というかここまで23時間更新を続けておいて次が47時間後だとがっかりされそうなので。
[2025/11/15]この時点で燃料式発電機が未解放だったのを修正しました。その他若干の加筆・修正を行いました。
朝の会議を終えた三人はそれぞれの仕事を開始した。
トリオは自前の生産設備が発する汚染を抑えるための研究としてFICSIT設備を分解して汚染拡散抑止システムを理解する仕事。
サティは火力発電所の建設に向けたマイルストーンの達成。
トピアはポーション工場の建設である。
ポーション工場の仕組みは自動農場と基本的には同じだ。ただし床の上に畑ではなく中型プランターを並べ、プランターにハーブの種を蒔く。
プランターの性質は小麦畑と他の作物用の農場の中間で、最初に種を蒔く必要があるもののその後は水を与える限り永続的に生え続けるというなかなか便利な代物である。原理的には明らかにおかしいが、いちいち種蒔きが必要な農場の不便さを実感すると、やはり便利であることが優先されるのだ。同様に複数のプランターにまたがって刺さっている壁力発生用の壁も構造的に大分おかしいが、これで正常に動作するのだから仕方ない。
刈り取られたハーブが壁力で移動する先に受け止めるための普通の壁とベルトコンベアを設置する。完全版ではこのベルトコンベアを3倍速の高速ベルトコンベアにするのだが、高速ベルトコンベアはワールドLv6に到達しないと製造出来ないため、普通のベルトコンベアで妥協する。ドロップアイテムは収納しないでいるとフィールドにおける存在数が一定量を超えたときに消えてしまうので収納までの時間を短くするため高速化した方が良いのだが、現状の規模ならば生産性にほぼ影響は無い。
そのコンベアの先には自動組立機を設置する。これは作業台・鍛冶屋(下位)・帽子屋・ポーション調合所・機械工場(下位)を統合した上で自動化した設備であり、自動で栽培されて自動で刈り取られたハーブをポーションに加工するのだ。電力不要で動くこの自動組立機には搬入用コンベアと搬出用コンベアがついており、搬出用コンベアから出たものがその次の段の大容量コンテナに収納される。
大容量コンテナは搬入用高速コンベアがついた最大最強のチェストであり、その容量はスーパーダイヤモンドチェストを超える64枠を誇る。ただしコンベアの規格に合わせた相応の大きさがあり、スーパーダイヤモンドチェストに比べ遙かに専有面積がでかいのが難点である。大容量コンテナはワールドLv7で漸く製造可能になるものだが、スーパーダイヤモンドチェスト同様に早期から使えるとかなり便利なのでトピアは持ち込み枠に入れていた。
今回製造ラインを整備するのは
・赤のハーブ×20→赤い抽出液×2→ハイライフポーション×1
・青のハーブ×20→青い抽出液×2→ハイマナポーション×1
・黄のハーブ×1→小さなスタミナポーション×1
・ヘルペッパー×1+赤のハーブ×1→ヘルレジストポーション×1
・スノーミント×1+青のハーブ×1→フリーズレジストポーション×1
・解毒きのこ×1+黄のハーブ×1→ポイズンレジストポーション×1
の6種であり、ハイポーションのラインは工程数が多いので自動組立機が2段になる形だ。普通に詰めて設置するとハイポーション2種の貯蔵コンテナの位置が他のポーションの貯蔵コンテナからやや離れてしまうため、トピアは実用上の効率を重視して他4種のラインの途中のコンベアを伸ばし、6つのコンテナの端を揃える形で整えた。
トピアはその屋上に結界の旗と3×3モノリスを立て、最後にコンテナにアイテムフレームを貼り付けてどのコンテナにどのポーションが入っているのかを簡単に判別出来るようにした。
アイテムフレームとは特定用途向けチェストの一種であり、アイテムを中に入れることでそのアイテムを表示する機能のある識別看板である。入れるのは1つで十分だが、入れようと思えば1スタックまで入る。
トピア「ポーション工場動作確認ヨシ! 上出来ですね」
言い回しに微妙に不安を覚えるが、トピアは工場ラインの完動をしっかり指さし確認した。 大容量コンテナ同様に400個持ち込んだ中型プランターを嫌と言うほど並べたので、生産ペースにも問題は無い。
中型プランターは現状のワールドLv5で既に製造可能なのだが、材料に糞を要求され、これの短時間での大量生産が難しいのだ。プランターを増やすもう一つの方法として、1つでも設備があれば設置と撤去を繰り返すことで確率でその設備の材料が手に入る『構造力学』というスキルもあるのだが、これも数百増やすとなればかなりの手間である。中型プランターでも畑より遙かに小さいその作付け面積相応に2つずつしかハーブが生えないため、大量生産のためには大量のプランターを用意して並べる必要があったのだ。なおハーブの種も持ち込みである。
トリオ「ほう、こいつがポーション工場か」
サティ「なかなか立派な物が出来たわね」
サティの言うとおり、ポーション工場はガラス張りの屋内農業プラントの様相を呈しており、システマティック感があった。中身はマナや壁力で動いているのを気にしてはいけない。
トピア「はい、昼食後くらいにはそれなりの数が出来ているはずですので、必要な数を持っていってください。そちらの進捗はどうですか?」
トリオ「構造は分かったんじゃが、原理をアレンジして組み込むにゃあもうちっとかかりそうじゃの。取り急ぎ製造サイエンスパックと化学サイエンスパックのラインを作って今研究所にかけておる」
トピア「サイエンスパック? と、研究所?」
トリオ「お主らで言う納品みたいなもんじゃ。研究目標の指定には大分融通が利くがの」
サティ「らしいわよ」
トリオの場合、二人と違って既にあるレシピを解放するのではなく目的の物を開発する必要があるのだが、トリオは製造のプロであって研究開発者ではないので、目的のカテゴリに合致した相当量のサイエンスパックを自動研究施設に投入することで開発を実現していた。
研究開発なので段階を踏んで研究を進めていかなければならないが、その分自由度は高いのだ。今回はFICSITの技術を参考にして消費電力を上げすぎない程度の環境対策システムを開発することになる。
トピア「へえー。サティ姐さんの方は?」
サティ「昨日のうちに石灰岩、銅、鉄、鋼鉄系統の部品とプラスチック、ゴム、布地、燃料の自動製造工場が出来てたから、それでTier5までのマイルストーンは全部達成して、それからTier6のためにヘビー・モジュラー・フレーム、回路基板、コンピューターのラインを作ったところね。電力はまだ余裕があるから、次は納品フェーズ3の品目の多目的フレームワーク、自律制御ユニット、モジュラーエンジン、それからその材料になる自動ワイヤーのラインも作っておいた方が良さそうね。まあこのあたりは必要な材料と工程が多いけれど、必要な数も限られるから、他の工程からの一貫生産で繋げずに必要分だけ材料を突っ込んでも何とかなるわ。納品フェーズ4はかなり本格的な工場が必要になる上に当面の戦略目標にも関係ないから今すぐ必要でもないし。そうそう、近場に石英の鉱脈も確保したのよ。今までの段階では殆ど使い道が無かったけれど、これから本格的に必要になるんだから――」
トピア「アッハイ」
自動化の恩恵で一気にマイルストーンが進んだサティがかなり饒舌になっており、情報の洪水に晒されたトピアは定型文で返事するのが精一杯であった。
サティ「ああ、それで昼食後について相談なんだけれど」
トピア「何でしょう?」
サティ「パワーレベリングって出来る?」
午後の探索にサティ達の参加が決まった。