ラリー「しかしこう、あれだな。創造主なんて偉そうなこと言ってても、もはや自力で生きていけないんじゃあ、俺らがわざわざ攻撃するまでもなく資源とインフラを没収するだけで勝手に滅びそうじゃねえ?」
モモ王女「名案だと思いますわ」
ロゼッタ王女「先にやられたからと言って、
ジョンストン卿「そうだね、結果が同じでも手段が選べるのならそれに越したことは無い」
マイン「フン、連中には似合いの末路だな」
マキューズ「なるほど、結果と名分の両取り……人類の知恵でありますなあ」
ダグ「ヴァンドルフ連邦としても異存はありませんぞ」
マキューズは深く納得した様子で頷いた。
BETAとの戦いが種族・文明単位の生き残りを賭けた族滅戦争だったので忘れがちだが、非戦闘員の虐殺に対する復讐で非戦闘員の虐殺をやり返すのは戦争の基本ルール上あまり褒められたものではない。だから、
そして友であるイバーク・ルク人を滅ぼした
ターニャ「とはいえ、
トピア「そう考えると
マキューズ「フフフ、草の根を分けてでも滅ぼしてご覧に入れましょう」
大量の無人機部隊のオペレートは
九十九「まあ実際にそれをするかどうかはシュモルレ自治政府の反応次第だけどネ。というわけで現地のカミール君?」
カミール≪こちら現地のカミールだ≫
九十九の呼びかけに応じて、幹部達の視線の先のディスプレイに植民惑星シュモルレの様子が映し出された。そこは制圧済みの惑星自治領主の部屋で、領主を調査部隊の一部が取り囲んでいる所だ。それ以外の調査部隊員が何をしているかと言えば、資料を漁ったり館そのものを調べたり
要するにここまでの情報は領主の館にあった様々な資料から読み取れたものだ。
大気組成の都合上、シイレント調査部隊員は生身だがそれ以外の調査部隊員は全員気密服を装備している。
取り囲まれた領主がESPで何やら喚いているのが隊員の通信機越しにインファクトリにも伝わってくる。
シュモルレ領主≪このっ、麿はこの星の全権を預かる領主ぞ! この麿に
ラリー「ブホッ!?」
テクス「……何で公家言葉なのでござるか?」
何故か領主が公家言葉で叫んでいるので一部の
なお疑問を呈するテクスも武家言葉なので、よりによってお前が言うのかとツッコミ所が増える結果になっている。
カミール≪ああ、この領主は古来の上流階級言葉を使ってるんだ。だからワタシ達の認識ではそれ相当の公家言葉に聞こえるんだよ。現状のウルジマルクにおいて統治者とは貧乏くじだから、その地位自体に価値を見出す者しかなりたがらない。そして自分の地位を誇りたいが為にどうしても偉さをアピールする口調になってしまうわけだね≫
トピア「なるほど、ありがとうございます」
九十九「衰退したとは言え、それなりの文化があるものだネ」
現地調査に志願して領主の館に乗り込んでいたカミールの解説に一同は納得した。カミールはターニャ式の魔導衛士育成訓練は受けていないが、装備は充実しているし最低限の術式も使えるようになっているので自衛能力がある。
アキ≪しかし原始人とは何とも酷い言われようだね≫
シイレント人調査員≪いやあ、こんな一人じゃ何も出来ないような進化をするのは御免なので、もう原始人でも何でもいいですよ≫
アキ≪それもそうだね。私もコレはちょっと≫
同じ珪素人類にカテゴライズされるシイレント人からしても、やはり進化の果てに無価値なほどに退化してしまったウルジマルク人の方が炭素人類よりも余程遠く見え、全く会話する気にもならないようであった。喚く領主本人をほったらかしてアキと談笑するほどだ。
カミール≪GAMMAはそうでもなかったけれど、彼らは非接触状態で炭素生命体と珪素生命体の区別がつくようだね。恐らくESP能力の一部なのだろうが、興味深い。いや、
カミールに至っては既に領主を調査対象の実験動物扱いしていた。領主のベッドと椅子とトイレと風呂と給餌器と自動歩行器と通信機を兼ねていた介護用
シュモルレ領主≪ええい、そこの原始人ども、領主に対して何たる態度か! いや、
放っておくとまあよく喋る。自分で起き上がることも出来ないくせにこれだけ啖呵を切るのだから肝は太いのだろうか。いや、単に現実が見えていないだけであろう。アキが剣先でつんつんとつつくのに怒っているようだが、何一つ抵抗出来ていない。
通報済みも何も、今軽く一突きすれば死ぬということが理解出来ていないようだ。危機感が全く無い。
トピア「カミールさん、ちょっと今からの言葉を中継してもらっていいですか?」
カミール≪了解……準備出来たぞ≫
トピアはカミールに念話の中継を頼んでからシュモルレの領主と少しだけオハナシすることにした。トピアがカミールに普通に音声で通話して、カミールが聞いたトピアの言葉を念話にして領主に届ける形だ。
降伏勧告のためでもあるが、少しくらいは自らのやらかしを知ってもらっても良いだろう。まあ理解出来る知能があればの話だが。
カミールの通信機から空中に映像が投影され、トピアの顔が大写しになった。
トピア「では失礼して。ドーモ、シュモルレ領主=サン。
シュモルレ領主≪は、はあ?≫
トピア「あと私達は
シュモルレ領主≪出鱈目を申すな、建国以来無敗の
トピア「領主さん、話聞いてます? あなた方が珪素生命体のみが生命だと言い張って炭素生命体を滅ぼしまくったから炭素生命体の敵である
シュモルレ領主≪炭素生命体? 戯言を! そんなものおるはずがないでおじゃろう……つつくでないわァ!≫
未だに炭素生命体の存在を認めようとしないシュモルレ領主に苛立ったアキが領主を剣先で軽くつついていた。それでも大きな傷が出来ない程度に加減してはいる。
トピア「まあ別に信じていただかなくても一向に構いませんよ。降伏を拒否するなら滅んでいただくだけですので。それで降伏勧告のお返事はいかに?」
シュモルレ領主≪創造主が被造物に降伏するなど有り得ん話でおじゃる! 無敵の
トピア「死刑執行へのご署名大変ありがとうございます! カミールさん以上です」
カミール≪お疲れ様。分かってはいたが全く話にならないな≫
トピア「何しろ2億年ものの平和ボケですからねー。重症ですね」
アキ≪
追い詰めれば隠していた切り札くらい出してくるかなと思って少し挑発してみたのだが、それすら出てくる様子が無い。どうやら植民星防衛に当たっている
なおアキの口調がまた雑になっているのは、恋敵ではないと分かったトピアと多少は仲良くなったからだ。
トピア「というわけで、降伏勧告が
建前上失敗と言っているが、無条件降伏を受け入れてくれない方が遠慮無く族滅出来て助かるというのは既定路線だ。
グイリ「ええ、もはや処置無しですわね」
より丁寧に手続きを進めるならば炭素生命体が存在するということを理解させてからの交渉をするべきではあるが、そもそも連中はその理解を雑に放棄した結果一方的に炭素生命体を滅ぼしまくっているので、理解しないまま死刑執行にサインするのは自業自得でしかない。それに幾つあるか分からない植民星相手にいちいちそんな面倒なことをやっていられないのだ。
資料からするとこのシュモルレの防衛戦力は一般的な開拓済み植民星の戦力水準と同等なので、これがあと1万あっても
実際のところグイリ達シイレント人としては、実物を見るまでは同じ珪素生命体という同類意識が多少はあったのだが、いざ見てみるとあまりに生態がかけ離れており、あんな身勝手でどうしようもない連中を庇って同類扱いされるのはデメリットしかないので、今後は全く別の種族であることを積極的にアピールしていくつもりであった。
幸いシイレント人は見た目が地球人に近く、
ステーク「しかし防衛戦力はこっちが警戒した以上に強化されてたのに、
夕呼と霞が40年以上掛けて漸く対話に挑んだ相手がこれだったと思うと何とも言えない脱力感に襲われるステークであった。
しかし脱力感で済ませられるのは、連中を上回る戦力を持っているからだ。
多大な犠牲の末に長い年月をかけて成立した人類統合体の使節が対話に挑んだ相手がウルジマルク人であればその認識故に交渉は困難を極めるであろうし、どこかで他の珪素生命体を探し出して交渉の矢面に立たせたとしても、文明の存続に関わるG元素の採掘を諦めさせるには利害の衝突故にやはり戦力をどうにかするしかない。
そこで出てくる戦力が
根本的な問題として、大マゼラン雲の半径の半分くらいを覆う規模の
まあリセットしてしまった世界のことを今更考えても仕方ない。
こちらの世界においては、結局の所防衛戦力を何とかする見通しは立ったし、対話交渉して引き出すべき条件も何一つ無いので、あとは消化試合になるだろう。
いや、もしウルジマルク本星に異常事態を知られているのなら、戦力を集中して複数の