【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

342 / 387
342. そうか、 疑似真化を使ったな!?

アヌビス神「XX……X,XXX,XX(二人……いや、()()はこの世界の狭間、神域にいる)」

 

 説明を始めたアヌビス神が、早々に単位を言い直した。柱というのは明らかに人間を数える単位ではない。神仏や悪魔の単位だ。或いは遺骨や英霊も柱で数えるが、現状で無事と言っている以上その可能性は除外出来る。

 並行世界の同一存在の消失、そして神というワードから、ルルーシュが答えに辿り着いた。

 

ゼロ≪――そうか、 疑似真化を使ったな!? AG(エージー)と同じように≫

 

トピア「AG(エージー)? どこかで聞いたような」

 

九十九「並行世界のジ・エーデル・ベルナルの集積統合体、『All Gathered』のAG(エージー)だネ」

 

 AG(エージー)。第3次スーパーロボット大戦Zに登場した、丸っこいややレトロなロボット、のような形をした存在だ。

 当初はDEMコーポレーションのエージェント(AGent)ロボを自称しており、インターミッションを取り仕切っていたが、タマゴロボット的な外見はただの被り物で、中身の見た目はジエー・ベイベルという老人。実態はジエーが自ら並行世界のジ・エーデル・ベルナルを召集して統合した()()()()()()()であり、『All Gathered』を意味する。加えて単にジエーをひっくり返したというのもあるだろう。

 第1次スパロボZのラスボスであるジ・エーデル・ベルナルと実質的に同一の存在ではあるが、追加でエルガン・ローディックなどの良心が加わったことで、かつて敵対した第1次当時よりは大分マイルドになっている。

 AG(エージー)としてのプロフィールが嘘八百であったことから始まり、御使いの精神攻撃で使い物にならなくなる事態に備えて無断で自軍パイロット全員にAG(エージー)の支配下になるバインド・スペルを仕込んでおくなど、そのやり方には色々と問題があった。しかし実際それが窮地を切り抜ける一助にはなっていたことと、第2次Zを通じて信用のあるエルガン・ローディックが補佐役についていたことから、ボコボコにするだけで辛うじて許された。

 その目的はスパロボZ世界の全ての元凶と言える『御使い』の討伐。その意味ではZ-BLUE(ズィー・ブルー)とは利害が一致していた。

 Z-BLUE(ズィー・ブルー)にとって、ジ・エーデル・ベルナルは世界を滅茶苦茶にした敵だが、AG(エージー)は最後まで共に戦った戦友だ。その区別の為か、正体が発覚した後もタマゴロボの外装はわざわざ元に戻させていた。

 至高神Zとの最後の戦いを終えた後、AG(エージー)は目的を果たして満足げに因果地平の彼方へと去った。そのためこのマブラヴ確率時空には来ていない。

 

タバサ「なるほど、無数に存在する並行世界の自分自身を統合することで存在の格を上げているから、各並行世界からは一斉に消えてしまったわけだ」

 

ゼロ≪ええ。しかしあれは半端な真化しか出来なかった筈ですが、アヌビス神も神と認めるほどの存在になったのは、元から神の片鱗があったからでしょうか?≫

 

 聞けば、純夏には元々時間ループを引き起こすほどの人間離れした能力があったというし、武も因果導体適性があった。どちらも一般的な量子力学ではあり得ないマクロ規模の現象を引き起こしている。

 

九十九「確か問題は4つの段階の内『水の交わり』の部分だネ? それは多分、二人が恋人同士で深く想い合っているから条件を満たしているんじゃないかな?」

 

ゼロ≪……なるほど、それならば理屈には合いますか≫

 

 何でそんなに事情に詳しいんだと思わなくもないが、緊急事態なのでルルーシュもいちいちツッコまない。

 スパロボZ世界では真化に至るには前提の4段階、『獣の血』『水の交わり』『風の行き先』『火の文明』を経て最後に『太陽の輝き』へと至ると説明される。これらの内『水の交わり』は融和による進化のことで、ここで他者との理解と共存を選ぶか物理的融合を選ぶかが正しい真化と歪んだ真化の分かれ道であるとされる。AG(エージー)方式の疑似真化は後者にあたるが、それはそれとして次元力の行使が可能になる程度には位階が上がる。純夏達はそこに深い相互理解を加えることで正道に戻し補っているという仮説だ。

 

アヌビス神「XX,XXX(概ね合っているが、それだけとは言い難いな)」

 

テクス「どういうことでござる?」

 

アヌビス神「XX. XX. XXX,XXX. XX,XXX. XXX,XXX(世界の成り立ちには大きく分けて二通りある。神が作った世界と自然発生した世界だ。しかし神という管理者の居ない自然発生世界は安定を欠く為、そこに()()()()()()()()が発生する。この世界の場合、鑑 純夏がそうなるべく因果が紡がれていたのだ。その割には数千年神にならぬので、先ほどまでは候補程度と考えていたがな)」

 

 つまりこれまでこの世界の管理神が見当たらなかったのは、今し方やっと生まれた所だから、というのが正解だったわけだ。そして管理神が不在なので他の世界からの介入がしやすくなっていたという事情もあった。

 

シュウ≪なるほど、そうなると、この時空震の原因は根本的にはBETAではなく、管理者無しで世界が複雑になりすぎたことではないですか?≫

 

アヌビス神「X. XX,XXX. XXXX. XXX. XXX,XXX(然り。ただの分岐ならまだしも、因果の絡まりと繰り返し構造が負担を掛けているな。更に並行世界侵略を開始したBETAが複数の並行世界を連結して都合良く構造を変えていったのも追い討ちになっただろう。今起きている時空震はその歪みによる反動だ。各並行世界から因果導体と因果導体源の両者を回収するのは、その歪な構造をほぐす意味もあったであろうな)」

 

トリオ「ほうならアヌビス様よ、この時空震は確率時空の歪みが正常な形に戻れば収まる、ということかの?」

 

アヌビス神「X. XXX,XXX. XXX,XXX(然り。しかし楔の塔を設置済みの世界はその境界安定効果からこの時空震に何とか耐えるであろうが、それ以外は耐えきれずに砕けてしまう可能性が高いであろうな。だからこそ二柱はそれを極力抑えるべく力を振り絞っているのだろうが、規模からして全部救うのは無理であろう)」

 

マイン「……アヌビス神よ、可能な限り救おうとして力を使い果たした場合、あの二人はどうなる?」

 

アヌビス神「XX.XX(当然消滅する。神とはそういうものだ)」

 

 通信大会議室に沈黙が流れる。あの二人は互いを庇いつつも無理をするに違いないという確信があった。そもそも神になったばかりでは神としての知名度が無く、信仰力が足りない筈だ。

 

マイン「おいニンジャ、()()()()()()()()()()?」

 

トピア「ええ、尊き七人なんていう犠牲を許容出来ずにここまで頑張ってきたステークさん達を尊い犠牲にするなんてオチは、到底認められませんね」

 

 単純に数の話にするならば二人が犠牲になることでより多くの人々が助かる筈だが、それでは桜花作戦(オペレーション・チェリーブロッサム)で犠牲になった尊き七人の焼き直しだ。また覚悟のある善良な人ほど先に死んでしまうのでは、折角やり直した意味が無い。やるべきは二人を犠牲にせず可能な限り多くの人々を救うことであった。

 そもそもトピアの感性からすると、世界を救う為にお前が犠牲になれなどと押しつける人間は死んだ方がマシなので救う必要が無い。

 

ターニャ「となると、今出来ることは三千世界作戦(オペレーション・オーバー・ザ・ワールド)を拡張して可能な限り多くの世界に楔の塔を建てること、現状を周知して二柱に信仰を集めること、可能な限り住民の救助を続けること……他に何か有効な対策はありますかな?」

 

アヌビス神「XX,XXXX.XXX.XXX(それらに加え、可能な限り少ない力で世界を安定させる御業を今七圏守護神(ハーロ・イーン)が指導している。不足する信仰力も無理のない程度に提供している。この世界に介入している他の神々にも協力を要請済みだ)」

 

 七圏守護神(ハーロ・イーン)ならばこの世界で既に一定の信仰を得ている為、ある程度までなら継続的な信仰力の供給が見込める。七圏守護神(ハーロ・イーン)と相互協力関係にある神も、今後の布教次第では大きな力になるだろう。

 何故直接力を行使せず一旦譲渡して指導までするのかと言えば、信仰力の譲渡によるロスを加味してもそれ以上に、自分の管理下の世界にてこ入れするのと管理外の世界にてこ入れするのでは力の消費効率が大きく違うからだ。

 

聖騎士「それは有難い。流石は七圏守護神(ハーロ・イーン)であるな!」

 

シュミット≪その名に恥じない守護者ぶりだわね≫

 

 更に神事部長のファムが挙手して意見を出した。

 

ファム「この際ですから、救助と布教を同時にこなしましょう。今神事部と広報部で具体的プランを検討しています」

 

トピア「ええ、お任せします」

 

 トピアはファムの提案に即座に頷いた。神事部や広報部のこれまでの布教は七圏守護神(ハーロ・イーン)に対するものであったが、布教のノウハウ自体はこの一年で神事部と広報部に蓄積されている。加えて、幸いにもと言っては問題があるが、災害からの救助直後というのは信仰心を得るのに適している。任せていいだろう。

 トピアも当初はファムのことを危ない狂信者だと思っていたが、適した仕事を任せて適切に評価すればここまで働けるようになったのは嬉しい誤算だった。やはり信賞必罰は組織を健全にする。

 

トピア「では指導と信仰力供給は七圏守護神(ハーロ・イーン)にお願いするとして、我々匠衆(マイスターズ)は今決定した方針で行動を――」

 

老齢の男の声≪――それはいかんな≫

 

 頭上から聞き慣れない声が響くと、その場の人員の一部が姿を消した。

 消えたのはトピア・ポケクラフ、サティ・カフェイン・トリファクス、トリオ・ウーバーファクト、ラリー・テアリジック、スコア・パグキーパー、テクス・ペテラロード、マイン・ストリアニューダ、ターニャ・フォン・デグレチャフ。全ての管理神公認(マイスター)に術式の(マイスター)とも言えるターニャを加えた面子であった。




 これにて第13章閉幕。
 登場人物紹介を挟んで第14章を開始します。

 純夏がマブラヴ世界の神になるのは第12章のあたりから決まっていた展開で、第13章並行世界編を挟むために12章末での神化をキャンセル、そして13章末で純夏が一人で神になる展開が第2のプランでしたが、また純夏がどこかに行ってステークが追いかけるのでは12章末の繰り返しになってしまうので、更に修正してステークがフォローして二人して神になる展開に変更となりました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。