【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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347. 全武装使用自由(オールウェポンズフリー)! 破壊せよ! 破界せよ! 味方以外の全てを破壊せよ!

智天使(ケルビム)「これでも加護が剥がれていないだと……!?」

 

 創造主の力で二度にわたって確かに加護を剥奪したはずなのにまだ残っている。その事実に智天使(ケルビム)は7つの目を大きく見開いた。

 

マイン「ククッ、そうか()()()()か。偉そうにしている割に貴様らは全知全能には程遠いようだな」

 

 困惑する存在X一派をマインがせせら笑った。これで自称神だとは全く笑わせてくれる。

 

 種明かしをすると、匠衆(マイスターズ)で戦闘に参加する可能性がある者達は全員蒸着装置を持ち歩いている。そしてこの蒸着装置における石板の振り直しプロセスは()()()()()()()()()()()()()()()()の力で動いている。つまり加護が剥がされていないのではなく、剥がされるたびにそのインベントリ内のアヌビス神が加護をかけ直しているだけというのが真相だ。

 これはアヴェニュー神が管理下世界の神聖銀河騎士団団員から存在Xの加護を没収出来た事から、存在X一派が同様の権能を行使することを危惧して考えられた対策だ。

 加護を剥がした場合にインベントリの中身やレベルがどうなるかが気になる所だが、勿論それについては事前に検証してある。インベントリの中身は取り出せなくなるだけで消えないのでインベントリの中からの加護のかけ直しが可能で、加護をかけ直せばレベルも元に戻る。

 更に言うと、こうした拉致に備えてアヌビス神を養殖してインベントリの1スロット分を満杯にしてすらいる。なので各自のインベントリにアヌビス神の分体が少なくとも400柱入っている。これだけいればローテーションで幾らでも加護をかけ直すことが出来る。

 

 なおアヌビス神の保持している信仰力は本体・分体の全てで共有されており、養殖で幾ら増やしても総量は変わらないので、増やしたアヌビス神が信仰力を純夏達に注いで信仰力不足解決とはならない。信仰力がそう簡単に増やせたら神々も信仰力不足に頭を悩ませたりしないのだ。アヌビス神を大量に揃えているのは分業による作業効率化の為だ。

 ではアヌビス神は何度も加護をかけ直して大丈夫なのかと言えば、アヌビス神の加護は特定の使徒ではなくクラフトピア世界の全住民に使うことを想定している為にコストパフォーマンスが非常に良い。何十回加護を剥がされようと全く問題は無い。

 そしてアヌビス神の加護だけでもあれば、魔導衛士並には戦うことが出来る。雲耀(うんよう)の太刀で銀河に名を轟かせる沙霧大佐もアヌビス神の加護だけしか受けていないのだから、戦力として十分すぎるほどだ。

 

トピア「では先制攻撃をいただきましたので、これを宣戦布告と見なし、我々匠衆(マイスターズ)は遠慮無くこの戦争(けんか)を買わせていただきましょう。蒸着ッ!」

 

 全員が蒸着装置で戦闘用装備に切り替えると、周囲の天使達は身構えたが、トピア達はそれを放っておいて一斉に先ほどターニャが空けた天井の穴から離脱した。

 なお(マイスター)達は存在Xによる拉致を警戒していたので、油断させる為にフル装備は纏っていないものの、懐には元々魔導演算宝珠Mk.4を忍ばせていた。

 

 外に飛び出してみると、漸く拝んだ空は真っ暗で、外の様子はまるで月面の様だった。しかしそれなりに遠くに青い惑星とその衛星が見えるので、月面そのものというわけではなさそうだ。一応空気もある。

 ただしこの天体は完全な球体になっておらず、途中から地面が崩壊しているように見えた。

 

存在X「あれだけ神を虚仮にしておいて逃げるだと……? 舐めた真似を! 追撃して始末せよッ!!」

 

 おちょくられて頭に血を上らせた存在Xの指示で即座に大天使(アークエンジェル)達が飛び出していくが、その直後に()()()()()()()()()()

 トピア達は逃げたのではない。()()()()()()()を確保したのだ。つまり目的は迅雷への人機一体だ。4機の迅雷四型を召喚して二人ずつ乗り込んだトピア達は、轟雷を召喚する前にまずありったけのTOM(トム)をばらまいた。

 

マイン「フハハハハ! TOM(トム)部隊、全武装使用自由(オールウェポンズフリー)! 破壊せよ! 破()せよ! 味方以外の全てを破壊せよ!」

 

 マインが魔王のように哄笑しながらTOM(トム)部隊に命令を下す。しかしその目的は敵の打破ではない。

 TOM(トム)の攻撃は超科学の産物とはいえ純然たる物理攻撃なので、恐らく神や天使には効かない。しかしそのTOM(トム)の総数は全部出せば3,000を超える。それにここは敵の領域なので、距離さえ取れば対消滅弾頭空間跳躍ミサイルやベルカ砲でも使い放題だ。この存在Xの神域は滅茶苦茶になるだろうが、TOM(トム)全武装使用自由(オールウェポンズフリー)を指示するとはそういうことだ。迂闊に拉致したことを存分に後悔していただこう。

 存在Xは隙を突いて無力化して攫ってきたつもりかもしれないが、マイン達からするとわざわざ敵の本拠地で戦争をさせてくれるなんて有難い限りなのだ。

 

大天使(アークエンジェル)「まさかこの神域を破壊しようというのか!? 悪魔め!」

 

ラリー≪人助けをする人間を攫ってきて処刑しようとする連中に言われたくはねえなァ!≫

 

テクス≪神域だか何だか知らんでござるが、こんな所に無理矢理連れてきたのはそこもとらの方でござろう?≫

 

大天使(アークエンジェル)「兎に角あの虫共を処分するのだ! 天使(エンジェル)隊は対処に出動せよ! 早く! 」

 

天使(エンジェル)「りょ、了解!」

 

 天使(エンジェル)隊と言っても頭にギャラクシーとかムーンとかルーンとかがついたりはしない。存在X一派の中で最下級かつ最も数が多い連中だ。身長は人間と同じくらいで、白い翼と天使の輪が特徴的だ。裁判に列席していた大天使(アークエンジェル)は100体前後だったが、天使(エンジェル)はそれよりもはるかに数が多く、1,000体は超えている。同時多方面の防衛には向いているだろう。

 この状況を見れば分かるが、たとえ神や天使にTOM(トム)の攻撃が通じなくとも、攻撃で神域を破壊されるとあっては()()()()()()()()()TOM(トム)の数が徐々に減っていくが、それで十分な時間を稼ぐことが出来、一旦距離を取ったトピア達は分身に警護させながら轟雷への合体に成功していた。

 ただしサティ、トリオ、テクスは魔導衛士の訓練を受けておらず、マインは訓練を受けているもののまだ魔導衛士の水準はクリアしていないので、迅雷と同じくトピアとサティ、ラリーとトリオ、スコアとテクス、ターニャとマインという組み合わせで4機編成になった。

 本来の階級ではトピアとマインが同格の大元帥扱いでその次がターニャ元帥となるが、既に存在X一派との開戦はトピアによって宣言済みなので、実際の指揮能力を考慮してトピアが委任し、指揮の優先順位はマイン、ターニャ、トピアの順となった。

 そして戦力集中の原則に則り、この4機がひとかたまりになって、まずは天使(エンジェル)大天使(アークエンジェル)達を威力偵察を兼ねて狩り、次に座天使(ソロネ)智天使(ケルビム)熾天使(セラフィム)といった幹部格を可能ならば各個撃破して、最後に存在Xを打ち倒す算段だ。その為に今回TOM(トム)を全方位に散らして裁判所のみならずあらゆる施設を攻撃させていた。まあこれは射程確保とフレンドリーファイア防止の為でもあるが。

 

ターニャ「あっさり戦力が分散しましたな。まあせざるを得ないでしょうが」

 

マイン「引っかかったふりかもしれんぞ? 幹部連中が動いておらん」

 

 マインやターニャが見た所、下級天使は単に場当たり的に動いて戦力を分散させているように見える。しかし存在Xを筆頭とした幹部4体だけが初期位置を動いていない。下級天使ですら元気に動いているのだから、まさかダメージで動けないわけではあるまい。だとすれば裁判所跡を固定の指揮所にしているのだろうかとも思えるが、その割には現場の連携に無駄がありすぎる。

 少なくとも存在Xには人間の思考を読む権能がある筈で、それを読心妨害術式で防いだことで先ほどまでの問答は上手く運んだはずだが、何しろやろうと思えば神の力は魔法を無効化出来る筈なので、油断は出来ない。だが、ターニャは存在X一派の戦略・戦術の理解は恐らく浅いと見ていた。

 それを証明する事例として、前世で帝国(ライヒ)がルーシー連邦に突如侵攻された際にターニャ率いる第203航空魔導大隊がカウンターでルーシー連邦の首都モスコーを襲撃するのを存在Xは全く予想していなかった。あんなにローリスク・ハイリターンな状況でやらないわけがなかろうに。碌に防空も出来ていない首都を襲撃するだけで前線全ての足を鈍らせることが出来るのだぞ。

 

 ……まあこの件については共産主義の習性をターニャがよく知っていたから防空がお粗末なのを読めていただけで、実は帝国(ライヒ)参謀本部すら第203航空魔導大隊に出来るのは威嚇程度だろうと思っていたのだが、ターニャはその認識のすれ違いについぞ気付かないままであった。




 大天使より下のヒラの天使は原作に登場しませんが、大天使がいて天使がいないはずがなかろうということで、存在するけど幹部会議に出席出来ないだけと判断しました。そのため神前法廷にも顔を出していません。
 容姿はいわゆる天使の一般的イメージです。幼児じゃない方の。
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