌は移動速度が遅すぎるので、それもあまり期待出来ないだろう。
九十九「そうだネ、そして各星系の加速ステーションで観測した物資の行き先を測定して交点を算出してみるとだネ、2億6千万光年に比べてもかなりご近所であることが分かったヨ」
九十九がデバイスを操作すると、スピーカーから勇壮なマーチが流れ始めた。大半は突然のBGMに困惑の様子を見せたが、トピアを始め、数人はそのイントロに明らかに聞き覚えがあった。
タバサ「……これはまさか」
九十九「分かったようだネ。向かう先は銀経280.5度、銀緯-32.9度、
天の川銀河の地図から右の方に長い矢印が伸び、行き先の名前が表示される。
九十九「大マゼラン雲だヨ」
バックに有名すぎる主題歌を流しながら、九十九はそう宣言したのだった。
いざイスカンダルへ。(※多分イスカンダルはありません)
ハイヴからの射出速度がどのくらいなのか、ワープゲートや加速ステーションがあるのかどうか、
ただ太陽系にほど近いバーナード星系がアンリミテッドで未侵攻だったのと、あんまり速いと月から地球への着陸ユニットが迎撃不可能になるので(こちらは短距離ワープが出来ないという理由付けも出来ますが)、案外遅いのではと推定することになりました。
ワープゲートも加速ステーションも無い場合はまず第四宇宙速度を超えられないので天の川銀河の中に
参考:宇宙の年齢と大きさ
https://news.kodansha.co.jp/6522