【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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349. 汝ら勇者には一対一で挑ませてやろうと思ってな

 大天使(アークエンジェル)は単体ではコン・バトラーVの真似のようなややふざけた技で戦っており、それでも轟雷に損傷を与えるという実力を見せつけたが、天使の本領はそこではない。天使、もしくは御使いとは、本来その名の通りに神の意向を伝える者である。つまり存在Xの加護を代理で授けたことからも分かる通り、()()()()()()()()使()()()()()()()()()

 天使がラッパを吹いて神の力を行使した場合の脅威は『ヨハネの黙示録』に伝えられるが、全滅するまでそれを使わなかったのには勿論理由がある。天使のラッパは概ね()()()()()()()()()()()()()()()であり、この神域で下手に使うと相手よりも神域にダメージが入ってしまうのだ。

 

 天使が第1のラッパを吹けば血の混じった雹と火が地上に降り注ぎ、地上の1/3と木々の1/3と、全ての青草が焼けてしまう。

 

 この神域には木々も青草も無いので、雹と火の攻撃としては使えるだろう。しかし植物を焼くのに特化した攻撃が轟雷にダメージを与えうるかと言えば微妙だ。

 

 天使が第2のラッパを吹けば巨大な山のような火の固まりが海の中に落ち、海の1/3が血に変わり、海の生き物の1/3が死に、全ての船の1/3が壊される。

 

 この神域には海など存在しない為、これも火の玉攻撃としては使えるだろう。しかし海を血に変えるのに特化した攻撃が轟雷にダメージを与えうるかと言えば微妙だ。

 

 天使が第3のラッパを吹けば『苦よもぎ』という名の巨大な星が全ての川の1/3とその水源の上に落ち、水の1/3が苦くなって多くの人が死ぬ。

 

 この神域には川など存在しない為、これもメテオとしては使えるだろう。しかし水を苦くするのに特化した攻撃が轟雷にダメージを与えうるかと言えば微妙だ。

 

 天使が第4のラッパを吹けば太陽の1/3、月の1/3、空の星の1/3が打たれ、その分だけ昼も夜も暗くなってしまう。

 

 この神域には太陽も月も夜空の星も無い。というか、()()()()()()()()1()/()3()()()()()()()()()()()()()()

 

 天使が第5のラッパを吹けば1つの星が天から地に落ち、底知れぬ所まで通じる穴を開け、底知れぬ所の使(アバドン)を王としているイナゴ達が大きな煙とともに飛び出し、額に神の印のない人達を襲い、蠍に刺された時のような苦痛を5ヶ月間与える。

 

 この神域には一応地面が存在するのでこれは神域にダメージを与えるだろう。それを許容出来るのならば相手に苦痛を与える攻撃としては有効だ。

 

 天使が第6のラッパを吹けばユーフラテス川のほとりにつながれている4人の御使いが解き放たれる。彼らは人間の1/3を殺すために解き放たれ、赤色、青色、橙色の胸当てを着けた2億人の騎兵隊が出陣し、彼らの乗り物の口から出る火と煙と硫黄で人間の1/3が殺される。

 2人の神の証人(預言者)が登場し、1,260日(=42ヶ月)の間預言をし、彼らに害を加えようとする者は、この2人の預言者の口から出る火によって滅ぼされる。またその期間何でも思うままにあらゆる災害を起こす力を持っている。

 彼らが預言の期間を終えると底知れぬ所からのぼって来る(反キリスト)が彼らと戦って勝ち、彼らを殺す。彼らの死体は3日半エルサレムにて公衆の面前にさらされ、地に住む人々は彼らの死を喜び、互いに贈り物をし合う。3日半の後に神によって2人は蘇らされ、天から「ここに上ってきなさい」という大きな声によって雲に乗って天に帰る。彼らの敵はその光景を見る。その後に大きな地震が起こり、都の1/10が倒れ、7千人が亡くなる。生き残った人々は、驚き恐れて天の神に栄光を帰す。

 

 神域にはまずユーフラテス川どころか川そのものが無い。当然エルサレムも無い。発動するのかどうかは微妙だが、死亡する割合や人数が()()()()()()()()であるならばかなりの脅威だ。そうでなくてもわざわざここで解き放たれる4体の天使は特別な力を持っている可能性が高い。地震はやはり神域にダメージを与えるだろう。

 

 天使が第7のラッパを吹けば底知れぬ所からのぼって来た(反キリスト)による世界支配、すなわち最終的な終末世界が訪れる。後に『7つの金の鉢』によって神の怒りによる災害がもたらされる。この終末世界において、(反キリスト)による世界統治は、メシアの天からの再臨によって終わる。メシア及びその勢力に対抗して(反キリスト)およびその勢力は、救世主(メシア)率いる軍勢と戦い、そして敗北する。(反キリスト)(反キリスト)を拝ませた偽預言者は、共に生きたまま硫黄の燃える火の池に投げ込まれ、(反キリスト)を神として選び、天の神を選ばなかった全ての人々は死ぬことになる。

 

 反キリスト的なものを100%死滅させるという恐ろしい効果であるが、そのためには前段で呼び出した(反キリスト)救世主(メシア)率いる軍勢が倒さなければならない。しかしこの神域にはまず人間がほぼいない。(反キリスト) = (マイスター)達、救世主(メシア)率いる軍勢 = 存在X一派の軍勢と置き換えるならば一応成立するが、結局トピア達を自力で倒さなければならない。但し、もしその勝敗を運命や因果の操作で確定させることが出来るのであれば脅威だ。

 

 総じて神域で使うには不便どころか自爆になり得る能力なので存在Xの許可無しでは使えなかったのだろう。効果段階決定基準が1体の天使がラッパを使った回数ではなく全ての天使が使った累計になるために、分断されて各自の判断で使うと同時発動で何段か飛ばしてしまう可能性があるというのも問題だ。

 加えて、この神域が1()/()3()()()()()()()のようになっているのはラッパの効果ではないかという疑念がよぎるが、まあそれは今はどうでもいいことだ。

 それよりも、もしこのラッパを持った7体の天使を地上に派遣して地上を人質に取られたならば、かなり面倒なことになっていた。それに備えて加護転換を会得した魔導衛士を本部待機させているので、そういった動きをされた場合の迎撃も出来なくはないが、魔導衛士が出撃して天使を討滅するよりもラッパを吹くだけの方が早いだろうから、発動自体を阻止出来るかは怪しい。

 つまりは存在Xの本拠地で戦うことで天使のラッパの発動を封じることが出来、ひいては地上を人質に取られるような事態を回避出来たと言える。

 

 

 

 (マイスター)達が一通り中堅以下の天使を駆逐し終わった頃、最初に吹き飛ばされて跡形も無くなった裁判所跡には4つのシルエットがあった。

 

 出で立ちがどう見ても釈迦そのもので、たまに腕が増える第3位天使座天使(ソロネ)

 7つの目と2つの角を持ち全身から炎が出ている屈強な第2位天使智天使(ケルビム)

 羽が生えた大蛇の第1位天使熾天使(セラフィム)

 長い白髭が特徴的な自称創造主、存在X。

 

 残り僅か4体となったが、全く焦りを感じない。ここからでも十分巻き返せる自信があるのだろう。天使はランクが高いほど明らかに強かったし、その上に立つ存在Xがそれ以下である筈がない。特に天使に行使させていた、反キリスト的なものを問答無用で死滅させる能力などがあるなら厄介どころの話ではない。

 

マイン「――攻撃開始」

 

 マイン達は望遠でその様子を確認すると、わざわざ存在X達の前に姿を現すようなことはなく、まず魔導銃剣弐型2Mのチャージショットやファントムスパーク2Mのマグナムショットで遠距離からの攻撃を実施した。相手が動かないのであればまず射程外からアウトレンジ攻撃するのは当然だ。

 しかしそれなりに信仰力を込めたこの攻撃は全く通用しなかった。というか、智天使(ケルビム)に平然と吸収された。恐らくは属性の問題だ。

 想定していなかったわけではないのでマインが攻撃手段の切り替えを命じようとすると、座天使(ソロネ)智天使(ケルビム)熾天使(セラフィム)、存在Xの4体が轟雷のすぐ側に瞬間移動してきた。そして上位天使3体がそれぞれラリー機、スコア機、トピア機に手を触れると、一緒に消え去った。そうしてターニャとマインが乗り込んだ轟雷だけが存在Xと向かい合っている状態になった。

 

ターニャ「何のつもりだ?」

 

存在X「何、天使達の()()を超えて折角ここまで来たのだ。汝ら()()には一対一で挑ませてやろうと思ってな。複座分はサービスしておいてやる」

 

ターニャ「……そいつはどうも」

 

 その為に他が全滅するまで待っていたとでも言うのだろうか。相変わらず意味の分からない思考回路をしている。いや、こう見えてラッパのような何かの理不尽能力の発動条件を調整しているのかもしれない。

 それはともかく、可能なら遠距離攻撃で圧殺、次善として1体ずつ集中攻撃、というプランを考えていたが、わざわざサシの勝負を4つに分けてくれたようだ。七圏守護神(ハーロ・イーン)による分断抵抗は今轟雷に乗り込んでいるペアと同じように掛けてあるので、1機単位での分断に対する抵抗力は無い。

 これでは戦術も戦力配分もあったものではないなとターニャ達は心中で愚痴をこぼした。

 二人が見ている前で、存在Xは戦闘態勢に入って轟雷を遙かに上回るサイズに巨大化した。計測結果は身長22km程度と出ている。轟雷のおよそ100倍だ。中堅天使でもそれなりにサイズが可変だったので、存在Xにそれ以上の事が出来ない筈がないという話だった。思い返してみれば、そもそもターニャとの初対面の時にも人間の倍くらいには巨大化していた。

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