サティ「……ああ、これがさっき言ってたヤマトというSFの歌ね? 大マゼラン雲まで旅したとかいう」
宇宙戦艦ヤマトという名前が歌詞にそのまま出てくるのでそれ関連の歌だというのは非常に分かりやすく、疑いようもない。
トピア「ええ、その通りです。いやあ……始まっちゃいますねイスカンダルへの旅が」
九十九が会議を楽しみにしておきたまえと言うので実はトピアも
タバサ「どちらかというとガミラスじゃないかい?」
トピア「そういえばガミラス帝国も地球文明を壊滅寸前まで追い込んだ地球外勢力でしたっけ」
宇宙戦艦ヤマトが出港した2199年時点で地球は既に地上を人間が出歩ける状態ではなくなっており、滅亡まで1年という状態だったので、マブラヴ世界の2001年時点より更に追い詰められた状態であったと言える。更に言うならヤマトの出港は地球とガミラスとの戦争開始から8年目の話である。大小マゼラン雲統一を成し遂げた覇権国家が最初から戦争をするつもりがあって戦っているだけあり、BETAよりもガミラスの方が大分侵略の手際が良い。
テクス「妙な符合もあったもんでござるな。そのヤマトとイスカンダルとガミラスというのはどういったものなのでござるか?」
九十九「うむ、ちょっと説明しておこうか。旧作とリメイクがあるのがちょっとややこしいけど、まあ状況が大体整理されたリメイクの方を主体として説明しよう」
九十九は旧作初代ヤマトとリメイクヤマト2199の概要説明を試みた。
BETAと違ってガミラスの方は言葉が通じる分だけまだ交渉の余地はあったはずなのだが、ヤマト出港時点の状況としてはその可能性は殆ど無かった。旧作ヤマトではガミラスが一方的に地球を侵略し、ヤマト2199ではガミラスが地球側の警告を無視して太陽系へ領宙侵犯した際に地球側が攻撃したのをガミラスは「宣戦布告無しの先制攻撃」と言い張り、地球側は「ガミラスが先制攻撃した」と言い張ってこじれていたためだ。それを何とかするためにヤマトは地球の命運を背負って一路大マゼランのイスカンダルへと向かったわけだ。
イスカンダルへの旅は旧作ヤマトではコスモクリーナーDを受け取りに、新作ヤマトではコスモリバースシステムを受け取りに行くのが目的だが、ヤマトのクルーはそのイスカンダルがガミラス星の連星であることをガミラスに大分接近してから知ることになる。これでは目的地に近づくほどガミラスからの攻撃が熾烈になるのは必定だ。
こうなると何故使者と波動エンジンの設計図と波動コアを送っておきながらコスモ以下略は取りに来いと言っているのかという疑問が再燃し、果たしてイスカンダルを信用していいのかという疑念が湧いてしまうことになる。まあ地球に後が無いことを考えると信用出来なかったとしてもやらないという選択肢はもはや無いのだが。
結果としてはイスカンダルの意向は善意ではあったのだが、地球人がコスモ以下略を託すのに足る存在であるかを確かめるための試練を兼ねていたようであった。そしてその試練のためにたった三人しかいないイスカンダル人の一人サーシャを死なせている。
困ったことにこのイスカンダルの長であるスターシャ、ヤマトがいざイスカンダルに到達するとヤマト最大の武器である波動砲の使用を批難し始めるのだ。波動砲を禁じ手とした地球の軍艦1隻では一体何をどうすればガミラスを退けてガミラス本星の隣のイスカンダルに到達できるのか皆目見当もつかず、スターシャには実現性を無視した大概無茶なことを言われている。
しかも波動砲禁止は最初に言われたわけでもない後付けルールである。サーシャは命を賭けたのに、などと言われてもその試練を実施しているのはイスカンダルの方でサーシャの死に地球は一切関与していないので、地球やヤマトクルーに文句を言われても困る。
まあ波動エンジンと同じ原理のゲシュ=タム
しかしスターシャが所詮辺境の未熟な文明に実現できるわけがないと侮って当初は波動エンジンの武器転用禁止とも言わなかったのなら、地球人類存亡を賭けた真田達が底力を発揮して予想外の成果を上げたことにあとで文句を言われても地球人類はただ困惑するしかない。
結局の所ヤマトの艦長を務める沖田十三が今後波動砲を使わないことを約束してコスモ以下略を受け取り、ヤマトは地球へと帰ることになる。この約束のせいで次のヤマト2202がややこしくなるのだが、急がないと地球が滅亡してしまうのだから仕方のない所だ。
なお漫画版幼女戦記にはこの沖田十三にそっくりな帝国軍北洋艦隊司令長官が登場する。沖田艦長の話のところでターニャは前世のその姿を懐かしく思い起こしていた。
ラリー「……結果として助けてもらえたのはいいんだが、妙に理不尽さを感じるな」
サティ「そのコスモなんとかを信用出来ない相手には託せないというのは分からなくもないけど、後付けルールで批難する方が余程信用を失うわよね」
夕呼「そもそも波動砲を使わずにイスカンダルに到達出来るなら信用出来るという判断基準自体も謎よね」
波動砲を開発出来ない前提で事前に条件を付けなかったのならば、使わずに我慢出来るかという性格判断には使えないし、そもそもイスカンダルに到達出来る可能性がほぼ無い。開発出来る前提だったのなら、波動砲を使ったから失格だと後から言い出すのは反則もいい所だ。これではイスカンダルが一体何を求めていたのか首を傾げざるを得ない。
ジョンストン卿「我々の地球に来てくれたのが
これは論理的正誤を無視しない相手であれば英国紳士にとっては同じフィールドでやり合える相手であるという意味もある。
ハマー「全くですな」
ハマーも同意しているが、弁舌で状況を支配する英国紳士でなくとも正誤や道理を無視して力を振りかざす相手などというのはたまったものではない。結果としてはほぼ丸く収まっているが、イスカンダルもガミラス同様の理不尽な決裂に至る素養があったということだ。
トリオ「しかし16万3千光年……連中の射出速度で4500万年、今のインファクトリ級で400日くらいの距離か」
4500万年くらいなら宇宙の大きさの差は0.3%程度だ。膨張率はほぼ考慮しなくてよいだろう。
地球から近い銀河を見ていくと、
・0.天の川銀河:中心は2万7千光年(※地球及び太陽系、バーナード星系を含む銀河)
・1.おおいぬ座矮小銀河:2万6千光年
・2.いて座矮小楕円銀河:6万5千光年
・3.大マゼラン雲:16万3千光年
・4.うしかい座矮小銀河:19万7千光年
・5.小マゼラン雲:19万光年
・6.こぐま座矮小銀河:20万光年
・7.りゅう座矮小銀河:26万光年
・8.NGC 2419:27万5千光年
・9.ろくぶんぎ座矮小銀河:29万光年
・9.ちょうこくしつ座矮小銀河:29万光年
・11.おおぐま座矮小銀河I:33万光年
・11.りゅうこつ座矮小銀河:33万光年
・13.ろ座矮小銀河:46万光年
となる。この先50位くらいまでが天の川銀河と同じ局所銀河群というまとまりに含まれるが、その中でも3番目の大マゼラン雲は天の川銀河から隣近所あたりにある銀河の一つであると言える。
また、おおいぬ座矮小銀河やいて座矮小楕円銀河に至っては上下に多少ずれてはいるが天の川銀河の半径内に入っているし、実際には大マゼラン雲より遠いうしかい座矮小銀河やちょうこくしつ座矮小銀河も銀緯が大きいために天の川銀河の真上から見ると天の川銀河の半径内に入っているように見える。
トピア「案外近い所に本拠地がありそうなのはいいんですけど、最低でも4500万年ほど前にBETAを生み出したほどの文明が今現在も存続している場合、
ラリー「その問題もあったな。しっかり戦力を整えねえと」
スコア「年月が長すぎて滅んでいる可能性もあるが、かといって侮るわけにもいかないな」
現在の
パーキンソン教授「4500万年前に宇宙進出している地球外文明となると興味が尽きないが、それは戦いが終わってからの話になるだろうねえ」
九十九「文明が存続している場合は我々同様に、いやそれ以上に多数の星系に勢力が跨がっている可能性が高いネ。文明のレベルが上がれば必然的に勢力範囲が拡大するだろうし、何よりその方が滅亡しにくい」
ラリー「本拠地の母星だけ制圧して終わりにはならねえから首狩り戦術も通用しにくいってことか。それも厄介だな」
本星だけで片が付くならそこに強襲をかけて終わらせても良いのだが、広範囲に広がっているとなればそうもいかない。全てを包囲して同時襲撃するか、最低でも逃げ道を塞いで降伏させなければならない。
九十九「と、まあ現状の説明は大体こんな所だネ」
トピア「ありがとうございました師匠。ではこれを踏まえて、参謀部長のデグさんから作戦方針の説明をお願いします」
ターニャ「は、承知しました」
今まで黙していたターニャが起立して前へ出た。参謀部は会議前に情報本部から必要な情報を受け取って作戦を練っていたため、コメントする必要が無かったのだ。