ある世界はXFJ計画の面子が向かった世界のあとの時代になっていた。
2004年、オルタネイティヴ5主導の
ユーラシアが沈没、北米は急減圧で半壊。更に電磁パルスで衛星網も壊滅し、多くの大陸が大津波にさらわれ、その後干上がった海からの潮風も加わって塩害で農業生産も壊滅した。
だが……BETAは死に絶えてはいなかった!!
G弾? 何それ美味しいの? とばかりに再び出現したBETAに対し、人類はそれまでより遙かに厳しい状況で抗戦を強いられた。
つまりここは、マブラヴ アンリミテッド ザ・デイ・アフターの世界だ。
CV銀河万丈のナレーションでも入りそうなほど世紀末的なこの状況で、ステーク大将が覚醒した。ステークは覚醒直後にこの世界の自分の記憶詳細を順に辿って、頭を抱えた。
ステーク「………………これは酷いな」
ステークがここに来たのは、この世界の地球上で生存が確認された魔導衛士が他に神宮司 まりも准将とアルフレッド・ウォーケン准将くらいしかおらず、両名は他の世界を攻略中だったからだ。
この世界の武の記憶によると、食糧と農業生産が可能な土地を奪い合って米国&日本 VS フランス&カナダという人類同士の戦争すら勃発していた。
なお他の国はどうしたのかと言えば、G弾の副作用による大海崩でほぼ滅んでいた。そうしてたった4つ残った国が人類同士で争っているのだ。
根本的にリソースが足りなくなっているので、自らの生存を賭けて奪い合うのは状況からして不可避とも言えるが、そもそもこの状況自体人類が引き起こしたものなので救いが無い。まあ同じ人類でも
せめて各ハイヴの反応炉さえ潰しておけばここまで酷いことはならなかっただろうに、ハイヴの深部にあるG元素を回収したいスケベ心で表層部だけに対する中途半端な攻撃をしたために何もかもが駄目になってしまったのだ。
まあ、仮に地上のハイヴを壊滅させたとしても、SHADOWを維持出来なければそのうち月からおかわりが来るだけなのだが。
この世界の武は帝国斯衛軍所属で、
この世界でも大海崩直前に沙霧がクーデターを起こして閣僚を誅殺したらしく、それを鎮圧した斯衛が便乗して権力を掌握したためこのような事態になっているようだ。武にはアンリミテッド世界でクーデターが起きた記憶が無かったのだが、どうも単に時期が遅くなっただけらしい。
ステーク「ああもう、どいつもこいつも!」
ステークは状況のあまりの酷さに頭をかきむしると、交渉や説明を諦めて周囲の状況全てを無視し、可能な限り手早く任務を実行した。
特に面倒なのがユーラシアのハイヴ全てが海中に没していることだ。位置を特定するのが面倒な上に、軌道上からのグレートブラスターという簡単攻略も海水に阻まれてしまい不確実だ。つまり迅雷で水中のハイヴに突入して攻略する必要があった。逆に水中用戦力が用意出来るのならば
ステークはやむなく丁寧に一つずつハイヴを攻略していったが、事態のあまりの面倒さに苛立っていたため、つっかかってくる人類の無力化も大分雑になった。どうせここまで生き残った連中は他の世界でも生きてるだろうという割り切りによるものだった。
ある世界は、
そこは末期戦の極みのような状況であった。もはや人類は滅亡寸前で、僅かに残った人類の軍勢をBETAが包囲して掃除しに掛かっているところだ。
複数の並行世界を統合しているにもかかわらず地球の残存人口は1億どころか10万にも届かず、むしろ並行世界の記憶ですら全てが人類の滅びという結末を迎えていたため、絶望だけが濃縮されたと言っていい状況であった。
残りの人口からして必然的に殆どの衛士が命を散らしたあとだったため、ここに派遣出来る魔導衛士はごく限られていたが、この世界の人類の最後の一個師団を率いていたのが、他ならぬ『末期戦が似合う女No.1』ことターニャ・デグレチャフ少将であった。
つまりはルナティック・ルナリアンの冒頭、1周目終盤の状況である。
ターニャがいる以上、XFJ計画メンバーやステークが向かった世界から見て直系の世界ではない。実際にはサクロボスコ事件以前、ターニャがこの世界に転生した所から分岐している。
この時代までループが発生していないのは、武が00純夏と結ばれてループを脱したあとに
人類がここまで追い詰められては当然軍備など殆ど残っておらず、
BETA相手に残された歩兵だけで戦っても勝てる筈もなく、希望など程遠い状況だ。まさにここが地球人類のどん詰まりだ。バーナード星系に逃げた連中はともかく、地球に残った人類にもう明日は無い。
米国のとある基地で。人類にとって最後の戦いを繰り広げながら、ターニャとその部下の
何処も此処も連れ回して一人残らず地獄へ進撃させる非道い人だ。
それが戦争で、地獄とはここだ。
これまでどれだけ部下を死なせたのか。あなたは狂っている。
そんなもの、半世紀程言うのが遅い。
しかし両者ともその顔は笑顔だ。絶望的な戦いの最中であるにもかかわらず。
それは戦争に対する順応の結果でもあったし、空元気でもあったし、現状がもう笑うしかないほどどうしようもないというのもある。しかし根底の所では、彼らには戦友という信頼関係があった。
今更ながら、実はターニャにもバーナード星に逃げる選択肢はあった。だがターニャの戦友の殆どはそうではない。ならばと、ターニャはその椅子を蹴って
ターニャのこの決断は、残された兵士達にとっての救いだった。もはやBETAに勝利することが叶わぬのであれば、最後まで自分達を見捨てないデグレチャフ少将と一緒に戦って死ぬ誉れこそが、彼らに最後に残されたものであった。ターニャのもとであれば、少なくとも人間に裏切られて惨めに死ぬことはない。せめて人間の誇りを持って、胸を張って死んでやろうではないか。あの第5計画のくそったれどものためではない。かけがえのない戦友のためにだ。
しかしそれは半分程勘違いだ。ターニャが選んだのは自己犠牲ではない。そう、この期に及んで、人類が今日にも滅ぶという状況下であってさえ、ターニャはまだまだBETA共を駆逐するのを諦めてはいなかった。
それは
別にG元素を研究したわけでもなく、たまたまこの基地に残っていたG弾を炸裂させるだけの杜撰なプランだ。これが成功する可能性は極めて低い。成功率は億が一、兆が一、
そこにターニャ・フォン・デグレチャフ元帥が