2001年11月11日。この日、この世界ではH21佐渡島から本州にBETAが上陸しており、帝国本土防衛軍第12師団並びに第14師団、そしてオルタネイティヴ4直属の
上陸するBETAの物量に対して、迎撃戦力は必要十分なものであった。これはオルタネイティヴ4の頓挫という歴史を回避するための方策として、まず世界に多大な影響を与える事件の記憶は何かないかと夕呼に問われた白銀 武がこのBETA上陸事件を思い出して夕呼に伝えていたためだ。武の未来知識が正しいかどうかの試金石として使われたのだ。
ただし迎撃戦力が必要十分だというのはBETAが
この戦場には、色が多少違うだけで性能が段違いのBETA、いわゆる
茜≪くッ、何よこいつら!? 素早い上に防御性能が高すぎる!≫
みちる「狼狽えるな! 未知のBETAならば益々捕獲の必要性があるということだ! 気を引き締めろ!」
水月≪ははっ、むしろ気合が入るってものですね!≫
オルタネイティヴ4直属の
まあ人類全員に未来の情報が渡ったのであれば、抜き打ちでBETAと戦わせるのはおよそ不可能になっただろうが、それとは別に目の前の強化型は新種の研究サンプルとして重要だ。初めて強化型を観測したこの場で、予め捕獲の準備をしていたのはむしろ都合がいいというものだ。
BETAの捕獲作戦における実際の手順は、BETAに代謝低下酵素を撃ち込んで休眠させた隙に捕獲用コンテナに入れるというもので、猛獣に麻酔弾を撃ち込んだとき同様に撃ち込んでから止まるまでタイムラグがあるため、単純な撃破よりも当然難しい。このため、従来型のBETAの捕獲ですら死人が出かねないのだ。隔絶した性能を誇る強化型が相手ともなれば、まず普通の36mm弾より構造的に脆弱な麻酔弾を撃ち込むことからして困難である。最も危険に晒される
流石に戦線のど真ん中で捕獲作戦を実行するのは邪魔になるだけなので、
みちる「捕獲作戦を終了する! 撤退のための時間を稼ぐぞ!」
号令を受けた
実際のところ、
BETAの攻撃を受けると危険なのはいつも通りだが、それに加えて相手が素早く頑丈なので攻撃が通りにくく、殲滅が捗らずに
いよいよ迎撃能力が飽和するとなった所に、狙ったように強化型
そのBETAの攻勢に、まずは最前面に出ている三人の隊員がBETAの毒牙にかかろうとしていた。それは奇しくも未来の記憶でも今回死亡もしくは重症を負っていた面子であった。しかしその記憶に反してむしろここまでは他の隊員より動きがいいくらいだったので応急的に重要なポジションを任せていた程なのだが、そのせいで真っ先に危機の矢面に立たされた形だ。他の隊員にも余力が無い以上、三人同時のカバーは不可能だ。それどころか、最前衛の三人が撃墜されたあとには自分達も同じ運命を辿るだろう。だが今下がればトレーラー群を見捨てることになる。
みちる「足を狙えッ!! 最前列を転ばせろ!!」
強化型
とはいえ
この対応は功を奏し、次々に最前列を転ばせたことで、
しかし、それに安心したのが不味かった。僅かながら、転んだ個体の列を飛び越えてくる個体がいたのだ。それらは最前列で対応していた三人にダイレクトに跳びかかった。
みちる「迎撃ッ!!」
中隊の火力が跳躍した個体に集中する。丁度下側が露出していたため、それらは瞬時に蜂の巣にされた。しかし大重量の運動エネルギーを相殺するには届かず、機動性を捨てて膝射していた最前列の3機がその下敷きにされるのは確実であった。
みちるは運命の重さに唇を噛んだ――が、その時不思議なことが起こった。
その3機はそれぞれ
弁慶風車で同類を投げ込まれた3方向の
みちる「なッ……!? いや、無事なのか!?」
僅かな間驚愕で固まっていたみちるだが、それよりも隊員を死なせずに済んだ喜びの方が大きい。
突然超常的なパワーを発揮した三機はどこからどう見ても無事であり、三人一組の妙な決めポーズをとる余裕すらあった。その頼もしさからか、機体自体が大きくなっているような気がする。
みちる「それならばいいのだが……?」
水月≪あれェ? あの子達ってこんな感じだったかしら?≫
そもそもこの三人はこんな性格だったか、という疑問がみちるだけでなく中隊員の頭の中をも埋め尽くすが、それに構わず三人は行動を開始した。
みちる「えっ」
飛び出した3機が肩や脛から大量の橙色の光線を放てば周囲の小型BETAを殲滅し、銃から白い光を放てば地平線までのBETAを薙ぎ払い、銃身に纏った光の刃で斬りつければ周囲のBETAが一緒になます斬りになるという超常現象を見る羽目になったみちるは、どう報告しようか悩んだ挙げ句に結局ありのままを報告したのだが、それを記録映像ごと受け取った夕呼の方も何が何だか分からず、眉間に皺を寄せる羽目になった。
そしてそれを解析している内に全てのハイヴが消滅して、地球を何かの光が覆い、空から100隻の巨大戦艦が降下してきたので、地球人類はパニックになりかけた。
政治的事情を無視して良いと言われた三人が現地との意思疎通をまるっと無視した結果であった。
純夏に関しては横浜基地にステルス潜入してオーバーリザレクションでこっそり治療し、武にぶん投げていた。
この世界に送り込まれた三人は、割とズボラな方向に息がぴったりであった。
この三人は原作では2001年11月11日のBETA捕獲作戦でリタイアした報告書がちらっと出てくるだけで、名前も性格も分からんのです。
気がつけば三馬鹿的な何かになってました。