本日でトピアが使命を受けて373日目、
となれば、存在X一派が邪悪かつ横暴なのは分かっていたので、あとはちょっと会話するだけでぼろが出るのは必然だ。ツッコミの言葉がすらすら出てきたのも、存在X一派のどこがおかしいかを
無論そういった意図を読まれないように最初から読心妨害術式を発動してある。
その準備があった上でではあるが、世界崩壊を防ぐ為の力が足りないというこのタイミングで拉致されるのは実は
先ほどの通信会議ではそのような言葉は出なかったが、純夏達のパワーが足りていないと聞いた時点でトピアはこの機会に存在X一派から
この擬態は単に拉致抵抗を弱めるだけでなく、弱めた分の力を分断抵抗に回すことで実情以上に弱まったように見せかけながら一人一人別々の所に隔離されるのを防いでいた。物理的に繋がっているわけではないが、ターニャやトピアを中心とする拉致されそうな面子を最低二人ずつ繋いでおいたのだ。全員一繋ぎにしなかったのは、そうすると余計な人員まで拉致されてしまい、本部に残る人員がいなくなってしまうからだ。
そこまでしてわざわざ拉致される形にしたのは、その方が存在X達が慢心してべらべら喋ってくれそうだからだ。
存在X一派に拉致されないという所に魅力を感じてクラエル神の加護を受けたターニャは当初この敢えて拉致されるように隙を見せる作戦案に難色を示したが、術式で時間感覚を引き延ばして再検討した結果、既に用意していたプランであらゆる状況に対応可能という結論に至ったので、ここで存在X一派を打倒して後顧の憂いが無くなる方にメリットを見出して最終的には合意した。上から頭ごなしの命令ではなく、ターニャが納得するレベルまで安全マージンを確保出来なければ下界側に誘い込む別案を検討するとされていたのも最終的にそういった判断に至った理由だ。
斯くして拉致された
サティ「まあこれでもなお反論の必要無しと言うのなら好きにすればいいと思うけど。別に私達が損をするわけじゃないしね」
ラリー「いや確かにオブラートに包んで伝えた方が相手にとっていい結果になる場合もあるけどよ、そもそもあんたらは
より良い結果を生み出す為に、ただ正直に伝えるのとは別の方法をとることもある。しかしそれが許されるのは相手にとって良い結果を導くという前提があってこそなので、積極的に人間を不幸にするべく動いている存在X一派がそれを言い訳に使うのは無理がある。
トリオ「やはり救済の定義が食い違っておるのが致命的問題じゃの」
マイン「未だに価値観が古代のままではな。古代人の相手だけしておればよいものを」
存在X「……仕方あるまい」
存在Xはため息をついて、まなじりを釣り上げると極めて威圧的な気配を発し始めた。
存在X「かくなる上は汝らをむごたらしく処刑して我らに逆らう無意味さを知らしめるほかない」
ターニャ「大分
かつてサラリーマンだった頃のターニャが最初に存在Xに遭遇したとき、輪廻転生の輪に戻すという処分を聞いたターニャはそのまま平然と受け入れて存在Xを苛立たせたが、その時よりも格段に処分が厳しくなっているにもかかわらず、やはりターニャの態度は余裕綽々だ。
全く怯まないターニャ達の態度を見て取った存在Xの蟀谷に青筋が浮いた。
そもそもターニャが存在Xに初めて遭遇したあの時点で全く価値観が食い違っていた。あのときの存在Xの台詞は確か、「輪廻に戻し転生させるまでだ。今更悔やんでも……」というものだった。つまり人間は転生して辛い現世に戻るのは嫌だと思っているに違いない、という古代の価値観がアップデートされていなかったのだ。その頃に比べれば転生させるより抹消してやる方が嫌がるだろうという程度には人間の理解は進んだようだが、まあそれだけだ。
思い返してみれば、あのときの存在Xの主張だけでもアブラハム系唯一神教の十戒と仏教の輪廻転生論が混ざっていた。そんな別々の宗教の世界観を混ぜられても整合性がとれるのか甚だ怪しく、矛盾しないのならば宗教戦争などは起きない。結局何でもかんでも存在Xの意向一つで有罪になりかねないということだ。全く以て馬鹿馬鹿しい。
存在X「愚かな。その態度は
ここは存在Xの神域だ。つまりここではかつてアヴェニュー神が自身の世界でそうしたように、簡単に相手の加護を没収することが出来るのだ。そして加護が無ければ魔法由来のインベントリから装備や機動兵器を取り出すことは出来ない。神域と下界とのやりとりにわざわざ制限をかけていなかったのも、加護さえ封じれば帰る手段も無いだろうと考えた為だ。ターニャを含む
だが、存在Xがそのように告げてもターニャを含む
ターニャ「そうでもないようだが?」
ターニャは存在Xの目の前で手枷を引きちぎってみせた。明らかに普通の人間の出せる力ではない。というか、僅かながらとはいえ、神の力を使って封じていたはずなのだが?
いつの間にかトピア、ラリー、スコア、マインも自力で手枷を引きちぎっており、残ったメンバーの手枷を代わりに外しているところだった。
サティ「ありがと。……全くもう、この忙しいときに心底くだらない用事で呼びつけてくれたわね?」
テクス「やれやれでござるな」
存在X「まだなにがしかの加護があったか……ならばもう一度だ。むゥんッ!」
存在Xが左手をかざし、大きく筋肉を隆起させて空間を引っ張ると、目に見えて
にもかかわらず、加護を剥がされた筈のターニャが黙って天井に人差し指を向けると、そのたおやかな指から放たれた光の術式で屋外まで貫通する大穴が空いた。この理解不能の状況に、立ち並ぶ天使達はただ唖然とした。