2日後、トピアが使命を受けてから368日目の2002年10月24日、木曜日。
ウルジマルク本星は流石に植民惑星よりは防備が厚く、衛星軌道上に16体の
付随の
首都星ウルジマルクから植民惑星への物資輸送は現代ではワープゲートによる転送が主力になっており、
最終的な調査結果ではウルジマルク人の居住惑星は首都星を含めて6,208とそこそこの数になったので、16体の
このため首都星ウルジマルクのワープゲートは末端の植民惑星シュモルレには直接繋がっておらず、シュモルレ制圧の時点でその異常は首都星には伝わっていなかった。
首都星ウルジマルクの戦力を最初に観測したのは
進出開始点が首都星に最も近かったのが
3方面軍合わせて総勢21万個基幹艦隊が揃った所で惑星ウルジマルク包囲殲滅作戦が開始された。
観測出来た戦力で全てなら周辺の基幹艦隊を2万程集めれば
結果として、首都星の攻略戦は30分も掛からずに終わった。というよりも時間をかけると被害が増えるので最大火力で一気に片付けたという方が正しい。
戦術としてはまず物理特化轟雷による
これまでの交戦結果から、星系防衛の最終防衛線である
これに対し轟雷のワープエンジンMk.3/Sが500光年/日、インファクトリ級のワープエンジンMk.3が5,000光年/日であるため、
これにより相手がこちらを察知して迎撃態勢を整える前に襲撃することが可能となっていた。一旦恒星系外縁部で立ち止まるとそこで防衛体制を整えられてしまうため、10光年以上離れた宙域から直接ワープで飛び込む形だ。ここまでシップデサントという手札を見せていないことも奇襲として効果を発揮した。
結果として、全てのシップデサント用無人インファクトリ級を沈められるのと引き換えに16体全ての
実際のところ、途中までは突入部隊と足並みを揃えて本隊も進軍しており、スベアチレ恒星系の防衛艦隊を包囲するラインで21万個基幹艦隊本隊がワープアウトして敵の防衛戦力を引き付け、突入部隊はワープアウトせずにそのまま突入している。つまり本隊がワープアウトして突入部隊の突出が始まるまで相手には本隊と突入部隊の区別がつかないので、相手が突入部隊に対応出来る時間は2分18秒より更に短い。
突入部隊が
想定外の奥の手による反撃は特に無く、ウルジマルク本星に攻撃が当たらないように配慮する余裕があった。
いや実際にはESP通信を利用した精神デバフ攻撃があったようだが、
これにより首都星ウルジマルクと接続したワープゲートが消え、異常を察知した一部の自治領からは住民が惑星防衛艦隊に護衛されながら包囲脱出を試みたが、これは例外なく撃滅された。
一応停止するように勧告はしたのだが、およそ半分は突破のための交戦を選択し、もう半分もワープで逃げようとした。当然前者はそのまま撃滅し、後者は超空間で追撃することになった。幸いGAMMAのワープ性能は300光年/日前後であったため、轟雷でも余裕で追いつくことが出来たし、実空間から発射した大量の空間跳躍ミサイルをそのまま叩き込むことも可能だった。
こうした反応から封鎖ラインを超えるものこそあったが、大マゼランから外には出さずに全て仕留めたので、追撃艦隊を編成する必要は無かった。
それから更に5日後、トピアが使命を受けてから373日目の2002年10月27日、火曜日。
資源の没収については、首都星ウルジマルクからは没収していない。ただしこれは慈悲の類いや交渉のための配慮ではない。首都星ウルジマルク衛星軌道上に配置された16体の
一応そうなる前に無条件降伏をする気があるかどうかを尋ねてはみたのだが、返答はシュモルレ領主と同じであった。
斯くして
ステーク「終わった、か……」
ステークはインファクトリ級2番艦デイリーライトの自室でその報告を聞いた。
ステーク自身も艦隊を率いて戦っており、どうせなら最後までやるつもりでいたが、
何ともあっけない幕切れではあるが、あっさり勝てるだけの戦力を用意した結果だ。それは文句を言うところではない。
ただ、ステークが率いていた
ここまでの両陣営の損害は
■
インファクトリ級:1兆2300億隻/10
ヘビーインファクトリ級:1隻/1,200隻 = 0.08%
迅雷:18機 / 62,238機 = 0.0289%
轟雷:2機 / 62,238機 = 0.00231%
人員:58人(※全員無事リポップ済) = 0%
■
人員:112億人(※隕石雨で滅んだウルジマルク本星の住民の数。ただし他も物資途絶により滅亡確実なので更に増える予定)
となっている。予測の100億体より数でも363倍多かった上に戦力では
死亡人員に関しては迅雷の合体前撃墜で18名と轟雷の亜光速挙動制御ミスによる自滅が20名(※内18件は機体が修復可能な範囲で衛士が死亡)と旗艦ヘビーインファクトリ級全損1件で20名(※ワープ操作を誤って中性子星に墜落した)、合計58人が一時的に死亡しているが、リポップや
魔導衛士が3千人程度しかいない割に轟雷が6万機以上いるのは、訓練を最後まで修了しておらず魔導衛士には至っていないが最低限の攻撃力千倍程度は発揮出来ると判定され轟雷を任された衛士が3万人近くいるのと、それに加えて約3万人の
ステーク「おっと、呆けてる場合じゃない。呼ばれてるんだったな。純夏も誘ってやらないと」
これから終了報告会ということで、ステークも通信大会議室に呼ばれているのだ。待たせてはいけない。
ステークは自分の頬を軽く叩いて眠気を覚まし、一通り身だしなみを整えてから鏡で問題が無いことを確認すると、自室を出て隣の純夏の部屋の呼び鈴を押した。
ステーク「おーい純夏ー。会議室に行くぞー。……何だ、先に行ったのか?」
インターフォンの前で少し待つが、全く反応が無い。
もし一緒に呼び出されてまだ準備が終わっていないのなら部屋にいる筈で、先に準備が終わったのならステークの部屋に寄っている筈だ。
だとすると元々部屋から出ていて、仕事中もしくは勉強中だったのかもしれない。
近頃の純夏は仕事も勉強も頑張っている。元々成績が良くなかったのに中学3年の頃にBETAに囚われて以来3年間学校にも通えていなかったが、わずか1年でそれを取り戻す勢いの頑張りだ。ステークとしては勉強に集中したいなら庶務課の仕事は休んでもいいと言っているのだが、そちらも両立して頑張っているほどだ。
それなら先に行っていてもおかしくはないな、とステークが考え始めた所で警報が鳴り始めた。かつて嫌になるほど聞いたこれは、コード911警報だ。
ステーク「BETA出現だと? どこだ?」
大マゼランの掃除に討ち漏らしでもあったのか、とステークは考え、それを破棄した。無人艦隊で普通に対処可能な範囲のことでわざわざこのデイリーライトの警報が鳴るはずがない。では一体何なのか。
太陽系文明防衛担当オペレーター≪コード911発令、横浜ハイヴより大量のBETA出現を確認、現在防衛艦隊から100隻が急行しています。太陽系関係者は出撃に備えてください≫
ステーク「横浜ハイヴ?
とはいえ、実験用に
ならば出撃よりも会議が先か、とステークは純夏の部屋の前から踵を返し……そこで猛烈に嫌な予感に襲われた。ここで見過ごしてしまうと二度と純夏に会えない気がしたのだ。
ステーク「純夏、入るぞ!!」
ステークはロックがかかった
そうしてステークが純夏の部屋に踏み込むと、部屋の真ん中、床の上に純夏が横たわっており、その手元では通信機の呼び鈴が鳴り続けていた。また、純夏は何やら見覚えのある眼鏡を掛けていた。
第12章終幕です。
次回12:16に登場人物紹介を挟んで同日12:46に第13章開始です。