勢いを増し続ける焦熱地獄の中で、スコアの轟雷は炎の双剣と炎の雨のコンボを器用に回避し続けていた。炎の剣は唯一というものでもないらしく、左手からも生やして二本に増えていた。
それでも躱し反撃し続けるスコア達に
どちらにせよ、やはり追い詰められた人間は面白い。今度は何を見せてくれることか。スコア達が何かやろうとしていることを見て取った
こう見えて
火を熾し、文明を興し、社会を作って互いに身を守り、努力と発想を以て前へ進もうとする健気な姿は、愛しい。限られた短い生涯を必死に生きるその姿は、まさに炎のようではないか。
そもそも炎の神の集合体である
そしてその人間達に忘れられてしまうのは、寂しいものだ。
人間は神々の玩具ではない。だからこそある程度文明が進展したら自助努力に任せるようにしているのだが、そうなると人間は世代交代の末に神を忘れてしまうのだ。そして思い出させるには火の怒りを以て接しなければならぬ。まことに哀しいことである。
久しく見ぬ勇敢なる人間を葬らなければならぬ寂しさに、少々感傷的になってしまったかと
轟雷は咄嗟に両手を前に出したが、あまりの剣速の為か回避は出来ていなかった。
斯くして振り切った炎の大剣は根元から立ち消え、大技を使った
次に、炎の大剣は轟雷の表面に直接届いておらず、何か強力な障壁に阻まれていた。炎の大剣は障壁に接触した時点で全熱エネルギーの注入を開始したが、集中したエネルギーをアースのように障壁表面沿いに散らされていた。
更に、障壁表面に散ったエネルギーを轟雷の両手のみならず金色の機体表面から急速な勢いで吸収していた。エネルギーが分散したとはいえ、先ほどまでの黒い状態ならばそれでも融かしていた筈だが、全く苦にもしていない様子であった。
先ほどまでの黒い轟雷は接触した熱を吸っているだけだったが、今の金色の轟雷は炎の大剣を吸収してなお周囲の広範囲の熱を吸収している。しかも徐々にではあるが、機体の大きさが増している。それに伴い、熱を吸収するペースも範囲もどんどん増加している。
スコア「――今度はこちらが答えよう」
返答しつつ、スコアが静かに前進を開始した。
スコア「これは、
テクス「何故なら今組み合わせて作ったでござるからな!」
テクスが言うように、
その1つは
どこでこんなものを仕入れたのかと言えば、一度目はGジェネレーション軍団が最後の手段として強化型BETAに使おうとしたのをギリギリで止めたとき、二度目はスーパーロボット軍団が巨大ゾヌーダロボとエネルギー吸収合戦をしていたときだ。その際に散布された月光蝶ナノマシンを、時間停止型インベントリに収納して持ち帰っておいたのだ。
無事持ち帰ったのはいいのだが、これを研究解析するのは少々大変だった。何しろ分解命令が発動された状態の月光蝶ナノマシンなのだ。普通の容器では即分解されてしまい、場合によっては研究所丸ごと砂にされかねない。
これをどうしたものかと検討した結果、まず水中に出して、魔法で絶対零度まで瞬間冷凍してから解析することになった。元素構成の都合上、水は灰に出来ないし、凍らせてしまえば周囲からのエネルギー吸収も殆ど出来ないというわけだ。
そうして
それがもう一つの文明埋葬システム
機界新種はゾンダーから派生した新種であり、ゾンダーは暴走したZマスタープログラムが生み出したものだ。そのZマスタープログラムは元々三重連太陽系の紫の星で作られたストレス除去システムだったので、間接的にはこれも人間が生み出したものと言える。ゾンダーが万が一の為の生存戦略として生み出した筈の機界新種がゾンダーをも滅ぼしかねない脅威になったのは何とも皮肉な話である。
こちらは前段階のゾンダーが三重連太陽系を滅ぼした実績がある。いや、そんな実績で張り合われても困るが。
研究開発部に持ち込まれたゾヌーダロボの破片を月光蝶ナノマシン同様に慎重な扱いで解析してみたところ、こちらは月光蝶ナノマシンと違って機能は停止していたが、物質昇華に関わる構造を解析することは出来た。そしてその物質昇華機能モジュールは細胞のように細かい単位で組織を成しており、然るべきラインに動力を投入すれば起動可能であることが判明した。
ゾンダー由来の新種なので投入すべき動力は単純な電圧ではなかったが、この問題はマナによって解決した。むしろ魔力補正が乗るようになって便利ですらあった。ついでと言っては何だが、この物質昇華機能モジュールにはあの超高効率バリアの機能も付随していた。轟雷の縮退炉はゾヌーダロボとは大元の出力が違うので、このバリアもオリジナルより遥かに強化することが可能だった。それらの機能が統合された細胞単位のモジュールは、『機界新種細胞』と命名された。
そしてこの機界新種細胞の機能が、類似システムである月光蝶の研究解析からナノマシンによる再現が可能になっていた。
つまり
まず下地に接触距離用の常温超伝導光電変換膜。これが黒だ。
その上から汎用ナノマシンで機能を再現した機界新種細胞が覆っており、これがゾヌーダロボと同じ金色に輝いている。元々非接触でエネルギーを吸収出来るため中距離で使用出来、更に強力なバリア展開能力を持つ。
更に外側には同じく汎用ナノマシンで機能を再現した月光蝶が猛烈な勢いで散布され、これが虹色に輝いている。月光蝶はエネルギー吸収機能があるとは言えナノマシンそのものを散布しているために耐熱性が比較的低く、過熱でやがて蒸発してしまうが、蒸発するまでにエネルギーを分解して物質化しているので、絶え間なく供給していけば結果的に周囲の温度は下がる。