一体何がどうなって
まずリィズの台詞がやや物騒であるが、これは別に記憶が蘇ったわけではない。ターニャ式猛特訓の結果、天然ヤンデレ気質がほんのり開花してしまっただけだ。元々は
まあ今回は自分達の人生を引っかき回してくれたBETAやGAMMAや
つまりこの辺りはビームの威力にはおよそ無関係だ。
そもそもリィズだけが例外というわけでもなく、他の魔導衛士が操る轟雷も数は幾らか少ないが難なく耐久値推定1
種明かしをすると、152兆止まりなのはあくまで基礎性能の話である。しっかりと訓練を受けた熟練の魔導衛士であれば、そこから術式を重ねて攻撃力を上げていくことが出来るのだ。その術式自体も大幅に強化されている。
実際に使うのは統合型の魔法威力強化術式だ。
これはクラフトピア由来の魔法と統一歴由来の術式、それにアウシアント由来の強化能力を統合したもので、魔法威力を+100%する効果がある。これだけ見ると効果がやや低い。
しかしこれはクラフトピア魔法と違って同一の術式を重ねることが可能で、魔法威力強化術式を
ここまでの使い方なら魔力をつぎ込んだ分だけ加算で威力を上げられる統一歴由来術式と変わらないが、更にアウシアントでも一人前の能力者が行使する
実のところ、従来の強化でもこれに近い法則のものがある。つまりエンチャントの
その研究の結果、魔法強化枠が現在までに10見つかっている。但し統合したものなので一部は従来の魔法や術式による強化枠と被っている。
これにより強化10並列起動で魔導ビームの威力が1,024倍の15
まだちょっと攻撃力が不足しているように見えるが、ここでマナリアクターの方を見てみよう。
迅雷四型と轟雷のマナリアクターは魔導演算宝珠Mk.4と同世代のもので、同一術式の並列起動や自動並列起動維持も可能になっている。しかしアウシアントの能力者が行使する熟練の技まで完全再現するには至っておらず、扱うのが素人だと全く同じ枠を強化する術式になるか、或いはそれぞれが2倍に遠く及ばないという結果になってしまう。きっちり1,024倍にするには
更に、それぞれの枠の倍率が技量によっては2倍に及ばないということは、逆に技量によってはオーバーブーストで2倍を超えるのも可能ということであり、理論上の最大倍率は1,024倍どころではない。
例えばリィズはそれぞれの枠の倍率をオーバーブーストして4倍にしており、つまり合計1,048,576倍の1
この威力ならばインファクトリ級主砲の攻撃力を上回り、単機で1秒も使わずに
標的のラザフォード
結局の所決戦兵器である轟雷が発揮出来る戦闘能力も個人の技量に大きく依存するという実態から、ターニャ式の特訓は今以て効果的であるとされ、多数の脱落者を出しているにもかかわらず、地獄のような厳しさを維持したまま受け継がれている。
ちなみに物理攻撃力や防御力、射程にもそれぞれ同様の統合型強化術式がある。
魔導銃剣弐型の射程は
轟雷には当然修復装置も搭載されているので、多少のダメージは自力で修復するが、それ以前にダメージを受けたくないのなら防御を常時10並列も起動しておけば安全性にまず問題は無い。
ところで術式をあまり大量に起動すると消費するマナも膨大になる。しかしその点においても轟雷には縮退炉が搭載されているため、余剰電力でマナを幾らでも生産することが可能だ。
最初にインファクトリで起動した縮退炉をMk.1とすると、Mk.1は本体のサイズだけでも50m×50m×50m、更に粒子加速器や補機の核融合炉136基、燃料投入システム、余剰電力の再質量化設備が付随していた。これでは全高200mを超える轟雷に搭載するのも大分困難だ。
なので轟雷には新型の縮退炉Mk.2が搭載されている。これは出力自体はMk.1と同じだが、大分サイズダウンして30m×30m×30mサイズに収まっている。轟雷の頭より若干大きい程度なので、胸部ならば十分収まるサイズだ。操縦席である迅雷が轟の頭部にドッキングするようになっているのは、胸部に縮退炉を収めるためという事情もあるのだ。
Mk.2では燃料投入システムも水精製系魔道具の効率化が進んで大分小型化している。再質量化設備はTech由来なので元々それほど大きくない。ただし起動に使っていた粒子加速器と補機は省略されているため、炉の起動には外部の縮退炉起動設備が必要になっている。
起動方式は従来の加速粒子衝突方式の他に、炉心に据えた原子核パスタに重力倍率をかけてブラックホールになるまで重力縮退させる方式も加わっている。必要電力は後者の方が小さく、失敗のリスクも低いが、起動のたびに一定量の原子核パスタを消費するのが若干の難点だ。
また、縮退炉Mk.2は安定性が増したことでオーバードライブのSecondモードを大分長時間維持出来るようになっているが、幾らかの危険性はあるため普段から使うのは推奨されない。
ラダビノッド「順調だな」
一文字「全員
Mk.3持ち。今現在の
全員がMk.3持ちという
魔導衛士とは航空魔導師と衛士を合体させた造語だが、つまりはその両方の能力を高いレベルで備えている希少な人材ということである。
それがどのくらいの水準かというと、現在の装備と合わせた戦力で言うならば、全員が一時的ならば攻撃力100万倍を行使出来るというレベルになる。
その驚異的実力が改めて証明されていることに頷く二人だが、そこに緊急の報告が入った。
オペレーター「第2惑星の
オペレーターの報告と同時に天球儀に赤点が灯る。位置としては敵艦隊の奥側になる。
ラダビノッド「衛星? 人工衛星の類いかね?」
オペレーター「いえ、推定全長2,000km前後の衛星です!!」
解析処理が終わり、艦長席や提督席の前のディスプレイにも情報が転送された。二重空間超越レーダーで捉えたもののため形状は不明瞭だが、確かにそのくらいのサイズがある。2,000kmと言えば宇宙怪獣の母艦型と大体同じスケールで、月の直径3,476kmの半分を超えている。
ワープするということはGAMMAの一種なのだろうが、あまりに巨大なので惑星を周回する天然の衛星と誤認していたのだ。しかし
人工物としてはゼントラーディのボドル旗艦600kmをも超えている。ゼントラーディを手本とする
ついでに重量が1.88×1028tになっており、太陽質量1.99×1027tを超えている。シュヴァルツシルト半径を計算してみると27.8kmになり、ブラックホール化に大分近い桁まで迫っている。
600km規模の要塞艦に原子核パスタ構造材を採用出来ないならば、でかいために陣形の構成に影響し、でかいために旗艦だと丸わかりで、でかいために資材を沢山使う割には防御力も大したことがないということになる。果たしてこれは必要だろうか、ということで、要塞艦の建造を断念して同じサイズで防御力の高いものを作ることにしたのだ。
ともあれ、
オペレーター「ワープアウトと同時に攻撃の兆候があります! 射線予測、本艦に直撃、来ます!!」
一文字「緊急通達! 各自攻撃を回避せよ!! 操舵手!!」
操舵手「
一文字艦長の命令により射線予測情報が各機に転送され、有人機が高速で散開を始め、
そしてその直後、