卯都木 命。GGGのオペレーターにして、ガオガイガーにファイナルフュージョンする獅子王 凱機動隊長の恋人だ。
彼女も大河同様に並行世界の自分同士で統合されていたが、その体は統合前のそれぞれでは大幅に違っていた。第1集団αナンバーズの命は『勇者王ガオガイガーFINAL』時代、つまりセミ・エヴォリュダーであった。一方第4集団GGGの命は普通の人間のままだが、その中枢神経には擬態した機界新種の種子が潜んでいた。
機界新種の種子とは万が一ゾンダー原種が滅ぼされた場合の保険としてゾンダーが用意していたもので、これが活動開始することで命の体は機界新種ゾヌーダへと変貌する。
命はこの機界新種の種子によって本来の歴史では全くの不意討ちで機界新種化してしまうのだが、この世界では並行世界統合により発症前の状態とそれを乗り越えた未来の記憶が共存する状態になったため、GGGと命本人はこの重大な危険に気付いた。第4集団がマブラヴ世界に訪れたタイミング、木星でZマスターと戦ったあとというのは、丁度命が機界新種化してしまう時期だったのだ。
むしろよく今まで発症しなかったものだとも思えるが、ガオガイガー原作では地球と木星を往復するのに3ヶ月前後かかっており、つまり木星宙域でのZマスター撃破から地球帰還後に発症するまで1ヶ月以上はかかったことになるので、潜伏期間的には別に不思議ではない。
この機界新種問題に対処するため、統合後の大河長官は真っ先に命に天海 護隊員による予防浄解を受けさせた。並行世界統合された命の体に機界新種が潜んでいるかはこの時点で分からなかったが、寄生された状態ならば浄解を受ければ正常に戻る筈であるし、平常状態だったら浄解を受けても何の影響もないということだ。迅速で的確な判断だったと言えるだろう。
そしてBETA戦線が落ち着き次第、命は身体に異常が無いかの精密検査に入った。検査の最初の段階で、命の体はセミ・エヴォリュダー状態であることが確定した。しかし普通の検査では中枢神経に擬態した機界新種の種子を検出出来ない。原作世界でも命が倒れるたびに検査しても異常が無いのでただの疲労と診断されたくらいなのだ。そのため、最終判定までには時間が必要だった。
だがそこまでの処置をしても機界新種化が始まったということは、擬態中の機界新種の種子はこの浄解に耐えたということだ。いや、どちらかと言えば大河長官が言ったようにくぐり抜けたと言えるだろう。
機界新種自体がGパワーに対する抵抗力を持っているのもあるが、そもそもセミ・エヴォリュダーというのは機界新種になってから浄解された副作用でなったものであり、機界新種に長期間乗っ取られていた神経系が特に進化していた。これは一種の生機融合状態であり、構造的にはゾンダー人間やゾンダリアンと大差無いものだった。だから機界新種の種子は単に擬態して検査機器を誤魔化すのではなく、完全にセミ・エヴォリュダーとして正常な神経系になりきることで浄解の効果をくぐり抜けた。いかに浄解といえども、正常なものにわざわざ効果を及ぼすようなことはしないということだ。
更なる問題として、機界新種は中枢神経に擬態していたため命の記憶と思考を全て読めており、つまりは目覚めた自身がどのように敗北するかを知っていた。未来の危機を知って対策していたのはGGGだけではなかったということだ。
原作世界でもスパロボα世界でも、機界新種は最終的にガオガイガーに倒された。だがガオガイガーもロボ軍団も本質的には問題ではない。何故なら連中は感情などというものに縛られているため、卯都木 命を殺せない。最大の敵は卯都木 命を殺さずにゾヌーダを浄解してしまう天海 護、緑の星のラティオだ。だから、機界新種は機会を待った。そして護が命の見舞いに来たタイミングを狙って活動開始し、真っ先に護を襲撃した。
だが護に本格的に危害を加えるとそのショックで命の意識が本格的に覚醒して行動を阻害される可能性が高い。そのため、意識を奪って手足を縛り、Gパワーの伝達を阻害する頑丈な箱の中に閉じ込めるだけに留めた。こうすれば護も第2の人質として使えるので、一石二鳥の作戦だ。
次に広大な範囲を物質昇華するためにも戦闘能力を確保するためにも、かなりの量の金属が必要だ。原作ではGGGのディビジョン艦を乗っ取ってゾヌーダロボを作り上げたが、今回命が検査を受けていた宇宙船にはそれよりも手頃な資源が大量に存在していた。そう、匠衆から過剰な程に提供された補給物資の数々だ。
ゾヌーダは護を閉じ込めてすぐにその物資を強奪し、速やかにゾヌーダロボを作り上げた。紛らわしいので説明しておくと、人間大の大きさで人間と同様の頭と手足がある機界新種コア部分をゾヌーダ、周囲の金属や機械を整形して纏いガオガイガーと格闘出来る大きさに組み上げた状態をゾヌーダロボという。
ゾヌーダロボはとんがり頭と平たく大きな翼が特徴的で、あとは大体円錐台の組み合わせで構成されているという比較的シンプルなデザインになっているが、その脅威度はと言えば、霊帝ケイサル・エフェスや至高神Zを倒した歴戦のスーパーロボット軍団からしても全く油断出来るようなものではない。
機界新種の基礎特性に物質昇華というものがある。これは生機融合体が行う機械昇華とは全く別のものだ。
機界昇華はまずゾンダーメタルで生物をゾンダー化、そこから成長させてゾンダーロボにして、ゾンダーロボが完全体になると大量のゾンダー胞子をばらまく。そのゾンダー胞子から更に大量のゾンダーロボを生み出してそこから更に胞子をばらまくというねずみ算で惑星を丸ごとゾンダー化することを指す。
対して物質昇華とはあらゆる物質のエネルギーを吸収、エントロピーを増大させて低エネルギー状態にするものだ。電気的エネルギーはそのまま吸収され、金属は土塊に変わる。
GGGの勇者達が持つGストーンのパワーはゾンダーに対しては同化抵抗力を持っているのだが、機界新種は逆にGパワーに対する抵抗力を持っているため、Gストーンを以てしても物質昇華に抗うことは出来ない。
機界新種は基本的にこの物質昇華で周囲のエネルギーを取り込みながら移動するため、原作ゾヌーダは床から少し浮いてゆっくり浮遊する以外の移動を全くしなかった。ゆっくり進んでいるのに止められないという状況にはそれはそれで恐ろしさがあるのだが、今回は機界新種としても作戦進行の都合があったため、護を捕獲した箱を抱えながら資材庫に向けて大急ぎで飛んでいくゾヌーダという珍しいものが目撃された。
スパロボのゲームシステム上においても物質昇華の脅威は健在で、基本的にどのユニットも1回交戦すれば戦闘不能となって退場、スターガオガイガーですら残機分を使い切れば退場となっていた。
残機というのは、GGGの凱と勇者ロボ軍団はゾヌーダロボ出現前にゾヌーダの物質昇華を受けて機能不全になっており、スターガオガイガーへのファイナルフュージョンもままならない状態であったため、これを何とか実現するために各ガオーマシンに勇者ロボ達の超AIを組み込んだのだ。つまりこのゾヌーダ戦ではスターガオガイガー1機に勇者ロボ軍団の超AIが殆ど全部乗った、ある意味豪華な最終決戦仕様となっていた。スパロボならゲームシステム上全員分の精神コマンドが使えてお得だが、何しろ地球存亡の危機なので当人達は決死の覚悟だ。喜んでいる場合ではない。
ゾヌーダロボは物質昇華も厄介だが、それに加えてバリアも極めて強力で、その相乗効果は更に厄介だ。何しろスターガオガイガーのブロウクンファントムどころか必殺のゴルディオンハンマーすら受け止めてからせめぎ合っている間に物質昇華してしまうのだ。当然ヘル・アンド・ヘブンも全く通じない。
ではそんなのをどう倒したのかと言えば、原作ではヘル・アンド・ヘブンへのゾヌーダロボのカウンター攻撃を生身で防いだ護が吹っ飛ばされ、これに命がショックを受けたことで完全に意識が戻り、ゾヌーダロボの行動を阻害してバリアを弱めたことでどうにかガオガイガーの攻撃が通るようになったのだ。その際の肉弾攻撃ですらガオガイガーが一撃叩き込むごとに反動と物質昇華で各部の超AIが脱落し機体がボロボロになっていくという、まさに身を削る戦いぶりであった。これがスパロボのゲームシステム上では戦闘回数の残機制という形で表現されていた。
そういうわけで、今回その敗北の未来を知った機界新種は、その原因を潰すべく、護の扱いについて非常に慎重になっていたわけだ。
その厄介極まりないゾヌーダロボが、ガンバスターと同格の200m級の体格でスーパーロボット軍団の前に出現した。言わば巨大ゾヌーダロボだ。
原作ゾヌーダロボはスターガオガイガーの頭頂高31.5mより大きく全高38.5mよりは小さい程度、全高36mだ。それが200mになったとなれば、スケールは5.56倍、体積は171倍にもなる。脅威度は確実に上がっているだろう。
凱「機界新種ッ! 命と護を返してもらう!!」
これに対して出撃したエヴォリュダー獅子王 凱の乗機は、ジェネシック・ガオガイガーだった。